この章では、標準ベースの事前構築済の通信データ・ウェアハウスを実現するOracle Communications Data Modelの概要を示します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle Communications Data Modelは、標準ベースの事前構築済の通信データ・ウェアハウスを提供して、通信事業者がインサイト(真相を見抜く力)を持ち、より迅速に行動することを可能します。Oracle Communications Data Modelでは、即時利用可能なOracleベースのデータ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンス・ソリューションを利用することで、即時の運用および継続的な運用においてコストを削減し、通信業界特有のデータ・モデルを最高水準のデータベースおよびビジネス・インテリジェンス・テクノロジ・ソリューションで利用できます。
Oracle Communications Data Modelは、ビジネス・インテリジェンス・プラットフォームに密接に統合されたシングル・ベンダー・ソリューション・パッケージで提供されています。Oracle Communications Data Modelでは、事前構築済のデータ・マイニング、Oracle Online Analytical Processing (Oracle OLAP)およびディメンション・モデルにより、収益を改善させる即時に対応可能な業界特有のメトリクスおよびインサイトが提供されます。これらのビジネス・インテリジェンス・ソリューションでは、Oracleのデータベース内でよく使用される最適化、並列処理およびパフォーマンス・エンジニアリングを使用して、Oracleのスケーラビりティおよび信頼性を利用できます。
Oracle Communications Data Modelは、あらゆるアプリケーション環境に対応し、容易に拡張できます。
Oracle Communications Data Modelには、OracleのOLAPおよびデータ・マイニング・テクノロジを使用する詳細分析の包括的なセットが組み込まれています。業界の専門家によって設計された事前構築済およびテスト済のソリューション・セットにより、売上高および収益をともに向上させることを目標とする、適切なインサイトを与えられ、すぐに行動することが可能となります。要約された集計情報を表示するか、すぐに取引の詳細のドリルダウンに移動して、ビジネスの問題を的確に理解できます。
たとえば、Oracle Communications Data Modelのすぐに利用可能なレポートを使用して、ネットワーク解析およびチャーン分析のレポートを生成できます。ネットワーク解析では、エアタイム、サブスクリプション、ローミング、最頻時の負荷、過少利用およびパターンのレポートが提供されます。チャーン分析では、顧客の入れ替わりおよび解約の動向、支払いおよび再請求パターン、サブスクライバ・ライフ・サイクルおよびプロファイリングが提供され、チャーンを的確に見抜く力を得ることができます。ユーザー独自のレポートも追加できます。Oracle Communications Data Modelは、Oracleテクノロジと組み合せることで、完全で拡張可能な通信データ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンス・フレームワークに必要なすべてのコンポーネントが提供され、複雑でコストのかかる統合の必要が排除され、すべてが総所有コストを削減するように設計されています。
Oracle Communications Data Modelでは、通信データ・ウェアハウスの設計および実装を速やかに開始し、予測どおりの実装作業により、データ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンス・プロジェクトのポジティブROIを速やかに達成できます。
Oracle Communications Data Modelには、次の機能があります。
情報の問合せおよびレポート: 詳細およびサマリー・データの抽出
OLAPデータ分析: サマリー、トレンド、予測の提供
データ・マイニングのインサイトおよび予測: 潜在的なパターンを検出しインサイトを提供
Oracle Communications Data Modelは、TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)バージョン8.1によって準拠が認定されています。詳細は、「TMフォーラム情報フレームワーク(SID)の準拠」を参照してください。
Oracle Communications Data Modelは、適合性および拡張性を備えたすぐに利用可能なデータ・ウェアハウス・フレームワークを提供します。通信業界の標準に準拠し、他のシステムとの相互運用性があります。事前に構築およびチューニングされ、通信および市場の詳細データへのインテリジェントなインサイトを持つデータ・ウェアハウスは、その成果からすぐに価値を生み出し、多様な分析要件をサポートし、将来の分析アプリケーションの構築に役立ちます。素早く簡単な予測通りの実装により、リスクが削減され、デプロイメントの遅延や、すべて自分で作成した固有のデータ・ウェアハウス・ソリューションに関連する費用が発生しないため、より短時間で戦略的価値を達成できます。
