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Oracle WebCenter Framework開発者ガイド
10g(10.1.3.4)
B50831-02
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14 ポートレットの概要

Oracle WebCenter Frameworkには、Java開発者がポートレットを開発し、それらをWebCenterアプリケーション・ページに追加するために必要なすべてのツールが備わっています。ポートレット作成ウィザードを使用することで、ポートレット・フレームワークの迅速な開発が可能になります。

この章では、ポートレットの概要について説明します。この章の内容は、次のとおりです。

14.1 ポートレットの概要

ポートレットは再利用可能なWebコンポーネントで、多数の異なるソースからコンテンツを描画できます。図14-1は、実行時にOmniPortletを使用して作成されたポートレット、Most Active Customersポートレットを示しています。OmniPortletの詳細は、14.3.4項「OmniPortlet」を参照してください。

図14-1 Most Active Customersポートレット

SR Demoのサービス・リクエスト・ポートレット
「図14-1 Most Active Customersポートレット」の説明

図14-2は、Most Active Customersポートレットとともに機能するCustomer Detailsポートレットを示しています。Most Active Customersポートレットでユーザーは、顧客名をクリックしてCustomer Detailsポートレットを開き、顧客の電子メールや住所などの情報を表示します。

図14-2 Customer Detailsポートレット

図14-2の説明が続きます
「図14-2 Customer Detailsポートレット」の説明

ポートレットは、複数のソースからのデータを意味のある関連した方法で提示する手段を提供します。ポートレットでは、他のWebサイトからの抜粋の表示、主要情報のサマリーの生成、検索の実行および多様なデータソースの情報を収集したコレクションへのアクセスなどを実行できます。共通のページに様々なポートレットを配置できるため、ユーザーは単一のソースとして利用できます。実際には、コンテンツは複数のソースから導出されています。

WebCenterアプリケーションでは、1つのポートレットが1つのインライン・フレーム(<iframe>)にレンダリングされることも、されないこともあります。インライン・フレームの場合、ドキュメントをスクロールバーと境界線を含む長方形のリージョン内に配置することができます。


注意:

ポートレットおよびインライン・フレームの詳細は、4.3.3.6項「iframesタグおよびformタグ」を参照してください。

このインライン・フレーム内で、ポートレットには、HTML、書式設定したテキスト、イメージ、HTMLフォームの要素など、多くの種類のコンテンツを表示できます。

14.2 ポートレットの構造

ポートレットの構造とは、ページ上でのポートレットの視覚的な表現です。図14-3は、典型的なポートレットの構造を示しています。

図14-3 ポートレットの構造

ポートレットの構造
「図14-3 ポートレットの構造」の説明

ページにレンダリングされるものは、ポートレット独自のロジックばかりではなく、ポートレットをページにバインドするポートレット・タグの属性によっても制御されます。これらの属性の値は、ポートレット独自のロジックによってではなく、ポートレットを使用するアプリケーションの設計時に指定します。

ポートレットをアプリケーション・ページに含める手順は、次のとおりです。

  1. ポートレットを作成します。

  2. ポートレットをポートレット・コンテナ(プロデューサ)にデプロイします。

  3. ポートレットを使用するアプリケーションに、そのプロデューサを登録します。

  4. ポートレットをアプリケーション・ページに追加します。

  5. ポートレットをアプリケーション・ページにバインドするポートレット・タグの属性の値を指定します。


注意:

adfp:portletタグの属性については、4.3.3項「adfp:portletタグの属性値の設定」を参照してください。

たとえば、アプリケーションの設計時に、ポートレット・タグ属性によって、ランタイム・ポートレットにヘッダーが表示され、境界線が指定した太さと色になるように指定できます。ヘッダーには、ポートレット・タイトルと「処理」メニュー・アイコンを含めることができます。「処理」メニュー・アイコンは、ポートレット・ヘッダーが表示された場合にのみポートレット上に表示されます。ヘッダーを表示しない場合、「処理」メニューは、マウスのロールオーバーによりレンダリングされるフェードインフェードアウト・ツールバーに表示されます。

