第6章 Service Advisors

目次

6.1. アドバイザのインストールおよび更新
6.2. アドバイザのスケジューリング
6.2.1. ヒート チャート通知
6.3. ビルトイン ルールの編集
6.4. アドバイザとルールの作成
6.4.1. アドバイザの作成
6.4.2. ルール作成の概要
6.4.3. 変数
6.4.4. しきい値
6.4.5. 文字列の使用
6.4.6. Wiki フォーマット
6.5. アドバイザの無効化とスケジュール解除
6.6. スクリプタブルなアドバイザのブラックアウト

MySQL Enterprise Advisor は、一連のスクリプトで、Service Manager と Service Agents を介して、MySQL サーバからの情報を収集し、MySQL AB によって開発されたカスタムのルールを基にその情報を分析し、必要に応じてアラートとアドバイスを提供します。MySQL Enterprise Advisor 新たなルールがド導入されるとともに、MySQL Enterprise のウェブサイトから MySQL Enterprise Advisor を更新できます。

MySQL Enterprise Advisors は次のカテゴリがあります。

アドバイザのカテゴリでは、そのカテゴリに合わせて、MySQL のベスト プラクティスを実施するよう設計されたルール セットを提供します。ルールは違反があったときに、個別のサーバまたはグループ レベルで実行でき、アラートを発すると供に、問題が大きくなる前に対応し、修正できるよう専門アドバイスを提供します。

個別ルールは items-mysql-network.xml で定義されています。Windows の場合、このファイルは C:\Program Files\mySQL\Enterprise\Agent\share\mysql-service-agent ディレクトリにあります。Unix の場合は、/opt/mysql/enterprise/agent/share/mysql-service-agent ディレクトリにあります。パスワードなしで root アカウントを発見するリールは次のとおりです。

<ITEM> <NAME>no_root_password</NAME> <FIELD>no_password</FIELD> <SCOPE>table</SCOPE> <CODE> <![CDATA[SELECT COUNT(*) AS no_password FROM mysql.user WHERE user='root' AND password='']]> </CODE> <NAMESPACE>mysql</NAMESPACE> <RETURNS>INTEGER</RETURNS> <SOURCE>table</SOURCE> <INSTANCE>mysql.user</INSTANCE> </ITEM>

MySQL Enterprise のサブスクリプション レベルにって、利用可能なルールが異なります。クリプション レベル は累積式であるため、MySQL Enterprise のレベルが高ければ、その下のレベルのすべてのルールにアクセスできます。

Dashboard を最初にイストールするときに、唯一スケジュールされているルールは、Heat Chart に属しているルールです。

Dashboard いログインし、Advisors タブを選択すると、Advisors 画面になります。

6.1. アドバイザのインストールおよび更新

Advisors のインストールt得順は 項2.3.3. 「最初のログイン後のアドバイザのインストール」 を参照してください。Advisors を更新する前は基本的に、MySQL Enterprise ログインを設定するか、またはプロダクト キーを入力する必要があります。

MySQL Enterprise ログインの設定が済むと、Advisors ページへナビゲートし Check for Updates リンクから、最新の Advisors をダウンロードできます。この方法で定期的に更新できます。

注意

インターネット アクセスがなく、オンライン更新のオプションを使用できない場合は、手動でアドバイザをインポートしてください。この手順は、項2.3.3. 「最初のログイン後のアドバイザのインストール」 を参照してください。

6.2. アドバイザのスケジューリング

MySQL Enterprise Advisor のインストールが済むと、定期的に実行するアドバイザを設定できます。

アドバイザのスケジュールは、個別またはグループ毎に設定できます。まず、画面左側にある Server ツリーから、対象のサーバまたはサーバ グループを選択します。そして、Advisors タブを選択します。

Advisors タブで、Current Schedule ページを開きます。MySQL Enterprise Monitor をインストールしたばかりの場合は、Heat Chart グループのアドバイザだけがあります。+ をクリックすると、Heat Chart グループのルールすべてが表示されます。