Oracle Communications Data Modelには、次のコンポーネントがあります。
論理モデル基盤
第2章「論理データ・モデル基盤」で、論理データ・モデルについて説明します。
論理モデルのディメンション
第3章「論理データ・モデルのディメンション」で、ディメンションについて説明します。
物理モデル
第4章「Oracle Communications Data Modelの物理データ・モデル」で、物理データ・モデルについて説明します。論理から物理へのマッピングは、第5章「Oracle Communications Data Modelの論理から物理へのマッピング」で詳述します。
Oracle Communications Data Modelの異なるレイヤーへのデータの抽出、変換およびロード(ETL)を行うIntra-ETLデータベース・パッケージおよびSQLスクリプト。
Intra-ETLパッケージおよびSQLスクリプトについては、第7章「Oracle Communications Data ModelのIntra-ETL」で詳述します。
Oracle Communications Data ModelのOLAPモデル
第8章「Oracle Communications Data Model OLAPモデル・ディメンション」および第9章「Oracle Communications Data Model OLAPモデル・キューブ」で、OLAPモデルについて説明します。
事前定義済のデータ・マイニング・モデル
これらのモデルについては、第10章「Oracle Communications Data Modelのデータ・マイニング・モデル」で詳述します。
ユーティリティ・スクリプト
ユーティリティ・スクリプトについては、第11章「Oracle Communications Data Modelユーティリティ・スクリプト」で詳述します。
レポートおよびダッシュボード
第12章「Oracle Communications Data Modelサンプル・レポート」に、レポートを示します。
アプリケーション・アダプタ
第13章「Oracle Communications Data ModelのNCCアプリケーション・アダプタ」に、Oracle Communications Network Charging and Controlアプリケーション・アダプタを示します。
第14章「Oracle Communications Data ModelのBRMアプリケーション・アダプタ」に、Oracle Communications Billing and Revenue Managementアプリケーション・アダプタを示します。
インストール・スクリプト
インストールについての詳細は、『Oracle Communications Data Modelインストレーション・ガイド』を参照してください。
Oracle Communications Data Modelでは、Oracle Communications Data Modelの構造および使用について明確に理解するために必要なOracle Databaseデータ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンスの複数の概念を利用します。
Oracle Communications Data Modelによって、ビジネスに関するただ1つの真実のビジョンが提供されます。この独自のアーキテクチャによって、通信サービス・プロバイダ(CSP)は、柔軟性、俊敏性、スケーラビリティおよび正確性を得ることで、競争上の優位な立場を占めることができます。
典型的なエンタープライズ・データ・ウェアハウスのアーキテクチャは、図1-1に示すように、ウェアハウス内の情報の増加する実用可能な値で順序付けられた複数のレイヤーで構成されます。
データソース・レイヤー(業務系システム、商用オフザシェルフ・ソリューション、非構造化データおよび企業連合データに加え、通常はマスター・データ管理システムを含む)。
ステージング・レイヤー: 通常は、変換およびデータ・クレンジングに使用されます。また、特にリアルタイム業務レポートで業務系データ・ストアとして使用されることもあります。
基盤レイヤー: 通常は、最もアトミックなレベルですべての取引および参照データを格納するために使用されます。ベスト・プラクティスでは、このレベルは、データ重複を避けるために第3正規形にする必要があります。
アクセスおよびパフォーマンス・レイヤーまたは分析レイヤー: これは、ビジネス・エンド・ユーザーに対して最適化されたレイヤーです。これには、通常、ビジネス上の質問に回答するためのスター・スキーマに加え、OLAPツールやマイニング・モデルが含まれます。
