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Oracle® Smart Update パッチおよびメンテナンス パックのインストール
リリース 3.1
B55509-01
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6 個々のアプリケーション、ドメイン、またはサーバへのパッチの適用

インストール環境全体を対象とすることが必須でないパッチは、カスタム パッチ プロファイルを使用することにより、特定のドメインまたはサーバのみに対して適用できます。

この節では、以下のトピックを取り上げます。

6.1 ドメインまたはサーバへのパッチ適用について

パッチをダウンロードして適用する際、パッチはデフォルトで対象インストール全体に対して有効になります。インストール全体にパッチが適用された環境で実行するようにコンフィグレーションされているドメインやサーバはすべて、その環境に適用されたパッチを使用して実行されます。しかし、場合によっては、プロダクション環境内の特定のサーバまたはドメインだけを異なるパッチ レベルで実行することが必要になります。そのようなニーズを満たすため、Smart Update では、インストール環境全体を対象とすることが必須でない特定のパッチを、個別のドメイン、サーバ、またはクラスタに対して適用できます。

たとえば、(a) 1 つの BEA_HOME ディレクトリに複数の製品がインストールされている状態で、(b) それらのうち 1 つの製品しか使用しないドメインがある場合、そのようなドメインでは、使用する特定の製品に適用されているパッチだけを参照するようにすることをお勧めします。

インストール全体に対して有効にすることが適切でない 1 つまたは複数のパッチを個別のドメインまたはサーバから参照するには、大まかにいって、次の 3 つの手順からなる作業が必要となります。

  1. カスタム パッチ プロファイルを作成する。

  2. 対応するドメインまたはサーバの適切な起動スクリプトに、カスタム パッチ プロファイルへのポインタを挿入する。

  3. カスタム パッチ プロファイルに目的のパッチを適用する。

図 6-1 では、この手順の詳細を示しています。

図 6-1 カスタム パッチ プロファイルで個々のドメイン、クラスタ、またはサーバをポイントする方法

周囲のテキストは図 6-1 を説明します。

6.2 アプリケーション、ドメイン、またはサーバのパッチについて

Smart Update は、特定のアプリケーションに共有アーカイブ パッチを適用できます。共有アーカイブ パッチをデフォルト パッチ プロファイルに適用する場合、自動的にインストールされます。ただし、アプリケーション適用範囲のパッチをカスタム パッチ プロファイルに適用する場合、明示的にデプロイする必要があります。「5.8 共有アーカイブ パッチ」を参照してください。

6.2.1 カスタム プロファイルによる個々のドメイン、サーバ、およびアプリケーションへのパッチの適用

デフォルトでは、デフォルト パッチ プロファイルに含まれるすべてのパッチが、インストール環境全体のすべてのドメインとサーバに対して有効になります。ただし、カスタム パッチ プロファイル内のパッチは、インストール環境内の一部のドメインまたはサーバのみに対して有効にすることができます。「5.1.2 すべてのアプリケーション、ドメインおよびサーバに対してリソースを置き換えるパッチ」で説明しているように、システム全体のリソースを置き換えるパッチは、一部のドメインやサーバのみを選択して対象とすることはできません。しかし、起動スクリプトでロードされることによりシステム内にある同名の既存リソースに取って代わるようなクラスまたはライブラリ ファイルのパッチについては、選択的に対象を指定できます。

これ以降の節では、個別のドメインおよびサーバにパッチを適用するためにカスタム パッチ プロファイルを使用する方法の背景情報について説明します。

6.2.2 ドメインまたはサーバでカスタム プロファイル内のパッチを参照する方法

コンフィグレーション ウィザードを使用してドメインを作成すると、ドメインに対して次のスクリプトが作成されます。

デフォルトでは、製品インストール スクリプト commEnv で提供される PATCH_CLASSPATHWEBLOGIC_EXTENSION_DIRSPATCH_LIBPATH、および PATCH_PATH の各変数の値は、該当するインストールで実行されるすべてのサーバ インスタンスで使用されます。ただし、ドメイン レベルのスクリプトでこれらの変数の値をオーバーライドした場合は、ドメイン レベルのスクリプトで起動された WebLogic Server インスタンスによってのみ新しい値が使用されます。


