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Oracle Database アップグレード・ガイド
11g リリース1(11.1)

E05758-02
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4 新しいリリースへのアップグレード後の作業

この章では、データベースのアップグレード後に行う手順について説明します。 この章では、次の項目について説明します。

データベースのアップグレード後に必要な作業

アップグレードを手動で行ったか、Database Upgrade Assistant(DBUA)を使用して行ったかに関係なく、データベースをアップグレードした後、次の作業を行います。

環境変数の更新(LinuxおよびUNIXシステムのみ)

ご使用のオペレーティング・システムがLinuxまたはUNIXの場合は、次の環境変数が新しいOracle Database 11gリリース1(11.1)のディレクトリを指していることを確認します。

また、oratabファイルおよびORACLE_HOME値を設定するすべてのクライアント・スクリプトが、Oracle Database 11gリリース1(11.1)のホームを指していることを確認します。


注意:

ORACLE_HOMEPATHおよびoratabを確認する必要があるのは、手動でアップグレードした場合のみです。DBUAでは、oratabファイルは自動的に新しいOracleホームを指します。クライアント・スクリプトは、アップグレード方法に関係なく、確認する必要があります。

クラスタ・データベースをアップグレードしている場合は、そのクラスタ・データベースのインスタンスが構成されているすべてのノードでこれらを確認してください。 


参照:

ご使用のオペレーティング・システムでのその他の重要な環境変数の設定は、オペレーティング・システム固有のOracle Databaseのインストレーション・ガイドを参照してください。 

リカバリ・カタログのアップグレード

リカバリ・カタログのアップグレード、およびUPGRADE CATALOGコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

DBMS_STATSパッケージで作成された統計表のアップグレード

DBMS_STATS.CREATE_STAT_TABLEプロシージャを使用して統計表を作成した場合、次のプロシージャを実行してこれらの表をアップグレードします。

EXECUTE DBMS_STATS.UPGRADE_STAT_TABLE('scott', 'stat_table'); 

この例で、SCOTTは統計表の所有者で、STAT_TABLEは統計表の名前です。各統計表にこのプロシージャを実行します。

外部認証されたSSLユーザーのアップグレード

Oracle9iリリース2(9.2)またはOracle Database 10gリリース1(10.1)からのアップグレード時に、外部認証されたSSLユーザーを使用している場合は、次のコマンドを実行してそれらのユーザーをアップグレードする必要があります。

ORACLE_HOME/rdbms/bin/extusrupgrade --dbconnectstring 
<hostname:port_no:sid> --dbuser <db admin> --dbuserpassword 
<password> -a


注意:

Oracle Database 10gリリース2(10.2)以上のリリースからアップグレードしている場合は、このコマンドを実行する必要はありません。 


参照:

extusrupgradeスクリプトの詳細は、『Oracle Database Enterpriseユーザー・セキュリティ管理者ガイド』を参照してください。 

Oracle Textナレッジ・ベースのインストール

Oracle Textナレッジ・ベースはOracle Database 11gリリース1(11.1)の付属製品の一部です。Oracle Database 11gリリース1(11.1)へのアップグレード後すぐに使用できるようにはなっていません。アップグレード前には使用可能であったナレッジ・ベースに依存するOracle Textの機能は、アップグレードすると機能しなくなります。これらの機能を再度使用可能にするには、Oracle Textナレッジ・ベースをインストール・メディアからインストールする必要があります。

Oracle Textナレッジ・ベースに対してユーザーが拡張した項目は、アップグレード後に再生成する必要があります。これらの変更は、指定されたOracleホームにインストールされているすべてのデータベースに影響します。

参照:

  • Oracle Textナレッジ・ベースの詳細は、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。

  • 付属製品については、ご使用のプラットフォーム固有のOracle Databaseのインストレーション・ガイドのインストール後の作業に関する項を参照してください。

 

Oracle Application Expressの構成の更新

元のデータベースにApplication Expressバージョン3.0が含まれていた場合は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードした後に必要な追加の構成はありません。

Oracle Express Edition(XE)データベース以外のデータベースを使用していた場合で、旧バージョンのApplication Express(HTML DB)が含まれている場合は、アップグレード中にバージョン3.0が自動的にインストールされます。Oracle Database 11gと併用するには、インストール後の一連の手順を実行して、Application Expressバージョン3.0を構成する必要があります。 構成手順は、『Oracle Database Application Expressインストレーション・ガイド』のインストール後の作業に関する項を参照してください。

Oracle Express Edition(XE)データベースを使用していた場合は、XE環境向けの旧バージョンのApplication Expressが含まれています。Oracle Database XE Application ExpressとApplication Express 3.0の相違点を説明したOTNのドキュメントを参照してください。参照先は次のとおりです。

http://www.oracle.com/technology/products/database/application_express/html/upgrade_apex_for_xe.html

XEバージョンのApplication Expressで使用できるデータベース管理機能はApplication Expressバージョン3.0では使用できませんが、Oracle Enterprise Manager DB Controlを追加でインストールすれば、データベース管理用のGraphical Interfaceが提供されます。

外部ネットワーク・サービスへのファイングレイン・アクセスの構成

Oracle Database 11gリリース(11.1)には、Oracle XML DBを使用するUTL_TCPUTL_SMTPUTL_MAILUTL_HTTP、またはUTL_INADDRパッケージに対するファイングレイン・アクセス制御が含まれています。これらのパッケージのいずれかを使用するアプリケーションがある場合は、Oracle XML DBがまだインストールされていなければインストールする必要があります。これらのパッケージを前のリリースと同様に動作させるには、データベースのネットワーク・アクセス制御リスト(ACL)を構成することも必要です。

