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Oracle Sensor Edge Server ガイド
10g(10.1.3.1.0)

B31872-01
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2 Oracle Sensor Edge Serverの概要

Oracle Sensor Edge Serverは、センサーおよびその他のタイプのコマンドやレスポンス表示装置をアプリケーションと統合する中間層コンポーネントです。Oracle Sensor Edge Serverを使用すると、企業はセンサー・デバイスから受信した情報をITインフラストラクチャおよびビジネス・アプリケーションに統合することができます。

Oracle Sensor Edge Serverは、センサー・デバイスからイベント・データを受信した後、共通のデータ形式に変換し、フィルタリングして不要な情報を除外することにより、このデータを標準化します。イベント・データは、標準化されたイベント・メッセージとしてデータベース・アプリケーションに送信されます。

この章では、Oracle Sensor Edge Serverの概要を示します。この章の内容は次のとおりです。

リリース3(10.1.3)の新機能

この項では、Oracle Sensor Edge Server 10gリリース3(10.1.3)の新機能および拡張機能を要約して説明します。

リリース3(10.1.3)で追加された新機能および拡張機能は次のとおりです。

Oracle Sensor Edge Serverコンソール

Oracle Sensor Edge Serverの管理、監視、および構成は、新しいSensor Edge Serverコンソール(図2-1)を使用して実行します。コンソールに備わっているツールを使用すると、配置およびメンテナンスのコストを低減できます。コンソールを使用すると、次のことを実行できます。

次のような一般的な作業を実行できます。

Oracle Sensor Edge Mobile

Oracle Sensor Edge Mobileは、倉庫や工場内のモバイル・ワーカー向けに設計されたもので、Pocket PC 2003以上のプラットフォームで実行される携帯RFIDリーダー上で動作します。Sensor Edge MobileにはIntermecデバイスおよびSymbolデバイスのサポートが付属しており、ActiveXコンポーネントを介して制御できます。Sensor Edge Mobileは様々なタイプのセンサーおよびデバイスとのインタフェースとして機能し、測定イベントをアプリケーションに送信します。

Oracle Application Server Controlを使用した拡張管理

このリリースでは、Java Management Extensions(JMX)インタフェースがApplication Serverの管理コンソールと統合されたことで、アクセス可能性が拡大し、管理が容易になりました。Application Serverに統合された管理作業には、起動、停止、プロセス管理およびリカバリなどがあります。これらの拡張機能により、配置およびメンテナンスのコストを低減できます。

向上したパフォーマンス

多くのセンサー対応アプリケーションで要求されるリアルタイム・パフォーマンスを実現するには、スケーラビリティと待機時間が非常に重要な要素になります。このリリースのOracle Sensor Edge Serverでは、データベース・レイヤーとアプリケーション・サーバー・レイヤーを最適化することでスケーラビリティを向上させています。

拡張されたセンサー・データ・リポジトリ

このリリースでは、センサー・データ・リポジトリ(SDR)は、EPCおよびセンサー・データを格納するように設計されています。データベース・スキーマは、Sensor Edge Serverからのステータス情報と診断情報を格納し、センサー・データの単一リポジトリとして機能します。

SDRは、Oracle Sensor Edge Serverから取得されたセンサー・イベント(RFID、温度、場所など)がアーカイブされるデータベース・スキーマです。イベントはSDRに格納されるまでに標準化されるため、レポート作成などのビジネス・インテリジェンスが容易になります。Oracle Sensor Edge Serverでイベント・データの格納やイベント・アーカイブの問合せに使用できるように、SDRを有効化し、構成することができます。通常は、複数のSensor Edge Serverが1つのSDRを共有できます。

SDRには、センサー・イベント・データの格納と取得を簡易化するためのデータベース表、ビューおよびPL/SQLパッケージのセットが備わっています。

センサー・データ・ストリーム

Oracle Sensor Edge Serverはディスパッチャと呼ばれるプラグインに基づいて、アプリケーションおよびイベント配信システムとの通信を行います。Streamsディスパッチャは、Oracle Streamsのテクノロジを使用してイベントを送受信するプラグインです。

EPCコンプライアンス統合

このリリースには、以前は別途提供されていたEPCコンプライアンス機能が含まれています。この機能によって、顧客はEPCの最小要件に簡単に準拠できます。また、エンタープライズ全体にわたって適用できる非常にスケーラブルなインフラストラクチャが提供されます。

トランスポート・レイヤー

トランスポート・レイヤーにより、Oracle Sensor Edge Serverアプリケーションの開発およびメンテナンスが簡単になります。トランスポート・レイヤーにより、デバイスの実装およびアップグレードを簡易化する拡張可能な開発プラットフォームが提供されます。また、トランスポート・レイヤーによりプラットフォーム依存性が解決されるため、複数のオペレーティング・システムでデバイス・ドライバを使用することができます。

