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Oracle® Warehouse Builder概要
11gリリース2 (11.2)
B61348-03
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4 データのアクセスおよび移動

この項では、データのソースおよびターゲットについて説明し、単純な要件や複雑な要件を持つ様々なシステム間でデータのアクセスおよび移動を行うためのOracle Warehouse Builderソリューションについて説明します。

この項の内容は次のとおりです。

ソース・データのメタデータについて

メタデータはデータ・ソースまたはターゲット内の指定のオブジェクトの内容を表します。たとえば、表のメタデータは、各列の列名およびデータ型を表します。

ソース・メタデータをOracle Warehouse Builderにインポートする前に、まず、これらのメタデータ定義を含むモジュールを作成します。作成するモジュールのタイプは、メタデータのインポート元のソースによって異なります。たとえば、メタデータ定義をOracleデータベースからインポートするには、Oracleモジュールを作成または使用します。メタデータ定義をフラット・ファイルからインポートするには、フラット・ファイル・モジュールを作成します。


関連項目:

このマニュアルの「モジュールおよびロケーション」および『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のソースからメタデータをインポートする一般的な手順に関する項。

Oracle Warehouse Builderでは、プロジェクト内に操作可能なソース・オブジェクトまたはターゲット・オブジェクトのメタデータが含まれている必要があります。次のような方法で、Oracle Warehouse Builderで必要な最も基本的なメタデータを作成または導出できます。

  • Oracle Warehouse Builderでは、ほとんどのデータベース・ソースまたはターゲットから既存のメタデータを直接抽出できます。たとえば、Oracleデータベースに接続する場合、Oracle Warehouse Builderはデータベース・ディクショナリに問い合せて、表、ビュー、順序、ディメンション、キューブ、データ型、PL/SQLパッケージなどの必要なすべてのメタデータを抽出します。

  • SQLまたはXMLベースのカスタム・メタデータ・ストアを定義および使用して、表やビューなどのソースおよびターゲット・オブジェクトの定義を取得できます。

  • 存在しないデータ・オブジェクトを設計すると、設計プロセスによってそのオブジェクトを記述するメタデータが作成されます。

  • 一部のメインフレーム・ソースから抽出されるデータファイルの場合、Oracle Warehouse Builderを使用して、データファイル構造を示すCOBOLコピーブック・ファイルを解釈し、それに基づいてソース・メタデータを作成できます。

  • Oracle Warehouse Builderアプリケーション・アダプタまたはアプリケーション・コネクタには、ERPおよびCRMアプリケーション・ソースの追加メタデータが用意されています。

Oracle Warehouse Builderのメタデータ管理機能とレポート機能、およびデータ系統と影響の分析は、Oracle Warehouse Builderプロジェクト内に時間とともに蓄積される、ソースとターゲットに関するメタデータおよびソースとターゲット間でデータを移動する変換に基づいて行われます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のOracle Warehouse Builderのソースおよびターゲットへの接続に関する項。

インポート・メタデータ・ウィザード

インポート・メタデータ・ウィザードを使用すると、Oracle Warehouse Builderでデータベースからモジュールへのメタデータのインポートを自動化できます。メタデータは、Oracle DatabaseおよびOracle以外のデータベースからインポートできます。ソースまたはターゲット・データ構造を格納するモジュール・タイプには、それぞれインポート・ウィザードが関連付けられており、データ構造を示すメタデータのインポート・プロセスが自動化されます。既存のデータベース・オブジェクトのメタデータ定義をOracle Warehouse Builderに取り込むことで、メタデータのインポートにかかる時間を節約し、入力エラーを回避できます。

「インポート・メタデータ・ウィザード」のようこそページには、ソース・アプリケーションから適切なモジュールへのメタデータのインポート手順が示されます。Oracle Databaseのインポート・メタデータ・ウィザードでは、表、ビュー、マテリアライズド・ビュー、ディメンション、キューブ、外部表、順序、ユーザー定義型およびPL/SQL変換の直接のインポート、またはシノニムを使用してオブジェクトを参照したインポートをサポートしています。

外部表をインポートすると、関連フラット・ファイルに対応するロケーションおよびディレクトリの関連情報もインポートされます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』の次のトピック:
  • 「データ・ソースの接続およびメタデータのインポート」

