Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

保守作業

この節では、Backup サーバーのインストールと構成を行なったあとに必要な作業について説明します。

メッセージログの管理

Backup では、Backup サーバーデーモンによって生成されたメッセージは、/nsr/logs ディレクトリの中のメッセージログファイルに格納されます。ログファイルのサイズが大きくなりすぎたら、ログからメッセージを削除しなければなりません。ログのサイズを自動的に制御するには、/etc ディレクトリにある Backup 起動スクリプト内の変数を使用するか、オペレーティングシステムサービスを使用するスクリプトを作成します。

起動スクリプトでログファイルを削除する方法

Backup サービスによって Backup ログファイルを管理する方法を変更するには、nsrd デーモンを起動する前に、/etc/init.d ディレクトリにある Backup 起動スクリプトの networker 中の環境変数を次のように変更します。

nsrd デーモンは、起動されるたびに daemon.log ファイルのサイズをチェックします。デフォルトでは、daemon.log ファイルが上限サイズの 1024 K バイトに達した時点でファイル名が daemon.001 に変更され、新たに空の daemon.log が作成されます。daemon.log ファイルの空き領域がなくなると、すでに存在するファイル名が順番にずれていきます。つまり、daemon.001 の名前が daemon.002 に変更され、daemon.log の名前が daemon.001 に変更され、新たに空の daemon.log ファイルが作成されます。このプロセスは NSR_MAXLOGVERS の値に達するまで繰り返され、その時点で、最も番号の大きいログが削除されます。


注意 - 注意 -

この削除メカニズムは nsrd デーモンの起動時にのみ機能します。nsrd デーモンは、ログファイルが NSR_MAXLOGSIZE の上限を超えたかどうかを定期的にチェックすることはしません。nsrd が長時間にわたって実行されていると、ログファイルのサイズが極端に大きくなる可能性があります。削除メカニズムを有効にするには、nsr_shutdown を実行して Backup デーモンを停止したあとに、nsrd デーモンと nsrexecd デーモンを再起動します。


オペレーティングシステムサービスを使ってログファイルを削除するには

オペレーティングシステムサービスを使って、Backup ログファイルのサイズを自動的に管理できます。

Solaris ソフトウェアには、syslog メッセージファイル (/var/log/syslog) を管理するために、2 つの要素で構成されるメカニズムが用意されています。この 2 つの要素とは、シェルスクリプト (/usr/lib/newsyslog) と、このスクリプトを定期的に呼び出すためのスーパーユーザー用の crontab エントリです。

newsyslog スクリプトを変更して、Backup サーバーのログファイルを管理し、保持できます。次に示すようにスクリプトを変更すると、Backup サーバーの daemon.log ファイルが過去 3 ファイルにわたって保持されます。

Backup ログファイルを管理するには、次の操作を行います。

  1. 適当なテキストエディタを使って、/usr/lib/newsyslog に以下の行を追加します。


    LOGDIR=/nsr/logs
    LOG=daemon.log
    if test -d $LOGDIR
    then
        cd $LOGDIR
        test -f $LOG.1 && mv $LOG.1 $LOG.2
        test -f $LOG.0 && mv $LOG.0 $LOG.1
        test -f $LOG   && mv $LOG   $LOG.0
        cp /dev/null $LOG
        chmod 644 $LOG
    fi
    

    Backup デーモンを終了させ、再起動させるまで、新しいログファイルは使用できません。nsr_shutdown コマンドを直接入力するか、あるいは newsyslog スクリプトにこのコマンドを追加して、デーモンを終了します。スケジュールされた保存操作の過程でこのスクリプトが実行されることがないように注意します。その後、次のコマンドを使って Backup を手動で再起動します。


    # /etc/init.d/networker start
    
  2. newsyslog スクリプトを実行する頻度を制御するためのエントリをスーパーユーザー用の crontab に追加します。

    次の例に示すエントリは、newsyslog スクリプトを毎日曜日の 4:05 a.m. に起動します。


    5 4 * * 6   /usr/lib/newsyslog

    Solaris システムに newsyslog スクリプトとそれを呼び出す crontab エントリがない場合は、newsyslog スクリプトを手動で作成し、これに crontab エントリを追加します。詳細は、crontab(1) のマニュアルページを参照してください。

