この章では、Oracle Database 11gのOracle Data Guard Brokerに追加された新機能について説明し、関連項目へのリンクを示します。旧リリースで導入された機能については、そのリリースのドキュメントを参照してください。
このリリースの新機能は次のとおりです。
ファスト・スタート・フェイルオーバーの機能拡張
次の機能により、Data Guardを使用した障害時リカバリ構成の柔軟性と管理性が向上します。
最大パフォーマンス・モードで動作している構成のファスト・スタート・フェイルオーバー
最大パフォーマンス・モードで動作しているData Guard Broker構成でファスト・スタート・フェイルオーバーを有効化できます。管理者は、ファスト・スタート・フェイルオーバーが開始された場合の最大消失データ量を選択できます。
新しいDBMS_DG
PL/SQLパッケージ
DBMS_DG
PL/SQLパッケージを使用すると、アプリケーションでオブザーバ・プロセスに通知して、ターゲット・スタンバイ・データベースへのファスト・スタート・フェイルオーバーを開始できます。
構成可能な条件でのファスト・スタート・フェイルオーバー
特定のデータベース条件が検出されたときにファスト・スタート・フェイルオーバーを実行するように構成できます。データベース健全性チェック・メカニズムによって検出される特定の条件やOracleサーバーが生成するエラー(ORAエラーなど)を、ファスト・スタート・フェイルオーバーが発生する条件として指定できます。
関連項目:
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管理性の機能拡張
次の機能拡張により、Data Guard Brokerをより広範囲の障害時リカバリ構成で使用できます。
スナップショット・スタンバイ・データベースのサポート
読取り専用でオープンされているフィジカル・スタンバイ・データベースでのRedo Applyのサポート
REDO転送オプションのサポートの向上。管理者がREDO転送サービスの接続識別子を指定できるようになりました。
保護モードを最大可能性と最大パフォーマンスの間で変更する際のデータベース停止時間の削除
Data Guard Broker構成のプライマリ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースは、自動的にオープンされずにマウント可能
構成にスタンバイ・データベースを追加するとき、DGMGRL CLIのADD DATABASE
コマンドを使用して、LOG_ARCHIVE_DEST_
n
パラメータから構成済のサービス属性をインポート可能
ブローカにより管理されるデータベースの状態の簡素化。プライマリ・データベースの状態は、TRANSPORT-OFFまたはTRANSPORT-ONのいずれかです。スタンバイ・データベースの状態は、APPLY-OFFまたはAPPLY-ONのいずれかです。
Data Guard構成内でのネットワーク経由によるREDOトラフィックの圧縮
この機能は、スタンバイ・データベースの差分を満たすためにログが送信される際に、ネットワーク経由でスタンバイ・データベースに転送されるため、アーカイブREDOログを圧縮することにより、Data Guard構成内のネットワーク帯域幅の使用率を向上させます。
データベース・リカバリ領域との統合の向上。USE_DB_RECOVERY_FILE_DEST
をデータベースの構成可能なプロパティAlternateLocation
およびStandbyArchiveLocation
の値として指定できるようになりました。
Data Guardコマンドライン・インタフェース(DGMGRL)の新規コマンドは、次のとおりです。
CONVERT DATABASE TO [SNAPSHOT | PHYSICAL] STANDBY
DISABLE FAST_START FAILOVER CONDITION
ENABLE FAST_START FAILOVER CONDITION
SHOW FAST_START FAILOVER
新しい構成可能なプロパティは、次のとおりです。
DGConnectIdentifier
(InitialConnectIdentifier
に代わるプロパティ)
ObserverConnectIdentifier
RedoCompression
新しい構成プロパティは、次のとおりです。
FastStartFailoverAutoReinstate
FastStartFailoverLagLimit
FastStartFailoverPmyShutdown
構成可能なデータベース・プロパティLsbyTxnConsistency
は、LsbyPreserveCommitOrder
に名前変更されました。
構成可能なデータベース・プロパティLogXptMode
のデフォルトがASYNC
になりました。