注意 :

任意のパッチ変数の定義で参照するパッチ マニフェスト JAR は、ただ 1 つである必要があります。複数のパッチ マニフェスト JAR ファイルを参照すると、実行時に予期しない動作が発生するおそれがあります。

起動スクリプト内でパッチ パス変数の定義を変更することは、起動スクリプトから起動されるサーバでカスタム パッチ プロファイル内にあるパッチを参照する便利な方法です。たとえば、カスタム パッチ プロファイルに適用されるパッチ内の WebLogic システム クラスでサーバをポイントする場合、PATCH_CLASSPATH 変数の定義をそのサーバの起動スクリプトに追加して、その変数をカスタム パッチ プロファイル内のパッチ マニフェスト JAR ファイルのパスに設定するだけで済みます。同様に、カスタム パッチ プロファイルのネイティブ ライブラリ ファイルをサーバまたはドメインから参照するには、そのネイティブ ファイルを含むカスタム パッチ プロファイルにディレクトリへの参照を追加します。この参照を追加するには、PATCH_PATH 変数または PATCH_LIBPATH 変数の定義を、該当するサーバまたはドメインの起動スクリプトに追加します。


注意 :

パッチ パス変数の定義を起動スクリプトに追加する際、別の起動スクリプトを呼び出すステートメントより前にその定義を配置するようにしてください。たとえば、setDomainEnv スクリプトにパッチ パス変数の定義を追加する場合は、commEnv スクリプトを呼び出すステートメントの前に追加します。この位置関係を守れば、追加した定義がその後呼び出される別の起動スクリプト内の定義によって上書きされることはありません。

起動スクリプトの変更方法は、Smart Update によって強制または制限されることはありません。ただし、コンフィグレーション ウィザードなどの標準ツールによってデフォルトで作成される起動スクリプトの内容と、ツールによって決定されるデフォルトの格納場所にはそのまま従うことをお勧めします。そうすることで、パッチ プロファイル内のパッチを参照するよう修正が必要な起動スクリプトを見つける機能や、それらのスクリプトに追加する具体的な変更内容の候補を表示する機能が期待どおりに動作し、Smart Update をより便利に利用できます。

図 6-2 は、インストール環境で使用される 2 つのパッチ プロファイルであるデフォルト パッチ プロファイルとカスタム パッチ プロファイルを示しています。この図では以下のことを示しています。

  • デフォルト パッチ プロファイルにはパッチ 1、2、および 3 があります。デフォルトでは、サンプル インストール環境で実行されるすべてのドメインとサーバはデフォルト パッチ プロファイルを参照しています。

  • カスタム パッチ プロファイルにはパッチ 4 があります。サンプル ドメイン内の 1 つのサーバがカスタム パッチ プロファイルを参照しています。

図 6-2 カスタム パッチ プロファイルで個々のドメイン、クラスタ、またはサーバをポイントする方法

周囲のテキストは図 6-2 を説明します。

6.2.2.1 サーバからパッチ クラスを参照する PATCH_CLASSPATH の使用例

以下の PATCH_CLASSPATH 変数は、カスタム プロファイル ProductionServer1 にあるパッチ マニフェスト JAR ファイルの weblogic_patch.jar を参照しています。

set PATCH_CLASSPATH=
%BEA_HOME%\patch_wls1001\profiles\ProductionServer1
\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar

前述の定義を所定のドメインの startWebLogic スクリプトに追加すると、このスクリプトによって該当するドメイン内で起動されたサーバ インスタンスが、クラス ファイルを ProductionServer1 カスタム プロファイル内の weblogic_patch.jar ファイルによって参照される WebLogic Server のクラスパスにロードします。このクラスパスのロードは、その後 commEnv スクリプトの以下の行の実行時に実行されます (PATCH_CLASSPATH太字で表示されています)。

set WEBLOGIC_CLASSPATH=%PATCH_CLASSPATH%;%JAVA_HOME%\lib\tools.jar;
%WL_HOME%\server\lib\weblogic_sp.jar;%WL_HOME%\server\lib\weblogic.jar;
%WL_HOMEE%\server\lib\webservices.jar

