この章では、Ximian Evolution
を使用するにあたって、Evolution Setup Assistant
の使用方法について説明します。この章では、電子メールアカウントの構成方法、別のアプリケーションからのデータのインポート方法についても説明します。 また、Sun ONE アカウントの構成方法および LDAP サーバの構成方法についても説明します。
Ximian Evolution
を始めて起動したとき、Evolution Setup Assistant
が表示されます。Evolution Setup Assistant
では、Evolution
の初期構成プロセスを通してガイドが示されます。初期構成プロセスでは、次の操作を行います。
識別情報を入力する
電子メールアカウントを作成する
タイムゾーンを選択する
別のアプリケーションからデータをインポートする
Evolution Setup Assistant
は、構成情報を入力するページを表示します。最初のページには、「 Welcome」メッセージが表示されます。「 Welcome」ページで「Forward」ボタンをクリックすると、Evolution
の初期構成プロセスが開始されます。
Evolution Setup Assistant
ウィンドウには、次のボタンがあります。
必要な情報をページに入力し、構成プロセスの次のページに進む準備ができたら、「Forward」ボタンをクリックします。
前のページに戻りたい場合は、「Back」ボタンをクリックします。
Evolution
構成プロセスを中止して、Evolution Setup Assistant
を閉じる場合は、「Cancel」ボタンをクリックします。
以降の節では、Evolution Setup Assistant
で入力する必要がある情報について説明します。 入力する情報がわからない場合は、システム管理者に問い合わせてください。
識別情報は、 Evolution Setup Assistant
の「Identity」ページに入力します。表 2–1に、構成可能な識別設定を示します。
識別情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
表 2–1 識別設定
要素 |
説明 |
---|---|
「Full name」 |
テキストボックスに姓名を入力します。 |
「Email address」 |
テキストボックスに電子メールアドレスを入力します。 |
「Reply-To」 |
任意。テキストボックスに、メッセージへの返信が送られる電子メールアドレスを入力します。メッセージを受け取った人が返信する場合、返信メッセージはこのアドレスに送られます。このテキストボックスにアドレスを入力しない場合、「Email address」テキストボックスのアドレスが「reply-to」アドレスとして使用されます。 |
「Organization」 |
任意。所属している組織の名前を入力します。 |
受信メールサーバの情報は、Evolution Setup Assistant
の最初の「Receiving Mail」ページに入力します。
Evolution
は、いくつかの方法で電子メールを受信できます。電子メールを受け取るサーバの種類を「Server Type」ドロップダウンリストから選択します。次のオプションのいずれかを選択します。
「IMAP」:IMAP (Internet Message Access Protocol) サーバがメッセージの受信と格納を行います。IMAP サーバにログインすると、メッセージのヘッダ情報を表示できます。IMAP サーバでは、読みたいメッセージを開いたり、フォルダを作成して使用することができます。
複数のシステムから電子メールにアクセスしたい場合は、このオプションを選択します。
「POP」:POP (Post Office Protocol) サーバは、サーバにログインするまでメッセージを格納します。POP サーバにログインすると、すべてのメッセージがローカル領域にダウンロードされ、POP サーバから削除されます。メッセージ操作は、ローカル領域で行います。通常、POP サーバはインターネットへの永続的な接続を持っており、サーバのクライアントはインターネットに適宜接続します。
メッセージをローカルディレクトリにダウンロードする場合はこのオプションを選択します。
「Local delivery」:mbox 形式は、ローカルファイルシステムに 1 つの大きなファイルでメッセージを格納します。このファイルは、メールスプールと呼ばれます。
メールスプールの電子メールをホームディレクトリに格納したい場合は、このオプションを選択します。
「MH-format mail directories」:mh 形式を使用するメールサーバは、個々のファイルでメッセージを格納します。mh 形式を使用するアプリケーションを使用したい場合は、このオプションを選択します。
「Maildir-format mail directories」:maildir 形式を使用するメールサーバも、個々のファイルでメッセージを格納します。maildir 形式は、mh 形式に似ています。qmail
など、maildir 形式を使用するアプリケーションを使用したい場合は、このオプションを選択します。
「Standard Unix mbox spool or directory」:このオプションは、mbox 形式を使用します。メールスプールの電子メールをホームディレクトリ以外のディレクトリに格納したい場合は、このオプションを選択します。
「None」:この電子メールアカウントを電子メールメッセージの受信に使用しない場合は、このオプションを選択します。
