Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド 11g リリース2 (11.2) for Linux and UNIX Systems B56272-08 |
|
前 |
次 |
この章では、Database Configuration Assistant(DBCA)をスタンドアロン・モードで使用して、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースを作成および削除する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
データベースの作成および削除
データベース・インスタンスの追加および削除
データベースおよびそのインスタンスのネットワーク構成の設定
データベースのOracle Enterprise Manager Grid Controlへの登録とDatabase Controlの構成
Oracle Database Vaultなどのデータベースのオプションの構成
データベースおよびそのインスタンスの起動
注意: クラスタ管理サービスは、DBCAでは管理できなくなりました。Oracle Enterprise Manager DB Controlのクラスタ管理サービスのページ(「クラスタ・データベース」の「可用性」ページからアクセス可能)を使用します。詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
関連項目:
|
DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成することをお薦めします。事前構成済データベースを使用すると、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)、自動UNDO管理などの機能に合わせて環境を最適化できるためです。Oracle ASMまたはクラスタ・ファイル・システム記憶域を使用する場合は、DBCAによって自動バックアップも構成されます。このバックアップは、高速リカバリ領域を使用します。
DBCAによって、ポリシー管理データベースと管理者管理データベースの両方を作成できます。DBCAを使用すると、データベースの作成時にサイト固有の表領域を作成することもできます。DBCAテンプレートとは異なるデータ・ファイル要件がある場合は、DBCAによってデータベースを作成し、後でデータ・ファイルを変更します。また、データベースの作成時に、ユーザー定義のスクリプトを実行することもできます。
また、DBCAは、クラスタ管理ツールなど、Oracleの様々な高可用性機能を使用できるOracle RAC環境を構成します。DBCAは、定義した構成のサポートに必要なすべてのデータベース・インスタンスも起動します。
システムにOracle Database 10g または11g がインストールされている場合に、共存させたり、リリース10.1、10.2または11.1の環境をアップグレードするために、Oracle Database 11g リリース2(11.2)をインストールすると、ほぼすべてのインストール・タイプで、既存のOracle Databaseリスナーが11g リリース2(11.2)のOracleホームに自動的に移行されます。移行時に、IPCキー値の既存のリスナーと同じTCP/IPポートを使用して、デフォルトのOracle Net Listenerが構成および起動されます。
Oracle Clusterwareのアップグレード時に、デフォルト・リスナー(LISTENER_NODENAME)はOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)に移行されます。DBCAでは常にデフォルト・リスナーが使用されます。
このリスナー移行プロセスによって、既存のOracleホームのリスナーが停止され、新しいOracleホームからリスナーが再起動されます。データベースでデフォルト・リスナー(LISTENER_NODENAME)が使用されている場合、デフォルト・リスナーはNETCAによってOracle Clusterwareのアップグレードの一部としてOracle Clusterwareホームに自動的に移行されます。データベースでデフォルト以外のリスナーが使用されている場合、そのデフォルト以外のリスナーは、DBUAによってOracle Databaseホームに移行されます。
移行時には、移行中のリスナーに登録されているいずれのデータベースにもクライアント・アプリケーションを接続できない場合があります。
以前のリリースのOracle Databaseでは、Enterprise Managerの起動、停止、状態確認を行う場合、ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDの環境変数を設定する必要がありました。Oracle Database 11g リリース2(11.2)以上では、Enterprise Managerを使用する場合、ORACLE_HOMEおよびORACLE_UNQNAMEの環境変数を設定する必要があります。たとえば、Bourneシェルをデフォルト・シェルとして使用するoracle
ユーザーに対してこれらの環境変数の値を設定するには、次のようなコマンドを各ノードで入力します。ここで、Oracleホームは/u01/app/oracle
、データベースの一意の名前はsales
です。
$ export ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/11.2/dbhome1 $ export ORACLE_UNQNAME=sales
これらの環境変数は、その設定がシステムを再起動した後にも使用できるように、各クラスタ・メンバー・ノードのoracle
ユーザーのプロファイル・ファイルに記述します。