拡張されたセキュリティ

Oracle Sensor Edge Serverでは、Java Naming and Directory Interface(JNDI)を使用することでセキュリティを拡張しています。JNDIにより、アプリケーションをディレクトリ固有のセキュリティ・システムと組み合せて使用することができます。

デバイス・コントローラの廃止

デバイス・コントローラは不要になったため、このリリースのOracle Sensor Edge Serverでは削除されました。これまでデバイス・コントローラを使用していた次のデバイスは、デバイス・コントローラなしで動作できるようになります。

Oracle Sensor Edge Serverの概略

Oracle Sensor Edge Serverは、情報インフラストラクチャと統合されたセンサーのパフォーマンスの管理および監視を行います。Sensor Edge Serverは、センサー情報の収集とフィルタリングを行い、ローカルなセンサー・イベント処理を実行します。Oracle Sensor Edge Serverは、中央のアプリケーションおよびデータベースにセキュアかつ信頼性の高い方法でイベント・データをディスパッチして戻します。

たとえば、RFIDリーダーは、電子シリアル番号(ESN)またはメモリーが埋め込まれた小型のトランスポンダを使用して、1つ以上の周波数でIDを発信します。トランスポンダは、他の情報を自身のメモリーに格納でき、見通し内で接続されていなくても、離れた場所からの読取りまたは書込みが可能です。Oracle Sensor Edge Serverはすべてのリーダーとのインタフェースとして機能し、標準化されたデータをアプリケーション・サーバーに戻します。

Oracle Sensor Edge Serverには次の機能が備わっています。

センサー・データの収集

Oracle Sensor Edge Serverには、Radio Frequency Identification(RFID)リーダー、プリンタ、温度、運動、気圧、場所などのセンサー・ソースや、積層表示灯、メッセージ・ボード、サウンド・システムなどのレスポンス・デバイスと統合される拡張可能なドライバ・アーキテクチャが備わっています。また、Sensor Edge Serverアーキテクチャへのプラグインとして機能するカスタム・コンポーネントも実装できます。標準のドライバ・インタフェースをSensor Edge Serverに実装したり、Sensor Edge Server構成インタフェースを介してセンサー・ハードウェアのカスタム機能を公開することができます。

センサー・データのフィルタリング

Sensor Edge Serverに接続されたセンサーからのデータ・ストリーミングは多様な形式で受信され、不要な情報や冗長な情報も含まれます。Sensor Edge Serverは、センサー・データがエンタープライズ・アプリケーションに渡される前に、各センサーおよびセンサー・グループからデータをフィルタリングすることで、データ・クレンジングを実行します。このプロセスにより、センサー・データは一貫した形式に標準化されます。センサーのグループは、フィルタリング目的で1つの論理エンティティとして処理することができます。

センサー・データのディスパッチ

ディスパッチャは、アプリケーションとの双方向通信を可能にするプラグインです。Oracle Sensor Edge Serverの主要な出力は、フィルタリングされたデータ・イベントです。これらのデータ・イベントは、最小化および標準化された形式で提供されます。データ・イベントは、サポートされている即時利用可能な方法の1つを使用して配信できます。

センサー・データ・アーカイブおよびルール

データのフィルタリングおよびディスパッチが完了すると、Oracle Sensor Edge ServerはOracle 10gデータベースを使用してセンサー・データのアーカイブを実行します。Sensor Edge Serverを介して取り込まれたセンサー・データを格納するために調整したセンサー・データ・スキーマを使用できます。このアーカイブにより、エンタープライズ全体でセンサー・データを一様に格納でき、データ分析用のリポジトリが提供されます。

Sensor Serverとデバイス管理

Oracle Sensor Edge Serverでは、センサー・インフラストラクチャのメンテナンス・コストを削減するため、1つの中央の場所からデバイスの管理と監視を行います。

Sensor Edge Mobile

Oracle Sensor Edge Mobileは、RFIDリーダーやバーコード・リーダーなどの携帯情報端末上で動作するPocket PCアプリケーションです。Sensor Edge Mobileは様々なタイプのセンサーおよびデバイスとのインタフェースとして機能し、測定イベントをアプリケーションに送信します。詳細は、「Oracle Sensor Edge Mobileのアーキテクチャ」を参照してください。

SESコンソール

Oracle Sensor Edge Serverの管理、構成および監視は、SESコンソールを使用して実行します。詳細は、「Oracle Sensor Edge Serverコンソール」を参照してください。

