Oracle Application Server 管理者ガイド 10gリリース3(10.1.3.2.0) E05047-01 |
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この章では、Oracle Application Serverのバックアップおよびリカバリの概要について説明します。
この章の項目は次のとおりです。
この項では、Oracle Application Server環境のバックアップおよびリカバリに対する考え方について説明します。Oracle Application Server環境には、様々なコンポーネントや構成を含めることができます。どのコンポーネントと構成が要件に最も適しているかを判断するには、Oracle Application Serverのインストレーション・ガイドおよび『Oracle Application Server概要』を参照してください。
通常のOracle Application Server環境には、1つ以上の中間層インストールが含まれます。
Oracle Application Server環境内のインストールでは、構成情報、アプリケーションおよびデータの同期が保たれ、相互に依存します。たとえば、構成変更を実行すると、中間層インストールで構成ファイルの更新が必要な場合があります。あるアプリケーションをデプロイすると、すべての中間層インストールへのデプロイが必要な場合があります。
したがって、バックアップおよびリカバリを実行するときは、Oracle Application Server全体の環境を考慮することが重要になります。Oracle Application Server環境全体を一度にバックアップしてください。そうすれば、ファイルやデータなどが失われた場合でも、環境全体を一貫性のある状態にリストアできます。
バックアップおよびリカバリのためのファイル・タイプには、次のものがあります。
バイナリやライブラリなどの静的なファイルです。これらは、中間層のOracleホームに格納されます。これらは、インストール時に作成されます。
これらのファイルには、構成情報およびデプロイされたアプリケーションが含まれます。これらは、中間層のOracleホームに格納されます。これらは、インストール時または実行時に作成され、アプリケーション・サーバーの通常の操作中に更新されます。構成ファイルのタイプには、Oracle HTTP Server、OC4JおよびOPMNがあります。
これらのファイルは、/var/opt/oracle
または/etc
ディレクトリ、およびoraInventory
ディレクトリ内に格納されています。これらは、Oracle Application Server環境内の各ホスト上に存在します。これらは、通常Oracle Application Serverインストールの外部に格納されますが、oraInventory
ディレクトリは、Oracleホーム内に存在する場合があります。これらのファイルは、Oracle Universal Installerによってインストール時に作成または更新されるもので、インストールに関する情報を含んでいます。Windowsでは、インストーラによりレジストリの一部が作成されます。
このマニュアルで説明する計画および手順では、Oracle Application Server環境の一貫性を維持する方法で、これらの異なるタイプのファイルをバックアップおよびリカバリします。
この項では、このマニュアルで使用するバックアップ計画について説明します。この項の項目は次のとおりです。
Oracle Application Serverのバックアップ計画には、次の2つのタイプがあります。
Oracle Application Serverインスタンスのイメージのバックアップには、そのインスタンスのOracleホーム・ディレクトリ、OraInventoryディレクトリ、oratabファイル、そのノードのWindowsレジストリ、およびそのOracle Application Serverインスタンスのコールド・バックアップが含まれます。Oracleホーム・ディレクトリには、Oracle Application Serverインスタンスのすべてのバイナリ・ファイル、実行可能ファイル、初期化ファイル、構成ファイル、ログ・ファイルなどや、そのインスタンスのすべてのコンポーネントおよびデプロイされたアプリケーションが含まれます。OraInventoryディレクトリには、インスタンスのインストール情報があります。
Oracle Application Serverコンポーネントおよびデプロイされたアプリケーションの構成情報が含まれます。OracleAS Recovery Managerでは、バックアップ入力ファイルでそれぞれの構成された中間層コンポーネントに対して指定された構成ファイルのすべてのローカル・コピーがバックアップされます。
Oracle Application Serverコンポーネントごとにバックアップ入力ファイルがあり、そのコンポーネント用にバックアップが必要なすべての構成ファイルのリストが含まれています。コンポーネントがインストールされ構成されていると、バックアップ操作時にOracleAS Recovery Managerではコンポーネントのバックアップ入力ファイルを呼び出してバックアップするファイルを判断します。コンポーネント・バックアップ入力ファイルのファイル拡張子は.inp
であり、Oracle_Home
/backup_restore/config
ディレクトリに格納されます。表15-1は、このディレクトリに存在する場合があるコンポーネント・バックアップ入力ファイルを示します。
プラグイン・バックアップ入力ファイルを作成して、インストール後にファイルをバックアップに追加できます。各プラグイン・バックアップ入力ファイルはOracle Application ServerコンポーネントまたはOracleアプリケーションに属し、バックアップする追加ファイルのリストを含んでいます。
プラグイン・バックアップ入力ファイルに指定されているファイルのリストは、ローカルのOracleホーム・ディレクトリに存在する必要があります。リストされているファイルは、backup_config
コマンドの実行時にバックアップされます。これらのファイルのデータと、同じOracleホーム内のその他すべてのコンポーネント構成ファイルのデータとは相互に依存している場合があるため、Recovery Managerによってすべてのファイルが、リストア操作のために1つのJARアーカイブ・ファイルにまとめられます。プラグイン・ファイルの最初のファイルは、キー・ファイルである必要があり、Recovery Managerによってアクセスできる必要があります。最初のファイルを検索してバックアップできなかった場合は、バックアップ構成操作全体が終了し、エラー・メッセージがログに記録されます。
プラグイン・バックアップ入力ファイルのエントリ形式は次のとおりです。
バックアップに特定のファイルを指定するには、次のように指定します。
${ORACLE_HOME}/directorypath/filename
ディレクトリを指定するには、次のように指定します。
