Trusted Solaris のラベル管理

デフォルト語句およびインバース語句の設定

初期コンパートメントまたは初期マーキングのいずれかにビットが設定されると、格付けされているすべてのラベルのビットは 1 になります。初期コンパートメントに指定された各ビットは、後で label_encodings ファイルで定義することによって、「デフォルト語句」または「インバース語句」を作成できます。

以下の表は、格付けに関連付けられた初期コンパートメント値の条件を要約しています。

表 2-4 格付けに使用する初期コンパートメントの値

値 

条件 

*initial compartments= 

あらゆるデフォルトのコンパートメント語句 (関連付けられた格付けを持つラベルであれば、そのラベルに常に表示される名前) のビット番号を指定。 

応用: インバース語句にもビット番号を指定。推奨: インバース語句を後で追加できるように初期コンパートメントを確保しておくこと。 

コンパートメントビットとマーキングビットに使用する番号については、エンコーディングが、別の組織のものと互換性を持つ必要がある場合に限り、注意する必要があります。

以下の例では、格付けが PUBLIC のラベルには初期コンパートメントが割り当てられていませんが、格付けが SUN FEDERAL のラベルには 4-5 が初期コンパートメントとして割り当てられています。


例 2-5 初期コンパートメントの簡単な割り当て


name= PUBLIC;  sname= P;  value= 1;
name= SUN FEDERAL;  sname= SUNFED;  value= 4; initial compartments= 4-5

例 2-5 のようにビットが割り当てられている場合には、PUBLIC 格付けを含むラベルには、デフォルトのコンパートメントが割り当てられていない一方で、SUN FEDERAL 格付けを含むラベルのコンパートメントビットの 4 と 5 が常にオンになります。これらの初期コンパートメントビットの語句への割り当てを示す例については、以下のコード例とそれに続く説明を参照してください。


例 2-6 INFORMATION LABELS のデフォルト語句とインバース語句の例


SENSITIVITY LABELS:

WORDS:

name= DIVISION ONLY;     sname= DO;    minclass=  SUN FEDERAL; compartments= 4-5;
name= SMCC AMERICA;     sname= SMCCA;  minclass= SUN FEDERAL; compartments= ‾4;
name= SMCC WORLD;     sname= SMCCW;    minclass= SUN FEDERAL; compartments= ‾5;

label_encodings ファイルの SENSITIVITY LABELS セクションで定義された WORDS を上記のコード例に示します。コンパートメントビットの 4 と 5 が、DIVISION ONLY という語句に割り当てられています。コンパートメントビットの 4 と 5 は、インバース語句にも関連付けられており、SMCC AMERICA はインバースコンパートメントビットの ‾4 に、SMCC WORLD はインバースコンパートメントビットの ‾5 に割り当てられています。このエンコーディングの結果、格付けが SUN FEDERAL の情報ラベルには最初から DIVISION ONLY という語句が含まれ、そのバイナリ表現として、コンパートメントビットの 4 と 5 がオンになり、一方、格付けが PUBLIC の情報ラベルのコンパートメントビットの 4 と 5 は常にオフになります。その結果、SMCC AMERICASMCC WORLD が、ラベルに表示されます。IUO (INTERNAL_USE_ONLY) の minclass はインバース語句として指定されるため、SMCC AMERICASMCC WORLD は、PUBLIC の機密ラベルには表示されません。それによって、この 2 つのインバース語句の存在が分かります。

後で割り当てられることが予約されていないコンパートメントやマーキングビットに関しては以下のことを心掛けてください。指定された初期コンパートメントごとに SENSITIVITY LABELS: WORDS: セクションと INFORMATION LABELS: WORDS: セクションの中のビットに語句を割り当てる必要があります。