注意 :

ProductionServer1 プロファイル内の weblogic_patch.jar は、デフォルト パッチ プロファイルの weblogic_patch.jar で参照されるパッチ JAR ファイルのセットとまったく異なる、パッチ JAR ファイルのセットを参照できます。

あるドメイン内のサーバまたはあるインストール環境内のドメインで、デフォルト パッチ プロファイル内のパッチを引き続き参照する必要がある場合、コンフィグレーション ウィザードで提供されるサーバおよびドメインのデフォルト スクリプトを使用する限り、そのサーバまたはドメイン用の起動スクリプトを変更する必要はありません。ただし、1 台または複数台のサーバ、もしくは 1 つのドメインでカスタム パッチ プロファイルをポイントする場合、変更する起動スクリプトの影響が対象のサーバまたはドメインにしか及ばないことを確認してください。

起動スクリプトが実行される順序と、パッチ パス変数の特定の定義がパッチ パス変数定義のあるスクリプトで起動されるサーバにどのように影響するかの詳細については、「5.2.1.4.1 起動スクリプトの実行順序」を参照してください。

6.2.2.2 OSGi ベースの製品のカスタム パッチ プロファイルへの参照

テキスト エディタで、サーバの [起動スクリプト] を開いて (たとえば、WebLogic Event Server ドメインの startwlevs.cmd(Windows)、startwlevs.sh(UNIX) )、次のようにこのスクリプトに -DBEAPatchProfile プロパティを追加します。

if "%1" == "-dgc" goto rundgc

"%JAVA_HOME%\bin\java" -Dwlevs.home="%USER_INSTALL_DIR%" -Dbea.home="%BEA_HOME%"
-Dcom.bea.core.security.username=wlevs -Dcom.bea.core.security.password=wlevs
–DBEAPatchProfile=custProfile -jar "%USER_INSTALL_DIR%\bin\wlevs_2.0.jar" %1 %2 %3 %4 %5 %6 

goto finish
:rundgc 

"%JAVA_HOME%\bin\java" %DGC_ARGS% -Dwlevs.home="%USER_INSTALL_DIR%"
-Dbea.home="%BEA_HOME%" -Dcom.bea.core.security.username=wlevs
-Dcom.bea.core.security.password=wlevs –DBEAPatchProfile=custProfile -jar "%USER_INSTALL_DIR%\bin\wlevs_2.0.jar" %2 %3 %4 %5 %6 
:finish

修正された起動スクリプトが実行されると、スクリプトで指定したパッチ プロファイルに適用したこれらのパッチのみが OSGi ランチャーによって参照されます。

6.2.3 カスタム パッチ プロファイルを使用するためのベスト プラクティス

この節では、カスタム パッチ プロファイルの使用法に関する重要な情報について説明します。

6.2.3.1 カスタム プロファイルの増大の回避

ダウンロードした新しいパッチをドメインまたはサーバから参照する際には、できるだけ既存のパッチ プロファイルにパッチを適用してください。特定のドメインまたはサーバから参照するパッチのセットを変更する場合は、そのパッチを含んでいるカスタム パッチ プロファイルの内容を変更してください。これは、新しいカスタム パッチ プロファイルを作成し、そのプロファイルを参照するように起動スクリプトを変更するよりも望ましいアプローチです。ダウンロードしたパッチごとに新しくプロファイルを作成することは避けてください。作成するプロファイルの数を最小限に抑えることによって、Smart Update および Oracle カスタマ サポート リポジトリに構築されているパッチ検証および依存関係チェックを効率的に活用することができます。

また、使用するカスタム プロファイルの数を最小限にすると、メンテナンスが必要な起動スクリプトの変更も最小限に抑えることになります。その結果、スクリプトにミスを混入する可能性も減らすことができます。それに加えて、パッチの削除に必要な作業も簡略化され、適切なパッチ プロファイルを更新するだけでよくなります。スクリプトを更新する必要は最小限になります。

