ヘッダーをスキップ
Oracle® Data Guard概要および管理
11gリリース2 (11.2)
B56302-06
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

Oracle Data Guardの新機能

Oracle Database 11gのOracle Data Guardには、ここで説明する新機能と拡張機能が追加されました。

Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)のOracle Data Guardの新機能

Oracle Data Guard 11gリリース2(11.2.0.3)のSQL Apply固有の新機能は次のとおりです。

  • バイナリXMLとして格納されたXMLTypeデータのサポート

  • オブジェクト・リレーショナル形式で格納されたXMLTypeデータのサポート

これらの両方の格納形式のサポートには、11.2.0.3以上のREDO互換性が設定されたOracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)以上でプライマリ・データベースを実行している必要があります。サポートされているデータ型の詳細は、「データ型の考慮」を参照してください。

Oracle Data Guard 11.2の新機能

これ以降の項では、Oracle Data Guard 11gリリース2(11.2)に追加された新機能と拡張機能について説明します。

REDO ApplyとSQL Applyに共通する11.2の新機能

  • Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)から、Oracle Data GuardはOracle Real Application Clusters One Node(Oracle RAC One Node)と完全に統合されました。

  • Data Guard構成は、1つのプライマリ・データベースの他に最大30個のスタンバイ・データベースを含むことができます。

  • FAL_CLIENTデータベース初期化パラメータは必要なくなりました。

  • Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)機能および高速リカバリ領域機能で使用されるデフォルトのアーカイブ先が、LOG_ARCHIVE_DEST_10からLOG_ARCHIVE_DEST_1に変更されました。

  • REDOギャップの解決時のみのREDOデータの圧縮というREDO転送圧縮の制限がなくなりました。転送先で圧縮が有効になっている場合は、その宛先に送信されるすべてのREDOデータが圧縮されます。

  • 新しいALTER SYSTEM FLUSH REDO SQL文をフェイルオーバー時に使用して、未送信のREDOをマウント済のプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースにフラッシュすることができます。これにより、プライマリ・データベースをゼロ・データ損失データ保護モードで実行していない場合でも、ゼロ・データ損失のフェイルオーバーを実行できます。詳細は、第8.2.2項を参照してください。

REDO Applyに固有の11.2の新機能

  • 新しいSTANDBY_MAX_DATA_DELAYパラメータを使用して、リアルタイム問合せ環境での適用ラグ許容差を構成できます。

  • 新しいALTER SESSION SYNC WITH PRIMARY SQL文を使用し、この文の発行時に、適切に構成されたフィジカル・スタンバイ・データベースをプライマリ・データベースと確実に同期することができます。

  • V$DATAGUARD_STATSビューは、適用ラグおよびトランスポート・ラグを含む多数の列で精度が高くなりました。

  • フィジカル・スタンバイの適用ラグ値のヒストグラムを確認できます。これには、新しいV$STANDBY_EVENT_HISTOGRAMビューを問い合せます。

  • プライマリ・データベースの破損データ・ブロックは、リアルタイム問合せモードで実行しているフィジカル・スタンバイ・データベースの対応するブロックの破損していないコピーで自動的に置換されます。フィジカル・スタンバイ・データベースの破損ブロックも、プライマリ・データベースの対応するブロックの破損していないコピーで自動的に置換されます。


関連項目:

それぞれの機能の詳細は、9.2項「フィジカル・スタンバイ・データベースのオープン」 を参照してください。

SQL Applyに固有の11.2の新機能

  • ロジカル・スタンバイ・データベースは、基本表圧縮、OLTP表圧縮およびハイブリッド列圧縮機能を備えた表をサポートしています。


    関連項目:

    • ハイブリッド列圧縮の詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。


  • ロジカル・スタンバイおよびLogMinerユーティリティはSecureFile LOB列を持つ表をサポートします。SecureFile LOB列での圧縮および暗号化操作もサポートされています。(重複除外操作、およびフラグメントベースの操作はサポートされていません。)