次の例では、最初にhost_nameに現在割り当てられているACLを検索します。ACLが見つかったら、この例では、user_nameがまだCONNECT権限を持っていない場合にかぎり、このユーザーにACL内のCONNECT権限を付与します。host_name用のACLが存在しない場合、この例では、ACL_nameという新しいACLを作成し、user_nameCONNECT権限を付与し、このACLをhost_nameに割り当てます。

DECLARE
  acl_path  VARCHAR2(4000);
BEGIN
  SELECT acl INTO acl_path FROM dba_network_acls
   WHERE host = 'host_name' AND lower_port IS NULL AND upper_port IS NULL;
IF DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.CHECK_PRIVILEGE(acl_path, 
                                         'user_name','connect') IS NULL THEN
    DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.ADD_PRIVILEGE(acl_path,
                                         'user_name', TRUE, 'connect');
END IF;
EXCEPTION
  WHEN no_data_found THEN
    DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.CREATE_ACL('ACL_name.xml',
      'ACL description', 'user_name', TRUE, 'connect');
    DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.ASSIGN_ACL('ACL_name.xml','host_name');
END;
COMMIT;


注意:

変更を有効にするには、トランザクションをコミットする必要があります。 


参照:

一部のユーザーはホストAに接続し、別のユーザーはホストBに接続するなど、より複雑な状況については、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 

Oracle Database Vaultの有効化

Oracle Database Vaultを使用している場合は、データベースをアップグレードする前にこれを無効にするように指示がありました。今度は、もう一度Database Vaultを有効にする必要があります。

参照:

 

Database Vault Administrator(DVA)のデプロイ

Database Vault Administrator(DVA)は、次のOracle Application Server Containers for J2EE(OC4J)のホームに、手動でデプロイできます。

$ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/home

次の手順に従って、手動でDVAアプリケーションをデプロイします。

  1. $ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/home/config/server.xmlファイルを編集します。次の行を、</application-server>を読み込む最後の行の直前に挿入します。

    <application name="dva" path="$ORACLE_HOME/dv/jlib/dva_webapp.ear" 
    auto-start="true" />
    
    

    次に例を示します。

    <application name="dva" path="/u00/app/oracle/oracle/product/dv12/dv/jlib/dva_
    webapp.ear" auto-start="true" />
    
    
  2. $ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/home/config/http-web-site.xmlファイルを編集します。次の行を、</web-site>を読み込む最後の行の直前に挿入します。

    <web-app application="dva" name="dva_webapp" root="/dva" />
    
    
  3. $ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/home/config/global-web-application.xml ファイルを編集します。<servlet-class>oracle.jsp.runtimev2.JspServlet</servlet-class>という文字列を検索します。この文字列の後にある次の行のコメントを解除します。

    <init-param>
       <param-name>main_mode</param-name>
       <param-value>justrun</param-value>
    </init-param>
    
    
  4. 次のディレクトリを作成します。

    mkdir -p $ORACLE_HOME/dv/jlib/sysman/config
    
    
  5. 前述の手順で作成した構成ディレクトリに、データベース接続構成ファイルemoms.propertiesを作成します。次の行をファイルに追加します。

    oracle.sysman.emSDK.svlt.ConsoleMode=standalone
    oracle.sysman.eml.mntr.emdRepRAC=FALSE
    oracle.sysman.eml.mntr.emdRepDBName=ORACLE_SID
    oracle.system.eml.mntr.emdRepConnectDescriptor=TNS_connection_string
    
    


    注意:

    • Oracle Real Application Clustersデータベースの場合は、oracle.sysman.eml.mntr.emdRepRACTRUEに設定する必要があります。

    • oracle.sysman.eml.mntr.emdRepConnectDescriptorについては、$ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.oraからエイリアスが使用できます。または、次の構文を使用できます。

      oracle.sysman.eml.mntr.emdRepConnectDescriptor=(DESCRIPTION\=(ADDRE
      SS_LIST\=(ADDRESS\=(PROTOCOL\=TCP) (HOST\=HOSTNAME)(PORT\=PORT))) 
      (CONNECT_DATA\=(SERVICE_NAME\=ORACLE_SID)))
      
     

  6. OC4Jを起動します。OC4Jを起動する前に、環境変数が正しく設定されているかを確認します。次に例を示します。

    ORACLE_SID=orcl
    export ORACLE_SID
    ORACLE_HOME=/u00/app/oracle/product/10.2/dv
    export ORACLE_HOME
    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/bin:$ORACLE_HOME/lib:$ORACLE_HOME/jdbc/lib
    export LD_LIBRARY_PATH
    PATH=$ORACLE_HOME/bin:$ORACLE_HOME/jdk/bin:$PATH
    export PATH
    


    注意:

    LD_LIBRARY_PATHは、OCIベースのJDBCライブラリが使用されるように設定する必要があります。 


    次の構文を使用して、OC4Jを起動します。

    $ORACLE_HOME/jdk/bin/java -Djava.awt.headless=true -DEMDROOT=$ORACLE_HOME/dv/jlib 
    -jar $ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/home/oc4j.jar -userThreads -config $ORACLE_
    HOME/oc4j/j2ee/home/config/server.xml
    
    
  7. これで、DVAアプリケーションにアクセスできるようになりました。この環境では、HTTPポートのデフォルトは8888です。次のURLを使用してください。

    http://hostname:8888/dva
    

データベースのアップグレード後の推奨作業

データベースをアップグレードした後に次の作業を実行することをお薦めしますが、必須の作業ではありません。これらはアップグレードを手動で行ったかDBUAを使用して行ったかに関係なく推奨される作業です。