6.2.3.2 ドメインおよびサーバ起動スクリプトの変更

起動スクリプトの使用法に関しては柔軟性を尊重しています。起動スクリプトに特定の名前や格納場所を使用することは強制されません。ただし、コンフィグレーション ウィザードによってドメイン用に作成されるデフォルトのディレクトリ構造と、提供される起動スクリプトの場所および構造が維持されている場合、カスタム プロファイルの使用時に必要な起動スクリプトを見つけ、変更内容の候補を表示する Smart Update の機能が最も確実に動作します。

一般に、カスタム パッチ プロファイルをドメインまたはサーバから参照するときには、次のガイドラインに留意してください。

  • 起動スクリプトを変更する前に、バックアップ コピーを作成する。

  • 起動スクリプトの変更は、可能な限り最も一般的なレベルにする。たとえば、カスタム パッチ プロファイルでドメインをポイントするには、ドメイン内でサーバを起動する各スクリプトではなく、setDomainEnv スクリプトを変更する。そのように実装することで、変更と維持の必要な起動スクリプトの数が最小限になる。

  • 1 つのドメインまたはサーバから複数のパッチ プロファイルを参照しない。パッチ検証は単一のパッチ プロファイル内で実行され、複数のプロファイルに対して同時に実行されることはない。

6.2.3.3 インストール環境全体のリソースに影響するパッチの削除

通常、カスタム パッチ プロファイルに対して追加または削除できるパッチ セットには制限はありません。ただし、インストール環境全体のリソースに影響するパッチについては、対象インストール環境の既存のパッチ プロファイルすべてに自動的に配置されます。

インストール全体のリソースに影響を与えるパッチを任意の 1 つのパッチ プロファイル (デフォルト プロファイルかカスタム プロファイルかは問わない) から削除すると、そのパッチは自動的にすべてのパッチ プロファイルから削除されます。対象インストールに複数のプロファイルがある場合、インストール環境全体のリソースに影響するパッチの置き換えや削除を行おうとすると、Smart Update から警告が表示されます。

6.3 カスタム パッチ プロファイルの作成

カスタム パッチ プロファイルを作成するには、次の手順を実行します。

  1. [対象インストール] パネルで製品インストール環境を 1 つ選択します。

  2. [パッチパッチ プロファイル新規] を選択します。

  3. [新規パッチ プロファイル] ダイアログ ボックスで次を選択します。

    1. カスタム パッチ プロファイルの名前

    2. プロファイルの初期内容


      注意 :

      カスタム パッチ プロファイルを作成すると、そのプロファイル用にユーザが選択した名前を使用してディレクトリが作成されます。そのため、製品のソフトウェアでサポートされるハードウェアとオペレーティング システムのすべての組み合わせにおいてカスタム パッチ プロファイルを確実に使用できるようにするには、カスタム パッチ プロファイルの名前に英数字のみを使用してください。

  4. [作成] をクリックします。

カスタム プロファイルの詳細については次のトピックを参照してください。

6.3.2 カスタム パッチ プロファイルの初期内容

カスタム パッチ プロファイルには次のタイプのパッチが含まれています。

  • WebLogic システム クラスパスにロードできるクラス

  • WebLogic Server にデプロイされるアプリケーション用の、拡張クラスパスにロードできるクラス

  • ライブラリ パスに追加できるネイティブ ライブラリ ファイル

デフォルトでは、インストール全体に対して有効になるパッチが対象インストールに適用されている場合、それらのパッチは新しいパッチ プロファイルを作成するたびに自動的に含まれます。ただし、Smart Update では、最初には何も含まないパッチ プロファイルを作成するオプションも提供しています。

カスタム パッチ プロファイルを作成するために既存のパッチ プロファイルの内容のクローンを作成すると、実際にディスクに複製されるのは既存のパッチ プロファイルのパッチの一部のみです。

