Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成

第 14 章 Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成

この章では、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成方法について説明し ます。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for Siebel の概要

この節で説明する手順を使用して、Siebel アプリケーションを高可用性にする方法を理解してください。

Sun Cluster HA for Siebel は、Siebel アプリケーションに障害監視機能と自動フェイルオーバー機能を提供します。高可用性機能は、Siebel ゲートウェイおよび Siebel サーバーに提供されます。Siebel の実装により、Sun Cluster エージェントを実行するすべての物理ノードでは、Resonate エージェントを実行できなくなります。Resonate と Sun Cluster は同じ Siebel エンタープライズ内に共存できますが、同じ物理サーバー内には共存できません。

フェイルオーバーサービスの概念情報については、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。

表 14–1 Siebel コンポーネントの保護

Siebel コンポーネント 

SAP コンポーネントを保護するデータサービス 

Siebel ゲートウェイ 

Sun Cluster HA for Siebel 

リソースタイプは、SUNW.sblgtwy

Siebel サーバー 

 

Sun Cluster HA for Siebel 

リソースタイプは、SUNW.sblsrvr

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成

表 14–2 は、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成のための作業を示しています。ここに示されている順に作業を実行してください。

表 14–2 作業マップ: Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成

作業 

参照先 

Siebel のインストールの計画 

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成の計画

ノードとディスクの準備 

ノードの準備

Siebel のインストールと構成 

Siebel ゲートウェイの広域ファイルシステムへのインストール

Siebel ゲートウェイの物理ホストのローカルディスクへのインストール

Siebel サーバーと Siebel データベースの広域ファイルシステムへのインストール

Siebel サーバーと Siebel データベースの物理ホストのローカルディスクへのインストール

Siebel のインストールと構成の確認 

Siebel のインストールと構成の確認

Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール 

Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール

Sun Cluster HA for Siebel をフェイルオーバーデータサービスとして登録および構成 

Sun Cluster HA for Siebel の登録と構成 (フェイルオーバーデータサービス)

Siebel サーバーの登録と構成

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成の確認 

Sun Cluster HA for Siebel のインストールの構成を確認

Sun Cluster HA for Siebel の維持 

Sun Cluster HA for Siebel の維持

Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターの理解 

Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターとは

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成の計画

この節では、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成の計画に必要な情報について説明します。

構成上の制約事項


注意 – 注意 –

これらの制約事項を守らなければ、データサービスの構成がサポートされない可能性があります。


この節で説明する制約事項を使用して、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成を計画します。この節では、Sun Cluster HA for Siebel に適用されるソフトウェアおよびハードウェアの構成上の制約について説明します。

すべてのデータサービスに適用される制約事項については、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって』を参照してください。

構成要件


注意 – 注意 –

これらの要件を厳守しなければ、データサービスの構成がサポートされない可能性があります。


この節で説明する要件を使用して、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成を計画します。これらの要件は、Sun Cluster HA for Siebel のみに適用されます。Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成を行う前に、これらの要件を満たす必要があります。

すべてのデータサービスに適用される要件については、データサービス固有の要件の識別を参照してください。

標準のデータサービス構成

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成を計画するときは、この節で説明する標準構成を使用します。Sun Cluster HA for Siebel は、この節で説明する標準構成をサポートしています。Sun Cluster HA for Siebel は、このほかの構成もサポートします。サポートされるほかの構成については、Sun サービスのプロバイダにお問い合わせください。

標準のデータサービス構成 は、Sun Cluster HA for Siebel を使用した場合の可能な構成を示しています。Siebel サーバーおよび Siebel ゲートウェイは、フェイルオーバーデータサービスとして構成されます。

図 14–1 標準の Siebel 構成

図中の説明: 前述のコンテキストはこの図を説明しています。

構成計画の確認事項

この節で説明する確認事項を使用して、Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成を計画します。これらの確認事項に対する答えを、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって』のデータサービスワークシートに記入します。

