Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル

DR モデル

Sun Enterprise 10000 システムで使用可能な DR モデルには 2 種類あります。DR モデル 2.0 を「従来型 DR」、DR モデル 3.0 を「次世代 DR」と呼ぶことがあります。どちらの DR モデルを使用するかは、ドメイン上で構成する Solaris オペレーティング環境により決まります。

DR モデル 3.0 は Solaris 8 10/01 オペレーティング環境から利用できますが、このモデルを使用するには、バージョン 3.5 の SSP ソフトウェアを SSP で実行する必要があります。また、Solaris 8 10/01 オペレーティング環境の場合、DR モデル 2.0 も DR モデル 3.0 も使用することができますが、Solaris 8 10/01 以前のバージョンの Solaris の場合は、DR モデル 2.0 のみ使用することができます。

ドメイン内で同時に複数の DR モデルを動作させることはできません。動作中の DR のバージョンを調べるには、以下のコマンドを使用します :domain_status -m。 (-m フラグが使用できるのは、バージョン 3.5 の SSP ソフトウェアのみとなります)。

Sun Enterprise 10000 システムでは、DR モデル間で一方から他方へ切り替えることができます。DR モデル 2.0 と 3.0 間の切り替えについては、「DR モデルの切り替え」を参照してください。

DR コマンドを実行して操作を開始する前に、必ず、domain_status(1M) コマンドに -m オプションを付けて、動作中の DR モデルを確認してください。domain_status(1M) コマンドの実行例を以下に示します。「DR-MODEL」欄に、動作中のモデルが示されます。


# domain_status -m

DOMAIN     TYPE                     PLATFORM   DR-MODEL   OS   SYSBDS
A          Ultra-Enterprise-10000   all-A      2.0         5.8  2
B          Ultra-Enterprise-10000   all-A      3.0         5.8  3 4
C          Ultra-Enterprise-10000   all-A      2.0        5.7  5 6

上記の表示から、ドメイン A は DR モデル 2.0 を使用して Solaris バージョン 8 ソフトウェア (OS 5.8) を実行、ドメイン B は DR モデル 3.0 を使用して Solaris バージョン 8 ソフトウェアを実行、ドメイン C は DR モデル 2.0 を使用して Solaris バージョン 7 ソフトウェア (OS 5.7) を実行していることがわかります。(Solaris バージョン 7 ソフトウェアで使用できるのは、DR モデル 2 のみとなります)。

各モデルで実行可能なコマンドは限定されていますので、サポートされていないコマンドを実行すると、コンソールにエラーメッセージが表示されます。

DR モデル 2.0

動的再構成 (DR: Dynamic Reconfiguration) モデル 2.0 および 3.0 により、マシンを停止させることなく、システムボードを論理的にオペレーティングシステムへ接続したり、オペレーティングシステムから切り離すことができます。DR 操作はホットスワップ (システムボードを物理的に取り外し、取り付けする処理) と合わせて使用します。DR 操作を実行して、新しいシステムボードの取り付け、修理したシステムボードの再取り付け、Sun Enterprise 10000 システムのドメイン構成の変更を行うことができます。

ドメインがシステムボードを使用している場合は、先にそのボードをシステムから切り離してから、ボードの電源を切断し、取り外してください。新しいシステムボードあるいは修理済みのシステムボードを取り付け、ボードの電源を投入すると、そのボードをドメインに接続することができます。

addboard(1M)、moveboard(1M)、deleteboard(1M)、および showusage(1M) といった DR の自動化 (ADR) コマンドを使用すると、System Service Processor (SSP) から DR 操作を行うことができます。

DR モデル 2.0 の使い方についての詳細は、「DR モデル 2.0 の操作手順」を参照してください。

マルチパスの使用条件

DR モデル 2.0 のドメイン上でマルチパスを使用するには、Sun Enterprise Server Alternate Pathing ソフトウェアを実行してください。DR モデル 2.0 は、この代替パスソフトウェアのどのバージョンとも互換性があります。AP についての詳細は、『Sun Enterpriseサーバー Alternate Pathing ユーザーマニュアル』を参照してください。

DR モデル 3.0

DR モデル 3.0 は、DR モデル 2.0 から以下の点を強化しています。

addboard(1M)、moveboard(1M)、deleteboard(1M)、rcfgadm(1M)、および showdevices(1M) といった SSP コマンドを使用すると、System Service Processor (SSP) から DR 操作を行うことができます。


注意 - 注意 -

Solaris 8 10/01 オペレーティング環境を実行しているドメインで DR モデル 3.0 へ切り替えるには、まず、SSP ソフトウェアをバージョン 3.5 へアップグレードする必要があります。これ以前のバージョンの SSP ソフトウェアは DR モデル 3.0 動作に対応していません。


DR モデル 3.0 の使い方についての詳細は、「DR モデル 3.0 の操作手順」を参照してください。

マルチパスの使用条件

DR モデル 3.0 のドメイン上でマルチパスを使用するには、IPMP (Solaris 8 オペレーティング環境で提供される IP マルチパスソフトウェア) と、MPxIO ソフトウェア(Solaris カーネルアップデートパッチ 111412-02、111413-02、111095-02、111096-02、111097-02 に付属) を実行してください。