DBCAを使用してデータベースの構成を変更する場合は、構成を変更する準備がシステムで完了しているかどうかを検証するために、クラスタ検証ユーティリティ(CVU)で次のコマンド構文を使用します。
/Grid_home/bin/cluvfy stage -pre dbcfg -fixup -n node_list -d Oracle_home [-verbose]
前述の構文例で、Grid_home
変数はOracle Grid Infrastructureホーム、node_list
変数はクラスタ内のノードのカンマ区切りリスト、Oracle_home
変数はOUIでデータベースを作成または変更するOracleホーム・ディレクトリのパスです。-fixup
フラグにより、修正スクリプトが生成されます。これは、チェックの前に多くのオペレーティング・システムの構成タスクが完了していない場合、それらのタスクを処理するためにrootとして実行されます。
たとえば、node1およびnode2で構成され、Oracle Grid Infrastructureホームのパスが/u01/app/grid/11.2.0
、Oracleホームのパスが/u01/app/oracle/product/11/db1
の2ノードのクラスタのシステムで、Oracle DatabaseおよびOracle RACのインストールのための準備が完了しているかどうかを検証するには、次のコマンドを入力します。
$ /u01/app/grid/11.2.0/bin/cluvfy stage -pre dbcfg -fixup -n node1,node2 -d\ /u01/app/oracle/product/11/db1
-verbose
オプションを選択すると、CVUによるシステム検証の進捗状況および検証結果の詳細を表示できます。
CVUのサマリーにクラスタ検証の失敗が表示され、修正スクリプトを実行してもこれらの問題を解決できない場合は、該当するシステム構成手順を確認および修正して、再度テストを実行します。
cluvfy.sh stage -pre dbcfg
コマンドでは、次の項目が検証されます。
ノード到達可能性: 指定したすべてのノードがローカル・ノードから到達可能かどうか。
ユーザー等価関係: 指定したすべてのノードでユーザー等価関係が成り立っているかどうか。
ノード接続性: 指定したすべてのノード間で、使用可能なパブリックおよびプライベート・ネットワーク・インタフェースを介した接続が可能かどうか。
管理権限: oracle
ユーザーが、指定したノードにOracle RACデータベースを作成するための適切な管理権限を持っているかどうか。
Oracle Clusterwareの整合性: Oracle Clusterwareスタックのすべてのコンポーネントが完全に実行可能な状態であるかどうか。
DBCAを使用して、Oracle ASMまたはクラスタ・ファイル・システムのないスタンドアロン・モードでデータベースを作成するには、共有ストレージ・デバイスを構成しておく必要があります。また、Oracle Net listener.ora
ファイルを構成するには、Oracle Net Configuration Assistant(NETCA)を実行する必要があります。DBCAを実行する場合に、オペレーティング・システム環境変数ORACLE_HOMEにOracle RACデータベース・ホームを、またはORACLE_UNQNAMEにデータベースの一意の名前を設定する必要はなくなりました。
DBCAを使用すると、Oracleが供給するテンプレートから、またはユーザーが作成したテンプレートからデータベースを作成できます。このテンプレートには、特定のタイプのワークロードに最適化された設定が含まれています。
次の2つのタイプのワークロードのテンプレートが提供されています。
汎用またはトランザクション処理
データ・ウェアハウス
複雑な環境の場合は、「カスタム・データベース」オプションを選択できます。このオプションはテンプレートを使用しないため、より広範囲なインタビューが行われます。これによって、データベースを作成する時間が長くなります。
「詳細表示」をクリックして、各タイプのデータベースの構成を確認します。使用するデータベースでサポートされるワークロードのタイプに適したテンプレートを選択します。どちらを選択するか不明な場合は、デフォルトの「汎用またはトランザクション処理」テンプレートを選択します。
DBCAを起動するには、インストール所有者アカウント(oracle
など)として、Oracle RACがインストールされているノードのいずれかに接続し、SSH鍵をメモリーにロードして、$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリからdbca
コマンドを入力します。
DBCAを起動すると、最初に、Oracle RACデータベースを選択するオプションを含む、Oracle RAC用の「ようこそ」ページが表示されます。このOracle RAC用の「ようこそ」ページは、DBCAを起動したOracleホームがクラスタにインストールされている場合にのみ、DBCAによって表示されます。
Oracle RACの「ようこそ」ページが表示されたら、DBCAのプロンプトに従って情報を指定します。必要に応じて、「ヘルプ」をクリックします。
DBCAによってOracle RAC用の「ようこそ」ページが表示されなかった場合は、Oracleホームがクラスタにインストールされているかどうかを検出できなかったことを示しています。この場合は、OUIインベントリが/etc/oraInst.loc
ディレクトリに正しく配置され、oraInventory
ファイルが破損していないことを確認します。また、次のCVUコマンド構文を使用してクラスタウェア診断を実行します。
/Grid_home/bin/cluvfy/cluvfy.sh stage -post crsinst -n nodelist
.
