Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド 10gリリース2(10.2) for Microsoft Windows and UNIX Systems B19264-06 |
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この章の内容は次のとおりです。
Oracle Universal Installerでは、同じホストへの複数のアクティブなOracleホームのインストールがサポートされます。Oracleホームは、すべてのOracleソフトウェアがインストールされるディレクトリです。Oracleホームは環境変数で示されます。ホームは、次のもので構成されます。
製品がインストールされたディレクトリの場所
対応するシステム・パス設定
ホームにインストール済の製品に関連付けられているプログラム・グループ(該当する場合)
ホームから実行されているサービス
Oracle製品のインストール時に、Oracleホームが作成されます。
製品をインストールし、Oracleホームを作成するには、次の手順を実行します。
Oracle Universal Installerを実行します。
「ホームの詳細の指定」ページで、インストール・セッション用のOracleホームの設定を入力します。画面のこのセクション内のフィールドの説明は、表3-1を参照してください。
インストールを続行します。詳細は、第5章「Oracle Universal Installerを使用した製品のインストール」を参照してください。
表3-1 「ホームの詳細の指定」ページのOracleインストールの設定
設定 | 機能 |
---|---|
名前 |
Oracleホームの名前を入力します。この名前は、特定のホームおよびそのホームにインストールされるOracleサービスに関連付けられるプログラム・グループを示します。Oracleホーム名は1文字以上127文字以下である必要があり、英数字とアンダースコアのみ使用できます。 |
パス |
Oracleホームのフルパスを入力するか、既存のOracleホームのドロップダウン・リストからOracleホームを選択します。Oracleホームの場所は、製品がインストールされるディレクトリです。 データファイルのインストールは、Oracleホーム内でもそれ以外でも可能です。「参照」ボタンを使用して、製品をインストールするディレクトリを選択できます。 Windowsプラットフォームの場合は、Windowsディレクトリ内ではない有効なパスを指定する必要があります。異なるホームで同じ場所を共有することはできません。 |
注意: Oracleホームの場所には、空のディレクトリまたは存在しないディレクトリを指定することをお薦めします。Oracleホームの場所として空でないディレクトリまたはすでに存在するディレクトリを選択した場合は、警告が表示され、続行するかどうかを確認されます。サイレント・インストールでは、空でない既存のディレクトリが指定された場合、コンソールおよび |
既存のOracleホームを削除するには、Oracle Universal Installerを起動し、「製品の削除」をクリックします。インベントリ・ダイアログで削除するホームを選択し、「削除」をクリックします。コマンドラインまたはレスポンス・ファイルでREMOVE_HOMES
変数を使用することもできます。構文は次のとおりです。
./runInstaller -deinstall ORACLE_HOME=<LOCATION_OF_ORACLE_HOME> "REMOVE_ HOMES={<LOCATION_OF_ORACLE_HOME_TO_BE_REMOVED>}" -silent
デフォルトでは、Oracle Universal Installerの起動時に、ソフトウェアによりシステムが検索され、OracleソフトウェアをインストールするデフォルトのOracleホームが判別されます。
どのような場合でも、コマンドラインでORACLE_HOME
名が指定されている場合は最初にこの変数が取得され、コマンドラインで指定されていない場合はレスポンス・ファイルから取得されます。レスポンス・ファイルでも指定されていない場合は、名前について次の規則が使用されます。
Ora<short_marketing_name_in_oraparam.ini>_<home_identifier>
<short_marketing_name_in oraparam.ini>はoraparam.ini
ファイルで指定されている製品マーケティング短縮名(たとえば、Db10g)で、<home_identifier>
はセントラル・インベントリから導出されたカウンタです。たとえば、ORACLE_HOME
