N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition Control Center 管理ガイド

第 1 章 Control Center の管理の概要

この章では、Infrastructure Fabric (I-Fabric) のコンポーネント、N1 Provisioning Server ソフトウェア、およびサーバーファームについて詳しく解説します。 アプリケーションコンポーネントとアカウント管理タスクについても説明します。

この章の内容は、次のとおりです。

概要

この節では、I-Fabric コンポーネントと N1 Provisioning Server ソフトウェアの概要情報を提供します。 詳しい解説は、『N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition システム管理ガイド』を参照してください。

I-Fabric (Infrastructure Fabric) は、コンピューティング、ストレージ、およびネットワークリソースを組み込んだ単一のインフラストラクチャです。配備後に、要件の変更に合わせて再構成することができます。 制御および管理には、N1 Provisioning Server ソフトウェアを使用します。

I-Fabric コンポーネント

I-Fabric は、独立した異機種システム混在ネットワーク、サーバー、ストレージ、およびインフラストラクチャデバイスを統合して、単一の自動化されたファブリックを構成します。 このファブリックでは、論理サーバーファームを簡単に管理、配備、および再配備できます。 I-Fabric は次の 3 つの機能領域から成ります。

制御層、ファブリック層、リソース層は、連携して論理サーバーファームを動的に形成します。 論理サーバーファームは、I-Fabric 内に配備し、管理される基本構造です。 N1 Provisioning Server ソフトウェアは、リソース層内の使用可能なリソースのプールから論理サーバーファームを割り当てます。 ソフトウェアは、さまざまな方法でパーティションを保護します。これらのパーティションを使って、論理サーバーファームを個別に管理、制御することができます。 論理サーバーファーム内のすべてのデバイスに管理者としてアクセスすることができますが、別の論理サーバーのデバイスやデータを表示、使用、または変更したい場合は、適切なアクセス権が必要です。

N1 Provisioning Server ソフトウェアは、包括的なインフラストラクチャの自動化および管理機能を提供します。 ソフトウェアの主要コンポーネントは、N1 Provisioning Server と Control Center の 2 つです。

N1 Provisioning Server ソフトウェア

N1 Provisioning Server ソフトウェアは、I-Fabric 内の論理サーバーファームの管理および配備に必要なインフラストラクチャの自動化サービスを提供します。 論理サーバーファームと、サーバーファームに割り当てられる物理リソースのマッピングを管理します。

N1 Provisioning Server ソフトウェアには、次のソフトウェアサブシステムが含まれています。

Control Center は、論理サーバーファームを配備し、管理する、制御プレーンのユーザーインタフェースです。 この Control Center が、主要なファーム管理ツールになります。 Control Center 管理 GUI の概要については、第 2 章「Control Center アプリケーションの概要 」を参照してください。

ファームライフサイクル

N1 Provisioning Server ソフトウェアは、ファームライフサイクルの概念を利用してファームを管理します。

新しいファームを作成する要求、新しいファームを起動する要求、既存のファームを変更する要求はすべて、Control Center かコマンド行ツールから送信されます。


注 –

N1 Provisioning Server ソフトウェアのコンポーネントと機能の詳細については、『N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition システム管理ガイド』を参照してください。


必要な管理タスクは、ファームのステータスによって決まります。

ファームステータス

ファームライフサイクルは、いくつかのステータスによって定義されます。 これらのステータスは、次の図のように、「State Diagram」アイコンで視覚的に表されます。 「State Diagram」アイコンは、Control Center 内で、ファームのライフサイクルステータスを表すために用いられます。

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ファームライフサイクルアイコンは、ファームのステータスを表す赤い円とともに表示されます。 以下では、4 種類のファームステータスについて説明します。

「設計」ステータス

ファームの設計アイコンは、ファームが新しく、空であることを示します。 Control Center で作成され、保存されたが、まだ承認を受けておらず、起動していないファームも、このアイコンで表されます。 この状態は、紙ベースでファームを設計した状態とほぼ同じです。 ファームは、まだ制御プレーンデータベース (CPDB) 内に存在していません。 ハードウェア、ストレージ、ネットワークリソースも、この段階ではまだ配備されていません。 この段階で、ファーム要素を構成できます。 まだ設計段階であり、実際にリソースが割り当てられていないので、ファームの数に制限はありません。