ノードおよびディスクの準備

この節では、ノードおよびディスクを準備する手順について説明します。

ノードの準備

次の手順を使用して、Siebel ソフトウェアのインストールと構成用にノードを準備してください。

    すべてのノードでスーパーユーザーになります。

    /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに Sun Cluster HA for Siebel の起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Siebel が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。


    group:
    group: files [NOTFOUND=return] nis
    group: files [NOTFOUND=return] nisplus
    

    Sun Cluster HA for Siebel は、サービスの起動、停止、および検証に su — user コマンドを使用します。

    クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用できない場合には、そのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。

    Siebel 管理者のホームディレクトリを用意します。

    各ノードで、Siebel 管理者グループのエントリを /etc/group ファイルに作成し、グループへの登録が必要なユーザーをグループに追加します。


    ヒント –

    次の例では、Siebel 管理者グループの名前は siebel です。


    グループ ID が Sun Cluster HA for Siebel を実行するすべてのノードで同じであるかを確認します。


    # siebel:*:521:siebel
    

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/inet/hosts ファイルにも追加します。

    各ノードで、Siebel 管理者のエントリを作成します。


    ヒント –

    次の例では、Siebel 管理者の名前は siebel です。


    次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Siebel 管理者のエントリで更新します。


    # useradd -u 121 -g siebel -s /bin/ksh -d /Siebel-home siebel
    

    Siebel ユーザーエントリが、Sun Cluster HA for Siebel が動作するすべてのノードで同じであることを確認してください。

    Siebel 管理者のデフォルトの環境に、Siebel データベースにアクセスするための設定が含まれていることを確認します。Siebel データベースが Oracle の場合、次のエントリが.profile ファイルに含まれている必要があります。


    export ORACLE_HOME=/global/oracle/OraHome
    export PATH=$PATH:$ORACLE_HOME/bin
    export LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib:/usr/lib
    
    export TNS_ADMIN=$ORACLE_HOME/network/admin
    export ORACLE_SID=siebeldb
    

    論理ホスト名リソースおよび Siebel ゲートウェイリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g failover-rg [-h nodelist]
    

    論理ホスト名リソースを追加します。

    論理ホスト名が、Siebel ゲートウェイの siebenv.sh ファイルに設定されている SIEBEL_GATEWAY 環境変数の値および Siebel サーバーインストールと一致していることを確認します。


    # scrgadm -a -L -g failover-rg -l logical_hostname
    

    リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g failover-rg
    

    必須の各論理ホスト名に対して、手順 7 から 手順 9 までを繰り返します。

Siebel アプリケーションのインストールと構成

この節では、Siebel アプリケーションのインストールと構成手順について説明します。Siebel アプリケーションをインストールするには、Siebel ゲートウェイ、Siebel サーバー、およびSiebel データベースをインストールする必要があります。

Siebel アプリケーションをインストールするには、構成に関する次の情報が必要です。

Siebel アプリケーションをインストールするには、次の節を参照してください。

Siebel ゲートウェイのインストール

Siebel ゲートウェイは、広域ファイルシステムまたは物理ホストのローカルディスクにインストールできます。Siebel ゲートウェイをインストールするには、次の手順のいずれかを参照してください。

Siebel ゲートウェイの広域ファイルシステムへのインストール

次の手順を使用して、Siebel ゲートウェイを広域ファイルシステムにインストールします。Siebel ゲートウェイを物理ホストのローカルディスクにインストールする場合は、Siebel ゲートウェイの物理ホストのローカルディスクへのインストールを参照してください。

Siebel ゲートウェイを広域ファイルシステムにインストールする場合は、クラスタの任意のノードから Siebel ソフトウェアのインストールを 1 回のみ実行します。

  1. Siebel のインストールマニュアルおよび最新のリリースノートの説明に従って、Siebel ゲートウェイをインストールします。

    Autostart 機能は使用しないでください。このパラメータに関するプロンプトが表示されたなら、Autostart=NO で構成してください。

  2. siebenv.sh ファイルが gateway_root 下にあり、Siebel ゲートウェイを起動するユーザーが所有者であることを確認します。

  3. SIEBEL_GATEWAY を論理ホスト名に変更します。この論理ホスト名は、gateway_root 下にある siebenv.sh および siebenv.csh ファイル内で Siebel ゲートウェイ用に指定されている名前です。