名はOraDb10g_2
のようになります。
コマンドラインでORACLE_HOMEパスが指定されている場合は最初にこの変数が取得され、コマンドラインで指定されていない場合はレスポンス・ファイルから取得されます。レスポンス・ファイルでも指定されていない場合は、環境変数ORACLE_HOMEが使用されます。いずれも指定されていない場合は、パスについて次の規則が使用されます。
$HOME/product/<version>/<short_name>_<counter>
<short_name>は製品の短縮名(たとえば、Db)であり、<counter>はファイルの存在に基づいて選択されます。たとえば、ORACLE_HOMEパスは$HOME/product/10.2.0/Db_1
のようになります。
ORACLE_BASEが環境で指定されている場合:
$ORACLE_BASE/product/<version>/<short_name>_<counter>
たとえば、$ORACLE_BASE/product/10.2.0/Db_1
。
インスタンス関連ディレクトリの場所は、最初にレスポンス・ファイルから受け入れられます(指定されている場合)。レスポンス・ファイルで指定されていない場合、oradata
、flash_recovery_area
、admin
、doc
の各ディレクトリが、ORACLE_BASEの下に作成されます。ORACLE_BASEが環境で指定されていない場合、デフォルトは$ORACLE_HOME/oradata
ディレクトリです。Oracleホームの親ディレクトリが書込み可能な場合、これらのディレクトリはOracleホームの親ディレクトリに作成されます。
Oracle Universal Installerでは、実行時に製品でサポートされているかぎり、同じホストへの複数のアクティブなOracleホームのインストールがサポートされます。同じ製品の複数バージョンまたは異なる製品を、異なるOracleホームから同時に実行できます。あるホームにインストールされている製品は、別のホームにインストールされている製品と競合または対話しません。ターゲット・ホームにインストールされているすべてのOracleアプリケーション、サービスおよびプロセスが停止していると想定した場合、任意のホームにあるソフトウェアをいつでも更新できます。他のホームのプロセスは引き続き実行できます。
製品がOracle Universal Installerを使用してインストールされた場合、Oracle Universal Installerインベントリには、ホスト上のすべてのOracleホームにインストールされているすべてのOracleソフトウェア製品に関する情報が格納されます。
インベントリ情報は、Extensible Markup Language(XML)形式で格納されます。XML形式を使用することで、問題の診断が簡単になり、データのロードが高速になります。保護情報は直接インベントリには格納されません。このため、一部の製品の削除中に、検証に必要な資格証明の入力を求められることがあります。
Oracle Universal Installerインベントリは、次で構成される構造に階層化されています。
すべてのOracleソフトウェア・インストールには、ホストにインストールされたすべてのOracle製品の詳細が登録されているセントラル・インベントリが関連付けられています。セントラル・インベントリは、インベントリ・ポインタ・ファイルで指定されたディレクトリ内にあります。各Oracleソフトウェア・インストールには、別のOracleソフトウェア・インストールからは認識されない固有のセントラル・インベントリ・ポインタ・ファイルがあります。
Oracleホームが同じセントラル・インベントリを共有している場合、インベントリに対するすべての読取りおよび書込み操作はOracle Universal Installerコンポーネントにより実行されます。セントラル・インベントリに対する操作は、ロッキング・メカニズムを通じて実行されます。これは、インストール、アップグレード、パッチの適用などの操作がOracleホームに対して実行された場合に、同じセントラル・インベントリを共有する他のOracleホームではこれらの操作がブロックされることを意味します。
インベントリ・ポインタ・ファイルは次の場所にあります。
For Solaris: /var/opt/oracle/oraInst.loc For Linux: /etc/oraInst.loc For Windows this pointer is located in the registry key: \\HKEY_LOCAL_ MACHINE\\Software\Oracle\inst_loc.