これらの要素は、ポートレット・クロムと呼ばれることがあります。ポートレット・クロムの外観は、adfp:portletタグのスタイル関連の属性と同様に、スタイル・シートによっても制御できます。スタイル関連の属性の値は、スタイル・シート(スキン)で指定したスタイルよりも優先されます。


注意:

スキンおよびスタイル関連の属性については、第9章「カスタマイズ可能コア・コンポーネントのスタイルの定義および適用」を参照してください。

ポートレット・タグ属性により、「処理」メニューで表示コマンドを含めることも、省略することもできます。ポートレット・タグ属性によって制御される「処理」メニュー項目には、「最大化」と「リストア」があります。「最大化」により、最大化されたポートレットが、表示されている他のすべてのポートレットに置き換わって表示されます。見えなくなったポートレットは、ユーザーが「リストア」を選択すれば、再び表示されます。


注意:

「最大化」属性は、ポートレットがPanelCustomizableコア・カスタマイズ可能コンポーネント内に配置される場合にのみ、ポートレットにとって意味があります。

ポートレット・タグ属性によって制御されるその他の「処理」メニュー項目には、ポートレットの開発時に指定されたモード設定の表示または省略があります。ポートレットが追加のモードを含めずに構築された場合、これらのコマンドは、ポートレット・タグ属性で表示されるように指定しても、「処理」メニューには表示されません。つまり、ポートレット・タグ属性は、ポートレット自身の組込み機能を有効または無効にする、切替えスイッチにすぎない場合があります。

「処理」メニューに表示されるモード設定には、「情報」、「パーソナライズ」および「カスタマイズ」などのモードがあります。

ユーザーは、ポートレットの個人用ビューを変更する場合に「パーソナライズ」を選択します。「パーソナライズ」コマンドは、認証されたユーザー(つまり、ログインしたユーザー)に対してのみ、「処理」メニューで表示されます。パブリック・ユーザーまたは認証されていないユーザーには表示されません。ユーザーがポートレット・ビューをパーソナライズできるようにするには、なんらかの形のアプリケーション・セキュリティを実装する必要があります。


注意:

ポートレットを作成する開発者が、アプリケーション用の完全なセキュリティ・モデルを作成せずに「パーソナライズ」モードをテストする場合は、10.6項「ポートレット・パーソナライズをテストするための基本認証の構成」を参照してください。

カスタマイズにより、アプリケーション管理者はポートレットのデフォルト設定を実行時に編集できます。ユーザー全員が、カスタマイズの結果を見ることになります。


注意:

典型的なカスタマイズ設定は「ポートレット・タイトル」です。実行時に、ポートレット管理者は、ポートレット・ヘッダーに表示するタイトルを決定できます。ポートレット・タイトルは、adfp:portletタグのtext属性を使用して、ポートレット・プロパティにより設計時に設定することもできます。ただし、設計時にtext属性に値を指定すると、実行時に「ポートレット・タイトル」のカスタマイズができないことに注意してください。

ポートレット・タグ属性の詳細は、4.3.3項「adfp:portletタグの属性値の設定」を参照してください。


14.3 ポートレット・リソース

ポートレット・リソースには、構築済のポートレットが多数含まれています。これらのポートレットは、Oracle Application Server Portal(OracleAS Portal)、Oracle E-Business Suiteおよびサード・パーティのソースなどの多くのソースから、そのまますぐに使用できます。ポートレット・リソースには、WebCenterアプリケーションのJSR 168(標準準拠)やOracle PDK-Javaウィザード、その他のポートレット構築ツールを使用して構築されたプログラム・ポートレットも含まれます。これらの各ツールには、開発者の様々な役割向けの各種製品機能が用意されています。

