Trusted Solaris システムでは、crontab(1)、at(1)、atrm(1)、cron(1M) の間の通信機構として、UNIX ドメインソケットが使用されます。UNIX ドメインソケットを使うことで、トラステッドセキュリティ情報交換ライブラリ (TSIX) の提供するトラステッドネットワーキングインタフェースにより、cron のクライアントから cron へのメッセージやセキュリティ属性の通信を信頼できる方法で実施することが可能となっています。詳細は libt6(3N) のマニュアルページを参照してください。
cron(1M) は、UNIX ドメインソケットの作成とバインド (割り当て) に /etc/cron.d/CRON を使うように変更されています。/etc/cron.d/CRON ファイルは、クロックデーモンによる複数の実行を防ぐためのロックファイルとしても使われます。
クロックデーモンは、有効セット内の net_mac_read
特権を有効にすることでマルチレベルポートを作成します。これにより、クロックデーモンは異なる機密ラベルを持つメッセージを受信できます。
ユーザーが crontab または atjob ファイルを作成、変更、削除すると、 crontab、at、atrm の各コマンドは、適切なデータを含むメッセージと、そのコマンドのプロセスが持つ機密ラベル情報をクロックデーモンに送信します。クロックデーモンは、このメッセージと機密ラベル情報を受け取ると、そのメッセージを解釈して必要な処理を行います。送信された機密ラベル情報は、対応する SLD 内での crontab または atjob ファイルの作成や削除を行うのに使用されます。