  • 「メタデータ・インポート・ウィザードを使用したExcelからのメタデータのインポート」


モジュールおよびロケーション

モジュールは、Oracle Warehouse Builderのデータ・オブジェクトのコンテナ構造です。データベースの観点で、モジュールはスキーマに相当します。ロケーションは、スキーマのアクセスに必要な資格証明を格納します。メタデータおよびデータ自体へのアクセスを提供するため、ロケーションがモジュールにリンクされます。1つのモジュールに多くのロケーションを関連付けることができますが、特定の時点での構成済ロケーションは1つのみです。

モジュールをロケーションに関連付けると、Oracle Warehouse Builderで特定のアクションを簡単に実行できます。たとえば、既存のモジュールを再使用することで、メタデータを再インポートできます。さらに、後続の手順でETLプロセスをデプロイするときに、プロセス・フローなどの関連オブジェクトをデプロイできます。

モジュールを作成するデータ・オブジェクト・タイプのノードを確認するまでプロジェクト・ナビゲータを開くと、モジュールが作成されます。たとえば、ソース・データがOracle Databaseに格納されている場合は、「データベース」ノードを開いて「Oracle」ノードを表示します。ソース・データがSAP R/3システムにある場合は、「アプリケーション」ノードを開いて「SAP」ノードを表示します。ノードを右クリックして「新規」を選択し、モジュールの作成ウィザードを起動します。


関連項目:

このマニュアルの「モジュール」および『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のモジュールの作成に関する項。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のロケーションに関する次のトピック
  • 「ロケーションについて」

  • 「自動作成ロケーション」

  • 「ロケーション・タイプ」

  • 「ロケーションの作成」


コネクタについて

コネクタは、ソース・ロケーションとターゲット・ロケーション間のマッピングによって作成される論理リンクです。2つの異なるOracleデータベースのスキーマ間のコネクタがデータベース・リンクとして実装されており、スキーマとオペレーティング・システム・ディレクトリ間のコネクタがデータベース・ディレクトリとして実装されています。

これらのデータベース・オブジェクトを作成するための資格証明がユーザーIDにある場合、コネクタを手動で作成する必要はありません。コネクタは、マッピングの初回のデプロイ時に自動的に作成されます。作成されない場合、権限を持つユーザーがオブジェクトを作成し、これらを使用するユーザーにアクセス権を付与する必要があります。これにより、コネクタを手動で作成し、データベース・オブジェクトをリストから選択できるようになります。

データベース・コネクタを作成するには、接続ナビゲータで、「ロケーション」フォルダとターゲット・ロケーションのサブフォルダを拡張します。「DBコネクタ」を右クリックし、「新規」を選択します。接続作成の要求とともに、コネクタの作成ウィザードが開きます。「ディレクトリ」を右クリックして「新規」を選択し、同じ手順を実行して、ディレクトリの接続を作成できます。


関連項目:

  • CREATE DATABASE LINKコマンドの詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

  • CREATE DIRECTORYコマンドの詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。


サポートされているソースおよびターゲットの概要

ここでは、接続ナビゲータに表示される各ロケーション・ノードでサポートされるソースおよびターゲットをまとめます。

Oracle Warehouse Builderでは、次のソースをサポートしています。

  • Oracle Databaseリリース8.1以降。

  • Oracle異機種間サービス(ゲートウェイ)を介してアクセス可能なデータベース。DB2、DRDA、Informix、SQL Server、SybaseおよびTeradataなど。

  • JDBCを使用するコード・テンプレートを介してアクセス可能なデータ・ストア。DB2、SQL Server、SybaseおよびTeradataなど。

  • ODBC Data Source Administratorを介してアクセス可能なデータ・ストア。ExcelおよびMS Accessなど。

  • デリミタ付きの固定長フラット・ファイル。

  • SQLを使用してデータを抽出できるERPおよびCRMアプリケーション。Oracle E-Business Suite、PeoplesoftおよびSiebelなど。

  • 固有のABAPコードに基づいて公式にサポートされている方法でデータを抽出するSAP R/3。

Oracle Warehouse Builderでは、次のターゲットをサポートしています。

  • Oracle Databaseリリース8.1以降。

  • OracleゲートウェイまたはODBCを介してアクセスするサード・パーティのデータベース。

  • カンマ区切りおよびXML形式のフラット・ファイル

  • Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition(OBI EE)などのOracle BIツール。