この項では、様々なポートレット・リソースについて説明し、リソースの使用に必要な専門知識のレベルと最適な使用例を示します。この項の内容は、次のとおりです。

この項では、様々なポートレット・リソースの概要を説明します。各ツールとその利点の詳細は、第15章「ポートレット・テクノロジのマトリックス」を参照してください。

14.3.1 リッチ・テキスト・ポートレット

概要

リッチ・テキスト・ポートレットは、WSRP 2.0標準に基づいており、実行時にブラウザベースのリッチ・テキスト編集が行えます。ポートレットの「処理」メニューから「カスタマイズ」を選択して、表示テキストの挿入、更新および書式設定に必要になるリッチ・テキスト編集ツールがすべて備わったツールバーを起動します。エディタの「発行」ボタンをクリックして、変更を保存し、ツールバーを非表示にします。(ポートレットの「処理」メニューから「リフレッシュ」を選択しても、ツールバーは非表示になります。)

リッチ・テキスト・ポートレットで認可済ユーザーが「カスタマイズ」メニュー項目を選択すると、ポートレットが含まれているページが表示モードである間、そのポートレットは編集モードに入ります。

ポートレットの構成設定(設計時に使用可能)には、ポートレットの名前、説明および表示設定用のコントロールが含まれています。

対象ユーザー

アプリケーション開発者は、リッチ・テキスト・ポートレットをページに追加し、初期コンテンツを指定できます。アプリケーション開発者が禁止しないかぎり、適切な権限を持つエンド・ユーザーは、リッチ・テキスト・ポートレットのコンテンツを実行時に更新できます。

使用する場合

リッチ・テキスト・ポートレットは、企業のお知らせやニュース・アイテムを実行時にポストするための便利なツールです。このポートレットには、表示テキストの入力や書式設定の簡単で使用しやすいコントロールが用意されています。

リッチ・テキスト・ポートレットの使用方法

この項では、リッチ・テキスト・ポートレットのコントロールにアクセスするプロセスを、順を追って説明します。ポートレットを使用するプロセスを説明するために、カスケーディング・スタイル・シート、テキスト、色、リンクおよびイメージを使用して、簡単な表示テキストの例を作成しました。リッチ・テキスト・ポートレット・コントロールは、実行時、つまり、ポートレットがアプリケーション・ページに配置されて、アプリケーション・ページが実行されているときに使用します。

次の練習では、図14-4のような、簡単な表示テキストの例を実行時に作成する手順を、順を追って説明します。


注意:

設計時(リッチ・テキスト・ポートレットをアプリケーション・ページに配置するとき)、ポートレットのallModesSharedScreen属性はtrueに設定する必要があります。これにより、すべてのポートレット・モードを、所定のページのコンテキストを離れることなく表示できます。これは、属性をadfp:portletタグに追加するか、Oracle JDeveloper Property Inspectorによって値を変更することにより、実行できます。

リッチ・テキスト・ポートレットの取得については、3.2項「Preconfigured OC4Jの使用」を参照してください。リッチ・テキスト・ポートレットのページへの追加については、4.3項「ポートレットの消費」を参照してください。


図14-4 リッチ・テキスト・ポートレットでの表示テキストの例

リッチ・テキスト・ポートレットでの表示テキストの例
「図14-4 リッチ・テキスト・ポートレットでの表示テキストの例」の説明

リッチ・テキスト・ポートレットによってコンテンツを追加する手順は、次のとおりです。

  1. ポートレット・ヘッダーの右隅にある「処理」アイコンをクリックします。

  2. 表示されたメニューから、「カスタマイズ」を選択します。

    リッチ・テキスト・エディタがポートレットにロードされます。

  3. 「編集モードの変更」アイコン(表14-1を参照)をクリックして、エディタをHTML編集モードに切り替えます。

  4. 希望するカスケーディング・スタイル・シート(CSS)への参照を入力します。

    次に例を示します。

    <link rel="stylesheet" type="text/css" href="http://mycompany.com:7632/stylesheets/newsbriefs.css">
    

    ただし、スタイルシートは不要です。

  5. エディタをWYSIWYG編集モードに切り替え、次のテキストを入力します。

    NewsBrief
    This is example content for the Rich Text portlet used for brief company-wide announcements.
    
    Here is another paragraph.
    