  4. Siebel ゲートウェイを停止し、再起動して、ゲートウェイがその論理ホスト名を使用していることを確認します。

Siebel ゲートウェイの物理ホストのローカルディスクへのインストール

次の手順を使用して、Siebel ゲートウェイを物理ホストのローカルディスクにインストールします。Siebel ゲートウェイを広域ファイルシステムにインストールする場合は、Siebel ゲートウェイの広域ファイルシステムへのインストールを参照してください。


注 –

Siebel ゲートウェイを物理ホストのローカルディスクにインストールするには、ディレクトリ gateway_root/sys が高可用性でなければなりません (つまり、広域ファイルシステムにインストールされている必要があります)。


  1. Siebel のインストールマニュアルおよび最新のリリースノートの説明に従って、Siebel ゲートウェイをクラスタ内の 1 つのノードにインストールします。

    Autostart 機能は使用しないでください。このパラメータに関するプロンプトが表示されたなら、Autostart=NO で構成してください。

  2. siebenv.sh ファイルが gateway_root 下にあり、Siebel ゲートウェイを起動するユーザーが所有者であることを確認します。

  3. SIEBEL_GATEWAY を論理ホスト名に変更します。この論理ホスト名は、gateway_root 下にある siebenv.sh および siebenv.csh ファイル内でゲートウェイ用に指定されている名前です。

  4. Siebel ゲートウェイを停止し、再起動して、ゲートウェイがその論理ホスト名を使用していることを確認します。

  5. gateway_root/sys を /global/siebel/sys に移動して、広域ファイルシステムへのリンクをローカルファイルシステムから作成します。


    # mv gateway_root/sys /global/siebel/sys
    # ln -s /global/siebel/sys gateway_root/sys
    
  6. クラスタ内の残りすべてのノードにインストールを複製します。


    # rdist -c gateway_root hostname:gateway_root
    
  7. Siebel ゲートウェイインストールで、ファイルとディレクトリの所有権およびアクセス許可が、クラスタのすべてのノードで同じであることを確認します。

  8. クラスタ内の各ノードに対して、リンクの所有権を適切な Siebel ユーザーに変更します。


    # chown -h siebel:siebel gateway_root/sys
    
  9. Siebel ユーザーになって、ゲートウェイが正常にインストールされ、構成されていることを確認します。以下のコマンドがバージョン文字列を返すことを確認します。


    # srvredit -q -g SIEBEL_GATEWAY -e none -z -c '$Gateway.VersionString'
    

Siebel サーバーと Siebel データベースのインストール

Siebel サーバーは、広域ファイルシステムまたは物理ホストのローカルディスクにインストールできます。Siebel サーバーをインストールし、Siebel サーバーと Siebel データベースを構成するには、次の手順のいずれかを参照してください。

Siebel サーバーと Siebel データベースの広域ファイルシステムへのインストール

次の手順を使用して、広域ファイルシステムに Siebel サーバーをインストールして、Siebel サーバーと Siebel データベースを構成します。Siebel サーバーを物理ホストのローカルディスクにインストールする場合は、Siebel サーバーと Siebel データベースの物理ホストのローカルディスクへのインストールを参照してください。

Siebel サーバーを広域ファイルシステムにインストールする場合は、クラスタの任意のノードからソフトウェアのインストールを 1 回のみ実行します。

  1. Siebel のインストールマニュアルおよび最新のリリースノートの説明に従って、Siebel サーバーをインストールします。

    Autostart 機能は使用しないでください。このパラメータに関するプロンプトが表示されたなら、Autostart=NO で構成してください。

    ゲートウェイホスト名を問い合わせるプロンプトが表示されたなら、Siebel ゲートウェイの論理ホスト名を入力してください。

  2. siebenv.sh ファイルが server_root 下にあり、Siebel サーバーを起動するユーザーが所有者であることを確認します。

  3. HA Oracle などのデータベースが Siebel 用に構成されており、そのデータベースがオンラインであることを確認します。

  4. Siebel のマニュアルを使用して、Siebel データベースの構成と生成を行います。

    ODBC データソースを作成する場合は (dbsrvr_config.ksh スクリプトを使用)、名前を siebsrvr_siebel_enterprise にします。

