SAP Web Application Server のインストールと構成の確認

Sun Cluster HA for SAP Web Application Server パッケージをインストールする前に、SAP Web Application Server ソフトウェアがすでにインストールされ、クラスタで動作するように構成されていることを確認してください。データサービスをまだインストールしていないため、この手順では SAP Web Application Server アプリケーションの可用性が高いかどうかを確認することはできません。

『SAP Web Application Server in Switchover Environments, UNIX Platforms』の付録 B「SAP Web AS Compliance Tests」を参照してください。この付録は、SAP Web Application Server ソフトウェアの機能の確認に推奨されるテストについて詳細に説明しています。

この節の手続では、次の SAP Web Application Server コンポーネントのインストールと構成を確認します。

• 次のサーバーを含む SAP central services

  • SAP enqueue server

  • SAP replica server

  • SAP message server

• SAP web application server コンポーネント

• SAP J2EE engine

SAP Enqueue Server および SAP Replica Server のインストールと構成を確認するには

SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループをマスターできる 2 つのノードの各セットでこの手順を実行します。

SAP enqueue server リソース型 SUNW.sapenq の拡張プロパティについては、「SUNW.sapenq 拡張プロパティ」を参照してください。SAP replica server リソース型 SUNW.saprepl の拡張プロパティについては、「SUNW.saprepl 拡張プロパティ」を参照してください。

1. ノード Node1 でスーパーユーザーになります。

2. SAP central services リソースグループを Node1 でオンラインにします。

   # scswitch -z -g central-rg -h node1

   -z

   オンラインにするリソースグループを指定します。

   -g central-rg

   オンラインにするリソースグループの名前を指定します。

   -h node1

   リソースグループをオンラインにするノードの名前を指定します。

3. Node1 で SAP enqueue server の管理ユーザーになります。

   SUNW.sapenq リソース型の拡張プロパティSAP_User は、管理ユーザーの名前を指定します。

4. Node1 上で SAP enqueue server を手動で起動します。

   # enq_server_cmd pf=enq_profile

   enq_server_cmd

   SAP enqueue server 実行可能ファイルのフルパスを指定します。SUNW.sapenq リソース型の拡張プロパティ Enqueue_Server は、この値を含んでいます。SAP enqueue server 実行可能ファイルの名前は、enserver です。

   pf=enq_profile

   SAP enqueue server のプロファイルのフルパスを指定します。SUNW.sapenq リソース型の拡張プロパティEnqueue_Profile は、この値を含んでいます。

5. SAP enqueue server が Node1 で起動されていることを確認します。

   SAP enqueue server 実行可能ファイルの名前は、enserver です。

   # ps -ef | grep enserver

6. SAP J2EE engine が正しく起動されたことを確認します。

   SAP enqueue server が正しく起動されたことを確認するには、2 つの方法があります。

   • SAP ユーティリティー ensmon を実行します。

     # ensmon -H localhost -S port 1

     -H localhost

     ホストの名前が localhost であることを指定します。

     -S port

     エンキューポートを指定します。

     1

     検証によって SAP enqueue server だけが検査されるように指定します。

     このコマンドがコマンド行で実行されると、リターンコードがコマンド行に返されます。

   • SAP enqueue server コマンドが実行されたときにカレントであったディレクトリに書き込まれたログファイルを検査します。

7. 別のノード Node2 にスーパーユーザーとしてログインします。

8. SAP replica server リソースグループを Node2 でオンラインにします。

   # scswitch -z -g repl-rg -h node2

   -z

   オンラインにするリソースグループを指定します。

   -g repl-rg

   オンラインにするリソースグループの名前を指定します。

   -h node2

   リソースグループをオンラインにするノードの名前を指定します。

9. Node2 で SAP replica server の管理ユーザーになります。

   SUNW.saprepl リソース型の拡張プロパティSAP_User は、管理ユーザーの名前を指定します。

10. Node2 上で SAP replica server を手動で起動します。

    # repl_server_cmd pf=repl_profile

    repl_server_cmd

    SAP replica server 実行可能ファイルのフルパスを指定します。SUNW.saprepl リソース型の拡張プロパティReplica_Server は、この値を含んでいます。SAP replica server 実行可能ファイルの名前は、enrepserver です。

    pf=repl_profile

    SAP replica server のプロファイルのフルパスを指定します。SUNW.saprepl リソース型の拡張プロパティReplica_Profile は、この値を含んでいます。

