Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

ローリング以外のアップグレードの実行

この節の手順を実行して、Sun Cluster 3.x ソフトウェアから Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外アップグレードを実行します。ローリング以外のアップグレードでは、クラスタノードをアップグレードする前に、クラスタ全体をシャットダウンします。この手順はまた、Solaris 8 ソフトウェアから Solaris 9 ソフトウェアに、あるいは、Solaris 9 ソフトウェアから Solaris 10 10/05 ソフトウェア (またはその互換) にクラスタをアップグレードできます。


注 –

Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにローリングアップグレードを実行する場合は、代わりに、「ローリングアップグレードの実行」の手順に従います。


表 5–1 Task Map: Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードの実行

作業 

参照先 

1. アップグレード要件と制約に関する説明を読む 

「アップグレードの必要条件とソフトウェアサポートのガイドライン」

2. クラスタを稼動環境から削除し、共有データをバックアップ。クラスタが Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除 

「ローリング以外のアップグレード用にクラスタを準備する」

3. 必要に応じて、Solaris ソフトウェアをサポートされている Solaris アップデートにアップグレード任意で VERITAS Volume Manager (VxVM) をアップグレード 

「Solaris OS のローリング以外のアップグレードを実行する」

4. Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアが依存するソフトウェアをインストールまたはアップグレード 

「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」

5. Sun Cluster 3.1 8/05 フレームワークとデータサービスソフトウェアにアップグレード。必要に応じて、アプリケーションをアップグレードクラスタが二重列メディエータを使用している場合は、メディエータを再構成。SPARC:VxVM をアップグレードした場合は、ディスクグループをアップグレードしてください。 

「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを実行する」

6. リソースの有効化とリソースグループのオンライン化。任意で、既存のリソースを新しいリソースタイプに移行します。 

「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードを終了する」

7. (省略可能) SPARC: 必要に応じて、 Sun Cluster モジュールを Sun Management Center 用にアップグレード

「SPARC: Sun Cluster モジュールソフトウェアを Sun Management Center 用にアップグレードする」

Procedureローリング以外のアップグレード用にクラスタを準備する

この手順は、クラスタを稼動環境から削除するときに実行します。

始める前に

次の作業を実行します。

手順
  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    • クラスタの現在の状態を表示するには、任意のノードから次のコマンドを実行します。


      % scstat
      

      詳細については、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    • 同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

    • ボリューム管理の状態を確認します。

  2. (省略可能) Sun Cluster 3.1 8/05 のマニュアルをインストールします。

    管理コンソールまたドキュメンテーションサーバーなどの希望する場所に、ドキュメンテーションパッケージをインストールします。インストール手順については、Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM の Solaris_arch/Product/sun_cluster/index.html ファイルを参照してください (archsparc または x86 です)。

  3. アップグレード中、クラスタサービスが利用できなくなることをユーザーに通知します。

  4. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  5. scsetup(1m) ユーティリティーを起動します。


    # scsetup
    

    メインメニューが表示されます。

  6. 各リソースグループをオフラインに切り替えます。

    1. scsetup のメインメニューから、メニュー項目「リソースグループ」を選択します。

    2. 「リソースグループメニュー」から、メニュー項目「リソースグループをオンライン/オフライン化、またはスイッチオーバー」を選択します。

    3. プロンプトに従って、リソースグループをすべてオフラインにして、管理されていない状態にします。

    4. すべてのリソースグループがオフラインになったら、q を入力して「リソースグループメニュー」に戻ります。

  7. クラスタ内のすべてのリソースを無効化します。

    アップグレードを行う前にリソースを無効にすることで、ノードが誤って再起動されクラスタモードになっても、そのリソースが自動的にオンラインになるのを防止します。

    1. 「リソースグループメニュー」から、メニュー項目「リソースを有効化または無効化」を選択します。

    2. 無効にするリソースを選択し、プロンプトの指示に従います。

    3. 各リソースで、手順 b を繰り返します。

    4. すべてのリソースが無効になったら、q を入力して「リソースグループメニュー」に戻ります。

  8. scsetup ユーティリティーを終了します。

    q を入力して各サブメニューを取り消すか、Ctrl-C を押してください。

  9. すべてのノード上のすべてのリソースが「Offline」になっており、すべてのリソースグループが 「Unmanaged」状態であることを確認します。


    # scstat -g
    
  10. クラスタが Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアに二重列メディエータを使用している場合は、メディエータの構成を解除します。

    詳細については、「二重列メディエータの構成」を参照してください。

    1. 次のコマンドを実行して、メディエータデータに問題がないことを確認します。


      # medstat -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      Status フィールドの値が不良の場合、関連するメディエータホストを修復します。「不正なメディエータデータを修復する」の手順に従います。

    2. すべてのメディエータを一覧表示します。

      この情報は、「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードを終了する」の手順でメディエータを復元するときのために保存しておいてください。

    3. メディエータを使用するディスクセットについては、ノードが所有権をまだ持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      # scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      マスター権を変更します。