  • パッチ JAR ファイルは複製されない。単一のパッチ JAR ファイルは、参照しているシステム上のすべてのパッチ プロファイルによって共有されます。

    置き換えパッチは複製されません。あるパッチが最初に適用されたときシステム リソースが置き換えられた場合、該当するシステム リソースは、そのパッチがカスタム パッチ プロファイルに自動的に複製されるたびに置き換えられることはなく、また、カスタム パッチ プロファイル内のパッチ用の複製エントリによって参照されるパッチ コンテナで作成された複製コピーに置き換えられることもありません。

  • サーバの起動時にシステム パス内にロードされるパッチからのネイティブ ライブラリ ファイルは、インストール レベルのパッチ ディレクトリに複製される。ディスク容量が問題になる場合は、カスタム パッチ プロファイルによって複製されるネイティブ ライブラリ ファイルで占有される容量が問題を引き起こさないかどうかを確認してください。


    注意 :

    ファイルまたは他のアーティファクトの代替を含むパッチは、インストール全体に自動的に適用されます。

6.3.3 パッチ プロファイルのクローンの作成

既存のパッチ プロファイル内と同じパッチを含むカスタム パッチ プロファイルを作成する場合、既存のプロファイルのクローンを作成してから、パッチの追加や削除を行うことで必要に応じてカスタマイズできます。この方法は、カスタム パッチ プロファイルを短時間で作成する場合に便利です。


注意 :

インストール環境全体のリソースに影響を与えるパッチは、対象インストール環境で作成されるパッチ プロファイルすべてに含まれます。この種のパッチを削除する場合は、対象インストール環境にあるすべてのパッチ プロファイルから削除する必要があり、特定のプロファイルからのみ削除することはできません。1 つのプロファイルのみについてこの種のパッチを削除しようとすると、Smart Update から警告メッセージが表示されます。

6.3.4 カスタム パッチ プロファイルにパッチの追加

カスタム パッチ プロファイルを作成すると、デフォルト パッチ プロファイルに対してパッチの追加や削除を行うのと同様に、カスタム パッチ プロファイルに対してもパッチの追加や削除を行うことができます。

  1. [パッチの管理] タブから作成したカスタム パッチ プロファイルを選択します。

  2. プロファイルにパッチを追加するには、[ダウンロードされたパッチ] パネルから追加するパッチを選択して、[適用] をクリックします。

  3. プロファイルからパッチを削除するには、表示されるパッチ プロファイルのリストからパッチを選択して [削除] をクリックします。

対象インストールにパッチを適用する場合、次の処理が実行されます。

  1. 現在のパッチ プロファイル内のパッチに対してパッチが検証されます。

  2. パッチ間の衝突が発生しない場合は、パッチが適用されます。


    注意 :

    パッチは対象インストールに対して検証および適用されますが、クラスパスにロードされるクラス、またはライブラリ パスにロードされるネイティブ ライブラリ ファイルを含むパッチは、次の手順を完了するまで有効になりません。
    1. 必要に応じて、パッチをポイントするように、適切なドメインまたはサーバの起動スクリプトを変更します。

    2. 適切なドメイン、サーバ、またはアプリケーションを再起動します。「5.8 共有アーカイブ パッチ」で説明しているように、アプリケーションで共有アーカイブ パッチを明示的に参照する必要があります。


    衝突が検出された場合は、[パッチの適用の検証] ダイアログ ボックスにそれらの衝突の概要が表示されます。パッチは衝突が解決するまで適用できません。詳細については、「3.6 パッチ間の衝突の解決」を参照してください。

  3. パッチは、適用されると、現在のパッチ プロファイルに追加されます。このプロファイルの [パッチの管理] タブの [ダウンロードされたパッチ] パネルにはリストされなくなります。


    注意 :

    [パッチの取得] タブの [ダウンロードされたパッチ] パネルには、このパッチのリストが引き続き表示されます。

6.3.5 カスタム パッチ プロファイルの削除

カスタム パッチ プロファイルを削除するには、次の手順を実行します。

  1. [パッチの管理] タブから削除するカスタム パッチ プロファイルを選択します。

  2. [パッチパッチ プロファイル削除] を選択します。

    確認用のダイアログ ボックスが表示されるので、削除操作を続行するか、取り消すかを選択することができます。

カスタム パッチ プロファイルを削除するときには、次のことに留意してください。

  • 削除されたカスタム パッチ プロファイルがドメインまたはサーバ用の起動スクリプトから参照されている場合、その起動スクリプトが失敗することがある (パッチ プロファイルをドメインまたはサーバから参照する手順については、「6.4 ドメインおよびサーバからカスタム パッチ プロファイルへの参照」を参照してください)。

