リンク構成ファイル (/etc/opt/SUNWconn/ppp/link.conf) は、PPP リンクの確立に使用する同期デバイスと非同期デバイスを定義します。このファイルには、非同期リンクにおける発信情報があります。
リンク構成ファイルの最初のセクションでは、モデム構成ファイルの位置と接続 (CHAT) スクリプトが存在するディレクトリを定義します。デフォルトでは、モデム構成ファイルは、/etc/opt/SUNWconn/ppp/modems です。接続 (CHAT) スクリプトは、ディレクトリ /etc/opt/SUNWconn/ppp/script にあります。
同期デバイスはファイル link.conf に定義されており、各定義はキーワード sync_device で始まります。
同期デバイス定義の形式は、以下のとおりです。
sync_device syncdevn unix_device device_name line_speed line_speed tx_clock txc rx_clock rxc |
同期デバイスの必須パラメータ。同期デバイス定義の始まりを示し、デバイス名を割り当てます。
同期デバイスの必須パラメータ。同期通信に使用するシリアルポートを指定し、ファイル ppp.conf に定義されている同期パスのいずれかと同期デバイスとを関連付けます。device_name 値は、マシンにインストールされている同期シリアルインタフェースを示している必要があります。
たとえば、zshn という形式のデバイス名は、オンボードシリアルインタフェースのいずれかとパスを関連付けます。hihn という形式のデバイス名は、高速シリアルインタフェース (HSI) とパスを関連付けます。
内部クロックが選択されている場合の同期デバイスの必須パラメータ。最適回線速度は、シリアルデバイスによって異なります。デフォルト値は、オンボードシリアルインタフェース (zsh) の最適回線速度です。その他のシリアルデバイスを使用している場合は、デバイスのマニュアルを参照してください。
同期デバイスの必須パラメータ。送信クロック信号のソースを指定します。txc 値は、baud (システムボーレートを使用する内部クロック)、txc (送信ピン上の信号を使用する外部クロック)、または rxc (受信ピン上の信号を使用する外部クロック) です。一般的には、baud (内部クロック) または txc (外部クロック) を送信クロックとして設定します。
同期デバイスの必須パラメータ。受信クロック信号のソースを指定します。rxc 値は、baud (システムボーレートを使用する内部クロック)、txc (送信ピン上の信号を使用する外部クロック)、または rxc (受信ピン上の信号を使用する外部クロック) です。一般的には、内部クロックと外部クロックの両方に rxc を受信クロックとして設定します。
以下の同期デバイス定義では、高速シリアルインタフェース (hih) と外部クロックを使用します。
sync_device syncdev0 qqunix_devicee hih0 line_speed 0 tx_clock txc rx_clock rxc |
以下の同期デバイス定義では、オンボードシリアルインタフェース (zsh) のいずれかと内部クロックを使用します。
sync_device syncdev0 unix_device zsh0 line_speed 19200 tx_clock baud rx_clock rxc |
非同期デバイスはファイル link.conf に定義されており、各定義はキーワード dialup_device で始まります。
非同期デバイス定義の形式は、以下のとおりです。
dialup_device pppdevn unix_device device_name line_speed speed modem modem_id calls call_type |
非同期デバイスの必須パラメータ。非同期定義の始まりを示し、デバイス名を割り当てます。
非同期デバイスの必須パラメータ。ホストとモデムの接続に使用するシリアルポートを指定します。
非同期デバイスの必須パラメータ。ホストとモデムの接続の回線速度を指定します。高性能を確保するには、モデムのボーレート以上の回線速度を使用します。オプション ctsrts は、送信可信号と送信要求信号によるソフトウェアフロー制御を使用可能にします。
非同期デバイスの必須パラメータ。シリアルポートに接続するモデムの種類を指定し、モデムデータベースにある定義のいずれかと非同期デバイスを関連付けます。デフォルトでは、この定義はファイル /etc/opt/SUNWconn/ppp/modems になります。ヌルモデム構成の場合は、このパラメータは none に設定されます。
非同期デバイスの必須パラメータ。呼設定フェーズにおけるデバイスの動作を指定します。call_type 値は、answer (受信専用デバイス)、dial (発信専用デバイス)、または both (送受信デバイス) です。
以下の非同期デバイス定義では、BocaModem V.34 DataFax モデムを使用し、回線速度は 38400 です。最初のデバイスは送受信を行い、2 番目のデバイスは発信だけを行います。
dialup_device pppdev0 unix_device ttya line_speed 38400 modem BocaModem V.34 DataFax call_setup both dialup_device pppdev1 unix_device ttyb line_speed 38400 modem BocaModem V.34 DataFax call_setup dial |
以下の非同期デバイス定義では、ヌルモデム構成において呼を受信します。
dialup_device pppdev0 unix_device ttya line_speed 38400 modem none call_setup answer |
複数の非同期デバイス定義をファイル link.conf に作成した場合は、非同期デバイスのプールを定義することができます。
デバイスプールは、個々のデバイスの場合とまったく同じように 1 個以上のリモートホストと関連付けられます。このようなホストのいずれかに対する着信接続要求や発信接続要求の処理では、プールにデバイスが存在するかぎり、プールから 1 個の非同期デバイスが自動的に選択されます。
デバイスプール定義の形式は、以下のとおりです。
pool_device pooln pppdevn pppdevn+1 ... |
pool_device pooln
デバイスのプールを使用可能にする必須パラメータ。デバイスプール定義の始まりを示し、デバイス名を割り当てます。
pppdevn pppdevn+1 ...
デバイスのプールを使用可能にする必須パラメータ。デバイスプールに含める非同期デバイスのリストを指定します。空白文字またはコンマでデバイス名を区切る必要があります。
以下は、4 個の非同期デバイスで構成するデバイスプールの例です。
pool_device pool0 pppdev0 pppdev1 pppdev2 pppdev3 |
リンク構成ファイル (link.conf) には、ローカルホストからの非同期接続先のリモートホストのリストもあります。リモートホスト定義はすべて、同期デバイスと非同期デバイスの定義の後に入力する必要があります。
リモートホスト定義の形式は、以下のとおりです。
remote_host name phone_number number chat_script filename use_device pppdevn |
リモートホスト定義の必須パラメータ。リモートホスト定義の始まりを示し、PPP パス構成ファイル (ppp.conf) に定義されている非同期パスのいずれかとリモートホストを関連付けます。
リモートホスト定義の必須パラメータ。リモートホストへの発信に使用する電話番号を指定します。構内交換機内への発信の場合は、内線番号を指定することができます。ヌルモデム構成の場合は、ダミーの電話番号を割り当てます。数字以外に # や * などの特殊文字を含む文字を電話番号に使用することができます。一時停止を挿入するには、コンマ (,) を使用します。一時停止は通常 2 秒間ですが、ほとんどのモデムでは一時停止時間を設定することができます。文字 P で始まる電話番号の場合は、パルスダイヤルモードが使用されます。
リモートホスト定義の必須パラメータ。接続の設定ダイアログを定義する CHAT スクリプトがあるファイルの名前を指定します。