情報(または情報アクセス)レイヤー: これは、エンド・ユーザーがビジネス・インテリジェンスまたはレポート・ツール(あるいはその両方)を介して、または外部の分析ツール(他のOLAPツールやマイニング・ツール)を介してアクセスできる、メタデータ・レイヤーとその上位部分です。このレイヤーは、通常、一般のエンド・ユーザーが変更できます(自己の役割および職責の範囲内で)。ここでは、パフォーマンス管理アプリケーションによってレポートが提供され、(通常は特定のBI管理者によって)ユーザー・ロール、アラート、ガイド付き分析、ダッシュボードおよびレポートが定義されます。
あるレイヤーから別のレイヤーへのデータ移動は、ETL/ELTツールを介して実行されます。標準のETL/ELT (データソースから基盤レイヤーへ)とIntra-ETL (基盤レイヤーからレポート生成まで)は区別されます。
図1-1 Oracle Communications Data Model (緑色)を含むデータ・ウェアハウスの参照アーキテクチャ
図1-1に示すような一般的なエンタープライズ・データ・ウェアハウスのアーキテクチャ内では、NCCアダプタやBRMアダプタなどのアダプタが使用される場合、ステージング領域も提供されます。Oracle Communications Data Modelには、基盤レイヤーとIntra-ETL部分が含まれますが、OBIEEが使用される場合はレポート領域の部分も含まれます(Oracle Communications Data Modelには、事前構築済のOBIEEリポジトリも付属します)。
Oracle Communications Data Modelに含まれる要素をまとめると、図1-2のようになります。
Oracle Communications Data Modelの基盤レイヤー(FDL)は、表1-1に示すコンポーネントで構成されています。
表1-1 Oracle Communications Data Modelの基盤レイヤーのコンポーネント
コンポーネント | 使用方法 |
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参照エンティティおよび表 |
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ベース・エンティティおよび表 |
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検索エンティティおよび表 |
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制御表 |
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分析レイヤーは、分析アクセスを簡略化するための抽象化レイヤーとして機能する、データのサブジェクト指向表現です(シェルフィッシュ・モデル)。分析レイヤーは、エンド・ユーザーが容易に理解可能で、簡単にナビゲートできます。このレイヤーは、集計、サマリー、階層関係などで構成されます。分析レイヤーは、スター・スキーマ、マテリアライズド・ビュー、OLAPキューブなどで構成され、基盤データ・レイヤー(FDL)のデータからIntra-ETLプロセスを使用して移入されます。Oracle Communications Data Modelの分析レイヤーは、表1-2に示すコンポーネントで構成されています。
表1-2 Oracle Communications Data Modelの分析レイヤーのコンポーネント
コンポーネント | 使用方法 |
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導出エンティティおよび表 |
STARに遷移レベルを提供します。このレイヤーは、非正規化されており、通常は業務レポートおよびデータ・マイニングに使用され、新しいインサイトの検出と将来の予測に加え、次のことを行います。
導出表の例には、Account Debt per Day、Account Payments per Day、Call Center Calls per Day、Commissions per Day、Connections/Disconnections Day、Costs - Customer & Organizational、Customer Mining、Market Share per Month、Network Availability per Day、Sales Campaign Summary、Sales Representative Statisticsなどが含まれます。 また、このレベルには、顧客プロファイリング/セグメンテーション、生涯価値予測、顧客感情、チャーン予測、重要なチャーン要因、クロスセル機会という6つのマイニング・モデルもあります。 |
集計エンティティおよび表 |
通常は月レベルで分析および要約するための情報を提供し、次のことを行います。