「アクティブ」ステータス

ファームの起動アイコンは、ファームが起動し、実行中であることを示します。 起動時には IP アドレスが割り当てられます。ユーザーは、その他の構成を行い、ソフトウェアイメージを読み込むことができます。 ファームがアクティブな段階では、Service Processor のステータスは、ACTIVE、IDLE、BACKUP、UPDATED、WIRED、DISPATCHED のいずれかになります。

ファームの設計が完了すると、管理者による承認とその後の起動を待機する状態になります。 アイコンの上にカーソルを置くと、起動待ち状態のラベルが表示されます。このあと、ステータスは変化します。

「待機」ステータス

ファームの待機アイコンは、すべてのファーム要素 (ローカルストレージを除く) がプールに戻されたことを示します。 ストレージとファームネットワークの構成が保存されているので、短時間でファームを再起動できます。 ファームがアクティブな段階では、Service Processor のステータスは、STANDBY になります。

ファームは、アクティブな状態から待機状態に設定されると、管理者の処理を待機します。 アクティブアイコンの上にカーソルを置くと、待機待ち状態のラベルが表示されます。

「非アクティブ」ステータス

ファームの非アクティブアイコンは、ファームが非アクティブで、すべてのハードウェアリソース (ストレージを含む) がプールに戻されたことを示します。 ファームの再起動は行えません。 しかし、設計のコピーを作成し、このコピーを起動することは可能です。 ファームがアクティブな段階では、Service Processor のステータスは、DEACTIVATED になります。

アクティブなファームや待機状態のファームを非アクティブにすると、ファームは管理者の処理を待機します。 アクティブアイコンの上にカーソルを置くと、非アクティブ待ち状態のラベルが表示されます。

Service Processor のステータス

内部のファームステータスは、Service Processor によって管理されます。このステータスは、Service Processor コマンド行インタフェースでのみ確認できます。 これらの内部ステータスを利用して、自動化された起動、更新、停止 (decommission) のさまざまな段階で、ファームの状態を監視することができます。 内部ステータスは、障害追跡にも役立ちます。 内部ステータスについては、表 1–1を参照してください。


注 –

コマンド行インタフェースからこの情報を確認する方法については、『N1 Provisioning Server 3.1, Blades Edition システム管理ガイド』を参照してください。 これらのステータスの一部は、通常のファームライフサイクルでは発生せず、特別な管理処理に使用されます。


表 1–1 内部 SP ステータス

Service Processor のステータス 

Control Center のステータス  

説明 

CREATED

設計 

ファームは作成されたばかりで、まだ起動の承認を受けていない 

NEW_CONFIG

設計 

ファームリソースが変更されたという点では CREATED と同じだが、ファームは Service Processor によって管理されている

ALLOCATED

設計 

リソースがデータベース内のファームに割り当てられた 

WIRED

設計、アクティブ 

ファームトポロジに従って物理デバイスが接続された 

DISPATCHED

設計、アクティブ 

Service Processor がファームを所有している。 ファームに Domain Name System (DNS)、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP)、および Network Interface Card (NIC) が設定された。 さらに、ファームが監視対象として登録されたか、登録処理中。 この段階は、最初の起動処理時とファームの更新処理時に発生する 

ACTIVE

アクティブ 

ファームがアクティブで、実行中 

IDLE

アクティブ 

Service Processor がファームを所有していない。 ファームは以前にアクティブだった可能性がある。 ファームデバイスと Service Processor 間の通信は許可されていない 

STANDBY

待機 

ファームは待機状態。 IP アドレスとディスクはファームに関連付けられたまま  

SHUTDOWN

アクティブ (待機または非アクティブ待ち状態)  

ファームデバイスが停止している 

UNWIRED

アクティブ (待機または非アクティブ待ち状態)  

物理デバイスがファームから切り離された 

DEACTIVATED

非アクティブ 

ファームは非アクティブで、すべてのリソースが解放された 

UPDATED

アクティブ 

ファームが更新された