  6. テキストNewsBriefを選択し、テキスト前景色アイコン(図14-5)をクリックします。

    図14-5 テキスト前景色アイコン

    テキスト前景色アイコン
    「図14-5 テキスト前景色アイコン」の説明

  7. カラー・パレットで、色を選択して、「OK」をクリックします。

  8. ヘッダーを強調表示したままで、「フォント・サイズ」リストから4を選択します。

  9. エディタをHTML編集モードに切り替え、ヘッダーと色およびサイズの指定を、CSSにおける最上位のヘッダー・レベルのタグにラップします。

    次に例を示します。

    <h1>
      <font style="color: rgb(82, 140, 255);" size="4">
      <span style="font-family: arial,helvetica,sans-serif;">
      NewsBrief</span></font>
    </h1>
    
  10. </h1>の後に水平の罫線を追加します。

    次に例を示します。

    </h1><hr>
    
  11. エディタをWYSIWYG編集モードに切り替え、テキストHere is another paragraphをハイライト表示します。

  12. 「ハイパーリンクの挿入」アイコン(図14-6)をクリックし、お気に入りのサイトのハイパーリンクを入力します。

    図14-6 「ハイパーリンクの挿入」アイコン

    「ハイパーリンクの挿入」アイコン
    「図14-6 「ハイパーリンクの挿入」アイコン」の説明

    次に例を示します。

    http://www.oracle.com
    
  13. 「OK」をクリックして、「ハイパーリンクの挿入」ダイアログ・ボックスを閉じます。

  14. [Enter]を押して新しい行を作成し、「イメージの挿入」アイコン(図14-7)をクリックします。

    図14-7 「イメージの挿入」アイコン

    「イメージの挿入」アイコン
    「図14-7 「イメージの挿入」アイコン」の説明

  15. 「イメージの挿入」ダイアログ・ボックスに、イメージの場所を入力します。

    イメージの場所を取得するには、イメージを右クリックし、ポップアップ・メニューから「プロパティ」を選択します。場所は、イメージのプロパティ・シートからコピーするために使用できます。

  16. 「OK」をクリックして、「イメージの挿入」ダイアログ・ボックスを閉じます。

  17. リッチ・テキスト・エディタの下にある「発行」ボタンをクリックして変更を保存し、エディタを終了します。

表14-1では、リッチ・テキスト・ポートレットの編集モード・ツールバーで使用できるコントロールとその説明を示しています。

表14-1 リッチ・テキスト・ポートレットのコントロール

ボタン/キーストローク モード: WYSIWYG/HTML/両方 機能

「元に戻す」アイコン

[Ctrl] + [Z]

WYSIWYG

最後のアクションを元に戻します。その前のアクションを元に戻すには、もう一度クリックします。

「再実行」アイコン

[Ctrl] + [Y]

WYSIWYG

最後のアクションを再実行します。さらに再実行を行うには、もう一度クリックします。

フォントの選択ドロップダウン・リスト


WYSIWYG

選択したテキストまたは後続テキストに設定するフォントを選択します。ファイル・システムで使用可能なフォントから選択します。

「フォント・サイズ」ドロップダウン・リスト


WYSIWYG

選択したテキストまたは後続テキストに設定するフォント・サイズを選択します。値は、ブラウザまたは現行のデフォルト・サイズに対して設定されます。

  • 1〜7は、フォント・サイズを、ブラウザのデフォルト・フォント・サイズを基準とした値として設定します。3の値は、ブラウザのデフォルトに相当する値です。3より小さい値は、フォントを小さく設定します。3より大きい値は、フォントを大きく設定します。