      -D

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主ノードとなるノードの名前を指定します。

    4. ディスクセットのすべてのメディエータの構成を解除します。


      # metaset -s setname -d -m mediator-host-list
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

      -d

      ディスクセットから削除します。

      -m mediator-host-list

      削除するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

      metaset コマンドのメディエータ固有のオプションの詳細については、mediator(7D) のマニュアルページを参照してください。

    5. メディエータを使用する残りの各ディスクセットで、 手順 c から手順 d までを繰り返します。

  11. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアを使用する 2 ノードクラスタの場合、可用性サービス用の構成データが定足数ディスク上にあることを確認します。

    クラスタソフトウェアをアップグレードしたあと、Sun StorEdge Availability Suite が正しく機能するようにするには、構成データを定足数ディスク上に置く必要があります。

    1. Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアを実行するクラスタのノード上でスーパーユーザーになります。

    2. Sun StorEdge Availability Suite 構成ファイルで使用されるデバイス ID とスライスを見つけます。


      # /usr/opt/SUNWscm/sbin/dscfg
      /dev/did/rdsk/dNsS
      

      この出力例では、N がデバイス ID でS がデバイス N のスライスです。

    3. 既存の定足数デバイスを見つけます。


      # scstat -q
      -- Quorum Votes by Device --
                           Device Name         Present Possible Status
                           -----------         ------- -------- ------
         Device votes:     /dev/did/rdsk/dQsS  1       1        Online

      この出力例では、dQsS が既存の定足数デバイスです。

    4. 定足数デバイスが Sun StorEdge Availability Suite 構成データデバイスと同じでない場合は、構成データを定足数デバイス上の使用できるスライスに移します。


      # dd if=`/usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg` of=/dev/did/rdsk/dQsS
      

      注 –

      ブロック DID デバイス、/dev/did/dsk/ ではなく、raw DID デバイス、/dev/did/rdsk/ の名前を使用する必要があります。


    5. 構成データを移した場合、新しい場所を使用するように Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアを構成してください。

      スーパーユーザーとして、Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアを実行する各ノード上で次のコマンドを実行します。


      # /usr/opt/SUNWesm/sbin/dscfg -s /dev/did/rdsk/dQsS
      
  12. クラスタ内の各ノードで実行されているすべてのアプリケーションを停止します。

  13. すべての共有データをバックアップします。

  14. ノードのどれか 1 つで、クラスタを停止します。


    # scshutdown -g0 -y
    

    詳細については、scshutdown(1M) のマニュアルページを参照してください。

  15. 各ノードを非クラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、以下のコマンドを実行します。


      ok boot -x
      
    • x86 ベースのシステム上で、以下のコマンドを実行します。


      …
                            <<< Current Boot Parameters >>>
      Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ata@1/cmdk@0,0:b
      Boot args:
      
      Type  b [file-name] [boot-flags] <ENTER>    to boot with options
      or    i <ENTER>                             to enter boot interpreter
      or    <ENTER>                               to boot with defaults
      
                        <<< timeout in 5 seconds >>>
      Select (b)oot or (i)nterpreter: b -x
      
  16. 各システムディスクをバックアップします。

次の手順

Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードする前に Solaris ソフトウェアをアップグレードする場合は、「Solaris OS のローリング以外のアップグレードを実行する」に進みます。

そうでない場合は、依存ソフトウェアをアップグレードします。「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」に進みます。

ProcedureSolaris OS のローリング以外のアップグレードを実行する

この手順は、Solaris OS をアップグレードするクラスタ内の各ノードで実行します。クラスタが既に Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアをサポートするバージョンの Solaris OS で動作している場合は、さらに Solaris OS をアップグレードするかどうかは任意です。Solaris OS をアップグレードする予定がない場合は、「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを実行する」に進みます。


注意 – 注意 –

Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアは、Solaris 9 OS から Solaris 10 OS のオリジナルリリース (2005 年 3 月に配布) へのアップグレードをサポートしません。少なくとも、Solaris 10 10/05 リリース (またはその互換) にアップグレードする必要があります。


始める前に

次の作業を実行します。

手順
  1. アップグレードするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

  2. (省略可能) SPARC:VxFSをアップグレードします。

    VxFS のマニュアルに記載された手順に従ってください。

  3. 次の Apache 実行制御スクリプトが存在しているかどうかと、有効または無効のどちらになっているかを確認します。


    /etc/rc0.d/K16apache
    /etc/rc1.d/K16apache
    /etc/rc2.d/K16apache
    /etc/rc3.d/S50apache
    /etc/rcS.d/K16apache

    Sun Cluster HA for Apache などのアプリケーションでは、Apache 実行制御スクリプトが無効になっている必要があります。

    • これらのスクリプトが存在しており、そのファイル名に大文字の K または S が含まれる場合、そのスクリプトは有効になっています。これらのスクリプトにはこれ以上何もする必要はありません。

    • これらのスクリプトが存在しない場合は、手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトが無効になっていることを確認する必要があります。

    • これらのスクリプトが存在しており、そのファイル名に小文字の k または s が含まれる場合、そのスクリプトは無効になっています。手順 8 で、Solaris OS のアップグレード中にインストールされた Apache 実行制御スクリプトが無効になっていることを確認する必要があります。

