PPP パス構成ファイル (/etc/opt/SUNWconn/ppp/ppp.conf) には、Solstice PPP における IP に使用する同期パスと非同期 (ダイヤルアップ) パスが記述されます。また、Solstice PPP の論理 IP インタフェースを確立する ifconfig(1M) も記述されています。
PPP 構成ファイルにある ifconfig(1M) コマンドは、Solstice PPP のポイントツーポイント (ipdptpn) IP インタフェースとポイントツーマルチポイント (ipdn) IP インタフェースを確立します。これらのコマンドは Solstice PPP の起動時に実行され、各インタフェースにネットワークアドレスの割り当てとネットワークパラメータの構成を行います。
Solstice PPP の IP インタフェースを確立する ifconfig コマンドの形式は、以下のとおりです。
ifconfig interface plumb source [dest] netmask mask mtu mtu up |
interface
IP インタフェースの名前と種類。Solstice PPP の IP インタフェースは、ipdptpn (ポイントツーポイント) と ipdn (ポイントツーマルチポイント) です。n は、番号です。
通常、IP インタフェースには、ipdptp0、 ipdptp1、 ipdptp2 や ipd0、 ipd1、 ipd2 のように、ゼロから順に番号を付けます。
plumb
インタフェース名に関連するデバイスを開き、デバイスを使用するための TCP/IP を使用可能にする STREAMS を設定します。
source
ポイントツーポイント IP インタフェースとポイントツーマルチポイント IP インタフェースの発信元アドレス (アタッチメントポイント) を示す IP アドレス (ドット表記) またはホスト名。
dest
ポイントツーポイントインタフェース専用。ポイントツーポイント IP インタフェースの着信先アドレスを示す IP アドレス (ドット表記) またはホスト名。
netmask mask
ネットワークをサブネットワークに分割するときに予約する IP アドレス数を指定します。マスクは、ドット表記または 0x で始まる 16 進表記で入力します。
mtu mtu
インタフェースの最大伝送ユニット (MTU) を設定します。MTU は 60 〜 8232 バイトの範囲である必要があります。通常は Ethernet ネットワークにおける最適値の 1500 に設定されています。
up
インタフェースに up のマーク付け、つまりアクティブ状態にします。down を使用すると、インタフェースを一時的に使用禁止にすることができます。同期 PPP リンクに関連付けられている IP インタフェースは、デフォルト状態で up のマークが付けられます。非同期 PPP リンクに関連付けられている IP インタフェースに up のマークが付いている場合は、IP 層がインタフェースに IP データグラムを渡したときにリンクマネージャによってリンクが自動的に確立されます。
Solstice PPP のポイントツーマルチポイント IP インタフェースを確立するには、以下の形式の ifconfig コマンドを組み込みます。
ifconfig ipd0 plumb papyrus netmask 255.255.255.0 mtu 1500 up |
Solstice PPP のポイントツーポイント IP インタフェースを確立するには、以下の形式の ifconfig コマンドを組み込みます。
ifconfig ipdptp0 plumb ifconfig ipdptp0 papyrus epic netmask 255.255.255.0 mtu 1500 up |
上記の例のように複数の ifconfig コマンドを連結して、インタフェースを完全に定義することができます。
IP アドレスの動的割り当て機能をサポートするようにサーバーを構成するには、必要に応じてクライアントに割り当てられるポイントツーポイント IP インタフェースのプールを定義する必要があります。これらのインタフェースには、デフォルトで必ず down のマークが付いています。
以下の例は、IP アドレス動的割り当てに使用する n 個のポイントツーポイント IP インタフェースのプールを作成する方法です。
ifconfig ipdptp0 plumb ifconfig ipdptp0 local rem1 netmask 255.255.255.0 mtu 1500 down ifconfig ipdptp1 plumb ifconfig ipdptp1 local rem2 netmask 255.255.255.0 mtu 1500 down ifconfig ipdptp2 plumb ifconfig ipdptp2 local rem3 netmask 255.255.255.0 mtu 1500 down . . ifconfig ipdptpn plumb ifconfig ipdptpn local remn netmask 255.255.255.0 mtu 1500 down |
プール内のインタフェース数は、サーバーに接続する非同期デバイス (モデム) の数と等しい必要があり、プールに入れることができるインタフェースは最大 512 個です。サーバーは、この数よりはるかに多い数のクライアントをサポートすることができます。
クライアント数が少ない場合や、クライアント数とモデム数が等しい場合は、インタフェースを静的に割り当てることができます。この場合は、クライアントが IP アドレスを要求するときに、常に同じインタフェースがプールから割り当てられます。
クライアント数が多い場合や、モデム数よりクライアント数がはるかに多い場合は、インタフェースを動的に割り当てることができます。この場合は、クライアントが IP アドレスを要求するときに、プールから 1 つのインタフェースが割り当てられます。ただし、常に同じインタフェースが割り当てられるとはかぎりません。