  • カスタム パッチ プロファイルを削除しても、そのプロファイルに関連付けられているパッチは削除されない。

  • デフォルト パッチ プロファイルは削除できない。デフォルト パッチ プロファイルを削除しようとすると、エラー メッセージが表示されます。

6.4 ドメインおよびサーバからカスタム パッチ プロファイルへの参照

作成したカスタム パッチ プロファイルをドメインまたはサーバから参照するには、次の手順を実行します。

  1. 変更予定の各スクリプトのバックアップ コピーを作成します。

  2. Smart Update 内の [対象インストール] パネルで対象インストール環境を選択します。

  3. [パッチスクリプト エディタの起動] メニュー オプションを選択します。[スクリプト エディタの起動] ダイアログ ボックスが表示されます。

  4. [スクリプト エディタの起動] ダイアログ ボックスで次の操作を実行します。

    1. ドメインまたはサーバから参照するカスタム パッチ プロファイルを選択します。

    2. 変更を加える起動スクリプトを開きます。詳細については、「5.4.3 起動スクリプトを開く方法」を参照してください。

    3. 新しいカスタム パッチ プロファイルを参照するパッチ パス変数を追加します。Smart Update では、PATCH_CLASSPATHWEBLOGIC_EXTENSION_DIRSPATCH_LIBPATH、および PATCH_PATH の各変数の推奨される定義を含むコード スニペットが示されます。それらの定義では、システム クラスとライブラリ パスに挿入されるクラスとファイルを含むパッチを参照しています。ただし、カスタム パッチ プロファイルの内容と参照する必要のある具体的なパッチ パス変数によっては、異なる変更を行う必要があることもあります。

    4. 起動スクリプトを保存します。


      注意 :

      パッチ パス変数の定義を起動スクリプトに追加する際、別の起動スクリプトを呼び出すステートメントより前にその定義を配置するようにしてください。たとえば、setDomainEnv スクリプトにパッチ パス変数の定義を追加する場合は、commEnv スクリプトを呼び出すステートメントの前に追加します。この位置関係を守れば、追加した定義がその後呼び出される別の起動スクリプト内の定義によって上書きされることはありません。

WebLogic Server 製品のホーム ディレクトリのデフォルトの起動スクリプトは、WL_HOME\common\bin\commEnv です。このスクリプトには、クラスパスやライブラリ パスにパッチ ファイルを挿入するために使用される次の変数のデフォルト値が入っています。

詳細については、「5.2.1.2 デフォルト パッチ パス環境変数」を参照してください。

これらの変数の定義をサーバまたはドメインの起動スクリプトに追加すると、該当するサーバまたはドメインでは、commEnv スクリプトに記載されているデフォルトの定義が新しい定義によってオーバーライドされます。このため、サーバまたはドメイン スクリプトでこれらの変数を定義するときには、新しい定義が適切なサーバ インスタンスに適用されることを必ず確認してください。

また、起動スクリプトが実行される順序にも注意してください。これらの変数に対する 1 つの定義がスクリプトで設定されると、その後に実行されるスクリプト内の定義で上書きされることはありません。詳細については、「5.2.1.4.1 起動スクリプトの実行順序」を参照してください。

6.4.1 カスタム スクリプトを使用する際の重要な注意

WL_HOME\common\bin\commEnv スクリプトを呼び出さない環境でカスタム スクリプトを使用する場合は、その環境のクラス パスおよびライブラリ パスを設定するスクリプト内のステートメント ( Set WEBLOGIC_CLASSPATHSet PATH など) も変更して、定義した環境変数をそれらのステートメントに正しく挿入する必要があります。