oraInst.loc
ファイルのサンプルを次に示します。
inventory_loc=/home/oracle_db10g/product/10.2.0/db_1inst_group=oracle
UNIXでは、インベントリ・ポインタ・ファイルで指定されたディレクトリにあるセントラル・インベントリを使用しない場合には、-invPtrLoc
フラグを使用して別のインベントリ・ポインタ・ファイルを指定できます。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -invPtrLoc <Location_of_oraInst.loc> ORACLE_ HOME="<Location_of_Oracle_Home>" ORACLE_HOME_NAME="<Name_of_Oracle_Home>"
注意: oraInst.locファイルの内容が空の場合は、Oracle Universal Installerにより新規インベントリの作成を要求されます。 |
セントラル・インベントリには、ホストにインストールされているすべてのOracle製品に関連する情報が格納されています。次のファイルおよびフォルダが含まれます。
このファイルには、ノードにインストールされているすべてのOracleホームがリストされます。また、各Oracleホームについて、Oracleホーム名、ホーム索引およびホームがインストールされているノードがリストされます。ホームがOracleクラスタウェア・ホームであるか、削除済のOracleホームであるかも示されます。Oracle Universal Installerリリース10.1以上を使用して作成されたOracleホームの削除のみが検出できます。このファイルは、次の場所にあります。
<central inventory location>/ContentsXML/inventory.xml
inventory.xml
ファイルのサンプルを次に示します。
<?xml version="1.0" standalone="yes" ?> <!-- Copyright (c) 2005 Oracle Corporation. All rights Reserved --> <!-- Do not modify the contents of this file by hand. --> <INVENTORY> <VERSION_INFO> <SAVED_WITH>10.2.0.0.0</SAVED_WITH> <MINIMUM_VER>2.1.0.6.0</MINIMUM_VER> </VERSION_INFO> <HOME_LIST> <HOME NAME="OraDb10g_home1" LOC="/home/oracle_db10g/product/10.2.0/db_1" TYPE="O" IDX="1"/> <HOME NAME="OUIHome" LOC="D:\OraHome1" TYPE="O" IDX="1" /> <HOME NAME="OUIHome12" LOC="D:\OraHome12" TYPE="O" IDX="3" /> <HOME NAME="OUIHome1" LOC="D:\homes\OraHome1" TYPE="O" IDX="4" /> <HOME NAME="OUIHome11" LOC="d:\homes\oui11" TYPE="O" IDX="2" REMOVED="T" /> </HOME_LIST> </INVENTORY>
注意: インストールおよびパッチの適用に影響する可能性があるため、このファイルは削除または手動で編集しないことをお薦めします。 |
セントラル・インベントリでは、次の場所にインストール・ログが格納されます。
<central inventory location>/logs
logsディレクトリには、そのノードで実行されたすべてのインストールに対応するログが格納されます。また、インストール・ログのコピーが$ORACLE_HOME/cfgtoollogs
ディレクトリにあります。インストールに対応するインストール・ログは、ログ・ファイルに関連付けられているタイムスタンプにより識別されます。これらのファイルは、一般に次の形式で保存されます。
<Name_of_Action><YYYY-MM-DD_HH-MM-SS{AM/PM}>.log
たとえば、2005年5月17日の午前6時45分に実行されたattachHome操作について考えます。次のようなログ・ファイルが作成されます。
AttachHome2005-05-17_06-45-00AM.log
注意: インストール・ログには、エラーまたは失敗は記録されません。 |
Oracleホーム・インベントリすなわちローカル・インベントリは、各Oracleホーム内にあります。特定のOracleホームに関連する情報のみが含まれます。このファイルは、次の場所にあります。
$ORACLE_HOME/inventory
次のファイルおよびフォルダが含まれます。
このファイルには、Javaベースの様々なOracleツールおよびコンポーネントに必要なJava Runtime Environment(JRE)などのサード・パーティ・アプリケーションに関する詳細が含まれます。また、すべてのコンポーネントの詳細に加えて、Oracleホームにインストールされているパッチ・セットまたは個別パッチの詳細も含まれます。このファイルは、次の場所にあります。