  • +1〜+7は、デフォルト・フォント・サイズ(font size=3)を基準としてフォント・サイズを増やします。

  • -1〜-7は、デフォルト・フォント・サイズ(font size=3)を基準としてフォント・サイズを減らします。

「太字」アイコン


両方

選択したテキストまたは後続のテキストを太字に設定します。

「イタリック」アイコン


両方

選択したテキストまたは後続のテキストをイタリックに設定します。

「下線」アイコン


両方

選択したテキストまたは後続のテキストに下線を設定します。

テキスト前景色アイコン


WYSIWYG

テキストの色を設定します。

テキスト背景色アイコン


WYSIWYG

テキストの背景色を設定します。これは強調表示とも呼ばれます。選択した色がテキストの背景に表示されます。

編集モードの変更アイコン


両方

図形編集モード(WYSIWYG)とHTML編集モードを切り替えます。WYSIWYGがデフォルトです。テキストをページに表示されるとおりに表示するには、WYSIWYG編集モードを使用します。HTMLソース・コードを変更するには、HTML編集モードを使用します。

「ハイパーリンクの挿入」アイコン


WYSIWYG

リンクを追加または変更します。あらゆる種類の標準Webリンクを作成できます。次に例を示します。

  • 別のWebページへのリンクを設定します。完全なURL(http://www.oracle.comなど)を入力します。

  • mailto:を入力することで、電子メール・アドレスへのリンクを設定します(mailto:info@oracle.comなど)。ユーザーがこのタイプのリンクをクリックすると、現行ブラウザのデフォルトの電子メール・アプリケーションに、ここに入力する受信者宛の新しい空白の電子メール・メッセージ・ウィンドウが開きます。

    mailtoリンクを機能させるには、ユーザーのブラウザの設定を正しく構成する必要があります。Netscapeブラウザでは、「Mail & Newsgroups」セクションの「一般設定」に電子メールの設定があります。Internet Explorerブラウザでは、「インターネット オプション」の「プログラム」タブに電子メールの設定があります。

「イメージの挿入」アイコン


WYSIWYG

イメージを挿入します。最終的に、URLをイメージに挿入します。イメージURLは、イメージを右クリックし、ポップアップ・メニューから「プロパティ」を選択することで取得できます。

左揃えアイコン

中央揃えアイコン

右揃えアイコン


WYSIWYG

現行パラグラフを左、中央または右に揃えます。

箇条書きの挿入アイコン

番号付きリストの挿入アイコン


WYSIWYG

黒丸または番号付きのリストを追加または削除します。リストを起動すると、[Enter]を押すたびに、新しい黒丸または番号付きの項目が追加されます。

リストを終了するには、[Enter]を2回押します。

「インデントを減らす」アイコン

「インデントを増やす」アイコン


WYSIWYG

現行パラグラフのインデントを減らすか増やします。

注意: WYSIWYGモードでインデントを増やすか減らす場合は、これらのキーを使用する必要があります。[Tab]キーを使用しても、パラグラフはインデントされません。

[Ctrl] + [P]

両方

エディタ・ウィンドウのコンテンツを印刷します。

注意: このキーの組合せで印刷をエディタのコンテンツに制限するには、カーソルをエディタ・ウィンドウ内に置く必要があります。


14.3.2 構築済ポートレット

概要

構築済ポートレットには、パートナ・ポートレットと統合ソリューションがあります。

パートナ・ポートレットは、オラクル社と、主要なシステム・インテグレータ、ソフトウェア・ベンダーおよびコンテンツ・プロバイダとの提携によって提供されます。これらのポートレットには、Oracle PartnerNetwork Solutions Catalog(http://solutions.oracle.comで使用可能)を検索する際に、キーワードportalまたはportletを使用することでアクセスできます。たとえば、次の目的に使用されるポートレットがあります。

  • Point-to-Point運転方向の生成

  • 広範囲なソースからのインフォメーション・テクノロジ(IT)情報へのアクセス

  • ニュース、株式および天気に関するサマリー情報の表示

Oracle Technology Networkの詳細

Portal Integration(POINT)Solutionsでは、Microsoft Exchange、Lotus Notes、SAP、IMAP、SMTPなどの一般的なアプリケーションの基本機能が必要な顧客にソリューションを提供しています。これらのポートレットは、次のURLにあるOracle Technology Network(OTN)の「Portal Integration Solutions」ページで入手できます。

http://www.oracle.com/technology/products/ias/portal/point.html

対象ユーザー

開発済の、ダウンロード可能なポートレットは、Oracle WebCenter Frameworkにプロデューサをダウンロード、インストールおよび登録する方法を理解しているアプリケーション開発者に最適です。これらのポートレットは、すべての経験レベルで使用可能です。