特定のグループの横にある + ボタンをクリックすると、そのルールが実行されているサーバ、頻度、ステータスを表示します。初期の段階では、Heat Chart のルールすべてが有効になっています。

ルールの詳細を見るには、そのルール名をクリックしてください。そのルールの詳細を説明するダイアログ ボックスが開きます。

ヒート チャート グループ以外のアドバイザを見るには、Add to Schedule リンクを選択します。利用可能なアドバイザすべてが表示されます(サブスクリプション レベルによって異なる)。

ルールは機能別にグループ分けされて、アルファベット順に表示されます。グループを拡張するには、アドバイザ名の左側にある + ボタンをクリックします。

グループごとにすべてのルールを有効化するには、グループ名の横にあるチェックボックスを選択します。選択すると、特定のサーバまたはサーバ グループに対してルールを適用できます。選択したサーバまたはグループを示すメッセージが schedule ボタンの真下に表示されます。たとえば、サーバ ツリーの All Servers グループを選択した場合、「Schedule Advisors Against All Servers」 というメッセージが表示されます。

特定のルールを選択するには、 + ボタンをクリックしてグループ ツリーを拡張します。スケジュールするルールの左側のチェックボックスを選択します。schedule をクリックすると、次のようなダイアログ ボックスが表示されます。

図 6.1. スケジュール ダイアログ

スケジュール ダイアログ

スケジュールのダイアログ ボックスで次のフィールドを設定できます。

  • Frequency – ルールを適用する頻度を指示。デフォルト値はルールによって異なるが、ルールの実行は希望の間隔に設定可能

    警告

    ルールの頻度の設定には、トレードオフがかかわります。ルール評価では、 CPU、メモリ、ディスクなどのシステム リソースを消費します。消費量が少なければ、すべてのルールを多くのサーバに対して頻繁に実行できますが、Service Manager への負荷がかなり大きくなります。これを考慮した上で、頻度を設定してください。たとえば、サーバの停止、再起動を頻繁に行う場合を除いて、サーバのコンフィギュレーション変数を調べるルールを頻繁に実行する必要はありません。

    この他に考慮が必要なこととして、一定のステータス変数はサーバが再起動するまで単調に増加する、ということです。たとえば、Key_readsQcache_hitsQuestionsTable_locks_waited をはじめ、これと同類の変数です。この変数の SHOW STATUS で返される値は、サーバが起動してからの値、あるいは、最後に FLUSH STATUS コマンドを使用してからの値です。これは、サーバが長い時間起動している場合などは特に、パフォーマンス調整という点において不便です。パフォーマンスの調節という点においては、アプリケーションにとって適切な、タイムフレーム(10 分、1 時間など)でのこれらの値の状態変化 (デルタ) を知ることの方が意味があります。ルールをスケジュールする頻度は、これらの変数のデルタ値を算出するときにしようするタイムフレームであり、絶対値ではなく、デルタを評価式で使用します。そのため、式で使用している行列にとって適切な頻度を選択することをお勧めします。

  • Notifications – アドバイザがアラート レベルに達したときにメールを送信するユーザ/通知グループのリストボックス。1つだけまたは複数の選択が可能です。通知グループの設定手順は、項5.5. 「通知グループ」 を参照してください。

頻度を設定し、通知の受信者を指定して、schedule をクリックすると、アドバイザにスケジュールできます。完了すると、Successfully scheduled というメッセージが表示されます。

グローバル SNMP トラップを設定していない場合に、Network Management System (NMS) で特定ルールに関連したイベントを処理したい場合は、Use SNMP Traps のチェックボックスをチェックします。Simple Network Management Protocol (SNMP) に関する詳細は、項5.1.2. 「SNMP トラップ」 を参照してください。

複数のルールをスケジュールするときは、チェックボックスと schedule ボックスを使用してルールをスケジュールする方法が効率的です。ルールを 1 つだけスケジュールするときにも schedule リンクを使用できます。

1 つ以上のルールをスケジュールするときは、それぞれのルールにデフォルトの頻度を適用するチェックボックスを選択するか、または選択したすべてのルールに任意の頻度を選択するオプションがあります。頻度をカスタマイズするときは、選択したすべてのルールに対して適切な値を選択するよう留意してください。