  5. Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターが使用するデータベースに対する接続許可を持つデータベースユーザー (たとえば、dbuser/dbpassword) を作成します。

  6. Siebel サーバーを起動するユーザーでログインし、手動で Siebel サーバーを起動します。

  7. srvrmgr を実行して、HOST パラメータを Siebel サーバーの論理ホスト名に変更します。


    # srvrmgr:hasiebel> change param Host=logical-hostname for server hasiebel
    

    注 –

    この変更は、Siebel サーバーが Sun Cluster の制御下で起動された場合に有効になります。


Siebel サーバーと Siebel データベースの物理ホストのローカルディスクへのインストール

次の手順を使用して、物理ホストのローカルディスクに Siebel サーバーをインストールして、Siebel サーバーと Siebel データベースを構成します。Siebel サーバーを広域ファイルシステムにインストールする場合は、Siebel サーバーと Siebel データベースの広域ファイルシステムへのインストールを参照してください。

Siebel サーバーを物理ホストのローカルディスクにインストールする場合は、クラスタ内の 1 つのノードにインストールします。

  1. Siebel のインストールマニュアルおよび最新のリリースノートの説明に従って、Siebel サーバーをインストールします。

    Autostart 機能は使用しないでください。このパラメータに関するプロンプトが表示されたなら、Autostart=NO で構成してください。

    ゲートウェイホスト名を問い合わせるプロンプトが表示されたなら、Siebel ゲートウェイの論理ホスト名を入力してください。

  2. siebenv.sh ファイルが server_root 下にあり、Siebel サーバーを起動するユーザーが所有者であることを確認してます。

  3. HA Oracle などのデータベースが Siebel 用に構成されており、そのデータベースがオンラインであることを確認します。

  4. Siebel のマニュアルを使用して、Siebel データベースの構成と生成を行います。

    ODBC データソースを作成する場合は(dbsrvr_config.ksh スクリプトを使用)、名前を siebsrvr_siebel_enterprise にします。

  5. Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターが使用するデータベースに対する接続許可を持つデータベースユーザー (たとえば、dbuser/dbpassword) を作成します。

  6. Siebel サーバーを起動するユーザーでログインし、手動で Siebel サーバーを起動します。

  7. srvrmgr を実行して、HOST パラメータを Siebel サーバーの論理ホスト名に変更します。


    srvrmgr:hasiebel> change param Host=logical-hostname for server hasiebel
    

    注 –

    この変更は、Siebel サーバーが Sun Cluster の制御下で起動された場合に有効になります。


  8. クラスタ内の残りすべてのノードにインストールを複製します。


    # rdist -c server_root hostname:server_root
    
  9. Siebel ゲートウェイインストールのファイルとディレクトリの所有権およびアクセス許可が、クラスタのすべてのノードで同じであることを確認します。

Siebel のインストールと構成の確認

この節では、Siebel のインストールと構成を確認する手順について説明します。

Siebel のインストールと構成の確認

次の手順を使用して、Siebel ゲートウェイ、Siebel サーバー、および Siebel データベースのインストールと構成を確認します。この手順では、まだデータサービスをインストールしていないため、アプリケーションが高可用性であることの確認は行いません。