  4. ノードの /etc/vfstab ファイル内でグローバルにマウントされているファイルシステム内のすべてのエントリをコメントアウトします。

    1. 後で参照するために、既にコメントアウトしたすべてのエントリを記録します。

    2. /etc/vfstab ファイル内のグローバルにマウントされているファイルシステム用のすべてのエントリを一時的にコメントアウトします。

      グローバルにマウントされているファイルシステム用のエントリに、global マウントオプションがあります。これらのエントリをコメントアウトすることにより、Solaris のアップグレード中に広域デバイスにマウントするのを防止します。

  5. Solaris OS をアップグレードするために実行する手順を決定します。

    ボリュームマネージャー 

    手続き 

    参照マニュアル 

    Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager 

    任意の Solaris アップグレード方法 (Live Upgrade 方法を除く) 

    Solaris インストールマニュアル 

    SPARC:VERITAS Volume Manager 

    「Upgrading VxVM and Solaris」 

    VERITAS Volume Manager のインストールマニュアル 


    注 –

    クラスタに VxVM がインストールされている場合は、Solaris アップグレード処理の一環として、既存の VxVM ソフトウェアを再インストールするか、Solaris 9 バージョンの VxVM ソフトウェアにアップグレードする必要があります。


  6. 手順 5 で選択した手順に従って、Solaris ソフトウェアをアップグレードします。

    使用する手順に、次の変更を行います。

    • アップグレード処理中にノードの再起動を要求された場合は、常に、非クラスタモードで再起動してください。

      • boot コマンドと reboot コマンドの場合は、-x オプションをコマンドに追加します。

        -x オプションを指定することで、そのノードは非クラスタモードで再起動されます。たとえば、次のコマンドはいずれも、ノードをシングルユーザーの非クラスタモードで起動します。

        • SPARC ベースのシステムでは、次のコマンドのどちらか一方を実行します。


          # reboot -- -xs
          または
          ok boot -xs
          
        • x86 ベースのシステムでは、次のコマンドのどちらか一方を実行します。


          # reboot -- -xs
          または
          ...
                                <<< Current Boot Parameters >>>
          Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ata@1/cmdk@0,0:b
          Boot args:
          
          Type  b [file-name] [boot-flags] <ENTER>  to boot with options
          or    i <ENTER>                           to enter boot interpreter
          or    <ENTER>                             to boot with defaults
          
                            <<< timeout in 5 seconds >>>
          Select (b)oot or (i)nterpreter: b -xs
          
      • init S コマンドを実行するように指示された場合は、代わりに、reboot -- -xs コマンドを使用します。

    • Solaris ソフトウェアアップグレードでは、インストール終了後の自動リブートを実行しないでください。代わりに以下の作業を行なってください。

      1. この手順に戻って、手順 7手順 8 を実行します。

      2. 手順 9 で非クラスタモードで再起動して、Solaris ソフトウェアのアップグレードを完了します。

  7. 手順 4 でコメントアウトした、/a/etc/vfstab ファイルの広域的にマウントされるファイルシステム用のエントリをコメント解除します。

  8. Solaris OS をアップグレードする前に、Apache 実行制御スクリプトが無効になっていたか、存在しなかった場合は、Solaris アップグレート中にインストールされた任意のスクリプトが無効になっていることを確認します。

    Apache 実行制御スクリプトを無効にするには、次のコマンドを使用して、小文字の k または s が名前に含まれるファイルの名前を変更します。


    # mv /a/etc/rc0.d/K16apache /a/etc/rc0.d/k16apache 
    # mv /a/etc/rc1.d/K16apache /a/etc/rc1.d/k16apache
    # mv /a/etc/rc2.d/K16apache /a/etc/rc2.d/k16apache
    # mv /a/etc/rc3.d/S50apache /a/etc/rc3.d/s50apache
    # mv /a/etc/rcS.d/K16apache /a/etc/rcS.d/k16apache
    

    あるいは、これらのスクリプトの名前を、通常の管理習慣に合った名前に変更します。

  9. ノードを非クラスタモードで再起動します。

    次のコマンドに 2 つのダッシュ (--) を含めます。


    # reboot -- -x
    
  10. SPARC: クラスタが VxVM を実行している場合は、手順「Upgrading VxVM and Solaris」の残りの手順を実行して、VxVM を再インストールまたはアップグレードします。

    この手順に次の変更を行います。

    • VxVM のアップグレードが完了して、再起動する前に/etc/vfstab ファイルのエントリを確認してください。

      手順 7 でコメント解除した任意のエントリがコメントアウトされている場合は、それらのエントリを再びコメント解除します。

    • VxVM の手順で最終的な再起動を行うように指示された場合は、-r オプションを単独で使用しないでください。代わりに、-rx オプションを使用して、非クラスタモードで再起動します。


      # reboot -- -rx
      

    注 –

    次のようなメッセージが表示された場合は、root パスワードを入力して、アップグレード処理を続行します。fsck コマンドは実行しないでください。また、Ctrl-D キーも使用しないでください。


    WARNING - Unable to repair the /global/.devices/node@1 filesystem. 
    Run fsck manually (fsck -F ufs /dev/vx/rdsk/rootdisk_13vol). Exit the 
    shell when done to continue the boot process.
    