注意

エージェントに SUPER 権限がなく、InnoDB 関連ルールのスケジュールがある場合、DataCollection ログに警告がでます。これは、mysqldskip-innodb オプションで立ち上げたときにも出ます。エージェントの権利に関する詳細は、項2.4.1. 「Service Agent の MySQL ユーザアカウントの作成」 を参照してください。

6.2.1. ヒート チャート通知

NotificationsHeat Chart グループのルールに設定することが非常に重要です。これを行うには、Current Schedule ページで、ルールの横にある + ボタンをクリックし、サーバをクリックします。

これを行うと、OverviewSettingsAdvanced という 3 つのタブがあるウィンドウが開きます。

Overview タブには、ルールが属しているアドバイザ グループ、その目的説明、このアラート履歴へのリンクが表示されます。

Settings タブでは、このルールの頻度を調整し、通知グループを指定できます。選択するグループが連続していないときは、Shift キーを押して対象グループをクリックします(ブラウザによっては、ドラッグして選択のこと)。連続しているときは、Control キーを押しながら対象グループをクリックします。

グローバル SNMP トラップを設定していない場合に、Network Management System (NMS) で特定ルールに関連したイベントを処理したい場合は、Use SNMP Traps のチェックボックスをチェックします。Simple Network Management Protocol (SNMP) に関する詳細は、項5.1.2. 「SNMP トラップ」 を参照してください。

Advanced タブでは、ルールの実装に関する詳細が見れます。

6.3. ビルトイン ルールの編集

ルールに対して定義してある頻度と閾値はデフォルト推奨です。これらの属性を編集するには、Create/Edit Rule リンクを選択します。

次のイメージは、ルールを編集するときに表示される画面です。

図 6.2. ルール編集画面

ルール編集画

ルール名の横にあるのは、Advisor のドロップダウン リストボックスで、アドバイザ グループの編集に使用します。このリストボックスには既存のグループと、(ユーザが)追加したグループが表示されます。Expression テキスト エリアには、アドバイザ ルール、Variable Assignment というルールに使用している変数に関連するデータ項目、それぞれのアラート タイプのトリガを左右する Thresholds が表示されます。

Thresholds には、Info AlertWarning AlertCritical Alert と、3 つのレベルがあり、順にその重要度のレベルが上がっていることを示します。レベルは一定の値と同等、高い、低いという式結果によってトリガされます。

変数が関係しているデータ項目は、RAMなど変数がオペレーティング システム(OS)の属性や InnoDB のバッファプールなどMySQL の特徴です。利用可能なすべてのデータは Data Item リストボックスのドップダウンで見ることができます。

注意

ルールの作成に使用している、すべてのビルトイン変数のリストは、http://dev.mysql.com/doc/refman/5.0/en/mysqld-option-tables.html を参照してください。

図 6.2. 「ルール編集画面」Variable Assignment フレーム内の Data Item リストボックスのドロップダウンには、表現式に使用しているOS 固有の変数または MySQL サーバの様々なステータスが表示されます。Thresholds の下にあるテキストボックスは情報、警告、重要などのアラート レベルを定義しています。

情報アラートのしきい値を下げるには、Info Alert テキスト ボックスの数字を増やします。

データ項目が複数のオブジェクトに対して適用可能な場合、その項目にどのインスタンスを使用するかを、Instance テキストボックスで指定する必要があります。通常これは、local で設定します。例外は次のとおりです。

  • CPU 関連項目では、Instancecpu0 と設定する。追加の CPU がある場合は、cpu1, cpu2 などとする。

  • システムに複数のディスクを実装している場合は、そのドライブの名前に Instance を設定してドライブを指定する。たとえば、Windows の場合は、C:, D:、Unix の場合は、df コマンドに有効なものを使用する。

  • RAM 関連の項目では、Instancemem と設定する。

  • テーブル固有の変数の場合は、データベース名とテーブル名を Instance テキストボックスで指定する必要がある。このトピックについては、後で詳細な説明を参照のこと。