  1. オンラインにするリソースのノード上で、論理ホスト名がオンラインになっていることを確認します。

  2. Siebel ゲートウェイを起動するユーザーでログインし、手動で Siebel ゲートウェイを起動します。

  3. Siebel サーバーを起動するユーザーでログインし、手動で Siebel サーバーを起動します。

  4. odbcsql を使用して、Siebel データベースに対する接続性を確認します。


    # odbcsql /s siebsrvr_siebel_enterprise /u dbuser /p dbpassword
    
  5. srvrmgrlist servers サブコマンドを実行します。

    Siebel サーバーの HOST_NAME パラメータは、物理ホスト名を表示します。Siebel サーバーを高可用性になるように構成した後、HOST_NAME パラメータは Siebel サーバーの論理ホスト名を表示します。

  6. Siebel 専用のクライアントおよびサポートされるシンクライアント (ブラウザ) を使用して、営業やコールセンターなどさまざまな Siebel ユーザーセッションを検査します。

  7. Siebel サーバーを起動したユーザーでログインし、手動で Siebel サーバーを停止します。

  8. Siebel ゲートウェイを起動したユーザーでログインし、手動で Siebel ゲートウェイを停止します。

Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール

この節では、Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール手順について説明します。

Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール

次の手順を使用して、Sun Cluster HA for Siebel パッケージをインストールします。この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。この手順では、Sun Cluster の初期インストール時にデータサービスパッケージがインストールされていないことを前提としています。

  1. Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入します。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Cluster Agents CD-ROM のパスを指定します。

    このユーティリティーには、この CD-ROM は “data services cd” と示されます。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. ドライブから CD-ROM を取り出します。

Sun Cluster HA for Siebel の登録と構成

この節では、Sun Cluster HA for Siebel を構成する手順について説明します。

Sun Cluster HA for Siebel 拡張プロパティ

表 14–3表 14–4 の拡張プロパティを使用して、リソースを作成します。リソースを作成するときは、コマンド scrgadm -x parameter-value を使用して、拡張プロパティを構成します。すでにリソースを作成してある場合は、第 15 章「データサービスリソースの管理」 の手順を使用して拡張プロパティを構成してください。拡張プロパティの中には動的に変更できるものもありますが、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整」の欄には、そのプロパティをいつ変更できるかが示されています。Sun Cluster の全プロパティの詳細は、付録 A を参照してください。

Sun Cluster HA for Siebel の登録と構成 (フェイルオーバーデータサービス)

次の手順を使用して、Sun Cluster HA for Siebel をフェイルオーバーデータサービスとして構成します。この手順では、Sun Cluster の初期インストール時にデータサービスパッケージがインストール 済みであることを前提としています。Sun Cluster の初期インストール時に Sun Cluster HA for Siebel パッケージをインストールしていない場合は、Sun Cluster HA for Siebel パッケージのインストール に進み、データサービスパッケージをインストールしてください。それ以外の場合は、この手順を使用して Sun Cluster HA for Siebel を構成します。

  1. アプリケーションサーバーを格納するクラスタノードの 1 つでスーパーユーザーになります。

  2. Siebel ゲートウェイのリソースタイプを追加します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sblgtwy
    
  3. 論理ホスト名リソースおよび Siebel ゲートウェイリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    注 –

    リソースグループが作成済みの場合は、論理ホスト名リソースを追加し、ノードの準備 の手順を完了した後でリソースグループをオンラインにします。手順 6 に進みます。



    # scrgadm -a -g gateway-rg [-h nodelist]
    
  4. 論理ホスト名リソースを追加します。

    論理ホスト名が、Siebel ゲートウェイの siebenv.sh ファイルに設定されている SIEBEL_GATEWAY 環境変数の値および Siebel サーバーインストールと一致していることを確認します。


    # scrgadm -a -L -g gateway-rg -l logical_hostname
    
  5. リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g gateway-rg
    
  6. siebenv.sh ファイルが gateway_root 下にあることを確認します。

    Siebel ゲートウェイリソースがオンラインのとき、このファイルの所有者が Siebel ゲートウェイサーバーを起動します。

  7. Siebel ゲートウェイリソースを作成します。


    # scrgadm -a -j sblgtwy-rs -g gateway-rg \
    -t SUNW.sblgtwy  \
    -x Confdir_list=gateway_root
    
  8. Siebel ゲートウェイリソースを有効にします。


    # scswitch -e -j sblgtwy-rs
    
  9. scstat —g および ps —ef を使用して、Siebel リソースグループと Siebel ゲートウェイリソースがオンラインであることを確認します。