静的 IP インタフェースと動的 IP インタフェースを割り当てる方法については、「非同期パス (dialup_path) の定義」 を参照してください。
同期パスはファイル ppp.conf に定義されており、各定義はキーワード sync_path で始まります。同期パスは、必ずポイントツーポイント IP インタフェースに関連付けられます。
同期パス定義の形式は、以下のとおりです。
sync_path ip_interface ipdptpn unix_device device_name . . . |
sync_path
同期パスの必須パラメータ。同期パス定義の始まりを示します。
同期パスの必須パラメータ。ファイルの ifconfig セクションに定義されているポイントツーポイント IP インタフェースのいずれかと同期パスを関連付けます。複数の同期パスが 1 つの IP インタフェースを共用する場合は、負荷分散機能が使用可能になります。
同期パスの必須パラメータ。ファイル link.conf に定義されている同期デバイスのいずれかと同期パスとを関連付けます。値 device は、マシンにインストールされている同期シリアルインタフェースを示している必要があります。
たとえば、zshn という形式のデバイス名は、オンボードシリアルインタフェースのいずれかとパスを関連付けます。hihn という形式のデバイス名は、高速シリアルインタフェース (HSI) とパスを関連付けます。
同期パスの省略可能パラメータ。送信経路をデフォルトの宛先としてルーティングテーブルに追加します。IP インタフェースに down のマークが付いている場合は、送信経路は削除されます。
同期パスの省略可能パラメータ。リモートホストからの IP アドレスを受け付けます。ローカルマシンのインタフェースに割り当てられている IP アドレスと異なる場合でも、受け付けます。
state 値は、on (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は off です。
同期パスの省略可能パラメータ。リンクモニターの現在の状態を示します。使用可能状態のリンクモニターは、定期的なエコー要求をリモートホストに送信します。指定した数の要求を行なってもリモートホストが応答しなかった場合、リンクモニターはリンクに障害が発生したと仮定します。このリンクにおける IP データグラムの伝送を停止するため、リンクモニターは同期パスに関連付けられている IP インタフェースに down のマークを付けます。
state 値は、on (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は off です。
同期パスの省略可能パラメータ。リンクモニターが生成する連続的エコー要求の時間間隔を秒数で指定します。
seconds 値は、ゼロより大きい任意の整数です。デフォルト値は 5 秒です。
link_monitor_retries max_retries
同期パスの省略可能パラメータ。リモートホストが接続不可とみなされ IP インタフェースが使用禁止されるまでにリンクモニターが生成する未応答エコー要求の数を指定します。
max_retries 値は、ゼロより大きい任意の整数です。デフォルト値は 12 です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ppptrace と pppstat がリンクの識別に使用する名前を割り当てます。name 値は、任意の文字列です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。低速リンクにおける性能を Van Jacobson 圧縮方式によって高めるヘッダー圧縮機能の現在状態を示します。
state 値は、vj (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は vj です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ローカルマシンの最大受信ユニット (MRU) を指定します。このパラメータは LCP Configure-request フレームで配信され、リモートホストの最大伝送ユニット (MTU) を設定します。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
デフォルトでは、mru 値は Ethernet ネットワーク用の 1500 バイトに設定されています。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。連続的 LCP Configure-request フレームの時間間隔を秒数で指定します。衛星接続など遅延時間が長いネットワークを使用して接続する場合は、LCP 再起動タイマー値を上げる必要が生じることがあります。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
seconds 値は、ゼロより大きい任意の整数です。デフォルト値は 3 秒です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。エンドポイントが接続不可とみなされ、IP インタフェースに down のマークが付けられるまでに生成される未応答 LCP Configure-request フレームの数を指定します。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