    Type control-d to proceed with normal startup,
    (or give root password for system maintenance):  root パスワードを入力してください
    

  11. Solaris ソフトウェアの必須パッチとハードウェア関連のパッチをすべてインストールし、ハードウェアパッチに含まれる必須ファームウェアをすべてダウンロードします。

    Solstice DiskSuite ソフトウェア (Solaris 8) については、Solstice DiskSuite ソフトウェアパッチをインストールする必要があります。


    注 –

    パッチを追加した後で、再起動しないでください。Sun Cluster ソフトウェアをアップグレードした後に、ノードを再起動してください。


    パッチの入手先とインストール方法については、『Sun Cluster 3.1 8/05 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

次の手順

依存ソフトウェアをアップグレードします。「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」に進みます。


注 –

Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアへの、あるいは、Solaris 9 から Solaris 10 10/05 ソフトウェア (またはその互換) へのアップグレードを完了するには、Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェア (および依存ソフトウェア) を Solaris 9 または Solaris 10 バージョンにアップグレードする必要があります。この作業は、クラスタがすでに Solaris ソフトウェアの別のバージョン用の Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアで動作している場合でも実行する必要があります。


Procedureローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする

この手順は、Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアが依存するソフトウェアをインストールまたはアップグレードする各クラスタノードで実行します。この手順の間、クラスタは稼動環境のままです。

SunPlex Manager を実行している場合、ノードのセキュリティーファイルエージェントが停止している間、ノードの状態は報告されません。ノードの状態の報告は、共通エージェントコンテナソフトウェアのアップグレードが完了し、セキュリティーファイルエージェントが再起動したあとで再開します。

始める前に

次の作業を実行します。

手順
  1. クラスタノードのスーパーユーザーになります。

  2. Solaris 8 と Solaris 9 OS では、Apache Tomcat パッケージがインストールされている場合、このパッケージが必要なパッチレベルであることを確認します。

    1. SUNWtcatu パッケージがインストールされているかどうかを判断します。


      # pkginfo SUNWtcatu
      SUNWtcatu       Tomcat Servlet/JSP Container
    2. Apache Tomcat パッケージがインストールされている場合は、そのプラットフォームに必要なパッチがインストールされているかどうかを判断します。

      • SPARC ベースのプラットフォームでは、少なくとも 114016-01 が必要です。

      • x86 ベースのプラットフォームでは、少なくとも 114017-01 が必要です。


      # patchadd -p | grep 114016
      Patch: 114016-01 Obsoletes: Requires: Incompatibles: Packages: SUNWtcatu
    3. 必要なパッチがインストールされていない場合は、Apache Tomcat パッケージを削除します。


      # pkgrm SUNWtcatu
      
  3. Sun Cluster 1 of 2 CD-ROM を挿入します。

  4. /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/shared_components/Packages/ ディレクトリに移動します (archsparc または x86 です) に移動します。


    # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/shared_components/Packages/
    
  5. Explorer パッケージの少なくともバージョン 4.3.1 がインストールされていることを確認します。

    これらのパッケージは、sccheck ユーティリティーが Sun Cluster ソフトウェアを使用する場合に必要です。

    1. Explorer パッケージがインストールされているかどうかを判断し、インストールされている場合は、そのバージョンも判断します。


      # pkginfo -l SUNWexplo | grep SUNW_PRODVERS
      SUNW_PRODVERS=4.3.1
    2. 4.3.1 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、既存の Explorer パッケージを削除します。


      # pkgrm SUNWexplo SUNWexplu SUNWexplj
      
    3. Explorer パッケージを削除した場合、または何もインストールされていなかった場合は、Sun Cluster 1 of 2 CD-ROM から最新の Explorer パッケージをインストールします。

      • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -d . SUNWexpl*
        
      • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -G -d . SUNWexpl*
        

        -G オプションを使用すると、現在のゾーンだけにパッケージを追加します。これらのパッケージは、大域ゾーンだけに追加する必要があります。したがって、このオプションは、既存の非大域ゾーン、または、あとで作成する非大域ゾーンにパッケージを伝達しないことも指定します。

  6. Java Dynamic Management Kit (JDMK) パッケージの少なくともバージョン 5.1,REV=34 がインストールされていることを確認します。

    1. JDMK パッケージがインストールされているかどうかを判断し、インストールされている場合は、そのバージョンも判断します。


      # pkginfo -l SUNWjdmk-runtime | grep VERSION
      VERSION=5.1,REV=34
    2. 5.1,REV=34 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、既存の JDMK パッケージを削除します。


      # pkgrm SUNWjdmk-runtime SUNWjdmk-runtime-jmx
      
    3. JDMK パッケージを削除した場合、または何もインストールされていなかった場合は、Sun Cluster 1 of 2 CD-ROM から最新の JDMK パッケージをインストールします。

      • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -d . SUNWjdmk*
        
      • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -G -d . SUNWjdmk*
        
  7. Solaris_arch/Product/shared_components/Solaris_ver/Packages/ ディレクトリに移動します (archsparc または x86 で、ver は Solaris 8 の場合は 8、Solaris 9 の場合は 9、Solaris 10 の場合は 10 です)。