  • Oracle RACプライマリ・データベースでXAグローバル・トランザクション中に行われた変更は、ロジカル・スタンバイ・データベースでレプリケートされます。

  • DBMS_REDEFINITION PL/SQLパッケージを使用して、プライマリ・データベースで実行されたオンライン再定義は、ロジカル・スタンバイ・データベースで透過的にレプリケートされます。

  • ロジカル・スタンバイは、停止時間を最短に抑えてアプリケーションをアップグレードするために、エディションベースの再定義の使用を含め、プライマリ・データベースでのエディションの使用をサポートします。


    関連項目:

    • エディションベースの再定義の詳細は、『Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』を参照してください。


  • ロジカル・スタンバイ・データベースでは、Streams取得がサポートされます。これにより、一方向の情報伝播構成でプライマリ・データベースから処理をオフロードし、ロジカル・スタンバイを複数のデータベースに情報を伝播するためのハブにすることができます。また、Streams取得は、ロジカル・スタンバイ・データベースに対してローカルである変更を伝播することもできます。

Oracle Data Guard 11.1の新機能

これ以降の項では、Oracle Data Guard 11gリリース1(11.1)に追加された新機能と拡張機能について説明します。

REDO ApplyとSQL Applyに共通する11.1の新機能

  • Data Guard構成でネットワークを経由したREDOトラフィックの圧縮

    この機能は、REDOギャップを解決するときに、ネットワーク経由で送信される前のREDOを圧縮することにより、REDO転送のパフォーマンスを向上させます。


    関連項目:

    COMPRESSION属性

  • REDO転送レスポンス時間ヒストグラム

    V$REDO_DEST_RESP_HISTOGRAM動的パフォーマンス・ビューには、SYNC REDO転送先ごとのレスポンス時間データのヒストグラムが格納されます。このビューのデータは、LOG_ARCHIVE_DEST_n NET_TIMEOUT属性の適正値の決定を支援するために使用できます。


    関連項目:

    NET_TIMEOUT属性

  • ロールのより高速な推移

  • REDO転送ネットワーク・セッションの強力な認証

    SSLを使用して、REDO転送ネットワーク・セッションを認証できるようになりました。これにより、強力な認証が提供され、Data Guard構成でのリモート・ログイン・パスワード・ファイルの利用はオプションになります。

  • 単純化されたData Guard管理インタフェース

    冗長SQL句と初期化パラメータを非推奨にすることで、Data Guard構成の管理に使用されるSQL文と初期化パラメータが単純化されました。


    関連項目:

    • どの文の句が非推奨になったかについては、第16章「Data Guardに関連するSQL文」を参照してください。

    • 第16章で説明しているSQL文関連の非推奨になった句の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス 』を参照してください。

    • LOG_ARCHIVE_DEST_nパラメータで非推奨になった属性の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。


  • DB_UNIQUE_NAMEに関連する拡張機能

    このリリースから、V$DATABASEビューで新しいPRIMARY_DB_UNIQUE_NAME列を問い合せることにより、スタンバイ・データベースからプライマリ・データベースのDB_UNIQUE_NAMEを検索できるようになります。また、Oracle Data Guardリリース11gでは、各データベースのDB_UNIQUE_NAMEが異なることが保証されます。11gへのアップグレード後、同じDB_UNIQUE_NAMEのデータベース間の通信は行えなくなります。

  • ローリング・アップグレードでのフィジカル・スタンバイ・データベースの使用

    このリリースから、フィジカル・スタンバイ・データベースは、ロジカル・スタンバイにより提供されるローリング・アップグレード機能を利用できるようになります。SQLのALTER DATABASE RECOVER TO LOGICAL STANDBY文で新しいKEEP IDENTITY句オプションを使用することにより、ローリング・アップグレードのためにフィジカル・スタンバイ・データベースを一時的にロジカル・スタンバイ・データベースに変換してから、アップグレードの終了後、プライマリ・データベースとフィジカル・スタンバイ・データベースを元の構成に戻すことができます。