使用する場合

構築済ポートレットは、そのポートレットが提供する機能でニーズが満たされる場合や、すぐに利用できるパーソナライズのレベルで目的のタスクを十分に完了できる場合に使用します。

異なるユーザー・インタフェースが必要な場合や希望する機能のために複雑な設定が必要な場合など、ポートレットの拡張やパーソナライズが必要なときには、別の方法を検討してください。

14.3.3 Webクリッピング

概要

Webクリッピングは、ブラウザベースの宣言型ツールで、これを使用すると、WebアプリケーションとWebCenterアプリケーションを統合できます。Webクリッピングは、Webアプリケーションの既存のユーザー・インタフェースを利用して迅速に統合できるように設計されています。Webクリッピングは、これまではPDK-Javaプロデューサとして実装されていました。

Webクリッピング・ポートレットを作成する場合、WebCenterアプリケーション開発者は、Webブラウザを使用して必要なコンテンツを含むWebページにナビゲートします。アプリケーション開発者は、Webクリッピング・スタジオを使用して、ターゲット・ページのビジュアル・レンダリングをドリルダウンし、必要なコンテンツを選択できます(図14-8)。

図14-8 Webクリッピング・ポートレットに表示されたWebクリッピングの選択

Webクリッピング・ポートレットに表示されたWebクリッピングの選択
「図14-8 Webクリッピング・ポートレットに表示されたWebクリッピングの選択」の説明

Webクリッピングは次の機能をサポートします。

  • 様々なスタイルのログイン・メカニズムを介したナビゲーション。これには、フォーム・ベースとJavaScriptベースの送信、およびCookieベースのセッション管理を使用したHTTPのBasic認証とDigest認証が含まれます。

  • クリッピングのファジー・マッチング。ソース・ページ内部でのWebクリッピングの順序変更、または文字のフォント、サイズまたはスタイルの変更が行われた場合でも、Webクリッピング・エンジンでは正確に識別され、ポートレット・コンテンツとして配信されます。

  • 広範囲なWebコンテンツの再利用。これには、HTTPのGETとPOST(フォーム送信)を使用して取得された、HTML 4.0.1、JavaScript、アプレットおよびプラグイン対応コンテンツで作成されたページの基本サポートが含まれます。

  • パーソナライズ。アプリケーション開発者は、ユーザーがポートレットのパーソナライズ時に変更できる入力パラメータを公開できます。これらのパラメータは、アプリケーション開発者がページのパラメータとしてマップできるパブリック・パラメータとして公開できます。この機能により、ユーザーはパーソナライズされたクリッピングを取得できます。

  • シングル・サインオンを使用した認証済Webコンテンツの統合。これには、外部アプリケーションとの統合が含まれます。この統合によって、Oracle Single Sign-Onの利用や、認証済外部Webサイトのコンテンツのクリップが可能になります。

  • インライン・レンダリング。このレンダリングによって、Webクリッピング・ポートレットは、ポートレットのコンテキスト内にリンクを表示するように設定できます。その結果、ユーザーがWebクリッピング・ポートレット内でリンクをクリックすると、同じポートレット内に結果が表示されます。この機能は、内部および外部のWebサイトで使用できます。

  • プロキシ認証。各ユーザーの認証はもとより、グローバル・プロキシ認証もサポートされています。プロキシ・サーバーのレルムを指定し、すべてのユーザーが指定されたユーザー名とパスワードで自動的にログインするか、各ユーザーが個別のユーザー名とパスワードでログインするか、またはすべてのユーザーが指定されたユーザー名とパスワードでログインするかを指定できます。