Siebel サーバーの登録と構成

  1. Siebel サーバーのリソースタイプを追加します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sblsrvr
    
  2. 論理ホスト名リソースおよび Siebel サーバーリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    注 –

    リソースグループが作成済みの場合は、論理ホスト名リソースを追加し、ノードの準備 の手順を完了した後でリソースグループをオンラインにします。手順 5 に進みます。



    # scrgadm -a -g siebel-rg [-h nodelist]
    
  3. 論理ホスト名リソースを追加します。

    この論理ホスト名は、Siebel サーバーの HOST_NAME パラメータの値と一致します。


    # scrgadm -a -L -g siebel-rg -l logical-hostname
    
  4. リソースグループをオンラインにします。

    次のコマンドは、優先ノード上のリソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g siebel-rg
    
  5. siebenv.sh ファイルが server_root 下にあることを確認します。

  6. scsblconfig という名前のファイルを server_root の下に作成します。このファイルは、siebenv.sh の所有者が所有します。

    Siebel サーバーがローカルにインストールされた場合は 、すべてのノードの server_root 下に scsblconfig ファイルを作成します。

    セキュリティ上、このファイルの読み取り許可は、所有者のみに付与します。


    # cd server_root
    # touch scsblconfig
    # chown siebel:siebel scsblconfig
    # chmod 400 scsblconfig
    
  7. Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターが使用するデータベースに対する接続許可を持つデータベースユーザー (たとえば、dbuser/dbuserpassword) を選択します。

  8. srvrmgrcompgrps コマンドの実行許可を持つほかの Siebel データベースユーザー (たとえば、sadmin/sadminpassword) を選択します。

  9. 次のエントリを sbsblconfig ファイルに追加します。


    export DBUSR=dbuser
    export DBPWD=dbuserpassword
    export SADMUSR=sadmin
    export SADMPWD=sadminpassword
    
  10. Siebel サーバーリソースを作成します。


    # scrgadm -a -j sblsrvr-rs -g siebel-rg \
    -t SUNW.sblsrvr \
    -x Confdir_list=server_root \
    -x siebel_enterprise=siebel enterprise name \
    -x siebel_server=siebel server name
    

    注意 – 注意 –

    siebel_enterprise または siebel_server に不正な値を入力すると、妥当性検査中にエラーが表示されません。したがって、エラーが表示されないまま、リソースの起動に失敗します。siebel_enterprise が正しくない場合、validate メソッドはデータベースの接続性を確認できないため、警告のみが表示されることになります。