たとえば、マウント・ポイント/u01/app/grid/11.2.0
と、ノードnode1
およびnode2
で構成されている場合は、次のコマンドを実行します。
$ /u01/app/grid/11.2.0/bin/cluvfy stage -post crsinst -n node1,node2
DBCAを使用する場合は、次の事項に注意してください。
クラスタ・インストールの対象となるノードが「ノードの選択」ページに表示されない場合は、Opatch lsinventoryによってインベントリ診断を、CVUによってクラスタウェア診断を実行します。
グローバル・データベース名には、30文字以内の、英字で始まる文字列を指定できます。グローバル・データベース名のドメイン部分には、128文字以内の、英数字およびピリオド(.)からなる文字列を指定できます。
SID
接頭辞は、英字で始める必要があります。
SID接頭辞に使用できる文字列の最大数は8文字です。DBCAは、SID接頭辞を使用して、各インスタンスのORACLE_SID
変数に一意の値を生成します。
「管理オプション」ページで、Oracle Enterprise Managerの監視インタフェースおよび管理インタフェースを選択できます。
Database Controlは、いつでも選択できます。DBCAによってクラスタにGrid Controlのエージェントが検出された場合、Grid Controlを使用したEnterprise Managerオプションも選択できます。Database ControlインタフェースとGrid Controlインタフェースのいずれかを選択します。
日次バックアップ操作を有効にできます。日次バックアップでは、バックアップ時刻およびバックアップ操作を実行するユーザーのオペレーティング・システムの接続情報を入力します。
Oracle RAC 11g リリース11.2.0.2以上では、DBCAまたはOUIから電子メール通知を設定できなくなりました。
Oracle RAC 11g リリース2以上では、記憶域管理ロールSYSASMにOSASMグループのメンバーシップが必要です。このグループを、メンバーにSYSDBA権限が付与されるOSDBAと同じにすることはできません。このリストでSYSASM権限が必要な作業には、「SYSASM権限」とマーク付けされています。
SYSASM権限: 高速リカバリ領域を使用するために、個別に2つ以上のOracle ASMディスク・グループを作成することをお薦めします。データベース領域用とリカバリ領域用です。データベース領域とリカバリ領域を別の障害グループに配置することをお薦めします。管理権限を分割した場合は、高速リカバリ領域を設定するようストレージ管理者に依頼してください。
障害グループは、2つのストレージ・デバイス間で共有されているコントローラなどの共有ハードウェアまたは同じスピンドル上にある2つのディスクによって定義されます。障害が発生したハードウェアを2つのストレージ・デバイスで共有しており、両方のストレージ・デバイスが使用できなくなった場合、これらのストレージ・デバイスは同じ障害グループに属しています。
Oracle ASMを使用しない場合、データ・ファイルと高速リカバリ領域を(Oracle ASMを使用する場合の別の障害グループと同様の)Oracleホーム以外の別の場所に配置して、ハードウェアの障害によって可用性が低下しないようにすることをお薦めします。
関連項目: 高速リカバリ領域の使用の詳細は『Oracle Database概要』、障害グループの詳細および高可用性とリカバリのベスト・プラクティスについては『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
SYSASM権限: 追加するストレージ・デバイスが「Oracle ASMディスク・グループ」ページに表示されない場合は、「ディスク検出パスの変更」をクリックし、使用可能なストレージ・デバイスの検出にDBCAが使用する検索パスを変更します。ボックスを選択して、ステータスが「候補
」または「前
」(これまでOracle ASMディスク・グループで使用されていないか、現在グループに属していない)であるストレージ・デバイスを選択します。Oracle ASMディスク・ヘッダーはまだあるが、ディスク・グループは使用されなくなったストレージ・デバイスを追加する場合(これが発生する可能性があるのは、インストールを中止した後、ディスク・グループを削除しないで削除を行った後、またはその他の構成の問題が発生した後にストレージ・デバイスを選択する場合)、Force
コマンドを使用します。
「リカバリ構成」ページで、Oracle ASMまたはクラスタ・ファイル・システム記憶域を使用すると、その「リカバリ構成」ページで、高速リカバリ領域とサイズも選択できます。Oracle ASMを使用している場合、デフォルトでは、高速リカバリ領域はOracle ASMディスク・グループに設定されます。OCFS2を使用している場合、デフォルトでは、高速リカバリ領域は$ORACLE_BASE/flash_recovery_area
に設定されます。
Linuxシステムにインストールする場合、「初期化パラメータ」ページで、初期化パラメータMEMORY_TARGET