max_restart 値は、1 〜 255 の任意の整数です。デフォルト値は 10 です。max_restart 値が 255 に設定されている場合は、リモートホストが応答するまで LCP Configure-request フレームが定期的に生成されます。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ローカルホストがリモートホストによる認証を要求すること、および認証プロトコルを使用することを指定します。認証機能が使用可能のときにリモートホストが自分自身を認証しなかった場合は、接続が切断されます。
mode 値は、off (認証なし)、pap (PAP による認証)、chap (CHAP による認証)、または pap|chap (PAP と CHAP による認証) です。デフォルト値は off です。
PAP と CHAP の両方が使用可能の場合は、CHAP 認証が最初に行われます。CHAP 認証をサポートしないリモートホストは、PAP 認証だけを行うことができます。
ローカルホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストから希望の PAP 識別子を指定します。pap_id 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。ゼロ長の値は、expect_pap_id "" によって表します。
ローカルホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストから希望の PAP パスワードを指定します。pap_passwd 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。ゼロ長の値は、expect_pap_passwd "" によって表します。
ローカルホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストから希望の CHAP 名を指定します。chap_name 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
ローカルホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストから希望の応答を生成するために、チャレンジ値とともに使用する CHAP シークレットを指定します。chap_secret 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
省略可能パラメータ。リモートホストが要求した認証ネゴシエーションをローカルホストが行なったかどうか、および認証プロトコルを使用するかどうかを指定します。
mode 値は、off (認証なし)、pap (PAP による認証)、chap (CHAP による認証)、または pap|chap (PAP と CHAP による認証) です。デフォルト値は off です。
リモートホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求するときに、リモートホストに送信する PAP 識別子を指定します。pap_id 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。
ゼロ長の値は、expect_pap_id "" によって表します。
リモートホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求するときにリモートホストに PAP パスワードが送信されます。pap_passwd 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。
ゼロ長の値は、expect_pap_passwd "" によって表わします。
リモートホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求するときにリモートホストに送信する CHAP 名を指定します。chap_name 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
リモートホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストに送信する応答を生成するチャレンジ値とともに使用する CHAP シークレットを指定します。chap_secret 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
以下の同期パス定義では、ローカルホストがリモートホストから PAP 認証と CHAP 認証を要求します。ただし、リモートホストによって認証が要求されたとき、ローカルホストは PAP ネゴシエーションだけを行います。
sync_path ip_interface ipdptp0 unix_device zsh0 expect_authentication pap|chap expect_pap_id epic_id expect_pap_passwd epic_passwd expect_chap_name epic_name chap_peer_secret epic_secret send_authentication pap send_pap_id papyrus_id send_pap_passwd papyrus_passwd |
以下の同期パス定義では、1 つの IP インタフェースを使用する 2 つの同期パスにおいて負荷分散機能を使用可能にします。
sync_path ip_interface ipdptp2 unix_device hih0 sync_path ip_interface ipdptp2 unix_device hih1 |
非同期パスはファイル ppp.conf に定義されており、各定義はキーワード dialup_path で始まります。非同期パスは、ポイントツーポイント IP インタフェースとポイントツーマルチポイント IP インタフェースに関連付けることができます。IP アドレスの動的割り当て機能は、非同期パスに対してだけサポートされます。