  11. Siebel サーバーリソースを有効にします。


    # scswitch -e -j sblsrvr-rs
    
  12. scstat –g および ps –ef コマンドを使用して、リソースグループと Siebel サーバーリソースがオンラインであることを確認します。

Sun Cluster HA for Siebel のインストールと構成の確認

この節では、データサービスが正しくインストールされ構成されていることを確認する手順を説明します。

Sun Cluster HA for Siebel のインストールの構成を確認

次の手順を使用して、Sun Cluster HA for Siebel が正しくインストールされ構成されていることを確認します。

  1. Siebel データベース、Siebel ゲートウェイ、および Siebel サーバーリソースをクラスタ上でオンラインにします。

  2. Siebel サーバーがオンラインになっているノードにログオンします。

  3. 障害モニター機能が正常に動作していることを確認します。

  4. srvrmgr を起動し、サブコマンドの list compgrps を実行します。

  5. 必須の Siebel コンポーネントが有効になっていることを確認します。

  6. サポートされているシンクライアント (ブラウザ) を使用して Siebel に接続し、セッションを実行します。

  7. root ユーザーで、Siebel サーバーリソースグループを別のノードに切り替えます。


    # scswitch -z -g siebel-rg -h node2
    
  8. Siebel サーバーリソースが動作する各潜在ノードに対して、手順 4手順 5、および 手順 6 を繰り返します。

  9. ルートユーザーで、Siebel ゲートウェイリソースグループを別のノードに切り替えます。


    # scswitch -z -g gateway-rg -h node2
    

Sun Cluster HA for Siebel の維持

この節では、Sun Cluster HA for Siebel を維持するためのガイドラインを示します。


注意 – 注意 –

Siebel リソースの無効化を行わず、かつリソースグループを非管理状態にしないで Siebel サーバーを手動で起動した場合、Siebel リソースの起動メソッドは、Sun Cluster の制御下でリソースの起動が試行されているノード上のサービスを「リセット」する可能性があります。したがって、予期されていない結果が生じます。


Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターとは

この節の情報を使用して、Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターについて理解してください。

この節では、次の内容について説明します。

Sun Cluster HA for Siebel は、ゲートウェイ障害モニターとサーバー障害モニターの 2 つの障害モニターを提供します。各障害モニターについては、以降の節で説明します。

拡張プロパティ

Sun Cluster HA for Siebel 障害モニターは、次の拡張プロパティを使用します。これらの拡張プロパティは調整できます。拡張プロパティの検討や設定については、Sun Cluster HA for Siebel 拡張プロパティを参照してください。

表 14–3 Sun Cluster HA for Siebel (SUNW.sblgtwy) 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_list(文字列配列) 

Siebel ゲートウェイのルートディレクトリの場所 

デフォルト:なし

調整:作成時

表 14–4 Sun Cluster HA for Siebel SUNW.sblsrvr 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_list(文字列配列) 

Siebel サーバーのルートディレクトリの場所 

デフォルト:なし

調整:作成時

siebel_enterprise (文字列) 

Siebel Enterprise 名 

デフォルト:なし

調整: 作成時

siebel_serves (文字列) 

Siebel サーバー名 

デフォルト:なし

調整: 作成時

アルゴリズムと機能性の検証

Siebel ゲートウェイ障害モニター

Siebel ゲートウェイ障害モニターは、Siebel ゲートウェイプロセスを監視します。Siebel ゲートウェイプロセスが終了している場合、障害モニターはそれを再起動するか、別のノードにフェイルオーバーします。

Siebel サーバー障害モニター

Siebel サーバー障害モニターは、 thorough_probe_interval で指定した秒ごとに次の操作を行います。

Siebel データベースの監視

Siebel データベースに障害が生じると、Siebel サーバーの状態は、DEGRADED とマークされます。Siebel データベースが再起動されると、 Siebel サーバーリソースの検証機能は、Siebel サーバーが機能していることの確認を試行します。この試行に失敗した場合、Siebel サーバーは再起動されるか、または別のノードにフェイルオーバーされます。

また、START メソッドを実行したときに利用可能でなかった Siebel データベースが利用可能になった場合も、障害モニターは Siebel サーバーを起動します。

Siebel ゲートウェイの監視

Siebel ゲートウェイに障害が生じると、 Siebel サーバーの状態は、DEGRADED とマークされます。Siebel ゲートウェイが再び再起動されると、 Siebel サーバーリソースの検証機能は、Siebel サーバーが機能していることの確認を試行します。この試行に失敗した場合、Siebel サーバーは再起動されるか、または別のノードにフェイルオーバーされます。

また、START メソッドを実行したときに利用可能でなかった Siebel ゲートウェイが利用可能になった場合も、障害モニターは Siebel サーバーを起動します。

Siebel サーバーとそのすべての有効化されているコンポーネントの監視

Siebel サーバーに障害が生じると、再起動されるか、またはフェイルオーバーされます。Siebel コンポーネントのどれかで障害が生じると、部分 (10%) 障害がフレームワークに報告されます。現状では、コンポーネント障害は、Siebel インストールの英語版でのみ検出可能です。