注意

データ項目には、関係のないインスタンスを使用することはできません。You must map "<variable>" to an instance というエラーを誘発し、そのルールは保存できません。

エージェントは 1 つの MySQL サーバからのみデータを収集できます。監視しているサーバがいくつあろうとも、エージェントと監視しているサーバには一対一の関係があります。そのため、ルールでの変数に対する instance エントリをどどの MySQL サーバに使用するかどうかを指定する必要はありません。

ただし、サーバによっては、変数が複数になることがあります。たとえば、Avg_row_length などのように、1 つの MySQL サーバで定義しているデータベースとテーブルが複数ある場合に、テーブル固有の変数が複数あるとします。この場合には、「インスタンス」 が、databasename.tablename で指定のあるデータ項目が関係しているデータベースとテーブルを指します。そのため、たとえば、mysql データベースの user テーブルの Avg_row_length を表現で参照したい場合は、Data Item リストボックスから mysql:tablestatus:Avg_row_length を選択して、Instance テキストボックスの mysql.user を指定します。

一方で、グローバルのサーバ変数の場合は、可能性があるターゲットは 1 つだけです。たとえば、delay_key_write のインスタンスは 1 つだけです。なぜならこの変数はグローバルであり、サーバ全体に適用するからです。この場合、Instance テキストボックスの local を指定します。

変更を保存するには、ページの一番下にある save ボタンをクリックします。

注意

ビルトイン ルールでは、更新したときにルールが正確に機能するように、しきい値と頻度だけを変更できます。他の変更は禁止されています。

ビルトイン ルールを変更する必要がある場合は、必要に応じてそれをコピーしてから修正してください。

現在スケジュール中のルールも変更できます。Check for Updates リンクから新しいルールをインポートした場合は、変更は上書きされません。

6.4. アドバイザとルールの作成

MySQL Enterprise から提供されているアドバイザとルールの使用と編集に加え、ニーズに合わせた独自のアドバイザとルールを作成できます。これを行なうには、Advisors ページで、Create/Edit Rule リンクを選択します。

6.4.1. アドバイザの作成

アドバイザ グループに、同類の既存ルールがグループ分けされています。

ビルトインのアドバイザは次のとおりです。

  • 管理

  • ヒート チャート

  • パフォーマンス

  • レプリケーション

  • スキーマ

  • セキュリティ

独自のアドバイザ グループを作成できる機能により、ニーズに対応できるグループ分けができます。

独自のグループを作成するには、create advisor ボタンをクリックします。適切な名前を入力して、add ボタンをクリックします。新規作成したグループは Advisor カラムに表示されます。

新規に作成したアドバイザは 図 6.2. 「ルール編集画面」 に示すアドバイザのリストボックスに追加されます。これで、新しいルールを作成するときに、このカテゴリのアドバイザを使用できます。

6.4.2. ルール作成の概要

ルールの作成には、図 6.2. 「ルール編集画面」 で示す画面を使用します。最初からルールを作成するにはまず、create rule ボタンをクリックします。ただし、新規ルールの最も簡単な方法は、既存のルールをコピーすることです。既存ルールの編集とは異なり、ルールをコピーすると、そのルールの内容すべてを編集できます。

ルール名、ルールが属しているアドバイザ グループを変更し、独自のバージョン番号を設定できます。図 6.2. 「ルール編集画面」 の画面で、どのようにルールの閾値と頻度を変更できるかを確認できます。

最も大事なこととして、ルールの表現を変更できます。表現は MySQL Enterprise Advisor のコアであり、監視しているときのシナリオに使用します。式はサーバのパラメータなどのシンプルなものから、複数のパラメータを様々な数学演算と組み合わせた複雑なものまで使用できます。

表現には主な特徴が 2 つあります。

  • 表現はベスト プラクティスが実施されていない状況を定義します。

  • 表現の結果は常に 1 または 0 (真/偽)である必要があります。

表現が特定のサーバを真と評価する場合、警告が出て、ベストプラクティスが実施されていないことを示します。表現が偽と評価する場合は、ベストプラクティスがきちんと実行されているという意味であるため、警告は出ません。