  • Oracle Warehouse Builderでは、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle Workflowのプロセス・フローとスケジュールをデプロイまたは実行できます。通常、スケジュールはOracle Databaseリリース10g以降の任意のロケーションにデプロイできます。


関連項目:

詳細および完全なリストは、『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のサポートされているソースおよびターゲットに関する項を参照してください。

データ・ソースまたはターゲットとしてのフラット・ファイル

Oracle Warehouse Builderでは、データソースとしてのフラット・ファイルの使用をサポートしています。フラット・ファイルは通常、カンマ区切りまたはタブ区切り形式のプレーン・テキストか、独自のバイナリ形式になっており、異なるタイプのオペレーティング・システムに格納される場合もあります。まず最初に、ローカル接続で直接アクセスできるかどうか、またはネットワーク接続(TCP/IP経由やNFS経由など)を作成して直接アクセスできるかどうかを確認します。Oracle Warehouse Builderには、インポート済のフラット・ファイル定義を含むファイル・オブジェクトを作成するためのフラット・ファイルの作成ウィザードがあります。

フラット・ファイルの作成ウィザードには、メタデータをインポートする直感的なプロンプトがあります。ウィザードを起動するには、ファイル・モジュールを右クリックし、「インポート」を選択します。ワイルドカードを適用してインポートするファイル名をフィルタできます。ウィザードにより、ファイルの定義が作成され、プロジェクト・ナビゲータのフラット・ファイル・モジュールにファイル名が挿入されます。

このモジュールに対応するロケーションは、コンピュータのファイル・システムのフォルダとして表示されます。メタデータがOracle Warehouse Builderのファイル・モジュールにインポートされ、ワークスペースに表示されます。

次に、これらのフラット・ファイルからメタデータをサンプリングできます。フラット・ファイル・サンプル・ウィザードを使用して、フラット・ファイルのサンプルを表示し、レコードの構成およびファイルのプロパティを定義できます。文字列およびASCIIなどの共通のフラット・ファイルの書式をサンプリングおよび定義できます。また、フラット・ファイル・サンプル・ウィザードを使用すると、GRAPHIC、RAW、SMALLINTなどの新しいデータ型をインポートできます。

フラット・ファイルのロケーションを作成してフラット・ファイルのメタデータをインポートした後、データをインポートできます。データをフラット・ファイルからOracle Warehouse Builderマッピングに取り込むには、外部表演算子またはフラット・ファイル演算子のいずれかを使用します。データの変換方法によっては、次のオプションのいずれかを使用します。


注意:

フラット・ファイルの作成ウィザードを使用してキャラクタ・セットを指定し、単一または複数のレコード・タイプの定義を実行できます。


関連項目:

手順は、『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のソースまたはターゲットとしてのフラット・ファイルの使用に関する項を参照してください。

外部表オプション

データを他の表と結合する場合または複雑な変換を必要とする場合、外部表オプションを使用します。外部表をソースとして使用し、関連するフラット・ファイルのデータを表としてSQLで表示できます。マッピングに外部表を使用するとき、列のプロパティは、フラット・ファイルのインポート時に定義したSQLプロパティに基づきます。Oracle Warehouse Builderでは、外部表から行を選択するSQLコードが生成されます。表を経由してファイルに並列アクセスすることもできます。別のデータベースから既存の外部表をインポートするか、新規の外部表を定義できます。

外部表を使用して、単一のセット・ベースのSQL DML文内でロードおよび変換を組み合せることもできます。ターゲット表に挿入する前に、データを一時的にステージングする必要はありません。


関連項目:

手順は、『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』の外部表の使用に関する項を参照してください。

フラット・ファイル演算子

抽出するデータが大量にあり、変換がほとんど必要ない場合に、フラット・ファイル演算子を使用できます。フラット・ファイル演算子を使用した場合は、SQL*Loaderコードが生成されます。フラット・ファイル演算子では、ステージング表へのデータのロード、索引の追加、および必要に応じた変換の実行が可能です。フラット・ファイル演算子によって取り込まれるデータで実行可能な変換は、SQL*Loader変換のみに制限されます。