11. SAP replica server が Node2 で起動されていることを確認します。

    SAP replica server 実行可能ファイルの名前は、enrepserver です。

    # ps -ef | grep enrepserver

12. SAP replica server が正しく起動されたことを確認します。

    SAP replica server が正しく起動されたことを確認するには、2 つの方法があります。

    • SAP ユーティリティー ensmon を実行します。

      # ensmon -H localhost -S port 2

      -H localhost

      ホストの名前が localhost であることを指定します。

      -S port

      エンキューポートを指定します。

      2

      検証で SAP enqueue server と SAP replica server の両方が検査されることを指定します。

      このコマンドがコマンド行で実行されると、リターンコードがコマンド行に返されます。

    • SAP replica server コマンドが実行されたときにカレントであったディレクトリに書き込まれたログファイルを検査します。

13. enqt ユーティリティーで使用するテストプロファイルを設定します。

    手順 14 でエンキューロックエントリを作成して確認するには、SAPSYSTEM、SAPSYSTEMNAME、およびINSTANCE_NAME を含むテスト SAP プロファイル内にエントリを作成します。

    すべてのプロファイルパラメータの詳細は、SAP の『The SAP Lock Concept (BC-CST-EQ)』を参照してください。『SAP Web アプリケーション Server in Switchover Environments, UNIX Platforms』も参照してください。

14. 次の手順を実行して、エンキュー複製が機能していることを確認します。

    1. エンキューロックエントリを作成します。

       # /usr/sap/SAPSID/SYS/exe/run/enqt pf=app_server_profile 11

       SAPSID

       SAP システムの ID です。

       app_server_profile

       手順 13 で設定するテスト SAP プロファイルのフルパスを指定します。

    2. Node1 で SAP enqueue server を停止します。

       # ps -ef | grep enserver # kill -9 pid

    3. Node2 で SAP replica server を停止します。

       # ps -ef | grep enrepserver # kill -9 pid

    4. SAP central services リソースグループを Node2 でオンラインにします。

       # scswitch -z -g central-rg -h node2

    5. Node2 で SAP enqueue server の管理ユーザーになります。

    6. Node2 上で SAP enqueue server を手動で起動します。

       # enq_server_cmd pf=enq_profile

    7. エンキューエントリが失われていることを確認します。

       # /usr/sap/SAPSID/SYS/exe/run/enqt pf=app_server_profile 20

       SAPSID

       SAP システムの ID です。

       app_server_profile

       手順 13 で設定するテスト SAP プロファイルのフルパスを指定します。

SAP Message Server の構成がデータサービスにとって適切であることを確認するには

この手順を、SAP central services リソースグループをマスターできる各ノードで行なってください。

SAP message server リソース型 SUNW.sapscs の拡張プロパティについては、「SUNW.sapscs 拡張プロパティ」を参照してください。

1. SAP central services リソースグループをノードでオンラインにします。

   # scswitch -z -g central-rg -h node

   -z

   オンラインにするリソースグループを指定します。

   -g central-rg

   オンラインにするリソースグループの名前を指定します。

   -h node

   リソースグループをオンラインにするノードの名前を指定します。

2. スーパーユーザー環境でスーパーユーザーになります。次に、スーパーユーザー環境を保持したまま、 sapsidadm ユーザーになります。

   最初の su コマンドでは、引数「ダッシュ」 (-) によって環境がスーパーユーザー環境に変更されます。引数「ダッシュ」のない 2 番目の su は、環境を保持します。

   # su - root # su sapsidadm

3. 次の環境変数を設定します。

   • 変数 LD_LIBRARY_PATH に /sapmnt/SAPSID/exe を設定します。

   • 変数 SAPSYSTEMNAME に適切な SAP システムの ID を設定します。

   • パス /usr/sbin:/usr/bin:/usr/cluster/bin を変数 PATH に追加します。

   • 変数 SAPSYSTEM にリソースが処理すべき SAP の特定のインスタンス設定されているシステム番号を設定します。

   • 環境変数 HOME に SAP 管理ユーザーのホームディレクトリを設定します。

   • 変数 LOGNAME に root を設定します。

4. 絶対パスと適切な引数を使って、SAP message server の SAP 起動スクリプトを実行します。

   次に、SAP message server 用の SAP 起動スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行する必要があります。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/startsap r3 SCS01

5. SAP システムが正常に起動した後、SAP message server の障害モニター検証を実行します。

   検証へのフルパスは、SUNW.sapscs リソース型の拡張プロパティ Msg_Server_Monitor によって指定されます。たとえば、次のようなコマンドを入力します。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/msprot -mshost host -msport port

6. 検証が正常に実行されたことを確認します。

   リターンコードが 0 であれば、検証は成功しています。

7. SAP message server の SAP 停止スクリプトを実行して、SAP message server を停止できることを確認します。

   SAP message server を正しく停止できることを確認します。フルパスと適切な引数を用いて、SAP message server の SAP 停止スクリプトを実行します。次に、SAP 停止スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行します。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/stopsap r3 SCS01