ORACLE_HOME/inventory/ContentsXML/comps.xml
コンポーネント・ファイルのサンプルは、「サンプル・コンポーネント・ファイル」を参照してください。
このファイルには、ノード・リスト、ローカル・ノード名およびOracleホームのCRS
フラグに関する詳細が含まれます。共有ホームには、ローカル・ノード情報は存在しません。このファイルには、次の情報も含まれます。
GUID: Oracleホームの一意のグローバルID。
ARU ID: 一意のプラットフォームID。パッチおよびパッチ・セットの適用はこのIDに依存します。
ARU ID DESCRIPTION: プラットフォームの説明。
oraclehomeproperties.xml
内の情報は、inventory.xml
内の情報より優先されます。このファイルは、次の場所にあります。
$ORACLE_HOME/inventory/ContentsXML/oraclehomeproperties.xml
ホーム・プロパティ・ファイルのサンプルを次に示します。
<GUID>893051798#.356758136</GUID> <HOME CRS="T"/> <ARU_PLATFORM_INFO> <ARU_ID>46</ARU_ID> <ARU_ID_DESCRIPTION>Linux x86</ARU_ID_DESCRIPTION> </ARU_PLATFORM_INFO> <CLUSTER_INFO> <LOCAL_NODE NAME="stacg30"/> <NODE_LIST><NODE NAME="stacg34"/><NODE NAME="stacg30"/></NODE_LIST></CLUSTER_INFO>
一部のプラットフォームのARU_IDを次の表に示します。
Oracle Universal Installerでは、セントラル・インベントリが消失または破損した場合に、クリーンなホストにセントラル・インベントリを設定するか、セントラル・インベントリに既存のOracleホームを登録できます。セントラル・インベントリは、Oracle Universal Installerの-attachHome
フラグを使用して設定できます。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -attachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>" "CLUSTER_NODES={<node1,node2>}" LOCAL_NODE="<node_name>"
セッション変数ORACLE_HOME、ORACLE_HOME_NAME、CLUSTER_NODES、REMOTE_NODESおよびLOCAL_NODEを使用できます。
クラスタ・インストールでは、CLUSTER_NODESセッション変数を渡さない場合、Oracle Universal Installerによりその変数が$ORACLE_HOME/inventory/ContentsXML/oraclehomeproperties.xmlファイルから取得されます。
クラスタ・インストールでは、LOCAL_NODEセッション変数を渡さない場合、Oracle Universal Installerによりその変数が$ORACLE_HOME/inventory/ContentsXML/oraclehomeproperties.xmlファイルから取得されます。このファイルにエントリが見つからない場合は、Oracleクラスタウェア・スタックから取得されます。スタックにも見つからない場合は、CLUSTER_NODES
の最初のノードがLOCAL_NODEとして取得されます。
リモート・ノードのリストを指定する場合は、REMOTE_NODES
変数を渡すことができます。ローカル・ノードでセントラル・インベントリを設定する場合は、-local
フラグおよび空のREMOTE_NODES
変数を渡す必要があります。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -attachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>" "REMOTE_NODES={}" -local
注意: -local フラグを使用した場合は、指定したクラスタ・ノードに関係なくアクションがローカル・ノードで実行されます。 |
Real Application Clusters以外の設定では、LOCAL_NODE変数を渡す必要はなく、CLUSTER_NODES変数は空にします。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -attachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>" "CLUSTER_NODES={}"
-local
フラグを使用してローカルのOracleホームをアタッチできます。-local
フラグとともに共有のOracleホームを使用している場合は、-cfs
フラグを使用します。これにより、共有のOracleホームの内部にローカル・ノード情報が伝播されなくなります。
セントラル・インベントリがまだ存在しない場合、Oracle Universal InstallerはoraInst.loc
ファイルで指定されている場所にセントラル・インベントリを作成します。