たとえば、バイナリ ロギングを有効にしている、ということはプロダクション サーバのベスト プラクティスであるとの判断になります (現在のところ、そう信じられています)。そしてそのベストプラクティスは log_binOFF であれば違反になります。この結果として、「Binary Logging Not Enabled」 ルールの表現は 「%log_bin% == OFF」 になります。これを 1 と評価すると、ベストプラクティスが実施されていないということになり、警告が出ます。

表現は、1 つ以上の変数とゼロ以上の算術演算子から成ります。MySQL Enterprise Monitor では MySQL データベース サーバの表現パーサーと評価子(エバリュエータ)を使用します。演算子と関数のリストについては、http://dev.mysql.com/doc/refman/5.0/en/functions.html を参照してください。ルール作成に使用したビルトインの変数リストについては、http://dev.mysql.com/doc/refman/5.0/en/mysqld-option-tables.html を参照してください。

表現の作成は、Variable Assignment フレームで定義している変数に依存します。フレームは表現フィールドで使用した変数と、MySQL サーバ インスタンスから収集したデータ (サーバのステータス変数)、OS のステータス情報、テーブル情報をリンクします。変数名は Data Item ドロップダウン リストの要素と関係しています。1 つ以上の変数を定義する必要がある場合は、add row ボタンをクリックします。

その他のフィールドは通知メールまたは、それぞれのアドバイザと関係している情報ポップアップ ウィンドウで表示する情報を左右します。

注意

新規のルールを保存するときは、既存ルールの名前を複製しないよう注意してください。

6.4.3. 変数

表現が評価されると、変数は値と置換されます。たとえば、「MyISAM Key Cache Has Sub-Optimal Hit Rate」 というルールの表現の一部がヒット率を次のように計算するとします。

100-((%Key_reads% / %Key_read_requests%)*100)

If the current value of %Key_reads% is 4522 and the current value of %Key_read_requests% is 125989, the hit ratio assesses to 96.4%:

100 -((4522 / 125989) * 100)

慣例により 、MySQL 提供のアドバイザは ‘%’ を区切り文字として使用します。たとえば、%Key_reads% などです。これは変数をより早く識別できるようにします。

表現での使用に加え、変数はルールの DescriptionAdviceActionLinks 属性でも使用できます。これで表現の現行値の報告ができるようになります。

たとえば、「The current value of Key_reads is %Key_reads%.」 というメッセージを Advice テキストボックスに追加できます。これが画面に表示されると、%Key_reads% の値はそのテキストに代入されます。%Key_reads%4522 という値だとすると、「The current value of Key_reads is 4522.」 というメッセージになります。

6.4.4. しきい値

それぞれの表現にはアラートをトリガするしきい値があります。THRESHOLD キーワードは、InfoWarningCritical のいずれかのアラート レベルの値と関係しています。

たとえば、パフォーマンス アドバイザ表現である 「Thread Cache Size May Not Be Optimal」 は次のとおりです。

100-((%Threads_created% / %Connections%) * 100) < THRESHOLD

情報アラートの THRESHOLD を 95 %、警告アラートでは 85 %、重要アラートでは 75 % とセットして 3 段階のアラートを生成します。

表現は非常にシンプルにできます。「Binary Logging Not Enabled」 (管理アラートの一つ)の表現は次のとおりです。

%log_bin% == THRESHOLD

結果が OFF のときは、警告レベルのアラートだけがトリガされます。この状況の場合、単に %log_bin% == "OFF" という表現を使用すると考えますが、これを行うと、しきい値に対するバイナリ ロギングをテストしないため、アラートに繋がりません。

表現を作成するときは、評価するものとしないものの条件について十分考慮してください。たとえば、「MyISAM Key Cache Has Sub-Optimal Hit Rate」 ルールの表現は次のとおりです。

(%Uptime% > 10800) && (%Key_read_requests% > 10000) » && (100-((%Key_reads% / %Key_read_requests%) * 100) < THRESHOLD)