    # cd ../Solaris_ver/Packages
    
  8. Netscape Portable Runtime (NSPR) パッケージの少なくともバージョン 4.5.0 がインストールされていることを確認します。

    1. NSPR パッケージがインストールされているかどうかを判断し、インストールされている場合は、そのバージョンも判断します。


      # cat /var/sadm/pkg/SUNWpr/pkginfo | grep SUNW_PRODVERS
      SUNW_PRODVERS=4.5.0
    2. 4.5.0 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、既存の NSPR パッケージを削除します。


      # pkgrm packages
      

      次の表に、各ハードウェアプラットフォームに適切なパッケージをリストを示します。


      注 –

      次の表に示す順に、パッケージをインストールします。


      ハードウェアプラットフォーム 

      NSPR パッケージ名 

      SPARC 

      SUNWpr SUNWprx

      x86 

      SUNWpr

    3. NSPR パッケージを削除した場合、または何もインストールされていなかった場合は、最新の NSPR パッケージをインストールします。

      • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -d . packages
        
      • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -G -d . packages
        
  9. Network Security Services (NSS) パッケージの少なくともバージョン 3.9.4 がインストールされていることを確認します。

    1. NSS パッケージがインストールされているかどうかを判断し、インストールされている場合は、そのバージョンも判断します。


      # cat /var/sadm/pkg/SUNWtls/pkginfo | grep SUNW_PRODVERS
      SUNW_PRODVERS=3.9.4
    2. 3.9.4 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、既存の NSS パッケージを削除します。


      # pkgrm packages
      

      次の表に、各ハードウェアプラットフォームに適切なパッケージのリストを示します。


      注 –

      次の表に示す順に、パッケージをインストールします。


      ハードウェアプラットフォーム 

      NSS パッケージ名 

      SPARC 

      SUNWtls SUNWtlsu SUNWtlsx

      x86 

      SUNWtls SUNWtlsu

    3. NSS パッケージを削除した場合、または何もインストールされていなかった場合は、Sun Cluster 1 of 2 CD-ROM から最新の NSS パッケージをインストールします。

      • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -d . packages
        
      • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -G -d . packages
        
  10. Solaris_arch/Product/shared_components//Packages/ ディレクトリに戻ります。


    # cd ../../Packages
    
  11. 共通エージェントコンテナパッケージの少なくともバージョン 1.0,REV=25 がインストールされていることを確認します。

    1. 共通エージェントコンテナパッケージがインストールされているかどうかを判断し、インストールされている場合は、そのバージョンも判断します。


      # pkginfo -l SUNWcacao | grep VERSION
      VERSION=1.0,REV=25
    2. 1.0,REV=25 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、各クラスタノードで、共通エージェントコンテナ用のセキュリティーファイルエージェントを停止します。


      # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop
      
    3. 1.0,REV=25 よりも前のバージョンがインストールされている場合は、既存の共通エージェントコンテナパッケージを削除します。


      # pkgrm SUNWcacao SUNWcacaocfg
      
    4. 共通エージェントコンテナパッケージを削除した場合、あるいは、何もインストールされていなかった場合は、Sun Cluster 1 of 2 CD-ROM から最新の 共通エージェントコンテナパッケージをインストールします。

      • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -d . SUNWcacao*
        
      • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを使用します。


        # pkgadd -G -d . SUNWcacao*
        
  12. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    
  13. Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM を挿入します。

  14. Solaris 8 から Solaris 9 OS へのアップグレードの場合は、Sun Java Web Console パッケージをインストールまたはアップグレードします。

    1. Solaris_arch/Product/sunwebconsole/ ディレクトリに移動します (archsparc または x86 です)。

    2. Sun Java Web Console パッケージをインストールします。


      # ./setup
      

      setup コマンドは、Sun Java Web Console をサポートするためのすべてのパッケージをインストールまたはアップグレードします。

  15. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    
  16. /usr/java/ ディレクトリが最小限または最新のバージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンク先であることを確認します。

    Sun Cluster ソフトウェアに必要な Java ソフトウェアの最小限のバージョンは 1.4.2_03 です。

    1. /usr/java/ ディレクトリのシンボリックリンク先のディレクトリを確認します。


      # ls -l /usr/java
      lrwxrwxrwx   1 root   other    9 Apr 19 14:05 /usr/java -> /usr/j2se/
    2. インストールされている Java ソフトウェアのバージョン (1 つまたは複数) を確認します。

      Java ソフトウェアの関連するリリースのバージョンを表示するために使用できるコマンドの例を次に示します。


      # /usr/j2se/bin/java -version
      # /usr/java1.2/bin/java -version
      # /usr/jdk/jdk1.5.0_01/bin/java -version
      
    3. /usr/java/ ディレクトリのシンボリックリンク先が、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアではない場合、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにシンボリックリンクを作成し直します。

      Java 1.4.2_03 ソフトウェアが入っている /usr/j2se/ ディレクトリにシンボリックリンクを作成する例を、次に示します。


      # rm /usr/java
      # ln -s /usr/j2se /usr/java
      
次の手順

Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードします。「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを実行する」に進みます。