SAP Web Application Server コンポーネントの構成がデータサービスにとって適切であることを確認するには

SAP web application server コンポーネントのリソースグループをマスターできる各ノードで次の手順を実行します。

SAP web application server コンポーネントをスケーラブルリソースとして構成している場合、リソースはこれらすべてのノードで同時に実行されます。

1. スーパーユーザーになった後、スーパーユーザー環境を持つ sapsidadm ユーザーになります。

   # su - root # su sapsidadm

2. 次の環境変数を設定します。

   • 変数 LD_LIBRARY_PATH に /sapmnt/SAPSID/exe を設定します。

   • 変数 SAPSYSTEMNAME に適切な SAP システムの ID を設定します。

   • パス /usr/sbin:/usr/bin:/usr/cluster/bin を変数 PATH に追加します。

   • 変数 SAPSYSTEM にリソースが処理すべき SAP の特定のインスタンス設定されているシステム番号を設定します。

   • 環境変数 HOME に SAP 管理ユーザーのホームディレクトリを設定します。

   • 変数 LOGNAME に root を設定します。

3. SAP web application server コンポーネントのリソースグループをフェイルオーバーリソースグループとして構成した場合は、そのリソースグループの logical-host-name リソースを有効にします。

4. データベースを起動します。

   次の手順で SAP 起動スクリプトを実行する前に、データベースを起動してください。

5. 絶対パスと適切な引数を使って、SAP web application server コンポーネントの SAP 起動スクリプトを実行します。

   次に、SAP web application server コンポーネント用の SAP 起動スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行する必要があります。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/startsap r3 D01

6. SAP 管理ユーザーのホームディレクトリに移動します。

   dpmon ユーティリティーがカレントディレクトリにファイルを書き込みます。このディレクトリは、SAP 管理ユーザーが書き込み可能なものでなければなりません。手順 2 で、環境変数 HOME に SAP 管理ユーザーのホームディレクトリを設定します。

   # cd $HOME

7. SAP システムが正常に起動した後、SAP インスタンスのディスパッチャーに対して検証コマンドを実行します。次にコマンド例を示します。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/dpmon -info

8. 検証が正常に実行されたことを確認します。

   リターンコードが 0 であれば、検証は成功しています。

9. SAP web application server コンポーネントの SAP 停止スクリプトを実行して、SAP Web Application Server を停止できることを確認します。

   SAP Web Application Server を正しく停止できることを確認します。フルパスと適切な引数を使って、SAP web application server コンポーネントの SAP 停止スクリプトを実行します。次に、SAP 停止スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行します。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/stopsap r3 D01

SAP J2EE Engine のインストールと構成を確認するには

1. スーパーユーザーになった後、スーパーユーザー環境を持つ sapsidadm ユーザーになります。

   # su - root # su sapsidadm

2. 次の環境変数を設定します。

   • 変数 LD_LIBRARY_PATH に /sapmnt/SAPSID/exe を設定します。

   • 変数 SAPSYSTEMNAME に適切な SAP システムの ID を設定します。

   • パス /usr/sbin:/usr/bin:/usr/cluster/bin を変数 PATH に追加します。

   • 変数 SAPSYSTEM にリソースが処理すべき SAP の特定のインスタンスのために構成されているシステム番号を設定します。

   • 環境変数 HOME に SAP 管理ユーザーのホームディレクトリを設定します。

   • 変数 LOGNAME に root を設定します。

3. リソースグループの logical-host-name リソースを有効にします。

4. データベースを起動します。

   次の手順で SAP 起動スクリプトを実行する前に、データベースを起動してください。

5. 絶対パスと適切な引数を用いて、SAP J2EE engine 用の SAP 起動スクリプトを実行します。

   次に、SAP J2EE engine 用の SAP 起動スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行する必要があります。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/startsap j2ee D01

6. SAP 管理ユーザーのホームディレクトリに移動します。

   検証ユーティリティーが現在のディレクトリにファイルを書き込みます。このディレクトリは、SAP 管理ユーザーが書き込み可能なものでなければなりません。手順 2 で、環境変数 HOME に SAP 管理ユーザーのホームディレクトリを設定します。

   # cd $HOME

7. SAP J2EE engine が正常に起動したら、いくつかサンプルを展開して実行し、確認を行います。手順は、『SAP Web Application Server Installation Guide』を参照してください。

8. SAP J2EE engine 用の SAP 停止スクリプトを実行して、SAP J2EE engine を停止できることを確認します。

   SAP J2EE engine を正しく停止できることを確認します。フルパスと適切な引数を用いて、SAP J2EE engine 用の SAP 停止スクリプトを実行します。次に、SAP 停止スクリプトを実行するコマンド例を示します。インストールと同じコマンドを実行します。

   # /usr/sap/SC3/SYS/exe/run/stopsap j2ee D01