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Oracle Application Server 管理者ガイド
10gリリース3(10.1.3.2.0)

E05047-01
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15 バックアップとリカバリの概要

この章では、Oracle Application Serverのバックアップおよびリカバリの概要について説明します。

この章の項目は次のとおりです。

15.1 Oracle Application Serverのバックアップとリカバリの考え方

この項では、Oracle Application Server環境のバックアップおよびリカバリに対する考え方について説明します。Oracle Application Server環境には、様々なコンポーネントや構成を含めることができます。どのコンポーネントと構成が要件に最も適しているかを判断するには、Oracle Application Serverのインストレーション・ガイドおよび『Oracle Application Server概要』を参照してください。

通常のOracle Application Server環境には、1つ以上の中間層インストールが含まれます。

Oracle Application Server環境内のインストールでは、構成情報、アプリケーションおよびデータの同期が保たれ、相互に依存します。たとえば、構成変更を実行すると、中間層インストールで構成ファイルの更新が必要な場合があります。あるアプリケーションをデプロイすると、すべての中間層インストールへのデプロイが必要な場合があります。

したがって、バックアップおよびリカバリを実行するときは、Oracle Application Server全体の環境を考慮することが重要になります。Oracle Application Server環境全体を一度にバックアップしてください。そうすれば、ファイルやデータなどが失われた場合でも、環境全体を一貫性のある状態にリストアできます。

バックアップおよびリカバリのためのファイル・タイプには、次のものがあります。

このマニュアルで説明する計画および手順では、Oracle Application Server環境の一貫性を維持する方法で、これらの異なるタイプのファイルをバックアップおよびリカバリします。


注意

Oracle Application Server環境には、ログ・ファイルなど、この項に記載されている追加のファイルがあります。さらに、静的なHTMLファイルやCGIスクリプトなど、Oracleホームにデプロイされるファイルも含まれます。これらのファイルはいずれもバックアップ・リストに追加できます。 


15.2 バックアップ計画の概要

この項では、このマニュアルで使用するバックアップ計画について説明します。この項の項目は次のとおりです。

15.2.1 バックアップのタイプ

Oracle Application Serverのバックアップ計画には、次の2つのタイプがあります。

イメージのバックアップ

Oracle Application Serverインスタンスのイメージのバックアップには、そのインスタンスのOracleホーム・ディレクトリ、OraInventoryディレクトリ、oratabファイル、そのノードのWindowsレジストリ、およびそのOracle Application Serverインスタンスのコールド・バックアップが含まれます。Oracleホーム・ディレクトリには、Oracle Application Serverインスタンスのすべてのバイナリ・ファイル、実行可能ファイル、初期化ファイル、構成ファイル、ログ・ファイルなどや、そのインスタンスのすべてのコンポーネントおよびデプロイされたアプリケーションが含まれます。OraInventoryディレクトリには、インスタンスのインストール情報があります。

インスタンスのバックアップ

Oracle Application Serverコンポーネントおよびデプロイされたアプリケーションの構成情報が含まれます。OracleAS Recovery Managerでは、バックアップ入力ファイルでそれぞれの構成された中間層コンポーネントに対して指定された構成ファイルのすべてのローカル・コピーがバックアップされます。

15.2.2 Oracle Application Server コンポーネント・バックアップ入力ファイル

Oracle Application Serverコンポーネントごとにバックアップ入力ファイルがあり、そのコンポーネント用にバックアップが必要なすべての構成ファイルのリストが含まれています。コンポーネントがインストールされ構成されていると、バックアップ操作時にOracleAS Recovery Managerではコンポーネントのバックアップ入力ファイルを呼び出してバックアップするファイルを判断します。コンポーネント・バックアップ入力ファイルのファイル拡張子は.inpであり、Oracle_Home/backup_restore/configディレクトリに格納されます。表15-1は、このディレクトリに存在する場合があるコンポーネント・バックアップ入力ファイルを示します。

表15-1    Oracle Application Serverコンポーネント・バックアップ入力ファイル 
コンポーネント名  バックアップ入力ファイル 

Oracle Enterprise Manager 

config_em_files.inp 

バックアップ中に除外されるファイルのリスト 

config_exclude_files.inp 

Oracle Application Serverインストール情報 

config_install_files.inp 

Oracle Enterprise Managerログ・ローダー 

config_logloader_files.inp 

その他のバックアップ対象ファイル 

config_misc_files.inp 

Oracle Containers for J2EEアプリケーション 

config_oc4j_files.inp 

Oracle HTTP Server 

config_ohs_files.inp 

Oracle iASPT 

config_iaspt_files.inp 

Oracle Java Object Cache 

config_javaobjcache_files.inp 

Oracle Portal 

config_portal_files.inp 

Oracle Process Manager and Notification Server 

config_opmn_files.inp 

Oracle WebCenter Frameworkメタデータ・ストア 

config_misc_files.inp 

15.2.3 プラグイン・バックアップ入力ファイル

プラグイン・バックアップ入力ファイルを作成して、インストール後にファイルをバックアップに追加できます。各プラグイン・バックアップ入力ファイルはOracle Application ServerコンポーネントまたはOracleアプリケーションに属し、バックアップする追加ファイルのリストを含んでいます。