たとえば、WebLogic のシステム クラスパスを設定して、カスタム パッチ プロファイル内のパッチ JAR が、クラスパスで後ろに表示される同じ名前のクラスよりも優先されるようにするには、変数 PATCH_CLASSPATH を次の例の太字部分で示すように追加します。

set WEBLOGIC_CLASSPATH=%PATCH_CLASSPATH%;%JAVA_HOME%\lib\tools.jar;
%WL_HOME%\server\lib\weblogic_sp.jar;%WL_HOME%\server\lib\weblogic.jar;%WL_HOME%\server\lib\webservices.jar

カスタム スクリプトからパッチ プロファイルを参照する方法の詳細については、「5.5 カスタム スクリプト経由のパッチですべてのドメインとサーバをポイントする方法」を参照してください。

6.5 ノード マネージャ環境でのカスタム パッチ プロファイルの管理

ドメインでノード マネージャを使用し、ドメインで使用するパッチすべてがデフォルト パッチ プロファイルに適用される場合、ノード マネージャで起動されるサーバは、自動的にそれらのパッチを使用して実行されます。ただし、ノード マネージャを使用するようにコンフィグレーションされたドメインでカスタム パッチ プロファイルを使用する場合、この節で説明する追加の手順を実行する必要があります。

ドメイン クラスタ内のすべての管理対象サーバが起動時にカスタム パッチ プロファイル内のパッチを必ず参照するようにするには、次の手順を実行します。

  1. すべてのノード マネージャ インスタンスが、Java Virtual Machine (JVM) プロセス内で実行される Java ベースのバージョンであることを確認します。システムが再起動するとき確実にノード マネージャを自動的に再起動するために、すべてのノード マネージャ インスタンスを次のように実行することをお勧めします。

    • Windows プラットフォームの場合 : Windows サービスとして実行する

    • UNIX プラットフォームの場合 : オペレーティング システム サービスとして実行する

    この節で説明している手順では、ノード マネージャのスクリプト ベースのバージョンの使用はサポートされません。

  2. 管理対象サーバの起動時に参照する必要があるカスタム パッチ プロファイルに、WebLogic システム クラスパス用のパッチ JAR ファイルは含まれているがシステム パスに挿入される必要があるネイティブ ライブラリ ファイルは含まれない場合、次のように、WebLogic Server Administration Console から影響を受ける管理対象サーバのクラスパスを設定することができます。

    1. 管理サーバを起動します。

    2. 次の URL を入力して WebLogic Server Administration Console にアクセスします。

      http://hostname:port/console
      

      ここで、hostname は管理サーバの DNS 名または IP アドレスを表し、port は管理サーバが要求をリスンするポートの番号 (デフォルトではポート 7001) を表します。

    3. Administration Console の [チェンジ センタ] で、[ロックして編集] をクリックします。

    4. Administration Console の左側のペインで、[環境] を展開し、[サーバ] を選択します。

    5. [サーバ] テーブルで、コンフィグレーションする管理対象サーバの名前をクリックします。それぞれの管理対象サーバについて、以下の手順 (f) および (g) を実行します。

    6. コンフィグレーションサーバの起動] メニュー オプションを選択します。

    7. [クラスパス] フィールドの先頭に PATCH_CLASSPATH 環境変数を追加します。

    8. [保存] をクリックします。

    9. これらの変更をアクティブ化するには、Administration Console の [チェンジ センタ] で、[変更のアクティブ化] をクリックします。

  3. 起動時に管理対象サーバから参照する必要のあるカスタム パッチ プロファイルに、システム パスに挿入する必要のあるネイティブ ライブラリ ファイルが設定されている場合は、カスタム パッチ プロファイルにパッチ JAR ファイルも設定されているかどうかに関係なく、クラスタ内の管理対象サーバをホストする各システムでノード マネージャの nodemanager.properties ファイルを編集する必要があります。対象となるそれぞれのnodemanager.properties ファイルを開き、次の変更を行います。

    1. 次の例に示すように、StartScriptEnabled プロパティを true に設定します。

      StartScriptEnabled=true
      
    2. StartScriptName プロパティが、ドメイン内のすべてのサーバ インスタンスで使用される WebLogic Server 起動スクリプトに設定されていることを確認します。デフォルトの起動スクリプトはオペレーティング システムごとに次のようになります。