Oracle Sensor Edge Serverのアーキテクチャ

この項では、Oracle Sensor Edge Serverアーキテクチャの主要な部分について説明します。Oracle Sensor Edge Serverアーキテクチャの概要を図2-2に示します。

図2-2    Oracle Sensor Edge Serverのアーキテクチャ


画像の説明

デバイス・ドライバ

デバイス・ドライバはセンサーと通信し、着信データを標準の形式に標準化します。デバイス・ドライバは、ニーズに合せてカスタマイズまたは構築できます。

デバイス・グループ

デバイス・グループを使用すると、管理者はデバイスを論理的にグループ化し、より効率的にデバイスを管理できます。1つのOracle Sensor Edge Serverに対して、1つまたは多数のデバイス・グループをインスタンス化できます。各デバイス・グループには、その管理対象となるデバイス・ドライバが割り当てられます。

ローカル処理

ローカル処理(フィルタおよびルール)では、不要なイベントや下位のイベントが削除されます。フィルタおよびルールは、着信データをソートするために使用できます。各デバイスに適用することも、デバイス・グループに適用することもできます。

イベント・プロセッサ

イベント・プロセッサは、イベント配信用の中央処理エンジンです。イベント・プロセッサによって、(起動時の)ドライバ・マネージャやイベント・ディスパッチャなど、残りのコンポーネントがロードされます。内部では、ロードするイベント・ディスパッチャを確認するために構成が読み取られます。プロセスは起動時に開始されます。

ドライバ・マネージャ

ドライバ・マネージャは、デバイス・グループとデバイス・ドライバのライフ・サイクルをロードおよび管理します。1つのOracle Sensor Edge Serverにつきドライバ・マネージャのインスタンスは1つのみです。ドライバ・マネージャは、デバイス・ドライバが構成情報を取得できるように、アクセス可能なコンテキストをデバイス・ドライバに提供します。次にデバイス・グループをロードし、デバイス・ドライバにデバイス・グループをバインドします。ドライバ・マネージャは内部でスレッドを保持しませんが、サーバーが動作している間は、イベント・プロセッサ・インスタンスによりドライバ・マネージャのインスタンスが保持されます。

1つのOracle Sensor Edge Serverにつき、イベント・プロセッサとドライバ・マネージャはそれぞれ1つずつです。各ドライバ・マネージャは多数のデバイス・グループをロードします。また、各デバイス・グループは任意の数のデバイス・ドライバを持つことができます。ただし、1つのデバイス・ドライバは1つのデバイス・グループにのみ属することができます。

Oracle Sensor Edge Mobileのアーキテクチャ

Oracle Sensor Edge Mobileは、デバイスのモバイル・センサー・データ収集を管理し、デバイス上で実行されているアプリケーションと通信したり、デバイスのブラウザを介してリモート通信を行うプラットフォームです。通信は双方向です。イベントはプラットフォームを介してデバイスからアプリケーションに渡され、命令はプラットフォームを介してアプリケーションからハードウェア・デバイス・ドライバに渡されます。

Oracle Sensor Edge Mobileのアーキテクチャの概要を図2-3に示します。Sensor Edge Mobileは、完全に携帯情報端末上で稼働し、他のアプリケーションや外部のサービスと通信できます。また、完全にオフラインで実行して、データを収集し、後でこのデータをアプリケーションと同期化することもできます。

図2-3    Sensor Edge Mobileのアーキテクチャの概要


Oracle Sensor Edge Mobileプラットフォームをよく見ると、デバイス・ドライバにより収集された測定値は、いったん内部キューに格納されてから、ディスパッチャにより処理されることがわかります。Sensor Edge Mobileのコンポーネントを図2-4に示します。

図2-4    Sensor Edge Mobileのコンポーネント


ディスパッチャは、ローカルのActiveXコントロールを使用して、文字をキーボード・バッファに送信することにより(またはその他ほとんどあらゆる通信方法によって)、アプリケーションと通信します。同時にアクティブにできるディスパッチャは1つのみですが、そのディスパッチャは複数のクライアント・デバイスおよび対応するドライバと同時に通信できます。

Sensor Edge Mobileのコア・コンポーネントは、ドライバ・マネージャ、イベント・マネージャおよび構成マネージャです。これらのコンポーネントが起動されると、メイン・サービスによって構成マネージャが呼び出され、構成ファイルが読み取られます。次に構成済のディスパッチャが起動され、指定されている構成パラメータが渡されます。

ドライバ・マネージャは、ドライバをロードし、そのライフサイクルを管理します。ドライバ・マネージャは構成マネージャを呼び出して、ロードする必要のあるドライバと、インスタンス化時にドライバに対して使用可能にするパラメータを判別します。次に、それらのドライバをロードしてインスタンス化します。