  • リソース・トンネリング。イメージが対象です。

  • オープン・トランスポートAPI。クリップされたサイトに対する認証メカニズムをカスタマイズするためのAPIです。

  • セキュリティ強化。管理者は、Webクリッピング・ポートレットによってクリッピングできるコンテンツへのアクセスを制御できます。

対象ユーザー

Webクリッピングは、既存のWebページを利用してポートレットを迅速に開発するアプリケーション開発者およびコンテンツ開発者に最適です。適切な権限を持つユーザーであれば誰でも、このポートレットをページに追加できます。

使用する場合

Webクリッピングは、既存のWebページのライブ・コンテンツおよび機能に再度目的を持たせ、WebCenterアプリケーションでポートレットとして公開する場合に使用します。クリップしたポートレット内で情報の表示方法を変更する場合は、別の方法を検討してください。つまり、ユーザー・インタフェース(UI)やアプリケーション・フローを制御する必要なしに、Webベースのアプリケーションにアクセスします。より高いレベルの制御が必要な場合は、WebクリッピングのかわりにOmniPortletのWebページ・データソースを使用してください。(14.3.4項「OmniPortlet」を参照してください。)

Webクリッピング・ポートレットの使用は、次の例のような場合に検討します。

  • 株式チャート・ポートレット。 株式市場の日次実績チャートを、自社の財務顧問のWebサイトから表示するポートレットを作成する場合。この情報は、自社でプロキシを使用している場合でも、外部Webサイトからクリップできます。

  • Webメール・ポートレット。 ユーザーがそれぞれの機密Webメール・アカウントにポートレット経由でアクセスし、そのポートレット内に表示する受信ボックスにアクセスする場合。

Webクリッピングの使用方法は、第17章「Webクリッピングを使用したコンテンツ・ベースのポートレットの作成」を参照してください。


注意:

Windows 2000でWebクリッピング、OmniPortletまたはシンプル・パラメータ・フォームを使用するには、Netscape 7.0以上またはMicrosoft Internet Explorer 5.5以上を使用する必要があります。

14.3.4 OmniPortlet

概要

OmniPortletは宣言型のポートレット構築ツールで、これを使用すると、XMLファイル、値を文字で区切ったファイル(スプレッドシートなどのCSVファイル)、Webサービス、データベース、WebページおよびSAPデータソースを含めた多様なデータソースに対してポートレットを構築できます。OmniPortletユーザーは、データに対して事前に作成されたレイアウトを選択することもできます。事前に作成されたレイアウトには、表、ニュース、箇条書き、フォーム、チャートまたはHTMLが含まれます。HTMLレイアウトにより、OmniPortletのユーザーは独自のHTMLを作成し、データをHTMLに挿入できます。図14-9は、表形式を使用したOmniPortletを示しています。

図14-9 簡単なパラメータ・フォーム(上)と表形式を使用したOmniPortlet

表形式を使用したOmniPortletを表示。
「図14-9 簡単なパラメータ・フォーム(上)と表形式を使用したOmniPortlet」の説明

Webクリッピングと同様に、OmniPortletでは、グローバルなプロキシ認証やユーザーごとの認証などのプロキシ認証をサポートします。すべてのユーザーが指定されたユーザー名とパスワードで自動的にログインするか、各ユーザーが個別のユーザー名とパスワードでログインするか、またはすべてのユーザーが指定されたユーザー名とパスワードでログインするかを指定できます。

Oracle Technology Networkの詳細

OmniPortletに関する情報はPortal Centerにあります。次のURLにナビゲートし、「Portlet Development」リンクをクリックしてください。

http://www.oracle.com/technology/products/ias/portal/index.html

対象ユーザー

ターゲット・データへのURLについて最小限の知識しかないビジネス・ユーザーにとって、OmniPortletは役に立つツールです。

使用する場合

OmniPortletは、多様なレイアウトを使用した多様なデータソースに対してポートレットを迅速に構築する場合に使用します。ポートレットの設計や機能を完全に制御する場合は、別の方法を検討してください。