非同期パス定義の形式は、以下のとおりです。
# Dialup path using static point-to-point IP interface dialup_path ip_interface ipdptpn expect_login_id user_name . . # Dialup path using dynamic point-to-point IP interface dialup_path ip_interface ipdptp* expect_login_id user_name . . # Dialup path using point-to-multipoint IP interface dialup_path ip_interface ipdn expect_login_id user_name remote_ip_addr ip_addr . . |
非同期パスの必須パラメータ。非同期 (ダイヤルアップ) パス定義の始まりを示します。
非同期パスの必須パラメータ。ファイルの ifconfig セクションに定義されているポイントツーポイント (ipdptpn) IP インタフェースまたはポイントツーマルチポイント (ipdn) IP インタフェースのいずれかと非同期パスとを関連付けます。
ポイントツーポイント IP インタフェースには、静的なものと動的なものとの 2 種類があります。静的なポイントツーポイント IP インタフェースは番号によって識別され (ipdptp0、ipdptp1、...、ipdptpn)、以下のように 1 組の発信元 IP アドレスと宛先 IP アドレスをダイヤルアップパスと関連付けます。
dialup_path ip_interface ipdptp0 |
動的 IP インタフェースはサーバー側の IP アドレス動的割り当てに使用され、アスタリスクによって識別されます (ipdptp*)。プールの中にインタフェースが存在するかぎり、必要に応じてインタフェースが割り当てられます。たとえば、以下のように割り当てられます。
dialup_path ip_interface ipdptp* |
発信に使用する非同期パスの必須パラメータ。ファイル link.conf に定義されているリモートホストのいずれかと非同期パスとを関連付けます。name 値は、任意の文字列です。
ポイントツーマルチポイント接続の必須パラメータ。ポイントツーポイント接続の場合は不要です。非同期パスに関連しているリモートホストの IP アドレスを指定します。ip_addr 値は、ファイル /etc/hosts に定義されているホスト名または IP アドレス (ドット表記による) です。
着信呼の受信に使用する非同期パスの必須パラメータ。リモートホストが要求するログイン識別子を指定します。このパラメータは着信呼を特定の非同期パスと関連付けるので、各リモートホストが一意のログイン識別子を持っている必要があります。
login 値は、1 〜 8 文字の任意の小文字の文字列です。リモートホスト上の関連する接続スクリプトに定義されているログイン識別子と等しい必要があります。
admintool(1M) を使用して、このログイン識別子を持つユーザーアカウントを作成することも必要です。詳しい手順については、「着信接続のためのユーザーアカウントの追加」を参照してください。
ポイントツーポイント IP インタフェースの省略可能パラメータ。IP インタフェースに up のマークが付いている場合は、デフォルトの宛先として送信経路がルーティングテーブルに自動的に追加されます。IP インタフェースに down のマークが付いている場合は、送信経路はルーティングテーブルから削除されます。これはクライアント構成、つまり発信呼専用のリンクで使用することが多いパラメータです。ルーティングデーモンがマシン上で実行されているときにこのパラメータを使用すると、ネットワークトラフィックが必要以上に増大するため、このデーモンとの併用は避けてください。
非同期パスの省略可能パラメータ。非同期接続が自動的に切断されるまでの非活動時間を秒数で指定します。
seconds 値は、任意の整数です。デフォルト値は 120 秒 (2 分) です。seconds 値がゼロに設定されている場合は、明示的に切断されるまで接続はオープン状態のままとなります。
非同期パスの省略可能パラメータ。クライアント側に対してだけ、IP アドレス動的割り当て機能を有効にします。state 値が on に設定されている場合は、サーバー側で割り当てられているインタフェースプールにある IP アドレスをクライアントが要求します。
state 値は、on (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は off です。
非同期パスの省略可能パラメータ。サーバー側の IP アドレス動的割り当て用に定義されているインタフェースプールからの指定 IP インタフェースを隠ぺいします。同期接続に使用することを目的としたポイントツーポイント IP インタフェースの予約に使用することができます。
非同期パスの省略可能パラメータ。リモートホストからの IP アドレスを受け付けます。ローカルマシンのインタフェースに割り当てられている IP アドレスと異なる場合でも、受け付けます。
state 値は、on (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は off です。
非同期パスの省略可能パラメータ。リモートホストが使用する LCP 非同期マップを指定します。LCP 非同期マップは、PPP フレームを使用した送信においてどの制御文字を転置するかを定義する、ネゴシエーション用のパラメータです。