すべてのデータベースのアップグレード後の推奨作業

データベースをアップグレードした後に次の作業を実行することをお薦めしますが、必須の作業ではありません。

データベースのバックアップ

必ず本番データベースの全体バックアップを作成してください。

参照

データベースのバックアップの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。 

パスワードのリセットによる大/小文字区別の強制

Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、パスワードに大/小文字の区別を強制できるようになりました。たとえば、hpp5620QRまたはhPp5620Qrと入力した場合、パスワードhPP5620qrは失敗します。これまでのリリースでは、パスワードの大/小文字は区別されませんでした。

パスワードの大/小文字区別の強制を活用するには、データベースのアップグレード作業中に既存のユーザーのパスワードをリセットする必要があります。新しいデータベース・インスタンスの場合は、追加の作業や追加の管理要件はありません。データベースをアップグレードした場合は、各ユーザーのパスワードをALTER USER文でリセットする必要があります。

また、デフォルトを変更して、パスワード検証機能で大/小文字が区別されるようにすることもできます。 通常のユーザーの場合は、init.oraパラメータsec_case_sensitive_logonfalseに設定します。

sql> alter system set sec_case_sensitive_logon=false;

sysdbaユーザーおよびsysoperユーザーの場合は、新しいコマンドライン・スイッチignorecaseを使用して、新しいorapwファイルを生成できます。


注意:

Oracle Database 11gリリース1(11.1)のデフォルトのセキュリティ設定が適用されている場合、パスワードは8文字以上にする必要があります。また、welcomeoracleなどのパスワードは使用できません。 詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 


参照:

『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』 

自動ストレージ管理(ASM)のアップグレード

DBUAを使用する場合は、Oracle Databaseインスタンスのアップグレード、ASMインスタンスのアップグレード、または両方を選択できますが、 手動でアップグレードを実行する場合は、Oracle Databaseのアップグレードとは別にASMのアップグレードを行う必要があります。

参照:

 

新機能の適宜追加

『Oracle Database新機能ガイド』では、Oracle Database 11gリリース1(11.1)で使用可能な多くの新機能について説明されています。どの新機能がデータベースおよびアプリケーションに有効かを判断して、これらの機能を使用する計画を立ててください。

新しいOracle Databaseソフトウェアを使用するためにすぐに変更する必要はありません。データベースおよびそれに対応するアプリケーションに、これらの拡張機能を徐々に取り入れることもできます。

第5章「アプリケーションのアップグレード」では、Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新機能を利用するためにアプリケーションを拡張する方法について説明します。ただし、新機能を実装する前にアプリケーションをテストし、アップグレードしたデータベース上でアプリケーションを正常に動作させる必要があります。

必要な新しい管理手順の作成

Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新機能をよく理解したうえで、データベース管理用のスクリプトおよびプロシージャを再確認し、変更が必要かどうかを判断します。

それぞれのアプリケーションに必要な変更を、データベースにも行う必要があります。たとえば、データベースで整合性制約を使用可能にした場合、アプリケーションでのデータ・チェックの一部を削除できます。

表領域アラートのしきい値の設定

アップグレードされたOracle Database 11gリリース1(11.1)データベースでは、表領域アラートが無効になっています(しきい値がNULLに設定されています)。データベース内の監視対象の表領域を指定し、適切なしきい値を設定する必要があります。

新しく作成されたOracle Database 11gリリース1(11.1)データベースのデフォルトのしきい値は次のとおりです。

ロールバック・セグメントから自動UNDOモードへの移行

この項では、ロールバック・セグメント(手動UNDO管理)を使用するデータベースを、アップグレード中に自動UNDO管理へ移行する手順を説明します。

Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、デフォルトのUNDO領域管理モードは自動UNDO管理です。システムで使用するUNDO領域管理モードは、次のようにUNDO_MANAGEMENT初期化パラメータで指定します。

現在ロールバック・セグメントを使用してUNDO領域を管理している場合は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)データベースを自動UNDO管理に移行することをお薦めします。移行した場合、新しくアップグレードしたデータベースを自動UNDO管理を使用して開く前に、まずUNDO表領域を作成する必要があります。UNDO表領域に必要なサイズは、システムのワークロードおよびフラッシュバックの要件によって異なります。

自動UNDO管理に移行するには、次の手順を実行します。

  1. UNDO_MANAGEMENT=MANUALに設定します。

  2. インスタンスを再起動して標準的なビジネス・サイクルを一通り実行し、代表的なワークロードを取得します。このようにしてワークロードを評価し、自動UNDO管理で必要なUNDO表領域のサイズを計算します。

  3. 標準的なビジネス・サイクルを完了したら次のファンクションを実行し、UNDO表領域のサイズと、UNDO表領域のサイズ変更に関するヘルプを収集します(このファンクションの実行にはDBA権限が必要です)

    DECLARE
       utbsiz_in_MB NUMBER;
    BEGIN
       utbsiz_in_MB := DBMS_UNDO_ADV.RBU_MIGRATION;
    end;
    /
    
    

    このファンクションではPL/SQLプロシージャが実行され、システム構成およびシステムのロールバック・セグメントの使用状況を基にして、新しいUNDO表領域のサイズを求める方法に関する情報が提供されます。このファンクションはサイズ変更に関する情報を直接戻します。

  4. 必要なサイズのUNDO表領域を作成し、UNDO_MANAGEMENT=AUTOに設定するかパラメータを削除して、自動UNDO管理を有効にします。

  5. Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)構成の場合は、すべてのインスタンス上でこの手順を繰り返します。