OmniPortletの使用は、次の例のような場合に検討します。

  • RSSニュース・フィード・ポートレット: ユーザーに対してライブのニュース情報をスクロール表示するポートレットを作成する場合。データの発信元は、Oracle Technology Network HeadlinesなどのReally Simple Syndication(RSS)ニュース・フィードです。ニュース・ソースへのハイパーリンクを含むポートレットも必要です。

  • 販売チャート・ポートレット: 自社の販売結果に関する最新情報を表す場合。円グラフでもデータを表示します。自社の販売情報はリモートのリレーショナル・データベースに保存されます。

  • SAPポートレット: 会社のSAPシステムの情報を表示する場合。会社のSAP Business Suiteへの負荷を最小化するために、システムから取得した情報は1日分ごとに各ユーザーに対してキャッシュする必要があります。


    注意:

    Oracle WebCenter FrameworkにはSAPデータソースは含まれていません。SAPデータソースの使用方法について調べるには、OTNの「Oracle Portal Integration Solutions」ページを参照してください。
    http://www.oracle.com/technology/products/ias/portal/point.html
    

OmniPortletの詳細は、第16章「OmniPortletを使用したポートレットの作成」を参照してください。

14.3.5 プログラム的なポートレット

概要

プログラム的なポートレットとは、標準Java Portlet Specification(JPS)またはPDK-Javaのいずれかを使用して、自分自身で作成するJavaのポートレットです。Oracle WebCenter Frameworkには、規格に基づいたJSP 168ポートレットとOracle PDK-Javaポートレットの作成を簡単にするために、2つの宣言ウィザードが用意されています。これらのウィザードは、ポートレットを作成するフレームワークの構成を支援します。各ウィザードには、次の作業のための簡単な手順が含まれています。

  • 一般ポートレット・プロパティの構成

  • 名前および検索条件の指定

  • 許容コンテンツ・タイプの設定と表示モードのマッピング

  • ユーザーがカスタマイズできる設定の指定

  • セキュリティ・ロールの追加

  • デフォルト・キャッシングの有効化

  • 初期化パラメータの追加

  • ナビゲーション・パラメータの追加

対象ユーザー

ウィザードの使用は簡単ですが、ポートレット・ロジックを最も上手に作成するのは、Java Portlet SpecificationまたはPDK-Javaの使用に慣れていて、プロデューサの構成を理解している経験と知識が豊富なJava開発者です。

使用する場合

プログラム的なポートレットは、非常に特化したビジネス・ルールやロジックがある、またはパーソナライズした認証、動的結果の精度の高い処理、およびユーザー・インタフェースの完全な制御が必要な場合に使用します。さらに、次の条件を満たす必要のある場合、プログラム的なポートレットを使用してください。

すぐに使用できるポートレットがニーズに対応していない場合は、プログラム的なこのポートレットの使用を検討してください。

次のリストは、プログラム的なポートレットの使用を検討できる2つの場合の例を示しています。

  • 写真アルバム・ポートレット: ユーザーの写真のアップロード、格納および表示を容易にするポートレットを作成する場合。

  • ショッピング・カート・ポートレット: 企業のブランドが付いた商品(マウス・パッド、ペン、フラッシュ・ドライブ、Tシャツなど)の表示および購入を容易にするポートレットを作成する場合。

プログラム的なポートレットの使用方法の詳細は、第18章「Javaポートレットの作成」および第19章「Javaポートレットの拡張」を参照してください。

14.3.6 使用するツールの決定

図14-10に、前項で説明したポートレット・リソースの範囲を示します。範囲の片方は、宣言に重点を置いた開発環境(つまり、ウィザードによる開発)向けで、もう片方はハンドコーディングに重点を置いています。どのタイプの環境が自身のスキルにとって最も使用しやすく適しているかによって、ツールを選択できます。

使用するツールの決定方法は、第15章「ポートレット・テクノロジのマトリックス」を参照してください。

図14-10 宣言型開発からコードによる開発までのポートレット・リソース

ポートレット・リソースの範囲を表示。
「図14-10 宣言型開発からコードによる開発までのポートレット・リソース」の説明