Oracleホームをアタッチした後で、<central_inventory>/logsディレクトリにあるログ・ファイルの内容を確認することにより、操作が正常に実行されたことを確認できます。<central-inventory>/ContentsXMLディレクトリ下のinventory.xml
ファイルの内容を表示して、Oracleホームが登録されているかどうかを確認することもできます。
注意: Windowsオペレーティング・システムでセントラル・インベントリを作成するには、クローニングすることをお薦めします。 |
セントラル・インベントリからOracleホームをデタッチできます。このフラグを渡すと、Oracleホーム内にあるoraclehomeproperties.xml
が更新されます。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -detachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>"
-local
フラグを使用して、ローカル・ノードのインベントリからOracleホームをデタッチできます。共有のOracleホームを使用している場合は、-cfs
フラグを使用します。これにより、共有のOracleホームの内部にローカル・ノード情報が伝播されなくなります。
./runInstaller -silent -local -cfs -detachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>" ./runInstaller -silent -detachHome -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>"
-removeallfiles
フラグを使用することにより、Oracleホームを完全に消去し、ホーム・ディレクトリを削除できます。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -deinstall -removeallfiles -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>"
-removeallfiles
フラグを使用する場合に表示される警告メッセージを無効にするには、-nowarningonremovefiles
フラグを使用します。構文は次のとおりです。
./runInstaller -silent -deinstall -nowarningonremovefiles -invPtrLoc ./oraInst.loc ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>"
ホスト上のすべてのOracleホームが削除された後でも、特定のログ・ファイルにインベントリのトレースがあります。これらのファイルを保持せず、セントラル・インベントリから削除する場合は、次の手順を実行します。
次の手順を実行して、UNIX上のセントラル・インベントリを削除できます。
oraInst.loc
ファイルを探し、このファイルからセントラル・インベントリの場所(inventory_loc
パラメータ)を取得します。
Solarisの場合、このファイルは/va/opt/oracle
フォルダにあります。
Linuxの場合、このファイルは/etc
フォルダにあります。
次のコマンドを実行して、セントラル・インベントリを削除します。
rm -rf <central_inventory_location>
root権限で次のコマンドを実行して、oraInst.loc
ファイルを削除します。
Solarisの場合
rm /va/opt/oracle/oraInst.loc
Linuxの場合
rm /etc/oraInst.loc
次の手順で、複数のセントラル・インベントリを1つのセントラル・インベントリに統合する方法を説明します。CRSホームおよびRACホームについて、この手順を各ノードで実行します。
使用するセントラル・インベントリを指定し、そのインベントリのパスがクラスタのすべてのノードで同じであることを確認します。
このセントラル・インベントリ・ディレクトリに移動し、orainstRoot.shを実行して、oraInst.locファイルがこのインベントリを指すようにします。
システム上の他のセントラル・インベントリを指定し、各セントラル・インベントリのOracleホームを指定します。
各Oracleホームで次の手順を行います。
cd $ORACLE_HOME/oui/binと入力します。
./attachhome.sh -silent -local "CLUSTER_NODES={<List of nodes>}" LOCAL_NODE=<nodename>を実行します。
単一インスタンス・ホームの場合は、./attachhome.sh -silentを実行します。
ORACLE_HOME/OPatchディレクトリに移動し、Opatch lsinventory -detailを実行してインベントリの更新を確認します。
./runInstallerを実行して、「インストールされた製品」をクリックしてセントラル・インベントリの内容を表示し、インベントリ全体が更新されていることを確認します。インベントリに新しいホームとノードが表示されることを確認します。