${ORACLE_HOME}/directorypath
ワイルドカードを使用するには、次のように指定します。
${ORACLE_HOME}/directorypath/*.conf
プラグイン・バックアップ入力ファイルのファイル・リストにある最初のエントリでは、ワイルドカードを使用することはできません。最初のファイルは、キー・ファイルである必要があり、Recovery Managerによってアクセスできる必要があります。
プラグイン・バックアップ入力ファイルの作成後、このファイルをOracle_Home
/backup_restore/plugin_config
ディレクトリに追加します。プラグイン・バックアップ入力ファイルの名前は、次の形式で指定する必要があります。
config_component_name_plugin.inp
次に例を示します。
config_rules_plugin.inp config_oc4j_plugin.inp config_ohs1_plugin.inp
Recovery Managerがプラグイン・バックアップ入力ファイルに指定されているファイルをバックアップするには、プラグイン・バックアップ入力ファイルを有効にする必要があります。enable_component_inp
コマンドを実行すると、入力ファイルが有効になります。次の例は、このコマンドの構文を示しています。
UNIXの場合:
bkp_restore.sh [-d -s -v] -m enable_component_inp -y "component_name[, component_ name] "
Windowsの場合:
bkp_restore.bat [-d -s -v] -m enable_component_inp -y "component_name[, component_ name] "
コマンドと構文の詳細は、第16.4.2項を参照してください。
プラグイン入力ファイルを有効にしたら、リストア構成操作(restore_config
)を実行する前に、新しいバックアップ構成操作(backup_config
)を実行する必要があります。
この項では、バックアップの実行に際し推奨される計画について説明します。この計画に従って、このマニュアルで説明するリカバリ手順を実行することができます。
Oracle Application Serverをインストールした直後に、Oracle Application Server環境の各ノードで完全なイメージのバックアップを実行する必要があります。このバックアップには、各ノードを初期状態にリストアするために必要なものがすべて含まれます。このバックアップは、以降のすべての実行時バックアップに対するベースラインとして機能します。
管理上の変更を実行するたびに、または(これが不可能な場合は)定期的に、Oracle Application Server環境のインスタンスのバックアップを実行してください。これにより、構成とアプリケーションを最後にバックアップした時点の一貫性のある状態に、環境をリストアすることができます。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまで、いずれのOracle Application Serverインスタンスの構成も変更しないでください。
Oracle Application Server環境に大きな変更を行う場合、新たに完全なイメージのバックアップを実行します。このバックアップは、以降のすべてのオンライン・バックアップに対するベースラインとして機能します。
次の処理の後に、新たに完全なイメージのバックアップを実行します。
アップグレードやパッチを取り消す場合、最後の完全なイメージのバックアップまで戻ります。その後、ソフトウェア・アップグレードやパッチとOracle Application Server環境の最後の完全なイメージのバックアップとの間で発生した、任意のインスタンス・バックアップを適用できます。イメージの前回の完全バックアップをリストアせずにインスタンスのバックアップをリストアすると、新たにアップグレードされた互換性のないソフトウェアと、古い構成ファイルが混在するおそれがあります。
Oracle Application Server環境の完全なイメージのバックアップを新たに作成した後、定期的なインスタンス・バックアップを続けて実行します。
そうすることにより、ポートレット・プロデューサで管理および格納されているカスタマイズ・データやパーソナライズ・データがバックアップされます。ポートレット・プロデューサのカスタマイズ・データやパーソナライズ・データをバックアップするユーティリティは、リモートのポートレット・プロデューサが実行されているノードで実行する必要があります。
このマニュアルで使用するOracle Application Serverのリカバリ計画には、次の2つのタイプがあります。
これらの計画により、実データの損失などの重大な障害からのリカバリが可能になります。損失のタイプにもよりますが、次のファイル・タイプのどのような組合せでもリカバリできます。
すべてのケースで、これらの計画により、すべてのインストールにわたって一貫した状態が確保されます。
これらの計画により、停止または失敗したプロセスが再起動されます。データはリストアされません。このマニュアルでは、リカバリ計画の万全を期すために、これらについて説明しています。
OracleAS Recovery Managerは、中間層の構成ファイルをバックアップおよびリカバリするために使用できるアプリケーションです。
OracleAS Recovery Managerは、Oracle Application Serverをインストールするときにデフォルトでインストールされます。このアプリケーションは、Oracle_Home
/backup_restore
ディレクトリにインストールされます。OracleAS Recovery Managerを手動でインストールする方法は、第16.2項を参照してください。
次の前提と制限は、このマニュアルに記載されているバックアップおよびリカバリ手順に適用されます。
Z:¥ASbackups
がバックアップ用にマップされたドライブである場合、構成ファイルおよびリポジトリのバックアップ・ディレクトリはZ:¥ASbackups
になります。
この項には、Oracle Application Serverのバックアップおよびリカバリを初めて実行する際の手引きが記載されています。
OracleAS Recovery Managerを構成し、その機能についての知識を習得することをお薦めします。
推奨されるバックアップ計画およびバックアップ手順の概要は、第17章「バックアップ計画と手順」を参照してください。このバックアップ計画に従って、このマニュアルに記述されているリカバリ手順を実行することができます。
システム障害またはデータの損失が発生した場合は、第18章「リカバリ計画と手順」を参照してください。この章では、様々なタイプの障害について解説し、リカバリを実行する手順について説明します。
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