Trusted Solaris 管理の手順

TSIX (tsix) ホストタイプ

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tsix ホストタイプを指定した場合 (つまり、テンプレートマネージャの「ホストタイプ (Host Type)」メニューで「TSIX」を選択した場合)、トラステッドネットワークソフトウェアは TSIG (Trusted System Interoperability Group) で制定された TSIX 規格に準拠するホストと通信します (Sun Microsystems Federal, Inc. は TSIG のメンバーです)。tsix ホストタイプの場合、トラステッドネットワークソフトウェアは SATMP (Security Attribute Token Mapping Protocol) を使います。属性がトークン形式であることは、SAMP ヘッダーの属性ヘッダーで識別されます。属性がバイナリ形式の代わりにトークン形式で伝送されることを除けば、パケットは sun_tsol ホストタイプと同じ形式になります。

「I.P. ラベルの型 (IP Label Type)」フィールドは「なし (None)」、「CIPSO」、「RIPSO」のいずれかに設定できます。このフィールドを設定すると、IP ヘッダーの IP オプションに、トラステッドルーティングに使用される CIPSO または RIPSO ラベルが挿入されます。「トラステッドネットワークデータベースにおけるエントリの作成」を参照してください。

TSIX ホストタイプを使用して通信を行うには、送信側と受信側のホストを両方とも同じ TSIX DOT (domain of translation) 内に設定する必要があります。


注 -

サンの TSIX トークンマップの定義は、最初に定義された TSIX DOT であるため、Trusted Solaris システムとの通信を希望する他の組織では、少なくとも 1 つ以上の TSIX DOT が定義されるまでは、このサン定義の DOT を使用する必要があります。将来的には、トークンの意味を定義する TSIX DOT レジストリが設定される予定です。


「I.P. ラベルの型 (IP Label Type)」フィールドに CIPSO が指定された tsix タイプのホストでは、system(4) ファイルの tsol_admin_high_to_cipso スイッチを 1 に設定しなければなりません。そうしないと、Trusted Solaris ホストとの通信が不能になります。/etc/system ファイルにスイッチを追加する方法については、第 13 章「Trusted Solaris カーネルスイッチ設定の変更」を参照してください。

tsix ホストに設定できるセキュリティ属性は、次の図のとおりです。このホストタイプに適用されないフィールドは、使用できないようにグレー表示されます。

図 10-3 Tnrhtp で TSIX ホストタイプに設定できるフィールド

Graphic

次の表に、tsix ホストタイプの必須セキュリティ属性の詳細を示します。

表 10-3 tsix ホストタイプの必須セキュリティ属性
 設定可能な属性 説明
最下位機密ラベル (min_sl=)16 進数形式の ADMIN_LOWまたは他の有効な機密ラベルを指定し、tsix ホストとの通信を制限する。
最上位機密ラベル (max_sl=)16 進数形式の ADMIN_HIGH または他の有効な機密ラベルを指定し、tsix ホストとの通信を制限する。
許容された特権 (allowed_privs=)当該ホストによりネットワーク (受信と送信の両方) で伝達される有効な特権セットを制限するために指定する。指定した特権だけが許可される。all はすべての特権が解釈されることを意味する。none は特権が解釈されないことを意味する。ホストに適用される tnrhtp テンプレートでは、allowed_privs=empty は、このフィールドの tnidb に指定したものが適用されることを意味する。tnidb ファイルでは、empty は特権が適用されないことを意味する。
強制された特権 (forced_privs=)当該ホストは特権を提供しないため、定義しているホストからの着信パケットに適用される特権を指定する。all はすべての特権が解釈されることを意味する。none は特権が解釈されないことを意味する。ホストに適用される tnrhtp テンプレートでは、forced_privs=empty は、このフィールドの tnidb に指定したものが適用されることを意味する。tnidb ファイルでは、empty は特権が適用されないことを意味する。
デフォルトのラベル (def_label=) 当該ホストは機密ラベルを提供しないため、定義しているホストからの着信パケットに適用される機密ラベルを指定する。
デフォルトの認可上限 (def_cl=) 当該ホストは認可上限を提供しないため、 定義しているホストからの着信パケットに適用される認可上限ラベルを指定する。プロセスは、その認可上限に対応する機密ラベルに書き換えることができる。
デフォルトの UID(def_uid=)当該ホストは UID を提供しないため、定義しているホストからの着信パケットに適用される UID を指定する。

IP ラベル 

(ip_label=) 

有効なタイプ (NONE、RIPSO、CIPSO) を 1 つだけ指定する。

RIPSO ラベル 

(ripso_label=

ip_label=empty の場合、ripso_label=emplty を指定する。IP ラベルタイプが ripso の場合、サポートされる格付けレベルエンコーディング (Top_SecretSecretConfidentialUnclassified) を 1 つだけ指定する。

RIPSO エラー  

(ripso_error=)

ip_label=empty の場合、ripso_error=empty を指定する。IP ラベルタイプが ripso の場合、サポートされる保護権限フラグ (GENSERSIOP-ESISCINSA、DOE) を 1 つだけ指定する。格付けレベルには ripso_label フィールドの値が使われる。

CIPSO DOI 

(cipso_doi=) 

ip_label=empty の場合、cipso_doi=empty を指定する。IP ラベルタイプが cipso の場合、ホストの CIPSO ドメイン解釈に対応する番号を指定する。