      Windows :

      startWebLogic.cmd
      

      UNIX :

      startWebLogic.sh
      

      nodemanager.properties ファイルの変更方法については、『ノード マネージャの管理ガイド』の「ノード マネージャのコンフィグレーション ファイルとログ ファイル」を参照してください。

    3. テキスト エディタで、ドメインの setDomainEnv スクリプト (Windows の場合は setDomainEnv.cmd、UNIX の場合は setDomainEnv.sh) を開き、表 6-1 に示すパッチ パス環境変数を 1 つまたは複数定義します。

    BEA_HOME ディレクトリのインストール レベル パッチ ディレクトリ (BEA_HOME\patch_wls1000) に含まれる、表 6-1 の各ファイルまたはディレクトリで、対応するパッチ パス変数用の setDomainEnv スクリプトに定義を追加することにより、パッチ パス変数でそのファイルまたはディレクトリが参照されるようにします。表 6-1 で、custom-profile はインストール レベル パッチ ディレクトリに作成されたカスタム パッチ プロファイルの名前を表します。

    たとえば、使用しているシステムで BEA_HOME\patch_wls1000\profiles\custom-profile\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar という名前の JAR ファイルをホストしている場合、そのファイルを参照する setDomainEnv スクリプトに PATCH_CLASSPATH 変数の定義を追加します。

    表 6-1 ノード マネージャ環境用の setDomainEnv に定義するパッチ変数

    定義する変数 カスタム プロファイル ディレクトリ内に次のファイルがある場合

    PATCH_CLASSPATH

    ファイル :

    BEA_HOME\patch_wls1001\profiles\custom-profile\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar
    

    変数の目的 :

    PATCH_CLASSPATH 変数は、ドメイン内のノード マネージャによって起動される各管理対象サーバで使用する WebLogic システム クラスパスに挿入される、パッチ JAR ファイル内のクラスを参照する。

    :

    PATCH_CLASSPATH= "%BEA_HOME%\patch_wls1001\profiles\myCustomProfile\sys_manifest_classpath \weblogic_patch.jar"
    

    注意 : Oracle カスタマサポートが発行する大部分のパッチは、このパッチ マニフェスト JAR ファイルで参照する。

    WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS

    ファイル :

    BEA_HOME\patch_wls1001\profiles\custom-profile\sysext_manifest_classpath\weblogic_ext_patch.jar
    

    変数の目的 :

    WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS 変数は、WebLogic Server にデプロイされ製品で必要となるアプリケーションのクラスパスに挿入される、パッチ JAR ファイル内のクラスを参照する。

    :

    WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS="%BEA_HOME%\BEA_HOME\patch_wls1001\profiles\myCustomProfile\sysext_manifest_classpath\weblogic_patch.jar"
    

    注意 : WebLogic Server 9.1 では、アプリケーション レベルのクラスを参照するパッチ マニフェスト JAR ファイルはサポートされない。

    PATCH_LIBPATH

    ディレクトリ (UNIX のみ) :

    BEA_HOME/patch_wls1001/profiles/custom-profile/native
    

    変数の目的 :

    PATCH_LIBPATH 変数は、LIBPATH 環境変数を介して、システム パスに挿入されるネイティブ ライブラリ ファイルを参照する。

    :

    PATCH_LIBPATH="${BEA_HOME}/patch_wls1001/profiles/myCustomProfile/native"
    

    PATCH_PATH

    ディレクトリ (Windows のみ) :

    BEA_HOME\patch_wls1001\profiles\custom-profile\native
    

    変数の目的 :

    PATCH_PATH 変数は、e PATH 環境変数を介して、システム パスに挿入されるネイティブ ライブラリ ファイルを参照する。

    :

    set PATCH_PATH=%BEA_HOME%\patch_wls1001\profiles\myCustomProfile\native
    

  4. 管理対象サーバの各インスタンスを再起動します。再起動を行わないと、ノード マネージャ コンフィグレーションとパッチ パス変数定義に対して行った更新は有効にはなりません。