既存のOracleホームに対してパッチ・セットの適用およびアップグレードを行うことができます。パッチ・セットはOracle Universal Installerを使用して適用できます。Oracle製品のアップグレードまたはパッチ・セット適用の詳細は、アップグレードする個々のOracle製品のインストレーション・ガイドを参照してください。
Oracle Universal Installerを使用して、Oracleホームをクローニングできます。クローニングの詳細は、第7章「Oracle Universal Installerを使用したOracleソフトウェアのクローニング」を参照してください。
任意の方法を使用して、Oracleホームをバックアップできます。zip、tar、cpioなどの任意の形式を使用して、Oracleホームを圧縮できます。
アップグレードまたはパッチ操作を実行する前に、Oracleホームをバックアップすることを強くお薦めします。Oracleホームのインストールまたは削除の際には、セントラル・インベントリもバックアップする必要があります。
例:
/product
ディレクトリのデフォルトのセントラル・インベントリに登録されているDBHome
というデータベースOracleホームがあるシナリオについて考えます。このデータベースにパッチ適用をするが、その前にデータベースをパックアップします。
データベースをバックアップするには、次のコマンドを使用します。
cd /product/DBHome tar cf - * | gzip > /product/archive/DBHome.tar.gz
Win32システムを使用している場合、WinZipを使用してOracleホームを圧縮できます。ファイル権限を失う原因になるので、Oracleホームの圧縮にはjarコマンドを使用しないでください。
次に、パッチを適用したら重大な障害が発生した場合を考えます。セントラル・インベントリからOracleホームを削除して、元のOracleホームをリストアします。セントラル・インベントリからOracleホームを削除するには、次のコマンドを使用します。
./runInstaller -silent -detachHome ORACLE_HOME="/product/DBHome" ORACLE_HOME_NAME="DBHome"
Win32システムでは、次のコマンドを使用します。
setup.exe -silent -detachHome ORACLE_HOME="C:\product\DBHome" ORACLE_HOME_NAME="DBHome"
次に、Oracleホームを削除します。
cd /product rm -rf /product/DBHome
次に、元のOracleホームをリストアし、セントラル・インベントリを更新する必要があります。Oracleホームを元の場所にリストアするには、次のコマンドを使用します。
mkdir -p /product/DBHome gunzip < /product/archive/DBHome.tar.gz | tar xf -
最後に、このOracleホームをセントラル・インベントリにアタッチする必要があります。
./runInstaller -silent -attachHome ORACLE_HOME="/product/DBHome" ORACLE_HOME_NAME="DBHome"
Win32システムでは、次のコマンドを使用します。
setup.exe -silent -attachHome ORACLE_HOME="C:\product\DBHome" ORACLE_HOME_NAME="DBHome"
インベントリ(セントラル・インベントリおよびOracleホーム・インベントリ)は、Oracleソフトウェアのライフサイクル管理に不可欠な要素です。次の項では、インベントリが破損した場合に行う必要がある処理について説明します。
opatch lsinventory -detail
を実行したとき、または「インストールされた製品」をクリックしたときに、Oracleホームが表示されない。
原因: セントラル・インベントリからOracleホームが失われた可能性があります。または、セントラル・インベントリが失われたか破損している可能性があります。
処置: 次の手順を実行します。
Oracleホームがセントラル・インベントリから失われた場合は、失われたOracleホームでホームのアタッチ操作を実行します。セントラル・インベントリがリストアされます。
セントラル・インベントリが失われたか破損している場合は、セントラル・インベントリをリストアします。セントラル・インベントリをバックアップしていない場合は、ホームのアタッチ操作を実行します。
ホームのアタッチ操作の詳細は、「セントラル・インベントリの作成」を参照してください。
指定されたOracleホームのinventory.xml
ファイルに複数のエントリがある場合、Grid Controlの観点からインベントリの収集には問題が出ます。この場合には、これらの重複エントリを手動で削除する必要があります。
そこにあると考えられる不正なエントリの種類の例を次に示します。
<HOME NAME="db10g" LOC="/product/db10g" TYPE="O" IDX="1"/> <HOME NAME="oms10g" LOC="/product/em/oms10g" TYPE="O" IDX="2"/> <HOME NAME="db10g" LOC="/product/db10g" TYPE="O" IDX="3"/>