関連項目:

外部表とSQL*Loader (フラット・ファイル演算子)の相違点の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

コード・テンプレートを使用したデータ・システムのアクセス

Oracle Warehouse Builderでは、コード・テンプレート(CT)技術を使用して、JDBCアクセス可能なデータ・システムのシームレスな管理を実現します。コード・テンプレートには、OracleおよびJDBCアクセス可能なデータ・システムおよび異なるプラットフォームの固有の異機種間接続性が用意されています。コード・テンプレートは、Oracle Gatewayにかわる、他のデータベースへの代替アクセス手段として使用できます。Oracle Warehouse BuilderはOracleデータベースに対する最適なETLソリューションであるだけでなく、Oracle以外のシステムに存在するデータをプロジェクトの内外に迅速かつ簡単に移動することもできます。JDBC接続は、Oracle Gatewayにかわる、他のデータベースへの代替アクセス手段となります。

また、Oracle Warehouse Builderのコード・テンプレート技術を使用すると、途中でOracleデータベースを停止せずにJDBCアクセス可能なデータベース間でデータを直接移動できます。たとえば、なんらかの理由でDB/2からSQL Serverにデータを移動する場合、Oracleを経由しなくても、Oracle Warehouse Builderからデータを移動できます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』のコード・テンプレートを使用したデータのロードおよび転送に関する項。


注意:

CTのコードの生成準備が整った場合、使用するCT専用でエディタを開く必要があります。そうしないと、CTのコードを生成するときに結果が競合します。

汎用接続性およびOracle Database Gateways

SQL Server、Sybase、Informix、Teradata、DRDA、ODBCなどのOracle以外のデータベースおよび他のソースに接続するため、かわりに汎用接続性エージェントおよびオプションのOracle Database Gatewaysが用意されています。この方法を選択した場合は、Oracle Database異機種間サービスとこれを補完するエージェントを使用して、Oracle Warehouse BuilderとOracle以外のシステムの通信が行われます。

汎用接続性エージェントの目的は、低コストのデータ統合ソリューションを実現することです。データの転送は、クライアント・コンピュータにインストールされている特定のODBCドライバまたはOLE DBドライバのルールに従います。この場合、個別のTransparent Gatewayを購入する必要はありません。Oracle Databaseに含まれている汎用接続性エージェントを使用します。ただし、使用する汎用接続性エージェントの初期化ファイルを作成してカスタマイズする必要があります。

Oracle Database Gatewaysには、必要に応じて個別にインストールおよび構成する他のデータベースを設計および最適化する特定の接続エージェントが用意されています。たとえば、Sybaseのデータ・ソースの場合、Sybase固有のゲートウェイをインストールします。Oracle以外のシステムは、後で接続を作成してデータをOracleにインポートできるリモートのOracle Databaseとして表示されます。データ・マートやデータ・ウェアハウスを格納しないデータベース環境に特に便利ですが、一連の他のデータ・ソースとの統合が必要になります。


関連項目:

  • インストール手順および特定のゲートウェイ・エージェントの詳細は、http://www.oracle.com/pls/db111/gatewaysを参照してください。

  • Oracle Database Gatewaysの詳細は、『Oracle Database Heterogeneous Connectivityユーザーズ・ガイド』を参照してください。


大量のデータを移動するトランスポータブル・モジュール

トランスポータブル・モジュールを使用すると、Oracle Warehouse Builderでは関連するデータベース・オブジェクトのグループをデータベース間で迅速にコピーできます。

デザイン・センターを使用して、ソース・データベース・ロケーションおよびターゲット・データベース・ロケーションを指定するトランスポータブル・モジュールを作成します。次に、トランスポータブル・モジュールに含めるデータベース・オブジェクトを選択します。選択したオブジェクトのメタデータがソース・データベースからトランスポータブル・モジュールにインポートされます。メタデータがワークスペースに格納されます。データおよびメタデータをソースからターゲットに物理的に移動するには、トランスポータブル・モジュールを構成して、ターゲット・ロケーションにデプロイする必要があります。デプロイメント中、データおよびメタデータがソース・データベースから抽出され、ターゲット・データベースに作成されます。


関連項目:

『Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイド』のトランスポータブル・モジュールを使用した大量のデータの移動に関する項。