Oracle Data Guard Brokerの構成

Data Guard BrokerのプロパティLocalListenerAddressは、非推奨になる予定です。 ブローカの通信方法およびREDOの転送の設定方法が変更される予定であるため、LocalListenerAddressの値はOracle Database 11gリリース1(11.1)では維持されません。

ブローカのプロパティInitialConnectIdentifierは、DGConnectIdentifierに変更される予定です。DGConnectIdentifierの値は、常時、すべてのData Guardネットワーク・トラフィック用に使用されます。 Oracle Database 10gからOracle Database 11gリリース1(11.1)に構成をアップグレードする際に、InitialConnectIdentifierの値は、11gデータベース用の新しいDGConnectIdentifierの値として保持されます。Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースの場合、アップグレード中に、InitialConnectIdentifierがすべてのインスタンスに到達できることを確認するのは、データベース管理者に任されています。

LONGデータ型からLOBデータ型への表の移行

LOBデータ型(BFILEBLOBCLOBおよびNCLOB)には、LONGデータ型よりも多くのメリットがあります。 LONGデータ型とLOBデータ型の違いの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。

Oracle9iリリース1(9.0.1)以上では、ALTER TABLE文を使用して、LONGデータ型の列をCLOBに、LONG RAWデータ型の列をBLOBに変更できます。

次の例では、long_tab表のlong_colというLONG列が、CLOBデータ型に変更されます。

SQL> ALTER TABLE Long_tab MODIFY ( long_col CLOB );

この方法でLONG列をLOBに変換した後も、表に設定されている既存の制約およびトリガーはすべて使用できます。ただし、表のすべての列で、ドメイン索引およびファンクション索引を含むすべての索引が使用不可となるため、ALTER INDEX ... REBUILD文を使用してすべての索引を再構築する必要があります。また、LONG列上のドメイン索引は、LONG列をLOBに変更する前に削除する必要があります。

参照:

LOBデータを使用するためのアプリケーションの変更の詳細は、『Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイド』を参照してください。 

アップグレードした本番データベースのテスト

テスト・データベースをOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードしてテストした場合、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードした本番データベースでも同じテストを繰り返すことができます。結果を比較し、相違点を記録します。必要に応じて、アップグレードのテストを繰り返します。

新しいOracle Databaseで既存のアプリケーションが正常に動作するかどうかを確認するために、この新しくアップグレードされた本番データベースをテストします。 また、利用可能なOracle Databaseの機能を追加して、機能拡張についてもテストします。 ただし、アプリケーションがアップグレードの前と同様に動作するかどうかを最初に確認してください。

参照:

Oracle Databaseでのアプリケーションの使用方法の詳細は、第5章「アプリケーションのアップグレード」を参照してください。 

Oracle Database 10gリリース1(10.1)データベースのアップグレード後の推奨作業

Oracle Database 10gリリース1(10.1)またはOracle Database 10gリリース2(10.2)をアップグレードした後に次の作業を行うことをお薦めしますが、必須の作業ではありません。

チェンジ・データ・キャプチャのアップグレード

Oracle Database 10gリリース2(10.2)以上では、非同期チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)に、ソースおよびターゲット・データベースのオペレーティング・システムが同じである必要はなくなりました。 この機能を使用すると、異なるオペレーティング・システムおよびOracleバージョンを使用した異機種間CDC設定が可能になります。これによって、既存のOracle9iリリース2(9.2)システムをソースとして扱えるようになります。

Oracle9iリリース2(9.2)またはOracle Database 10gリリース1(10.1)をチェンジ・データ・キャプチャを使用してOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードする方法の詳細は、『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』を参照してください。チェンジ・データ・キャプチャの分散HotLogモードでサポートされる構成および制限について説明しています。

Secure HTTPの構成

Oracle XML DBへのHTTPSアクセスを構成するには、この項の説明に従って正しい構成情報を指定します。

データベースをOracle Database 10gリリース2(10.2)以上にアップグレードすると、XDB構成ファイル用のXMLスキーマは自動的にアップグレードされ、リポジトリ内の/xdbconfig.xmlにあるXDB構成ファイルにhttp2-porthttp2-protocolの2つの要素を追加できるようになります。これらの要素は、アップグレード時にデフォルトではXDB構成ファイルに追加されません。HTTPSに対するサポートが必要な場合は、構成ファイルを編集して、これらの2つの新しい要素(正確な位置についてはXMLスキーマを参照)を追加し、http2-protocolの値をtcpsに設定する必要があります。http2-portの値には、http-portとは異なる値を指定する必要があります。

XDB構成ファイルのパラメータhttp2-portおよびhttp2-protocolを指定するのみでなく、XML DBでHTTPSを使用できるように、データベースおよびリスナーを構成する必要があります。また、次の手順をアップグレード前に実行しなかった場合は、アップグレード後に実行する必要があります。

  1. HTTPリスナーおよびデータベースでSSLを使用できるようにします。

  2. TCPSディスパッチャを起動できるようにします。

これを行う方法の詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。


注意:

まだシステムにOracle XML DBがインストールされていない場合は、アップグレード作業中にインストールする必要があります。Oracle XML DBでは、アクセス制御リストを適切に維持する必要があります。 


HTTPを介したXML DBリポジトリ・データへの匿名アクセスの提供

HTTPを介してXML DBリポジトリ・データに匿名アクセスする必要がない場合は、この手順を実行する必要はありません。HTTPを介してXML DBリポジトリ・データに匿名アクセスする必要がある場合は、この項の説明に従って正しい構成情報を指定する必要があります。管理者は、考えられるセキュリティ上の危険性を考慮し、匿名アクセスを許可するかどうかを十分に検討する必要があります。