Oracle Sensor Edge Mobileには、イベント・マネージャとドライバ・マネージャが1つずつのみ存在します。ドライバ・マネージャは多数のドライバをロードできます。

デバイス・ドライバのサポート

Oracle Sensor Edge Mobileでは、Symbol 9000-Gデバイスでの次の操作がサポートされています。

Oracle Sensor Edge Mobileでは、Color 700 Pocket PCを使用するIntermec IP3での次の操作がサポートされています。

Oracle Sensor Edge Mobileの管理

Oracle Sensor Edge Mobileは、Oracle Sensor Edge ServerのWebインタフェースを介して管理できます。次の管理作業を実行できます。

サンプル・コードおよびデモ・アプリケーション

Oracle Sensor Edge Mobileには、次の例が示されたサンプルのHTMLおよびJavaScriptコードが含まれています。

サンプル・コードは、APIの使用方法を示し、インストールおよび構成の直後にOracle Sensor Edge Mobileを実行する方法を示しています。

配置に関する考慮事項

Oracleのセンサー・サービス・アーキテクチャは、工業のサプライ・チェーン環境や、商用アプリケーションと政府機関アプリケーション用の特殊なマルチセンサー環境において直面する問題に対処するものです。これらの多様なニーズに応えるため、オラクル社はデュアル・エッジの配置構成を提供しています。各エッジが固有のフットプリントを持ち、集中型と連合型のいずれのサイト配置シナリオもサポートできる柔軟性が備わっています。

配置またはパイロットに選択する構成を決定する際は、次の点を考慮すると効果的です。

ネットワーク特性の確認

配置を計画する際は、まず、施設内のネットワーク帯域幅と、他の配信センターおよびデータ・センターへのイントラネット接続を特定します。通常は、次の点について考慮します。

データ・センター環境の特定

通常は、データ・センターに関して次の点を考慮します。

リーダーおよびセンサーの場所の確認

たとえば、RFIDデバイスを配置する際、通常は、顧客側の制約(積上げと梱包の場所、搬送ラインなど)と、RFサーベイにより示されたRFIDハードウェアが最小の干渉で最も効率的に機能する場所との間で得失評価を行う必要があります。

また、リーダーおよびセンサー・デバイスの接続要件(シリアル、ワイヤレス、ダイレクト・イーサネットなど)を特定する必要もあります。

Edge Serverの場所の選択

前述の項目を特定した後、データ・センターごとにOracle Sensor Edge Serverの設置場所を設計して文書化します。Edge Serverの数および設置場所は通常、次の要素によって決定されます。

Oracle Sensor Edge Serverおよびセンサー・データ・リポジトリの考慮事項

ウェアハウスまたは配信センターにサーバー室が存在し、サポート・スタッフがいる場合は、センサー・データ・リポジトリ(SDR)インフラストラクチャをローカルに使用可能にすることを考慮します。SDRインフラストラクチャをローカルに使用可能にすると、業務上の複雑な意思決定をローカルに行ってリアルタイムで実施する必要がある場合、応答時間を短縮することができます。Oracle Sensor Edge Serverにはデータ取得およびフィルタリングの機能が豊富に備わっていますが、ウェアハウスまたは配信センターにおける設置面積は小さくて済みます。SDRの詳細は、第4章「センサー・データ・リポジトリの使用」を参照してください。

また、ウェアハウスから中央のデータ・センターへのネットワーク接続が最小限しかない場合は、待機時間によって、スキャンされたデータに対してアラートや意思決定を実施できないことがあります。このような場合にも、SDRインフラストラクチャをローカルに使用可能にする必要があります。

通常、トランザクションを他のデータ・センターまたは中央のデータ・センターと同期化するため、データベース・レベルでレプリケーションを実装します。

ほとんどの顧客は、データベースおよびアプリケーション・サーバーを中央のデータ・センターに設置します。このシナリオでは、ウェアハウスまたは配信センターにはサポート・スタッフは少人数しかいないか、あるいはまったくいません。ウェアハウスにはSensor Edge Serverのみが設置され、データベースおよびアプリケーション・サーバーの機能を備えた中央データ・センターへの接続があります。

集中型構成においてはネットワーク帯域幅が重要であるため、フィルタリング済データに対して処理を実行する場合は、この帯域幅を重視する必要があります。データ・フィルタリング、例外、および基本的なトリガーはローカルに実行できます。ローカル・ウェアハウス・システムから返されたリモート・インスタンスおよび意思決定に対しては、複雑なルール・セット、製品相関、および交差型の問合せをすべて実行することができます。

制御システムの統合が必要な場合は、ローカル処理フィルタまたはSDRをローカルに設置して、ウェアハウスの自動操作に必要な機能およびパフォーマンスをローカルに提供する必要があります。


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