ProcedureSun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを実行する

この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードします。この手順はまた、Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアに、あるいは、Solaris 9 から Solaris 10 10/05 ソフトウェア (またはその互換) にクラスタをアップグレードする場合も実行する必要があります。


ヒント –

この手順は、複数のノードで同時に行えます。


始める前に

依存ソフトウェアがインストールまたはアップグレードされていることを確認します。「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」を参照してください。

手順
  1. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  2. ノードの CD-ROM ドライブに Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモンの vold(1M) が実行中で、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合、デーモンによって自動的に CD-ROM が /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントされます。

  3. Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリに移動します (archsparc または x86ver は Solaris 8 の場合は 8、Solaris 9 の場合は 9、Solaris 10 の場合は 10 です)。


    # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    
  4. scinstall ユーティリティーを起動します。


    # ./scinstall
    

    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM に含まれる scinstall コマンドを使用する必要があります。


  5. メインメニューから、メニュー項目「このクラスタノードをアップグレード」を選択します。


      *** メインメニュー ***
    
        次の (*) オプションのうちから 1 つを選択してください:
    
          * 1) クラスタまたはクラスタノードをインストール
            2) このインストールサーバーから JumpStart できるようにクラスタを構成
          * 3) 新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加
          * 4) このクラスタノードをアップグレード
          * 5) このクラスタノードのリリース情報を出力
    
          * ?) メニューオプションのヘルプ
          * q) 終了
    
        オプション:  4
    
  6. 「アップグレードメニュー」から、メニュー項目「このノード上で Sun Cluster フレームワークをアップグレード」を選択します。

  7. メニュープロンプトに従って、クラスタフレームワークをアップグレードします。

    Sun Cluster のアップグレード中、scinstall は、次のような構成の変更 (1 つまたは複数) を行う可能性があります。

    • NAFO グループを IP ネットワークマルチパス グループに変換しますが、NAFO グループ名は元のままです。

      IP ネットワークマルチパスのテストアドレスについては、次のマニュアルのうちの 1 つを参照してください。

      Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード中での NAFO グループの IP ネットワークマルチパス グループへの変換の詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。

    • ノード上に ntp.conf.cluster が存在しない場合は、ntp.conf ファイルを ntp.conf.cluster に名前変更します。

    • local-mac-address? 変数が true に設定されていない場合は、そのように設定します。

    Sun Cluster フレームワークソフトウェアのアップグレードを終了しました」というメッセージが表示され、継続するには Enter を押すように指示されたら、アップグレードプロセスは終了です。

  8. Enter を押します。

    「アップグレードメニュー」が表示されます。

  9. (省略可能) Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM から Java Enterprise System データサービスをアップグレードします。

    1. scinstall ユーティリティーの「アップグレードメニュー」から、「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」を選択します。

    2. メニュープロンプトに従って、ノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。

      アップグレードに利用できるデータサービスのリストから選択しても、インストールされているデータサービスをすべてアップグレードすることを選択してもかまいません。

      Sun Cluster データサービスエージェントソフトウェアのアップグレードを終了しました」というメッセージが表示され、継続するには Enter を押すように指示されたら、アップグレードプロセスは終了です。

    3. Enter を押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

  10. scinstall ユーティリティーを終了します。

  11. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    
  12. Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM から Sun Cluster データサービスをアップグレードします。

    • Sun Cluster HA for NFS データサービスを使用しており、かつ、Solaris 10 OS にアップグレードする場合は、このデータサービスをアップグレードして、リソースタイプを新しいバージョンに移行する必要があります。詳細については、『Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)』「SUNW.nfs リソースタイプのアップグレード」を参照してください。

    • Sun Cluster HA for Oracle 3.0 64-bit for Solaris 9 データサービスを使用している場合は、このデータサービスを Sun Cluster 3.1 8/05 バージョンにアップグレードする必要があります。

    • ほかのデータサービスを Sun Cluster 3.1 8/05 バージョンにアップグレードするかどうかは任意です。クラスタを Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードしたあとでも、ほかの Sun Cluster 3.x データサービスを使用し続けることができます。

    Sun Cluster Agents CD で提供されるデータサービスだけが scinstall(1M) ユーティリティーによって自動的にアップグレードされます。カスタムまたはサードパーティ製のデータサービスは、手動でアップグレードする必要があります。該当するデータサービスで指定された手順を実行します。

    1. ノードの CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD を挿入します。

    2. scinstall ユーティリティーを起動します。

      データサービスをアップグレードする場合は、すでにノードにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドを使用できます。


      # scinstall
      
    3. メインメニューから、メニュー項目「このクラスタノードをアップグレード」を選択します。

    4. 「アップグレードメニュー」から、メニュー項目「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」を選択します。

    5. メニュープロンプトに従って、ノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。

      データサービスのリストからアップグレードに利用できるものを選択しても、インストールされているデータサービスをすべてアップグレードすることを選択してもかまいません。

      Completed upgrade of Sun Cluster data services agent」というメッセージが表示され、継続するには Enter を押すように指示されたら、アップグレードプロセスは終了です。

    6. Enter を押します。

      「アップグレードメニュー」が表示されます。

    7. scinstall ユーティリティーを終了します。

    8. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      
  13. 必要に応じて、製品メディアでは提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。