データベースをOracle Database 10gリリース2(10.2)以上にアップグレードすると、リポジトリ内の/xdbconfig.xmlにあるXDB構成ファイル用のXMLスキーマは自動的にアップグレードされ、XDB構成ファイルにallow-repository-anonymous-accessという要素を追加できるようになります。この要素はブール型で、trueまたはfalseという値を指定できます。これを使用すると、ANONYMOUSユーザー・アカウントをロック解除した場合でも、認証されていないアクセスをHTTPを介してOracle XML DBリポジトリ・データに行うことを禁止できます。この要素は、アップグレード時にデフォルトではXML DB構成ファイルに追加されませんが、この要素が欠落している場合はfalseと解釈されます。

したがって、Oracle 10gリリース2にアップグレードすると、HTTPを介したXML DBリポジトリ・データへの匿名アクセスは無効になります。HTTPを介してXML DBリポジトリ・データに匿名アクセスする場合は、ANONYMOUSユーザー・アカウントをロック解除すること以外に、構成ファイルを変更してこの新しい要素をtrueに設定する必要があります。


注意:

リポジトリへの認証されていないアクセスを許可した場合は、セキュリティ上の危険性を伴う可能性があります。 


参照:

allow-repository-anonymous-access要素、およびOracle XML DBの構成方法の詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。 

Oracle Express Edition Databaseのアップグレード後の推奨作業

Oracle Express Editionのデータベースに含まれているのは、Standard EditionまたはEnterprise Editionのデータベースで使用できるコンポーネントのサブセットのみです。Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードした後、Database Configuration Assistantを使用して追加のコンポーネントをデータベースにインストールできます。DBUAによるアップグレード中にEnterprise Manager DB Controlをインストールしなかった場合は、データベースに追加する他の任意のコンポーネントと併せてインストールできます。

手動によるデータベースのアップグレード後にのみ行う作業

DBUAを使用せず手動でアップグレードを実行している場合は、データベースをアップグレードした後で、次の作業を実行する必要があります。

オラクル社が提供するアカウント用のパスワードの変更

アップグレード元のリリースによっては、新しいアカウントが提供されている場合があります。SYSおよびSYSTEM以外のオラクル社が提供するアカウントは、すべてロックしてパスワードを期限切れにし、アカウントのロックを解除したときに新しいパスワードの指定が要求されるようにすることをお薦めします。


注意:

Oracle Database 11gリリース1(11.1)のデフォルトのセキュリティ設定が適用されている場合、パスワードは8文字以上にする必要があります。また、welcomeoracleなどのパスワードは使用できません。 詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 


次のSQL文を発行して、すべてのアカウントの状態を確認できます。

SQL> SELECT username, account_status
         FROM dba_users
         ORDER BY username;

次のSQL文を発行して、パスワードをロックまたは期限切れにします。

SQL> ALTER USER username PASSWORD EXPIRE ACCOUNT LOCK;

サーバー・パラメータ・ファイルへの初期化パラメータ・ファイルの移行

従来の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合は、次の手順でサーバー・パラメータ・ファイルへ移行します。

  1. 初期化パラメータ・ファイルがクライアント・コンピュータ上にある場合は、クライアント・コンピュータからサーバー・コンピュータに転送します。


    注意:

    Oracle Real Application Clustersを使用している場合は、すべてのインスタンス固有の初期化パラメータ・ファイルを単一の初期化パラメータ・ファイルに結合する必要があります。インスタンス固有の初期化パラメータ・ファイルの結合方法およびクラスタ・データベース用のサーバー・パラメータ・ファイルの使用方法については、次のマニュアルを参照してください。

    • 『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』

    • ご使用のオペレーティング・システム用のReal Application Clustersのインストレーション・ガイド

     

  2. CREATE SPFILE文を使用して、サーバー・パラメータ・ファイルを作成します。この文は、初期化パラメータ・ファイルを読み込み、サーバー・パラメータ・ファイルを作成します。CREATE SPFILE文を発行するために、データベースを起動する必要はありません。

  3. 新しく作成されたサーバー・パラメータ・ファイルを使用して、インスタンスを起動します。

    参照:

    • サーバー・パラメータ・ファイルの作成の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    • CREATE SPFILE文の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

     

Oracle Textのアップグレード

Oracle Database 11gリリース1(11.1)へアップグレードした後、次のファイルを以前のOracleホームから新しいOracleホームにコピーします。

これらのファイルは、指定されたOracleホームにインストールされているすべてのデータベースに影響します。

前述のファイルのリストは、次の方法で取得できます。

  1. $ORACLE_HOME/ctx/admin/ctxf102.txtを検索する

  2. データベース・ユーザーSYSSYSTEM、またはCTXSYSで、$ORACLE_HOME/ctx/admin/ctxf102.sqlを実行する

KOREAN_LEXERはOracle 9iで非推奨になり、Oracle 10gリリース2でサポート対象外になりましたが、Oracle Textの索引でKOREAN_LEXERを使用している場合は、Support Note 300172.1で、KOREAN_LEXERからKOREAN_MORPH_LEXERへの手動による移行の詳細を参照してください。

参照:

  • これらのファイルの詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください。

  • 以前のリリースのOracle Textからのアプリケーションのアップグレードについては、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。

 

Oracle Cluster Registry(OCR)構成のアップグレード

Oracle Clusterwareを使用している場合は、データベースのOracle Cluster Registry(OCR)キーをアップグレードする必要があります。