またはMEMORY_MAX_TARGET
を設定する「メモリー・サイズ(SGAおよびPGA)」にはオペレーティング・システムの共有メモリー・ファイル・システムのメモリー・サイズより大きい値を指定できないことに注意してください。
たとえば、システムの共有メモリー・ファイル・システムには1 GBのメモリーしか割り当てられていないにもかかわらず、「メモリー・サイズ(SGAおよびPGA)」(MEMORY_TARGET
)に2 GBと設定している場合、データベースの起動時に次のエラーが表示されます。
ORA-00845: MEMORY_TARGET not supported on this system ORA-01078: Failure in processing system parameters
この問題は他のプラットフォームでは発生しません。
すべてのプラットフォームについて、クラスタに現在のDBCAセッションに存在するノードより多くのノードを追加する場合は、「すべての初期化パラメータ」をクリックして、パラメータCLUSTER_DATABASE_INSTANCES
をクラスタに追加する総ノード数に変更します。
また、「すべての初期化パラメータ」をクリックする際には、グローバル・データベース名が8文字を超える場合、データベース名の値(DB_NAME
パラメータ)は、最初の8文字に切り捨てられ、DB_UNIQUE_NAME
パラメータ値が、グローバル名に設定されることに注意してください。
関連項目: 初期化パラメータについては、『Oracle Database管理者リファレンス』を参照してください。 |
DBCAのプロンプトに従って作業を行い、「サマリー」ダイアログ・ボックスの情報を確認して「OK」をクリックすると、DBCAによって次の処理が行われます。
有効なOracle RACデータベースとそのインスタンスの作成
Oracle RACデータ・ディクショナリ・ビューの作成
クラスタ・データベースのネットワークの構成
以前のリリースのOracle Databaseリスナーと関連ファイルのOracle Database 11gのOracleホームへの移行
リスナーおよびデータベース・インスタンスの起動と、その後での高可用性サービスの起動
Oracle Enterprise Manager Database ControlまたはGrid Controlの構成
注意: データベースを作成した後で、そのデータベースにOracle Database製品をさらにインストールする場合は、Oracle Universal Installerが特定の実行可能ファイルおよびライブラリを再リンクできるように、追加の製品をインストールする前に、Oracleホームで実行されているすべてのプロセスを停止する必要があります。詳細は、付録E「既存のOracle Real Application Clustersデータベースでのプロセスの停止方法」を参照してください。 |
この項では、DBCAを使用したOracle RACデータベースの削除方法について説明します。この手順を実行すると、データベースが削除され、データベースの初期化パラメータ・ファイル、インスタンス、OFA構造およびOracleネットワーク構成が削除されます。ただし、RAWデバイスまたはRAWパーティションにあるデータ・ファイルは削除されません。
DBCAを使用してデータベースを削除するには、次の作業を行います。
いずれかのノードでDBCAを起動します。
$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリからdbca
コマンドを実行します。
DBCAの「ようこそ」ページが表示されます。
「Oracle Real Application Clusters」を選択して「次へ」をクリックします。
「データベースの削除」を選択して「次へ」をクリックします。DBCAの「クラスタ・データベースのリスト」ページが表示されます。
ユーザーIDおよびパスワードにオペレーティング・システムの認証がない場合、「クラスタ・データベースのリスト」ページにユーザー名およびパスワードを入力するフィールドが表示されます。このフィールドが表示されたら、SYSDBA
権限のあるユーザー・アカウントのユーザーIDおよびパスワードを入力します。
削除するデータベースを選択し、「終了」をクリックします。
「OK」をクリックすると、データベース本体と関連ファイル、サービスおよび環境設定の削除が開始されます。「取消」をクリックすると、操作が中止されます。
「OK」をクリックすると、DBCAは操作を継続して、このデータベースに関連するすべてのインスタンスを削除します。DBCAは、パラメータ・ファイル、パスワード・ファイルおよびoratab
エントリも削除します。
この時点で、次の作業が完了しました。
選択したデータベースのクラスタからの削除
データベースに割り当てられた高可用性サービスの削除
データベースのOracle Net構成の削除
データベースに対するDatabase Controlの構成解除
データベースのOFAディレクトリ構造のクラスタからの削除
データ・ファイルの削除(RAWデバイス上に存在しない場合)