Backup サーバーライセンスを別のマシンに移すには

Backup サーバーライセンスを別のマシンに移すには、次の操作を行います。

  1. Backup を使って、古い Backup サーバー上のすべてのファイルシステムに対してフルバックアップを行います。

  2. 古いサーバー上の Backup デーモンを、nsr_shutdown -a コマンドを使って終了します。

  3. 古いサーバーの /nsr ディレクトリ全体を tar テープに落とし、これを新しいサーバーに取り込みます。

    /nsr が古いサーバーでシンボリックリンクになっている場合は、新しいサーバーでも /nsr をシンボリックリンクとして設定します。

  4. 古いサーバーを停止し、すべてのデバイスを取りはずします。

  5. 新しいマシンを停止し、新しいサーバーにハードウェアデバイスを取り付け、両方のマシンを再起動します。先に古いマシンを起動してから、新しいマシンを起動します。

  6. 新しいサーバーに Backup ソフトウェアをインストールします。

    オートチェンジャがある場合は、Backup デーモンを起動するオプションは選択しないようにします。Backup デバイスドライバのインストールとテスト方法については、『Solstice Backup 5.1 ご使用にあたって』を参照してください。

    新たにホストを作成したので、Backup デーモンを起動する前に、この新しいホストのインデックスエントリを正しく定義する必要があります。インデックスエントリを修正するには、次の 2 つの方法があります。

    • クライアントリソースを変更する前に、オペレーティングシステムレベルで、新しいサーバーに古いサーバーと同じホスト名を付けます。

    • 古いサーバーと同じ設定値を使って、新しいサーバーに新しいホスト名を付けます。

    新しいサーバーに新しいホスト名を付けるには、次の操作を行います。

  1. 古いサーバーと同じ設定値で、新しいサーバーに新しいホスト名を付けます。

  2. 古いサーバーのホスト名のエントリを削除します。

  3. 古いサーバーと新しいサーバーで、Backup デーモンを終了します。


    # nsr_shutdown -a
    
  4. 古いサーバーのインデックスエントリがあるディレクトリに移ります。


    # cd /nsr/index
    

    新しいサーバーホスト名のエントリは空になっています。

  5. 新しいサーバーホスト名のエントリを削除します。次に例を示します。


    # rmdir new-hostname
    

    このエントリを削除しておかないと、次の手順で、新しいサーバー用の正しいエントリではなく、別のエントリが作成されてしまいます。

  6. 古いインデックスディレクトリ名を、新しいサーバーホスト名に変更します。


    # mv old-hostname new-hostname
    

    Backup デーモンが新しいサーバーで起動します。


    new-server syslog: Backup Server: (notice) started
    new-server syslog: Backup Registration: (notice) invalid auth codes
    detected.
    new-server syslog:
    new-server syslog: The auth codes for the following licenses enablers
    are now invalid.
    new-server syslog: The cause may be that you moved the Backup server
    to a new computer.
    new-server syslog: You must re-register these enablers within 15 days
    to obtain new codes.
    new-server syslog:
    new-server syslog: License enabler #xxxxxx-xxxxxx-xxxxxx (Backup
    Advanced/10)

    新しい Backup サーバーを再登録します。Backup を別のシステムに移してから 15 日以内に、新しいサーバーを Sun に登録する必要があります。

    新しいサーバーを再登録する方法については、「ソフトウェアを登録し認証を受けるには」を参照してください。

    サーバーを移したら、次の操作を行います。

    1. スケジュールされたバックアップにすべてのクライアントが含まれていることを確認します。

    2. Backup の recover プログラムを使って、すべてのクライアントインデックスが表示され、復旧可能な状態であることを確認します。

    3. できる限り早いうちに、新しいサーバーのインデックスをバックアップするか、新しいサーバーのフルバックアップを行います。

    古いサーバーをクライアントとして設定したい場合は、古いサーバーからすべての Backup ソフトウェアと /nsr ディレクトリを削除してから、Backup クライアントソフトウェアをインストールし直します。