OCR構成は、次のいずれかの方法で11gにアップグレードします。

新しいリリース用の初期化パラメータ・ファイルの調整

Oracle Databaseの新しいリリースごとに新しい初期化パラメータが導入され、非推奨となったり、廃止される初期化パラメータもあります。ご使用のシステムに有効な新しい初期化パラメータを使用するために、これらの変更に対してパラメータ・ファイルを調整する必要があります。

参照:

  • Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新しい初期化パラメータのリストおよび各パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』の「Oracle Databaseリファレンスの新機能」を参照してください。

  • Oracle Database 11gリリース1(11.1)で廃止および非推奨になった初期化パラメータのリストは、付録A「動作の変更点」を参照してください。

 

COMPATIBLE初期化パラメータは、ご使用のデータベースの互換レベルを制御します。データベースを元のバージョンにダウングレードする必要がない場合は、新しいデータベースで必要な互換性レベルに基づいてCOMPATIBLE初期化パラメータを設定します。

COMPATIBLE初期化パラメータの設定

COMPATIBLE初期化パラメータ値を増やすには、次の手順を実行します。

  1. COMPATIBLE初期化パラメータ値を増やす前に、データベースのバックアップを取ります(オプション)。

    COMPATIBLE初期化パラメータ値を増やすことによって、現在のデータベースが以前のリリースのOracle Databaseとは非互換になる可能性があります。バックアップを取っておくと、必要に応じて以前のリリースに戻すことができます。

    参照:

    バックアップの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。 

  2. サーバー・パラメータ・ファイルを使用している場合は、次の手順を実行します。

    1. サーバー・パラメータ・ファイルを更新して、COMPATIBLE初期化パラメータの値を設定または変更します。

      たとえば、COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0に設定するには、次の文を入力します。

      SQL> ALTER SYSTEM SET COMPATIBLE = '11.0.0' SCOPE=SPFILE;
      
      
    2. インスタンスを停止し、再起動します。


      注意:

      HARD互換のストレージ(Hardware Assisted Resilient Data)を使用するシステムをアップグレードする場合は、次の点を考慮してください。

      • COMPATIBLEパラメータが11.0.0より前のリリース番号に設定されている場合は、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)をHARDストレージに配置することはできません。

      • COMPATIBLEパラメータが11.0.0に設定されている場合は、オプションでサーバー・パラメータ・ファイルをHARDストレージに配置することができます。

      デフォルトのSPFILEの位置(ORACLE_HOME/dbs)はHARD互換のストレージ・システム上ではないと考えられるため、SPFILEの位置を指定するパラメータ・ファイルを指定することが必要になる場合があります。 


      参照:

      HARDストレージの詳細は、または『Oracle Database概要』を参照してください。 

  3. 初期化パラメータ・ファイルを使用している場合は、次の手順を実行します。

    1. インスタンスが実行している場合は、停止します。

      SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
      
      
    2. 初期化パラメータ・ファイルを編集して、COMPATIBLE初期化パラメータの値を設定または変更します。

      たとえば、COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0に設定するには、初期化パラメータ・ファイルに次のように入力します。

      COMPATIBLE = 11.0.0
      
      
    3. STARTUPを使用してインスタンスを起動します。

Enterprise Managerの構成

まだOracle Enterprise Managerを使用してデータベースを管理していない場合は、Enterprise Manager Database Controlをインストールして構成します。

Oracle Enterprise Manager Database ControlまたはOracle Enterprise Manager Grid Controlでデータベースを管理している場合は、次のコマンドを使用して構成を更新します。

emca -upgrade (db | asm | db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters]

このコマンドはOracle Database 11gの新しいOracleホームから実行する必要があります。プロンプトが表示されたら、構成のアップグレードを行うOracleホームを入力します。

Enterprise Managerは、DBCAを使用して構成することもできます。 「データベース・オプションの構成」オプションを選択してから、「Enterprise Managerリポジトリ」オプションを選択します。

参照:

『Oracle Enterprise Manager構成ガイド』 

CLUSTER_DATABASE初期化パラメータの設定

「新しいOracleホームの準備」に、クラスタ・データベースをアップグレードする前にCLUSTER_DATABASE初期化パラメータをfalseに設定するよう指示がありました。アップグレードが完了した時点で、この初期化パラメータをtrueに設定する必要があります。

ASMのアップグレード後に必要な作業

ASMのアップグレード後、次の作業を実行する必要があります。

環境変数の設定

ご使用のオペレーティング・システムがLinuxまたはUNIXの場合は、次の環境変数が新しいOracle Database 11gリリース1(11.1)のディレクトリを指していることを確認します。

また、oratabファイルおよびORACLE_HOME値を設定するすべてのクライアント・スクリプトが、Oracle Database 11gリリース1(11.1)のホームを指していることを確認します。


注意:

ORACLE_HOMEPATHおよびoratabを確認する必要があるのは、手動でアップグレードした場合のみです。DBUAでは、oratabファイルは自動的に新しいOracleホームを指します。クライアント・スクリプトは、アップグレード方法に関係なく、確認する必要があります。

クラスタASMをアップグレードしている場合は、そのクラスタASMのインスタンスが構成されているすべてのノードでこれらを確認してください。 


参照:

ご使用のオペレーティング・システムでのその他の重要な環境変数の設定は、オペレーティング・システム固有のOracle Databaseのインストレーション・ガイドを参照してください。 

単一インスタンスのASMのアップグレード

Oracleホーム1(OH1)にASMバージョン10.2がインストールされており、オペレーティング・システム・ユーザーがorauserの場合は、次の手順を実行します。

  1. OUIおよびDBUAを使用して、orauserでASMをリリース11.1にアップグレードします。新しいASMリリース11.1は、新しいOracleホーム2(OH2)で実行されている必要があります。ASMは、引き続きorauserで実行されている必要があります。