  14. データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。

    アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。

  15. scinstall コマンドを使用してインストールしていない場合は、Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアパッチをインストールします。

  16. Sun Cluster 3.1 8/05 データサービスソフトウェアパッチをインストールします。

    パッチの入手先とインストール方法については、『Sun Cluster 3.1 8/05 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

  17. クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

    アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。

  18. すべてのノードがアップグレードされた後、各ノードを再起動してクラスタにします。


    # reboot
    
  19. 共通エージェントコンテナのセキュリティーファイルをすべてのクラスタノードにコピーします。

    この手順によって、共通エージェントコンテナのセキュリティーファイルがすべてのクラスタノードで同じであり、コピーされたファイルが正しいファイルアクセス権を保持することが保証されます。

    1. 各ノードで、Sun Java Web Console エージェントを停止します。


      # /usr/sbin/smcwebserver stop
      
    2. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを停止します。


      # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop
      
    3. 1 つのノードで、/etc/opt/SUNWcacao/ ディレクトリに移動します。


      phys-schost-1# cd /etc/opt/SUNWcacao/
      
    4. /etc/opt/SUNWcacao/security/ ディレクトリの tar ファイルを作成します。


      phys-schost-1# tar cf /tmp/SECURITY.tar security
      
    5. /tmp/SECURITY.tar ファイルを、その他の各クラスタノードにコピーします。

    6. /tmp/SECURITY.tar ファイルのコピー先である各ノードで、セキュリティーファイルを抽出します。

      /etc/opt/SUNWcacao/ ディレクトリにすでに存在するすべてのセキュリティーファイルは上書きされます。


      phys-schost-2# cd /etc/opt/SUNWcacao/
      phys-schost-2# tar xf /tmp/SECURITY.tar
      
    7. クラスタの各ノードから /tmp/SECURITY.tar ファイルを削除します。

      セキュリティーリスクを回避するため、tar ファイルの各コピーは削除する必要があります。


      phys-schost-1# rm /tmp/SECURITY.tar
      phys-schost-2# rm /tmp/SECURITY.tar
      
    8. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを起動します。


      phys-schost-1# /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start
      phys-schost-2# /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start
      
    9. 各ノードで、Sun Java Web Console エージェントを起動します。


      phys-schost-1# /usr/sbin/smcwebserver start
      phys-schost-2# /usr/sbin/smcwebserver start
      
次の手順

「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを確認する」に進みます。

ProcedureSun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを確認する

この手順は、クラスタが正常に Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードされていることを確認するときに実行します。

始める前に

アップグレードするすべてのクラスタノードで、すべてのアップグレード手順が完了していることを確認します。

手順
  1. アップグレードした各ノードで、Sun Cluster ソフトウェアのインストールされているレベルを表示します。


    # scinstall -pv
    

    出力の最初の行は、どのバージョンの Sun Cluster ソフトウェアでノードが動作しているかを示します。このバージョンはアップグレードするバージョンと一致していなければなりません。

  2. 任意のノードから、アップグレードしたすべてのクラスタノードがクラスタモード (オンライン) で実行されていることを確認します。


    # scstat -n
    

    クラスタの状態を表示する方法の詳細については、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアにアップグレードした場合は、ストレージ構成の整合性を確認してください。

    1. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージ構成の整合性を確認します。


      # scdidadm -c
      
      -c

      整合性検査を実行します。


      注意 – 注意 –

      構成がこの整合性検査を通るまで、手順 b には進まないでください。この検査を通らないと、デバイスの識別でエラーが生じ、データの破損を引き起こす可能性があります。


      次の表は、scdidadm -c コマンドからの出力と、その対処方法を示しています。

      メッセージの例 

      操作 

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t3d0' does not match physical device's id, device may have been replaced

      「アップグレード時のストレージ構成変更の回復」に進んで、適切な修復手順を実行します。

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0' needs to be updated, run scdidadm –R to update

      ありません。このデバイス ID は、手順 b で更新します。

      出力メッセージなし 

      ありません。 

      詳細については、scdidadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 各ノードで、Sun Cluster ストレージデータベースを Solaris 9 デバイス ID に移行します。


      # scdidadm -R all
      
      -R

      修復手順を実行します。

      all

      すべてのデバイスを指定します。

    3. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージデータベースの Solaris 9 への移行が成功したことを確認します。


      # scdidadm -c
      

例 5–1 Sun Cluster 3.0 から Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードの確認

次の例に Solaris 8 OS で、Sun Cluster 3.0 から Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへの 2 ノードクラスタの、ローリング以外のアップグレードを確認するときに使用するコマンドを示します。クラスタノード名は、phys-schost-1phys-schost-2 です。


(ソフトウェアのバージョンがすべてのノードで同じであることを確認します)
# scinstall -pv
 
(クラスタのメンバーシップを確認します)
# scstat -n
-- Cluster Nodes --
                   Node name      Status
                   ---------      ------
  Cluster node:    phys-schost-1  Online
  Cluster node:    phys-schost-2  Online