前述の例では、最初と3番目のエントリが重複しています。Oracleホーム名とOracleホームの場所が同一です。この場合、3番目の行を削除します。
すべての重複したインベントリの問題は、inventory.xml
fileファイルを手動で更新したことが原因です。OUI APIを使用して、インベントリの変更をします。
opatch lsinventory -detail
を実行したとき、または「インストールされた製品」をクリックしたときに、Oracleホームは表示されるが、Oracleホーム内の製品およびコンポーネントがリストされない。
原因: Oracleホーム・インベントリが失われたか破損している可能性があります。
処置: Oracleホーム・インベントリが失われたか破損している場合は、Oracleホーム・インベントリをリストアします。Oracleホーム・インベントリをバックアップしていない場合は、同じプラットフォームを持つ別のノードにソフトウェアをインストールし、個別パッチを含む同じパッチ・レベルをインストールします。その後で、パッチを適用したOracleホームから、影響を受けるOracleホームの場所にインベントリ・ディレクトリを簡単にコピーできます。
注意: Oracle Universal Installerリリース10.2.0.2.0以上の場合、Oracleホームに、インベントリの破損からOracleホームをリカバリするための次のスクリプトがあります。
|
RAC Oracleホーム・インベントリの破損をリカバリする方法の詳細は、「Oracle RACホーム・インベントリの破損の診断およびリカバリ」を参照してください。
Real Application Clusters環境では、インベントリに、Oracleホームに関連付けられているノードのリストも含まれます。アップグレード時およびパッチの適用時に、インベントリにノードのリストが正しく移入されることが重要です。
詳細は、第6章「クラスタ環境インストール」を参照してください。
Oracle Universal Installerで-updateNodeList
を使用した場合、ノードのリストが取得され、inventory.xml
が更新されます。CRS
タグがTRUE
に設定されている場合、Oraclehomeproperties.xml
ファイルはOracleクラスタウェア・ホーム情報を使用して更新されます。共有Oracleホームの場合は、これを-cfs
フラグとともに使用する必要があります。構文は次のとおりです。
./runInstaller -updateNodeList "CLUSTER_NODES={node1,node2}" ORACLE_HOME="<Oracle_Home_Location>" ORACLE_HOME_NAME="<Oracle_Home_Name>" LOCAL_NODE="Node_Name"
注意: クラスタのノードの更新は、例外的な状況でのみ行います。この操作はオラクル社カスタマ・サポート・センターのサポートを受けて実行することをお薦めします。 |
opatch lsinventory -detail
を実行したとき、または「インストールされた製品」をクリックしたときに、Oracleホームは表示されるが、Oracleホーム内の製品およびコンポーネントがリストされない。
原因: Oracleホーム・インベントリが失われたか破損している可能性があります。
処置: 次の手順を実行します。
すべてのノードでCRSとRDBMS両方のセントラル・インベントリおよびローカル・インベントリをバックアップします。
すべてのノードでセントラル・インベントリの名前を変更するか削除します。
破損していないノードのローカル・インベントリを破損したノードにコピーします。
My Oracle Support(以前のMetaLink)ノート413939.1「Steps to Recreate the Central Inventory in Real Application Clusters」に記載されているように、attachhomeオプションを使用してセントラル・インベントリを再作成します。
opatch lsinventoryがCRSホームとRDBMSホームの両方で正しく機能していることを確認します。
注意: ローカル・インベントリのコピーがサポートされるのは、適用されたパッチ・セットと個別パッチがすべてのノードで同じである場合のみです。 |
RAC以外のOracleホーム・インベントリの破損をリカバリするための詳細は、「Oracleホーム・インベントリの破損の診断およびリカバリ」を参照してください。
次の各項では、WindowsコンピュータでOracle Universal Installerの一部としてインストールされるホーム・セレクタについて説明します。
ホーム・セレクタを表示するには、「インベントリ」ダイアログの「環境」タブをクリックします。このダイアログは、いくつかのOracle Universal Installer画面で「インストールされた製品」ボタンをクリックした場合に表示されます。
ホーム・セレクタは、インストール・ソフトウェアの一部です。ホーム・セレクタでは、プライマリOracleホーム(環境変数PATHに最初に出現するOracleホーム)を簡単に変更できます。アクティブなホームを切り替える必要がある場合、またはデフォルト・ホームをアクティブにすることが必要なバッチ作業を実行する場合は、ホーム・セレクタを使用してWindows NTシステムの設定を変更できます。