  2. orauserでASMインスタンスおよびリスナーを停止します。

  3. root/etc/init.d/init.cssd stopを実行してCSSを停止します。

  4. 新しいユーザー(asmuser)で、3つめのOracleホーム(OH3)に11.1をインストールします。ここでインストールするのはソフトウェアのみです。

  5. rootで、OH3からlocalconfig resetを実行します。

  6. /etc/oratabを更新し、OH3+ASMエントリを含むOracleホームになるようにします。

  7. listener.orasqlnet.oraおよびtnsnames.oraを、OH2からコピーします。

  8. EMCPを実行し、ASMインスタンスのパスとconnect-stringロールを変更します。

  9. ディスクの所有者がasmuserおよびASMのOSDBAであることを確認します。これらのユーザーは、O660の権限セットを保持していることも必要です。

  10. asmuserでリスナーを起動します。

  11. asmuserでASMを起動します(SYSASMとして接続)。

  12. コマンドGRANT sysasm TO sysを実行します。

クラスタASMのアップグレード

クラスタASMをアップグレードする場合は、次の手順を実行します。

  1. OUIおよびDBUAを使用して、orauserでASMをリリース11.1にアップグレードします。新しいASMリリース11.1は、新しいOracleホーム2(OH2)で実行されている必要があります。ASMは、引き続きorauserで実行されている必要があります。

  2. ASMおよびリスナーのリソースをCRSホームから停止します。

  3. 新しいユーザー(asmuser)で、3つめのOracleホーム(OH3)に11.1をインストールします。ここでインストールするのはソフトウェアのみです。

  4. CRSのホームから、次のコマンドを実行します。

    srvctl remove listener -n node_name
    srvctl add listener -n node_name -o OH3
    srvctl modify asm -n node_name -i ASM_instance_name -o ORACLE_HOME_path
    
    
  5. /etc/oratabを更新し、OH3+ASMエントリを含むOracleホームになるようにします。

  6. listener.orasqlnet.oraおよびtnsnames.oraを、OH2からコピーします。

  7. EMCPを実行し、ASMインスタンスのパスとconnect-stringロールを変更します。

  8. ディスクの所有者がasmuserおよびASMのOSDBAであることを確認します。これらのユーザーは、O660の権限セットを保持していることも必要です。

  9. 新しいASM 11gのORACLE_HOMEまたは新しいOracle Database 11gのORACLE_HOMEからASMおよびリスナーのリソースを起動します。

  10. コマンドGRANT sysasm TO sysを実行します。

ASMインスタンスがクラスタ化されている場合は、ASMのローリング・アップグレードを実行することもできます。 ローリング・アップグレードを使用すると、データベースの可用性に影響を与えることなく、ASMノードに対して個別にアップグレードやパッチの適用を行うことができるため、より長時間の稼働が可能になります。

参照:

ASMのローリング・アップグレードの詳細は、『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を参照してください。 

ASMのアップグレード後の推奨作業

ASMをアップグレードした後に次の作業を実行することをお薦めしますが、必須の作業ではありません。

次の作業を実行することも検討してください。これらの作業については、この章の前の方で説明しています。

ASMパスワードのリセットによる大/小文字区別の強制

Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、パスワードに大/小文字の区別を強制できるようになりました。たとえば、hpp5620QRまたはhPp5620Qrと入力した場合、パスワードhPP5620qrは失敗します。これまでのリリースでは、パスワードの大/小文字は区別されませんでした。

パスワードの大/小文字区別の強制を活用するには、データベースのアップグレード作業中に既存のユーザーのパスワードをリセットする必要があります。新しいASMインスタンスの場合は、追加の作業や追加の管理要件はありません。アップグレードしたASMのインスタンスの場合は、各ユーザーのパスワードをALTER USER文でリセットする必要があります。


注意:

Oracle Database 11gリリース1(11.1)のデフォルトのセキュリティ設定が適用されている場合、パスワードは8文字以上にする必要があります。また、welcomeoracleなどのパスワードは使用できません。 詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 


参照:

『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』 

ASMとOracle Databaseのディスク・グループの互換性の拡張

Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、ソフトウェア・バージョンをまたいでOracle DatabaseとASMのディスク・グループの互換性設定を拡張できます。

互換性を拡張することにより、新しいバージョンのみで使用可能な新機能が有効になります。ただし、こうすることで、ソフトウェアの古いバージョンではディスク・グループが非互換になります。ディスク上の互換性を拡張する操作は元に戻せないことに注意してください。

compatible.rdbmsおよびcompatible.asm属性を使用して、データベース・インスタンスおよびASMインスタンスからディスク・グループにアクセスするのに必要な最小ソフトウェア・バージョンをそれぞれ指定します。たとえば、次のALTER DISKGROUP文によって、ディスク・グループasmdg2のASMの互換性が拡張されます。

ALTER DISKGROUP asmdg2 SET ATTRIBUTE 'compatible.asm' = '11.1'

この場合、ディスク・グループを管理できるのはバージョン11.1以上のASMソフトウェアのみですが、データベース・クライアントはバージョン10.1以上であれば、このディスク・グループを使用できます。

参照:

ディスク・グループの互換性の詳細は『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を、ALTER DISKGROUPおよびCREATE DISKGROUP文のディスク・グループ互換性属性の詳細は『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。 

ASMの優先読取りの障害グループの設定

ASMの管理者は、一部のディスクを他のディスクより優先して読取りI/O操作に使用するよう指定できます。ASMの優先読取りの障害グループを定義した場合、ASMでは常にプライマリ・コピーから読み取るのではなく、最も近いエクステントから読み取ることができます。