このルールの要所は、(100-((%Key_reads% / %Key_read_requests% ) * 100) < THRESHOLD) です。しかし、サーバが最初に立ち上がるときは、ノーマル操作を表すステートに達するまでに時間がかかることがあります。たとえば、キー キャッシュとクエリ キャッシュには、スタートアップと初期化データと対立するものとして、通常のアプリケーション データをキャッシュする前に一定の時間を必要とすることがあります。その場合は、システムを稼動させてから 10800 秒 (3 時間) 経過するまで、表現の最初の部分である (%Uptime% > 10800) がこの表現の評価を待機します。

さらに、システムのある部分があまり使用されていない場合、データが限られていることを基にしてアラートをトリガすることがあります。たとえば、アプリケーションで MyISAM のストレージ エンジンを使用しない場合、別の MyISAM テーブル (mysql.user テーブルなど) の使用が非常に限られている、ということを基にして、「MyISAM Key Cache Has Sub-Optimal Hit Rate」 ルールがトリガされることがあります。このため、アドバイザには (%Key_read_requests% > 10000) という、キーキャッシュと関係のあるアクティビティが十分になければルールが評価されないという意味を持つ部分が 2 番目にあります。

別の状況として、ブラックアウトしたときなど、一定時間のルール評価を避けたい場合があります。たとえば、「Slave Too Far Behind Master」 ルールの表現は、%Seconds_Behind_Master% > THRESHOLD です。. しかし、午後6時から7時までレプリケーション スレーブのバックアップを実行するとします。その時間帯は、THRESHOLD よりもスレーブがマスタに遅れを取るのは普通のことです。この場合、ルール違反に該当しますが、アラートを受け取る必要がありません。故に、&& CURTIME() NOT BETWEEN '18:00:00' AND '19:00:00' という表現を与えます。これは、「18:00:00 から 19:00:00 まで(午後 6 pm から 7 pm まで) はアラート不要」 という意味です。

6.4.5. 文字列の使用

Expression または Thresholds テキストボックスに、文字列値が表れることがあります。どちらの場合でも、引用符で囲む必要があります。たとえば、「Slave I/O Thread Not Running」 の表現は次のとおりです。

(%Slave_running% == "ON") && (%Slave_IO_Running% != THRESHOLD)

同様に、Critical Alerts しきい値のテキストボックスは、"Yes" の値に設定されています。

この表現が評価されるとき、システムの状態によって、"OFF" または "ON" のどちらかが %Slave_running% に代入され、"Yes" または "No"%Slave_IO_Running% に代入されます。スレーブは稼動しているが I/O スレッドが稼動していない場合、表現は次のようになります。

("ON" == "ON") && ("No" != "Yes")

引用符がなければ、この表現が TRUE になりません。

注意

つまり、これが正確に解釈され、MySQL 表現パーサーに渡される前に、== 演算子が = と変換されます。

6.4.6. Wiki フォーマット

ルールを編集または定義するとき、Problem DescriptionAdviceRecommended ActionLinks and Further Reading のテキストボックスに入力したテキストは、Wiki フォーマットにできます。これにより、独自のルールを作成または編集するときにテキストをフォーマットして、ハイパーリンクを加えることが可能になります。

次のテーブルで、Wiki フォーマットの使用に関して簡単に説明します。

表 6.1. Wiki フォーマット

説明
__bold__ボールド体
~~italic~~イタリック体
\\改行
\\ \\ダブル改行
\\\\Gバックスラッシュ
*item 1箇条書きリスト
#item 1番号付きリスト
\_\’ で特殊文字のエスケープ
{moreInfo:name|url}ハイパーリンク

たとえば、次のような Wiki テキストがあるとします。

Replication is a __very nice feature__ of MySQL.  Replication can be very useful for solving problems in the following areas:* Data Distribution * Load Balancing * Backup and Recovery You can check replication status and start a slave using the following commands:SHOW SLAVE STATUS \\\\G\\START SLAVE; {moreInfo:MySQL Manual:Replication FAQ|http://dev.mysql.com/doc/refman/5.0/en/replication-faq.html}