ホーム・セレクタを使用して特定のOracleホームをアクティブなホームにした場合は、該当するソフトウェア・インストールの場所がPATH変数の先頭に移動され、実行可能ファイルおよびライブラリ・ファイルが最初にスキャンされるディレクトリになります。
「インベントリ」ダイアログの「環境」タブでGUIを使用して、PATH変数内のOracleホームの順序を設定できます。
インストールを実行すると、Oracle Universal InstallerによりselectHome.bat
ファイルが実行され、選択したOracleホームが登録されます。サイレント・モードでは、Oracle Universal Installerの外部でこの操作が実行されます。最初のOracleホームにはDEFAULT_HOMEという名前が付けられ、Windows NTレジストリの次のキーの下に登録されます。
HKEY_LOCAL_MACHINE
Software
Oracle
これは、Oracleのすべての汎用設定を含むデフォルトのWindows NTレジストリ群です。また、PATH変数が調整され、ORACLE_HOMEのBINディレクトリが環境変数に追加されます。
いくつかの追加パラメータもキーに書き込まれます。
HKEY_LOCAL_MACHINE
Software
Oracle
KEY_<ORACLE_Home_Name>
Oracle Universal Installerで、DEFAULT_HOME名を他の名前に変更できます。また、ORACLEキーのKEY_<Home_NAME>サブキーにすべてのOracle設定が登録されます。
追加のOracleホームがシステムに追加されると、PATH変数が再び調整され、新規にインストールされたOracleソフトウェアの新規BINディレクトリが追加されます。レジストリ変数は、KEY_<HOME_NAME>という名前のキーに書き込まれます。
Optimal Flexible Architecture(OFA)標準は、保守をほとんど必要としない高速で信頼性の高いOracleデータベースを構成するための一連のガイドラインです。
OFAは、次の目的で設計されています。
ディスク上の大量の複雑なソフトウェアおよびデータを整理し、デバイスのボトルネックとパフォーマンスの低下を回避します。
ソフトウェアおよびデータのバックアップ機能など、データ破損の影響を受けやすい日常的な管理タスクを容易にします。
複数のOracleデータベース間での切替えを容易にします。
データベースの増大を適切に管理します。
データ・ディクショナリの空き領域の断片化を排除し、その他の断片化を分離し、リソース競合を最小化します。
次の項では、OFAディレクトリ構造について説明します。
ORACLE_BASEは、OFA準拠データベースのOracleディレクトリ構造のベースを指定します。一般的なORACLE_BASEディレクトリ構造について、表3-5で説明します。Oracle Universal Installerを使用してOFA準拠データベースをインストールする場合、ORACLE_BASEはデフォルトで/pm/app/oracle
に設定されます。
次に、Oracle Serverインストールの例を示します。
OFA準拠のOracle Serverをインストールする場合、Oracleホーム・ディレクトリは/mount_point/app/oracle/product/
release_number
です。Oracleホーム・ディレクトリの構造および内容について、表3-6で説明します。UNIXでは、Oracleホーム・ディレクトリには、次のサブディレクトリに加えて、選択した各Oracle製品のサブディレクトリが含まれる場合があります。
注意: この表の例は、単なるサンプルです。各ユーザーのOracleホームに含まれるディレクトリは、対応する製品がインストールされているかどうか、どのバージョンのOracle Databaseを実行しているかによって決まります。 |
表3-6 Oracleホームのディレクトリ構造および内容(サンプル)
ディレクトリ | 内容 |
---|---|
assistants |
コンフィギュレーション・アシスタント |
bin |
すべての製品のバイナリ |
ctx |
interMedia Textカートリッジ |
dbs |
|
install |
インストール関連のファイル |
lib |
Oracle製品ライブラリ |
jlib |
Javaクラス |
md |
空間カートリッジ |
mlx |
Xerox Stemmer(interMedia Textカートリッジ用) |
network |
Oracle Net |
nlsrtl |
NLSランタイム・ロード可能データ |
ocommon |
すべての製品の共通ファイル |
odg |
Data Gatherer |
opsm |
Parallel Server Managerのコンポーネント |
oracore |
コア・ライブラリ |
ord |
データ・カートリッジ |
otrace |
Oracle TRACE |
plsql |
PL/SQL |
precomp |
プリコンパイラ |
rdbms |
データベースに必要なサーバー・ファイルおよびライブラリ |
slax |
SLAXパーサー |
sqlplus |
SQL*Plus |