優先読取り機能を使用するには、ASMクライアントとASMの両方にOracle Database 11gリリース1(11.1)以上が必要です。compatible.asmおよびcompatible.rdbms属性はディスク・グループ属性で、この新しい機能を使用するには、これらの属性をリリース11.1まで拡張する必要があります。

参照:

  • 拡張クラスタへの障害グループの設定については、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • ASMの優先読取りの障害グループ、および新しいASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS初期化パラメータを指定してクラスタ内の各ノードに優先読取りディスクを含む障害グループ名をリストする方法の詳細は、『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を参照してください。

  • ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS初期化パラメータについては、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

 

ASMのアップグレード後のオプション作業

ASMおよび1つ以上のデータベースに属するOracleホームのオペレーティング・システム所有権を分けた場合は、次の項に示す手順を実行して、アップグレードしたASMまたはデータベースのOracleホームのオペレーティング・システム・ユーザーを移行する必要があります。

ASMのアップグレード後のデータベースのアップグレード

別のオペレーティング・システム・ユーザーを使用する環境に移行する場合は、ASMをアップグレードした後にデータベースをアップグレードする必要があります。データベース・ユーザーは、ASMのOSDBAのメンバーであることが必要です。

検討する例は次の3つです。

引き続き、orauserをオペレーティング・システム・ユーザーとする

オペレーティング・システム・ユーザーをorauserとして維持する場合は、DBUAを実行して、ASMのOracleホーム(OH3)とは別の新しいOracleホーム(OH4)でデータベースを10.2から11.1にアップグレードします。

単一インスタンスのデータベースのオペレーティング・システム・ユーザーの変更

10.2のデータベースがOracleホーム4(OH4)にインストールされていて、現在orauserをオペレーティング・システム・ユーザーとして実行しているとします。

  1. orauserでDBUAを実行し、新しいOracleホーム(OH5)でデータベースを10.2から11.1にアップグレードします。

  2. orauserでデータベース・インスタンスを停止します。

  3. newuserで、別のOracleホーム(OH6)に11.1をインストールします。

  4. /etc/oratabを更新し、OH6がデータベース・エントリを含むOracleホームになるようにします。

  5. sqlnet.oraをコピーします。listener.oraを更新し、OH5となっている部分をすべてOH6にします。

  6. ASMディスク・グループ内にあるSPFILEを変更し、OH5のかわりにOH6が使用されるようにします。

  7. パスワード・ファイルをOH5からOH6にコピーします。

  8. EMCPを実行し、ASMインスタンスのパスとconnect-stringロールを変更します。

  9. データベース・インスタンスを起動します。

この手順は、ASMを使用するデータベースが2つある場合に有効です。必要に応じて、別のデータベースは別のオペレーティング・システム・ユーザーで実行できるように、データベースのオペレーティング・システム・ユーザーを変更できます。

Oracle RACデータベースのオペレーティング・システム・ユーザーの変更

10.2のデータベースがOracleホーム4(OH4)にインストールされていて、現在orauserをオペレーティング・システム・ユーザーとして実行しているとします。

  1. orauserでDBUAを実行し、新しいOracleホーム(OH5)でデータベースを10.2から11.1にアップグレードします。

  2. orauserでデータベース・インスタンスを停止します。

  3. srvctl remove <db-name>を実行します。

  4. newuserで、別のOracleホーム(OH6)に11.1をインストールします。

  5. /etc/oratabを更新し、OH6がデータベース・エントリを含むOracleホームになるようにします。

  6. sqlnet.oraをコピーします。listener.oraを更新し、OH5となっている部分をすべてOH6にします。

  7. ASMディスク・グループ内にあるSPFILEを変更し、OH5のかわりにOH6が使用されるようにします。

  8. パスワード・ファイルをOH5からOH6にコピーします。

  9. EMCPを実行し、ASMインスタンスのパスとconnect-stringロールを変更します。

  10. srvctl add <db-name>を実行します。

  11. データベース・インスタンスを起動します。

ASMの手動アップグレード後にのみ行う作業

DBUAを使用せず手動でアップグレードを実行している場合は、ASMをアップグレードした後、次の作業を実行する必要があります。

ASM用のOracle Cluster Registry(OCR)構成のアップグレード

Oracle Clusterwareを使用している場合は、次のコマンドを実行して、ASMのOracle Cluster Registry(OCR)キーをアップグレードする必要があります。

srvctl modify asm -n node [-p spfile] -o asm_home -i instance

-pオプションが必要なのは、SPFILEを使用中で、このファイルを移動した場合のみです。

新しいリリース用のASMの初期化パラメータ・ファイルの調整

Oracle Databaseの新しいリリースごとに新しい初期化パラメータが導入され、非推奨となったり、廃止される初期化パラメータもあります。ご使用のシステムに有効な新しい初期化パラメータを使用するために、これらの変更に対してパラメータ・ファイルを調整する必要があります。

参照:

  • Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新しい初期化パラメータのリストおよび各パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』の「Oracle Databaseリファレンスの新機能」を参照してください。

  • Oracle Database 11gリリース1(11.1)で廃止および非推奨になった初期化パラメータのリストは、付録A「動作の変更点」を参照してください。

 

ASM用のEnterprise Manager Database Controlのインストールおよび構成

ASMでEnterprise Manager Database Controlを使用する場合は、Enterprise Manager Database Controlをインストールして構成する必要があります。

参照:

Enterprise Manager Database Controlの構成については、『Oracle Enterprise Manager構成ガイド』を参照してください。 


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