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ビジネス・エリアは、Oracle Communications Data Modelのグループ化全体にわたる広範なスライスで、関連するビジネス・プロセス(レポート、メタデータ、マイニング、OLAP、3NF)を対象とするすべての表に同じGUIを通じてアクセスできます(OBIEEを使用している場合)。ビジネス・エリアは、デフォルトのレポート・レベルで使用される概念上のグループ化です。レポートは、ビジネス・エリアに収集された関連するサブジェクト・エリアごとに分類されます。
図1-3は、ビジネス・エリアを示しており、Oracle Communications Data Model全体にわたる広範なスライスに、ビジネス・エリアに関連付けられたすべてのエンティティおよびマップ済のビジネス・プロセスが含まれています。
図1-3 ビジネス・エリア: Oracle Communications Data Model全体にわたる広範なスライス
Oracle Communications Data Modelには、次の8つのビジネス・エリアがあります。
顧客管理: 獲得からチャーンまでの完全な顧客ライフサイクル(顧客との対話を含む)を対象とします。このエリアには、アカウント(収益と共有)、契約、サブスクリプションなどの概念も含まれます。
収益: すべての収益ソース(前払い/後払い、機器賃貸または販売)、販売プロセス、負債、支払いおよび返金/調整プロセスを対象とします。このエリアは、顧客または販売プロセスの会計ビューです。
製品管理: 作成から衰退までの完全な製品ライフサイクルを対象とします。
プロビジョニングおよびアクティベーション: 完全な注文管理およびインストール・プロセスを対象とします。このエリアは、ナンバー・ポータビリティ、トラブル・チケット(顧客管理と共有)およびSLA管理アイテムの場所でもあります。
ネットワーク: プロビジョニングしないすべてのネットワーク関連のサブジェクト・エリアを対象とします。このエリアで、サービス・プロバイダの完全なネットワークを記述および分析できます。これは、ネットワーク使用状況およびネットワーク・ヘルスを対象とします。
マーケティング: ロイヤルティ、キャンペーン、プロモーションのすべてのプロセスに加え、見込み客および連絡先リストの概念やマーケット・シェア(顧客管理と共通)を対象とします。
コストおよび貢献利益: ビジネスの会計上の観点であり、事業会社、MVNOまたは単純なコンテンツ・プロバイダのいずれであるかを問わず、通信サービス・プロバイダ事業の経営に関連するすべてのコストが含まれます。このエリアは、他のすべてのビジネス・エリアと交差しますが、その範囲はコストおよび収益の測定単位に限定されます。
パートナ管理: このビジネス・エリアは、相互接続またはローミング事業者、コンテンツ・プロバイダ、ディーラー(販売)、サプライヤ、社外の債権回収会社などのすべてのタイプのパートナを対象とします。
サブジェクト・エリアは、Oracle Communications Data Model全体にわたる薄いスライスで、特定の(論理的)概念、ビジネス・プロセスまたは質問を対象とするすべての表(主に基盤レイヤーの表)をグループ化します。たとえば、サブジェクト・エリアPARTYは、パーティの概念を定義します。個人と組織は、両方ともPARTYのサブセットです。CUSTOMER、OPERATORおよびVENDORは、パーティ・タイプの例です。この抽象サブジェクト・エリアとは対照的に、サブジェクト・エリアCALL CENTERは、基盤レイヤーの上部のOracle Communications Data Modelで提供される事前構築済の集計を含み、問合せ、苦情または変更リクエストなど、コール・センターを通じて行われた顧客とのすべての対話を対象とします。
実装上の観点からすると、Oracle Communications Data Modelはサブジェクト・エリアまたはビジネス・エリアごとに入力できるため、具体的で使用可能な結果を得るためにすべての表にデータを入力する必要はありません。
特定のビジネス・エリアのすべてのレポートにデータを入力しても、ビジネス・エリア全体がカバーされたことにはなりません。通常、特定のビジネス・エリアのすべてのレポートを完成するために必要なすべての表にデータを入力すると、他のビジネス・エリアの一部のレポートにもデータが入力されます。たとえば、収益ビジネス・エリア(収益OLAPキューブ用)には、PRODUCT、COSTおよびCOLLECTION AGENCYエンティティが必要です。これには、製品管理、コストおよび貢献利益、パートナ管理の各ビジネス・エリアも部分的に含まれます。
論理データ・モデルでは、ビジネス・プロセスを定義する情報の格納方法を記述します。論理データ・モデルは、ビジネスと技術スタッフ間のインタフェースであり、これらのグループがビジネス・データ要素および要件の共通理解を提供できるようにします。
論理データ・モデルは、エンタープライズ・データ・ウェアハウスの設計基盤も提供します。Oracle Communications Data Modelの論理データ・モデルは、パフォーマンスに影響を与えることなく可能なかぎりデータ重複を避けるように設計されているため、一貫性のないデータおよびビジネス・トランザクションの発生を防ぐことができます。この概念によってデータの再利用と共有が促されるため、開発およびメンテナンスのサイクルとコストが削減されます。