プラグイン・バックアップ入力ファイルに指定されているファイルのリストは、ローカルのOracleホーム・ディレクトリに存在する必要があります。リストされているファイルは、backup_configコマンドの実行時にバックアップされます。これらのファイルのデータと、同じOracleホーム内のその他すべてのコンポーネント構成ファイルのデータとは相互に依存している場合があるため、Recovery Managerによってすべてのファイルが、リストア操作のために1つのJARアーカイブ・ファイルにまとめられます。プラグイン・ファイルの最初のファイルは、キー・ファイルである必要があり、Recovery Managerによってアクセスできる必要があります。最初のファイルを検索してバックアップできなかった場合は、バックアップ構成操作全体が終了し、エラー・メッセージがログに記録されます。

プラグイン・バックアップ入力ファイルのエントリ形式は次のとおりです。

バックアップに特定のファイルを指定するには、次のように指定します。

${ORACLE_HOME}/directorypath/filename

ディレクトリを指定するには、次のように指定します。

${ORACLE_HOME}/directorypath

ワイルドカードを使用するには、次のように指定します。

${ORACLE_HOME}/directorypath/*.conf

プラグイン・バックアップ入力ファイルのファイル・リストにある最初のエントリでは、ワイルドカードを使用することはできません。最初のファイルは、キー・ファイルである必要があり、Recovery Managerによってアクセスできる必要があります。

プラグイン・バックアップ入力ファイルの作成後、このファイルをOracle_Home/backup_restore/plugin_configディレクトリに追加します。プラグイン・バックアップ入力ファイルの名前は、次の形式で指定する必要があります。

config_component_name_plugin.inp

次に例を示します。

config_rules_plugin.inp
config_oc4j_plugin.inp
config_ohs1_plugin.inp
プラグイン・バックアップ入力ファイルの有効化

Recovery Managerがプラグイン・バックアップ入力ファイルに指定されているファイルをバックアップするには、プラグイン・バックアップ入力ファイルを有効にする必要があります。enable_component_inpコマンドを実行すると、入力ファイルが有効になります。次の例は、このコマンドの構文を示しています。

UNIXの場合:

bkp_restore.sh [-d -s -v] -m enable_component_inp -y "component_name[, component_
name]…"

Windowsの場合:

bkp_restore.bat [-d -s -v] -m enable_component_inp -y "component_name[, component_
name]…"

コマンドと構文の詳細は、第16.4.2項を参照してください。

プラグイン入力ファイルを有効にしたら、リストア構成操作(restore_config)を実行する前に、新しいバックアップ構成操作(backup_config)を実行する必要があります。

15.2.4 推奨されるバックアップ計画

この項では、バックアップの実行に際し推奨される計画について説明します。この計画に従って、このマニュアルで説明するリカバリ手順を実行することができます。

15.3 リカバリ計画の概要

このマニュアルで使用するOracle Application Serverのリカバリ計画には、次の2つのタイプがあります。

データ損失、ホスト障害またはメディア障害に対するリカバリ計画(クリティカル)

これらの計画により、実データの損失などの重大な障害からのリカバリが可能になります。損失のタイプにもよりますが、次のファイル・タイプのどのような組合せでもリカバリできます。

すべてのケースで、これらの計画により、すべてのインストールにわたって一貫した状態が確保されます。

プロセスのクラッシュまたはシステムの停止に対するリカバリ計画(非クリティカル)

これらの計画により、停止または失敗したプロセスが再起動されます。データはリストアされません。このマニュアルでは、リカバリ計画の万全を期すために、これらについて説明しています。

15.4 OracleAS Recovery Managerとは

OracleAS Recovery Managerは、中間層の構成ファイルをバックアップおよびリカバリするために使用できるアプリケーションです。

OracleAS Recovery Managerは、Oracle Application Serverをインストールするときにデフォルトでインストールされます。このアプリケーションは、Oracle_Home/backup_restoreディレクトリにインストールされます。OracleAS Recovery Managerを手動でインストールする方法は、第16.2項を参照してください。

15.5 前提と制限

次の前提と制限は、このマニュアルに記載されているバックアップおよびリカバリ手順に適用されます。

15.6 バックアップとリカバリを初めて実行する場合の手引き

この項には、Oracle Application Serverのバックアップおよびリカバリを初めて実行する際の手引きが記載されています。

  1. OracleAS Recovery Managerを構成します。

    OracleAS Recovery Managerを構成し、その機能についての知識を習得することをお薦めします。

  2. バックアップ計画をインプリメントします。

    推奨されるバックアップ計画およびバックアップ手順の概要は、第17章「バックアップ計画と手順」を参照してください。このバックアップ計画に従って、このマニュアルに記述されているリカバリ手順を実行することができます。

  3. 必要に応じてリカバリを実行します。

    システム障害またはデータの損失が発生した場合は、第18章「リカバリ計画と手順」を参照してください。この章では、様々なタイプの障害について解説し、リカバリを実行する手順について説明します。


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