  • Data Guardの異種構成

    この機能では、LinuxとWindowsのプライマリ・データベースとスタンバイ・データベースを同一のData Guard構成に混在させることができます。

REDO Applyに固有の11.1の新機能

  • フィジカル・スタンバイのリアルタイム問合せ機能

    この機能により、REDO Applyがアクティブの間、フィジカル・スタンバイ・データベースを問合せできます。


    関連項目:

    オープンされたフィジカル・スタンバイ・データベースが、どのようにプライマリ・データベースからREDOデータを受信し、適用し続けるかの詳細は、9.2項「フィジカル・スタンバイ・データベースのオープン」を参照してください。

  • スナップショット・スタンバイ

    スナップショット・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースに完全なデータ保護を提供する新しいタイプの更新可能なスタンバイ・データベースです。

  • フィジカル・スタンバイを使用した書込み欠落の検出

    「書込み欠落」はデータベースに悪影響を及ぼす重大なデータ破損形式です。永続記憶域に書き込まれなかったにもかかわらず、I/Oサブシステムがデータベースへのブロック書込みの完了を通知する場合に発生します。この機能によって、フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースまたはフィジカル・スタンバイ・データベースへの書込み欠落を検出することができます。


    関連項目:

    書込みの欠落の例については、13.6項「プライマリ・データベースでの書込みの欠落エラーからのリカバリ」、書込みの欠落の検出を有効化する方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  • Recovery Manager(RMAN)との統合の強化

    カタログ使用時に、すべてのプライマリおよびフィジカル・スタンバイ・データベースでのバックアップとリカバリ操作を簡素化するために、RMANのヘルプにいくつかの拡張が行われています。また、RMANのDUPLICATEコマンドを使用することで、事前にデータベースのバックアップを行わなくても、ネットワーク経由でフィジカル・スタンバイ・データベースを作成することができます。

SQL Applyに固有の11.1の新機能

  • 透過的データ暗号化(TDE)のサポート

    Data Guard SQL Applyを使用すると、透過的データ暗号化を有効に設定したプライマリ・データベースにデータ保護を提供できます。これにより、ロジカル・スタンバイ・データベースは、高度なセキュリティ要件を伴うアプリケーションにデータ保護を提供できるようになります。

  • Data Guard SQL Applyパラメータの動的な設定

    SQL Applyを再起動せずに、特定のSQL Applyパラメータを構成できるようになります。DBMS_LOGSTDBY.APPLY_SETパッケージを使用して、初期化パラメータを動的に設定し、管理性、稼働時間、ロジカル・スタンバイ構成の自動化を向上させることができます。

    さらに、APPLY_SETおよびAPPLY_UNSETサブプログラムには、2つの新しいパラメータ、LOG_AUTO_DEL_RETENTION_TARGETおよびEVENT_LOG_DESTが含まれます。


    関連項目:

    Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』のDBMS_LOGSTDBY PL/SQLパッケージに関する項を参照してください。

  • ロジカル・スタンバイ・データベースでのOracle RACスイッチオーバーのサポート強化

    プライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースがOracle RACを使用しているロジカル・スタンバイ・データベースにスイッチオーバーする場合、どのインスタンスもシャットダウンせずに、プライマリまたはロジカル・スタンバイ・データベースでSWITCHOVERコマンドを使用できます。

  • Oracle Data Guard SQL ApplyでのDDL処理の強化

    SQL Applyは、パラレルDDLをパラレルに(パラレル・サーバーの可用性に基づいて)実行できます。

  • スタンバイ・データベースでスケジューラのジョブを作成するためのPL/SQL DBMS_SCHEDULERパッケージの使用

    必要なとき(たとえばデータベースがプライマリ、スタンバイ、またはその両方の場合)に実行できるように、スケジューラのジョブをPL/SQL DBMS_SCHEDULERパッケージを使用してスタンバイ・データベースで作成し、適切なデータベース・ロールと関連付けることができます。