論理データ・モデルは、モデル定義の単一ソースであり、ビジネスとITの両方にとって有効な独自のネーミング・ルールを持ちます。
データソースやテクノロジとは独立したビジネス・プロセスの記述では、論理データ・モデルによって、(不要な)仮定を避けながら機能仕様を明確化できます。
このことは、原則として、Oracle Communications Data Modelの論理データ・モデルがどのプラットフォーム上でも動作することを意味します。ただし、それがOracleによってサポートされない場合、そのような実装では、特に分析レイヤー(パーティショニング、OLAP、マイニング・モデルなど)において、Oracle Communications Data Modelによって強化される事前構築済で統合されたすべてのテクノロジからメリットを得ることができません。
Oracle Communications Data Modelの物理データ・モデルは、論理データ・モデルの具体的な実装です。これは完全にテクノロジに依存します。物理データ・モデルによって、ビジネス・リレーションシップはキーまたは索引に変換されます。エンド・ユーザーに対するパフォーマンスを最適化するためのインフラストラクチャおよびテクノロジが考慮されます。物理データ・モデルには、いずれかの論理データ・モデルに対応する独自のネーミング・ルールがあります。物理データ・モデルを参照すれば、ビジネスについて認識不足で背後のビジネス・プロセスのすべてを確実に理解していなくても、通常はエンティティ・リレーションシップから論理データ・モデルを復元できます。
2つの表間のリレーションシップ
モデルで2つのエンティティ間にリレーションシップが存在する必要があるのは、それらのエンティティ間に直接(ビジネス)リレーションシップが存在する場合のみです。リレーションシップは次のように分類できます。
説明または追加情報: (通常は検索表用)エンティティには、元のエンティティの属性が処理する様々な値の記述や検証を行うコードが含まれます。物理的には、2つのエンティティは外部キーを介して関連付けられます。
直接リレーションシップ: 通常、2つのエンティティがビジネスの観点から関連付けられる場合、モデルでは、このリレーションシップが確実に存在し、記述されていることを確認する必要があります。直接リレーションシップには、エンティティ間の直接ビジネス・リンクが含まれます(通常、サービス提供、使用、所有など)。1対多(1:n)または0対多(0:n)と多対多(n:m)のリレーションシップは明確に区別する必要があります。
0:nまたは1:nリレーションシップ: 通常、所有、取得、サービス提供、使用などのビジネス・タイプであり、説明などの属性に直接リンクされます(外部キー・リンクの場合もあります)。
m:nリレーションシップ: リレーションシップが多対多である場合、エンティティ間で割当てエンティティを使用して、このm:nリレーションシップをm:1 (または0)および(0または) 1:nに変換します。
内部リレーションシップ
特定のエンティティ(たとえば、ENTITY)の2つの行を相互に関連付ける必要があることはよくあります。ほとんどの場合、Oracle Communications Data ModelではENTITY ASSIGNMENTという表が使用されます。
例: PARTYおよびPARTY ASSIGNMENT (図1-4を参照)。
PARTY ASSIGNMENTは、Oracle Communications Data Modelで一意に識別される2つのパーティ間のリレーションシップを表しており、モデル内でのそれらの役割は問いません(顧客、従業員、ディーラーなどで、この3つがすべて同じ個人であってもかまいません)。
パーティでは、PARTY TYPEは人物、組織または組織事業単位です。顧客ではありません。これはパーティ役割です。特定のパーティは、発生するビジネス対話のタイプに応じて選択される複数の役割を持つことができます。ただし、タイプは変更されません。
この原則の唯一の例外は、ADDRESS LOCATIONです。たとえば、最初の住所が使用できない状況に備えて、または休暇中の宛先として、顧客から代替請求先住所が提供されている場合、ADDRESS RELATED表を使用します。
名前付き階層は、通常、市場で使用または参照される一般的な用途の事前構築済の階層であり、それぞれが特定の名前を持つ固定レベルが含まれます。
柔軟な階層は、自由に定義できる階層構造であり、(同じベース・エンティティで)レベル、レベルごとの属性、階層のリレーションシップおよび数について様々なバージョンを使用できます。
これらの階層には次の特徴があります。
緩やかに変化するディメンションのタイプIIのルールに準拠しています。
同じリーフ・レベルを持ちます(組織の場合はOrganization Business Unit、地理の場合はAddress Location)。
実装チーム用に簡単にデータ入力や変更が可能な事前構築済のツールがあります。
パラレルに関連付けることが可能です(たとえば、組織では、管理階層や販売階層などの複数の階層を定義できます)。