一部のデバイスでは、CTRL-S や CTRL-Q などの 0x00 〜 0x1f の範囲にある制御文字をソフトウェアのフロー制御に使用します。これらのデバイスは PPP フレームで送信する制御文字を解釈し、その結果リンクを切断する場合があります。この問題を避けるには、32 個のすべての制御文字を自動的に転置させ、上記の範囲に該当しないようにします。制御文字のコード化や符号化を行うと、リンクの両端に処理オーバーヘッドがかかります。
LCP 非同期マップは、どの制御文字をリモートホストに転置させるかを定義します。mask 値で 1 に設定されているビットは制御文字を転置することをリモートホストに指示し、ゼロに設定されているビットは制御文字を転置しないことをリモートホストに指示します。リンク内の各デバイスが PPP フレームで受信する制御文字に対してどのように応答するかを予測できる場合は、特定の mask 値を指定することによって一部の制御文字だけをリモートホストに転置させることができます。たとえば、0x0000ffff の mask 値は、最初の 16 個の制御文字だけを転置することをリモートホストに指示します。
デフォルトの mask 値は 0xffffffff です。これによって、32 個のすべての制御文字が転置することがリモートホストに指示されます。mask 値が 0x0 の場合は、制御文字はすべて変更されません。
非同期パスの省略可能パラメータ。PPP フレームのアドレスフィールドとプロトコルフィールドを圧縮するかどうかを指定します。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
state 値は、on (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は on です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ローカルマシンの最大受信ユニット (MRU) を指定します。このパラメータは LCP Configure-request フレームで配信され、リモートホストの最大伝送ユニット (MTU) を設定します。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
デフォルトでは、mru 値は Ethernet ネットワーク用の 1500 バイトに設定されています。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。連続的 LCP Cofigure-Request フレームの経過時間を秒数で指定します。衛星接続など遅延時間が長いネットワークを使用して接続する場合は、LCP 再起動タイマー値を上げる必要があることがあります。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
seconds 値は、ゼロより大きい任意の整数です。デフォルト値は 3 秒です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。エンドポイントに接続不可とみなされ、IP インタフェースに down のマークが付けられるまでに生成される未応答 LCP Configure-request フレームの数を指定します。詳細については、付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
max_restart 値は、1 〜 255 の任意の整数です。デフォルト値は 10 です。max_restart 値が 255 に設定されている場合は、リモートホストが応答するまで LCP Configure-Request フレームが定期的に出力されます。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ppptrace と pppstat が使用するリンク名を割り当てます。name 値は、任意の文字列です。
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。低速リンクにおける性能を Van Jacobson 圧縮方式によって高めるヘッダー圧縮機能の現在状態を示します。詳細については、 付録 A 「PPP リンクの動作」 を参照してください。
state 値は、vj (使用可能) または off (使用不可) です。デフォルト値は vj です。
expect_authentication mode
同期パスと非同期パスの省略可能パラメータ。ローカルホストがリモートホストによる認証を要求すること、および認証プロトコルを使用することを指定します。認証機能が使用可能のときにリモートホストが自分自身を認証しなかった場合は、接続が切断されます。
mode 値は、off (認証なし)、pap (PAP による認証)、chap (CHAP による認証)、または pap|chap (PAP と CHAP による認証) です。デフォルト値は off です。
PAP と CHAP の両方が使用可能の場合は、CHAP 認証が最初に行われます。CHAP 認証をサポートしないリモートホストは、PAP 認証だけを行うことができます。
expect_pap_id pap_id
ローカルホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストが要求する PAP 識別子を指定します。pap_id 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。ゼロ長の値は、expect_pap_id "" によって表します。
expect_pap_passwd pap_passwd
ローカルホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストが要求する PAP パスワードを指定します。pap_passwd 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。ゼロ長の値は、expect_pap_passwd "" によって表します。