上記の Wiki テキストは、次の HTML マークアップに置き換えることができます。

Replication is a <b>very nice feature</b> of MySQL.  Replication can be very useful for solving problems in the following areas:<ul> <li>Data distribution</li> <li>Load Balancing</li> <li>Backup and recovery</li> </ul>You can check replication status and start a slave with the following commands:SHOW SLAVE STATUS \G;<br/>START SLAVE; <a href="http://dev.mysql.com/doc/refman/5.0/en/replication-faq.html" target="_blank" >MySQL Manual:Replication FAQ</a>

このフォーマットに関する情報は、wikipedia.org を参照してください。

6.5. アドバイザの無効化とスケジュール解除

状況次第で、特定のサーバまたはグループに対してルールを適用する必要がなくなったり、あるいは、一時的にルールを中止する必要が出てくることあります。このような場合は、ルールを無効化またはスケジュールを解除することができます。

アドバイザの無効化またはスケジュール解除には、Advisors タブの Current Schedule を選択します。

画面の左上(あるいは左下)にあるボタンを使用して、ルールを無効化またはスケジュール解除することもできます。ルールの左側にある enabled または unschedule ハイパーリンクをクリックしてルールを変更することもできます。このボタンは、1 つ以上のルールを変更するときに非常に便利です。

サーバに対するルールの実行を止めるには、+ ボタンをクリックして、アドバイザ グループとそのルールを拡張します。そのときに、unschedule ボタンをクリックすることもできます。ダイアログ ウィンドウが開いたら、unschedule ボタンを選択します。これでそのルールは適用されなくなります。その操作を中止する場合は、cancel を選択します。後日、そのルールを再度使用するときは、Add to Schedule ページで設定できます。

一時的にルールを中止したい場合は、disable ボタンを使用して、スケジュール解除と同様の手順に従います。ルールを無効化すると、ステータス カラムの下のリンクが赤に変わり、disabled になります。ルールを無効化すると、そのルールのデータは収集されなくなります。無効化されたルールは、disabled リンクをクリックするか、または enable ボタンを使用して、簡単に有効化できます。

該当するチェックボックスを洗濯して、1 つ以上のサーバに対して複数のルールを変更できます。それには、unscheduleenabledisable ボタンをクリックします。

6.6. スクリプタブルなアドバイザのブラックアウト

データベース サーバは定期的な保守を必要とし、その期間は Service Agents の活動を停止できます。ブラックアウト中は、ルールは評価されず、通知は保留になりますが、Service Agents は継続してデータ収集を行います。この点に関して、ルールをブラックアウトすることは無効化することとは異なり、データはそのまま収集され、リポジトリに保存されます。

ブラックアウトを有効にするには、次の URL をブラウザのアドレスバーに入力します(ホスト名、ポート、サーバ名は代入すること)。

http://localhost:18080/merlin/rest?command=blackout » &server_name=SuSE:3306&blackout_state=true

ホスト名とポートが分からない場合は、configuration_report.txt ファイルを調べます。必ず Tomcat ポートを指定してください。Dashboard のポート番号ではありません。サーバ ツリーに表示されている名前を使用して、ブラックアウトするサーバを指定します。前述のように、必ず、コロンやポート番号を入れてください。

Dashboard のユーザ名とパスワードを問う、HTTP 認証のダイアログ ボックスが開いたら、最初に MySQL Enterprise Service Manager をインストールしたときに、ルートに使用した証明書を指定します。デフォルトのユーザ名は admin です。デフォルトのパスワードはありません。

サーバのグループのブラックアウトを有効にするには、次の URL をブラウザのアドレスバーに入力します(ホスト名、ポート、サーバ名は代入すること)。

http://localhost:18080/merlin/rest?command=blackout » &group_name=Finance&blackout_state=true

HTTP 認証のダイアログ ボックスが開いたら、管理者の証明書を入力します。

ブラックアウトしたサーバまたはグループを復活させるには、blackout_state=true 名/値のペアを blackout_state=false に変更して、適切な URL とクエリ文字列を使用してください。