ORGANIZATION BUSINESS UNITは、販売チャネル(Webサイトや店舗など)を通じて限られた範囲の特定通信サービスまたは商品を提供する組織の最下位レベルの内部事業単位を表します(図1-5を参照)。
ORGANIZATION BUSINESS ENTITYは、事業分析および取引のために事業の一部として認識される内部論理エンティティを表します。事業エンティティの分類には、会社、業務単位、店舗または倉庫などがあります。これは、組織の柔軟な階層の一部です。
Address Relatedは、同じエンティティ間のリレーションシップに対するOracle Communications Data Modelの唯一の例外です。
Oracle Communications Data Modelのカレンダおよび時間
Oracle Communications Data Modelには、次の5つの事前定義済カレンダが含まれます。
ビジネス: ビジネス運営に基づいた事業者独自のカレンダを定義できます。
グレゴリオ暦: 標準の365日のカレンダです。
会計: 会計または法律的な要件に準拠しています。
宣伝: 宣伝サイクルに準拠しています。
計画: 計画サイクル・カレンダ
Oracle Communications Data Modelでは、業務カレンダは、デフォルトで通常のカレンダ(グレゴリオ暦)と同じです(ほとんどの事業者が通常のカレンダに従って月ごとに請求プロセスを実行しているため)。業務カレンダは、様々なビジネス運営に対応するように変更できます。
柔軟性のあるカレンダ・スクリプトでは、入力パラメータに基づいてカレンダにデータを移入できます。
時間変換
時間変換では次の処理が行われます。
時間ベースの属性の要素を同じ属性の別の要素と関連付け、時間ベースの参照フレームの要素間にリレーションシップを指定します。
1対1および多対多の変換を両方ともサポートします。
表の要素ごとに、特定の時間枠に対応する要素が1つあります(たとえば、現在の週と昨年の同じ週)。
年対日、シーズン対日、および同様の合計の計算について多対多の変換をサポートします。これらの表は、特定の参照ポイントから合計を計算する場合に含まれるすべての要素を指定します。
時刻によって、粒度を15分のレベルにすることができます。
年対日の変換は、年の初め以降の特定の日または週から、変換に含まれるすべての日または週を指定します。
製品および製品インスタンス: 製品管理およびプロビジョニング・ビジネス・エリア内
PRODUCT: 顧客が取得できるものです。これは商品を構成します。
PRODUCTのサブタイプは、PRODUCT PACKAGE、SERVICE、ITEM、EQUIPMENTです。
PRODUCTは、有効な機器の機能およびバージョンを含むことができます。
PRODUCTは、特にローカルまたは限られた地域でのみ提供できます。
PRODUCT INSTANCE: 顧客が購入または賃借できる特定のPRODUCTの実際のインスタンスを表します。例:
製品MUSIC DOWNLOADに対応する指定された曲
製品PAY TVに対応するTVチャンネル
製品インスタンスは、顧客が事業者のサービスにアクセスするために利用できる機器の物理インスタンスである場合もあります。これは在庫管理に使用できます。例:
ハンドセット(IMEI)
固定電話(シリアル番号)
セットトップ・ボックス
ケーブル・モデム
概念: すべてのビジネス・エリアのビジネス対話/イベント
ビジネス対話: 企業と1つ以上の他のエンティティ(個人や組織、または組織の一部など)との間の手配、契約または連絡。対話は、要求、応答および通知の形式を取ります。(TMF-SID定義)
イベント: 2つ以上のパーティ間における任意の種類の対話イベントには、次の2種類がある。
ネットワーク・イベント: 顧客、パートナ、または顧客を呼び出した人物によって起動されたネットワーク上の通話データ記録またはトラフィック・イベント(ただし、CSP自体によって開始されたものを除く)
非ネットワーク・イベント: 他のすべての(ビジネス)対話:
コール・センターやWebインタフェースなどとの顧客対話
パートナとのSLA
調整と注文管理システム間の対話
シナリオ2: 製品およびサブスクリプション
顧客用の3つの製品を含む、月額料金200ドルの標準契約を検討します(図1-6を参照)。
図1-7に、Oracle Communications Data Modelにおけるこのリレーションシップを示します。
通信ビジネス・インテリジェンスの構築には、複数のOracleテクノロジが含まれます。
Oracle DatabaseでのOLAP、データ・マイニングおよびパーティショニング・オプションの使用
Oracle Communications Data Modelは、完全なOracleテクニカル・スタックを利用します。SQLモデル、圧縮、パーティション化、高度な統計機能、マテリアライズド・ビュー、データ・マイニング、オンライン分析処理(OLAP)といったOracleデータベースのデータ・ウェアハウス機能を利用します。