expect_chap_name chap_name
ローカルホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストが要求する CHAP 名を指定します。chap_name 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
chap_peer_secret chap_secret
ローカルホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストが要求する応答を生成するために、チャレンジ値とともに使用する CHAP シークレットを指定します。chap_secret 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
send_authentication mode
省略可能パラメータ。リモートホストが要求する認証ネゴシエーションをローカルホストが行うかどうか、および認証プロトコルを使用するかどうかを指定します。
mode 値は、off (認証なし)、pap (PAP による認証)、chap (CHAP による認証)、または pap|chap (PAP と CHAP による認証) です。デフォルト値は off です。
send_pap_id pap_id
リモートホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求したリモートホストに送信する PAP 識別子を指定します。pap_id 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。
ゼロ長の値は、expect_pap_id "" によって表します。
send_pap_passwd pap_passwd
リモートホストが PAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求したリモートホストに送信する PAP パスワードを指定します。pap_passwd 値は、0 〜 255 文字の任意の文字列です。
ゼロ長の値は、expect_pap_passwd "" によって表します。
send_chap_name chap_name
リモートホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。認証を要求したリモートホストに送信する CHAP 名を指定します。chap_name 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
chap_own_secret chap_secret
リモートホストが CHAP 認証を要求する場合の必須パラメータ。リモートホストに対する応答を生成するためにチャレンジ値とともに使用する CHAP シークレットを指定します。chap_secret 値は、1 〜 255 文字の任意の文字列です。
以下の非同期パス定義は、ローカルホストがリモートホスト odyssey から CHAP 認証を要求するポイントツーマルチポイント IP インタフェースを示します。
dialup_path ip_interface ipd0 expect_login_id odyssey-login remote_host odyssey remote_ip_addr 129.xxx.xxx.119 inactivity_timeout 120 expect_authentication chap expect_chap_name odyssey_name chap_peer_secret odyssey_secret |
以下の非同期パス定義では、IP アドレス動的割り当て機能がクライアント側で有効です。
dialup_path ip_interface ipdptp0 remote_host odyssey request_ip_addr on |
以下の非同期パス定義では、動的 IP インタフェースが 3 つのダイヤルアップパスに設定されています。
dialup_path ip_interface ipdptp* expect_login_id remote1 dialup_path ip_interface ipdptp* expect_login_id remote2 dialup_path ip_interface ipdptp* expect_login_id remote3 |
同期パス定義と非同期パス定義のすべてに対して適用するデフォルトパラメータリストを、キーワード defaults を使用して定義します。デフォルトリストには、省略可能パラメータをすべて含めることができます。ip_interface や unix_device などの必須パラメータや remote_host や expect_login_id などのファイル間の関連付けの作成に使用するパラメータをデフォルトとして使用することはできません。
同期パスと非同期パスの両方に適用するデフォルトは、慎重に定義してください。特に、同期パスに対して IP アドレスの動的割り当てを定義しないでください。それぞれの種類専用に個別のデフォルトを定義してください。
以下の例では、同期パスと非同期パスに対して個別のデフォルトを定義します。
defaults link_monitor on lcp_mru 4352 sync_path ip_interface ipdptp0 unix_device hih0 sync_path ip_interface ipdptp1 unix_device hih1 defaults inactivity_timeout 180 request_ip_addr on dialup_path ip_interface ipdptp2 remote_host server0 dialup_path ip_interface ipdptp3 remote_host server1 |