次の手順

「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードを終了する」に進みます。

ProcedureSun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードを終了する

この手順は、Sun Cluster のアップグレードを完了するときに実行します。最初に、アップグレードにより新しいバージョンを受け取るすべてのリソースタイプを登録します。2 番目にリソースが使用する新しいバージョンのリソースタイプを使用する該当リソースを変更します。3 番目に、リソースを再度有効にします。最後に、リソースグループをオンラインに戻します。

始める前に

「Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを確認する」のすべての手順が完了していることを確認します。

手順
  1. 製品メディアで提供されないデータサービスをアップグレードした場合は、それらのデータサービスの新しいリソースタイプを登録します。

    データサービスに付属のマニュアルに従います。

  2. Sun Cluster HA for SAP liveCache を Sun Cluster 3.0 用のバージョンから Sun Cluster 3.1 用のバージョンにアップグレードした場合は、/opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster 構成ファイルを変更してください。

    1. liveCache リソースをホストするノードでスーパーユーザーになります。

    2. 新しい /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster ファイルを /sapdb/LC_NAME/db/sap/ ディレクトリにコピーします。

      データサービスの以前の構成からすでに存在している lccluster ファイルを上書きします。

    3. この /sapdb/LC_NAME/db/sap/lccluster ファイルを、『Sun Cluster Data Service for SAP liveCache ガイド (Solaris OS 版)』「Sun Cluster HA for SAP liveCache を登録して構成する」で説明しているとおりに構成します。

  3. 構成が Solstice DiskSuite または Solaris Volume Manager ソフトウェアの二重列メディエータを使用する場合は、 メディエータの構成を復元します。

    1. メディエータホストの追加先のディスクセットの所有権を持つノードを指定します。


      # metaset -s setname
      
      -s setname

      ディスクセット名を指定します。

    2. どのノードも所有権を持っていない場合は、ディスクセットの所有権を取得します。


      # scswitch -z -D setname -h node
      
      -z

      マスター権を変更します。

      -D setname

      ディスクセットの名前を指定します。

      -h node

      ディスクセットの主ノードとなるノードの名前を指定します。

    3. メディエータを再作成します。


      # metaset -s setname -a -m mediator-host-list
      
      -a

      ディスクセットに追加します。

      -m mediator-host-list

      追加するノードの名前をディスクセットのメディエータホストとして指定します。

    4. メディエータを使用するクラスタ内の各ディスクセットで、これらの手順を繰り返します。

  4. SPARC: VxVM をアップグレードした場合は、すべてのディスクグループをアップグレードしてください。

    1. アップグレードするディスクグループをオンラインにして、その所有権を取得します。


      # scswitch -z -D setname -h thisnode
      
    2. 次のコマンドを実行して、インストールした VxVM のリリースがサポートする最も高いバージョンにディスクグループをアップグレードします。


      # vxdg upgrade dgname
      

      ディスクグループのアップグレードの詳細については、 VxVM の管理マニュアルを参照してください。

    3. クラスタ内にある残りの各 VxVM ディスクグループで繰り返します。

  5. リソースを新しいリソースタイプバージョンに移行します。


    注 –

    Solaris 10 OS 用の Sun Cluster HA for NFS データサービスにアップグレードする場合は、新しいリソースタイプバージョンに移行する必要があります。詳細については、『Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)』「SUNW.nfs リソースタイプのアップグレード」を参照してください。

    ほかのすべてのデータサービスでは、この手順は任意です。


    コマンド行を使用する手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「リソースタイプの更新」を参照してください。代わりに、scsetup ユーティリティーの「リソースグループ」メニューを使用して同じ作業を実行することもできます。このプロセスには、以下の作業が含まれます。

    • 新しいリソースタイプの登録

    • 該当リソースの新しいバージョンのリソースタイプへの移行

    • リソースタイプの拡張プロパティーを関連データサービスのマニュアルで指定されたとおりに変更

  6. 任意のノードで、scsetup(1M) ユーティリティーを起動します。


    # scsetup
    
  7. すべての無効リソースを再度有効にします。

    1. 「リソースグループメニュー」から、メニュー項目「リソースを有効化または無効化」を選択します。

    2. 有効にするリソースを選択し、プロンプトの指示に従います。

    3. 無効にした各リソースで、手順 b を繰り返します。

    4. すべてのリソースが再び有効になったら、 q を入力して「リソースグループメニュー」に戻ります。

  8. 各リソースグループをオンラインに戻します。

    1. 「リソースグループメニュー」から、メニュー項目「リソースグループをオンライン/オフライン化、またはスイッチオーバー」を選択します。

    2. プロンプトに従って、各リソースグループを管理状態におき、リソースグループをオンラインに戻します。

  9. すべてのリソースグループがオンラインに戻ったら、scsetup ユーティリティーを終了します。

    q を入力して各サブメニューを取り消すか、Ctrl-C を押してください。

次の手順

SPARC ベースのシステムを持っており、Sun Management Center を使用してクラスタを監視している場合は、「SPARC: Sun Cluster モジュールソフトウェアを Sun Management Center 用にアップグレードする」に進みます。

そうでない場合は、クラスタのアップグレードは完了です。

参照

リソースタイプの将来のバージョンにアップグレードする方法については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「リソースタイプの更新」を参照してください。