ヒント: 費用効率の高いスケーラビりティ、可用性および信頼性を達成するには、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびコモディティ・ハードウェアの使用を検討します。 |
Oracle開発ツール
Oracle Communications Data Modelで提供された事前定義済の論理モデルおよび物理モデルのカスタマイズ、またはターゲット・リレーショナル表、マテリアライズド・ビューまたはOLAPキューブへの移入には、表1-3に示すOracleツールを使用します。
表1-3 Oracle Communications Data Modelで使用するOracle開発ツール
名前 | 用途 |
---|---|
Oracle SQL Data Modeler |
論理モデルの作成 |
SQL DeveloperまたはSQL*Plus |
データベース・オブジェクトの作成または変更 |
Oracle Warehouse Builder |
Intra-ETLプロセスのプロセス制御 |
Analytic Workspace Manager |
ターゲットOLAPキューブへの移入 |
Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Editionの表示ツール
Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Editionは、すべての分析機能およびレポート機能を備えたエンタープライズ・ビジネス・インテリジェンス製品の総合的なスイートです。Oracle Business Intelligence Suite Enterprise EditionのAnswersおよびDashboardの表示ツールを使用して、Oracle Communications Data Modelで提供された事前定義済のダッシュボード・レポートをカスタマイズできます。
Oracle Communications Data Modelは、TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)バージョン8.1によって準拠が認定されています。TMフォーラムは世界の主要企業の団体で、通信、メディアおよびクラウド・サービス市場のサービス・プロバイダの最高クラスのITの実現に焦点を当てています。TMフォーラムは、業務上重要な業界の標準および専門知識を提供し、デジタル・サービスの作成、配信および収益化を実現します。TMフォーラムの詳細は、次のWebサイトを参照してください。
TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)は、通信業界のエンタープライズ情報の一般的な参照モデルを提供します。SIDモデルは次のことを行います。
サービス・プロバイダの業務に必要なすべての情報に対応します。
情報参照モデルおよび一般的な用語集を提供します。
ビジネス・エンティティおよび関連付けられた属性定義で構成されます。ビジネス・エンティティは、ビジネスの対象となるアイテムを示します。たとえば、顧客の注文、製品の提案、サービスの指定などです。属性は、ビジネス・エンティティを示すファクトです。
TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)バージョン8.1で準拠が認定されているOracle Communications Data Modelは、次のことを行います。
TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)に準拠するOracle Communications Data ModelのOracleの自己評価の個別のレビューおよび監査を提供します。
TMF担当者が評価ドキュメントの詳細レビューを行って準拠レベルを決定することを指定します。SIDは7つの準拠レベルを提供します。
評価ドキュメントは、Oracle Communications Data ModelとSIDとの属性マッピングによる詳細属性を提供します。評価ドキュメントは、要求に応じてOracle Communications Data Modelの顧客が利用可能です。これらのドキュメントにより、Oracle Communications Data Modelおよび他のSID準拠アプリケーション間のETLスクリプトの開発が容易になります。
TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)の準拠認定および認定結果の詳細は、次のWebサイトを参照してください。
http://www.tmforum.org/BestPracticesStandards/CertifiedConformant/7629/Home.html#sid
Oracle Communications Data Modelは、顧客、製品、Market_Sales、サービス、リソースおよび一般的なビジネス・エンティティ・ドメインで認定されたすべての集計ビジネス・エンティティ(ABE)に対して準拠レベル7に達しています。認定されたABEの詳細は、TMフォーラムのWebサイトを参照してください。