「Microsoft Exchange」:Microsoft Exchange 2000 サーバのアカウントにアクセスしたい場合は、このオプションを選択します。このオプションは、Microsoft Exchange 用の Ximian Connector を購入している場合にのみ利用できます。
「Server Type」ドロップダウンリストからオプションを選択すると、「Receiving Mail」ページに追加のオプションが表示されます。選択したオプションに応じて、表示される追加オプションが異なります。表 2–2は、Receiving Mail ウィンドウの要素で、構成可能な受信メールサーバ設定を示しています。
受信メールサーバ情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
表 2–2 受信メールサーバ設定
要素 |
説明 |
---|---|
「Host」 |
このフィールドには、メールサーバのホスト名を入力します。 「IMAP」、「POP」オプションを選択した場合のみ。 |
「ユーザー名」 |
このフィールドには、メールサーバ上のアカウントのユーザ名を入力します。 「IMAP」、「POP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Authentication type」 |
アカウントに使用する認証タイプを選択します。 「IMAP」、「POP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Check for supported types」 |
サーバがサポートする認証タイプを確認する場合は、このボタンをクリックします。サーバがサポートする認証タイプは、「Authentication type」ドロップダウンリストに追加されます。 「IMAP」、「POP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Remember this password」 |
メールサーバに接続するたびにパスワードを入力せずに、直接接続したい場合は、このオプションを選択します。 「IMAP」、「POP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Path」 |
電子メールを格納する場所のパスを入力します。 「Local delivery」、「MH-format mail directories」、「Maildir-format mail directories」、「Standard Unix mbox spool or directory」オプションを選択した場合のみ。 |
受信電子メールオプションは、Evolution Setup Assistant
の「Receiving Mail」の 2 ページ目に入力します。表 2–3に、構成可能な受信電子メールオプションを示します。
受信電子メールオプションの指定を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
表 2–3 受信電子メールオプション
送信電子メールの構成情報は、Evolution Setup Assistant
の「Sending Mail」ページに入力します。Evolution
では、いくつかの方法で電子メールを送信できます。電子メールの送信に使用するサーバの種類を「Server Type」ドロップダウンリストから選択します。次のオプションのいずれかを選択します。
「SMTP」: SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) を使用して、メッセージをサーバに転送します。サーバがメッセージを送信します。
「Sendmail」:sendmail プログラムを使用して、自分のシステムから電子メールを送信します。
「Microsoft Exchange」:Microsoft Exchange サーバを使用します。このサーバは、いくつかのプロトコルを使用して、電子メールを送信します。このオプションは、Microsoft Exchange 用の Ximian Connector を購入している場合にのみ利用できます。
「Server Type」ドロップダウンリストからオプションを選択すると、追加のダイアログ要素が「Sending Mail」ページに表示されます。選択したオプションに応じて、ページに表示される追加要素が異なります。表 2–4に、構成可能な送信電子メール設定を示します。
送信電子メールの構成情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
表 2–4 送信電子メールの設定
要素 |
説明 |
---|---|
「Host」 |
このフィールドには、メールサーバの DNS 名または IP アドレスを入力します。 「SMTP」、「Microsoft Exchange」オプションを選択した場合のみ。 |
Server requires authentication |
電子メールを送信するためにログインすると、サーバが認証を求めるようにする場合は、このオプションを選択します。確認 「SMTP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Authentication Type」 |
アカウントに使用する認証タイプを選択します。 「SMTP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Check for supported types」 |
サーバがサポートする認証タイプを確認する場合は、このボタンをクリックします。サーバがサポートする認証タイプは、「Authentication Type」ドロップダウンリストに追加されます。 「SMTP」オプションを選択した場合のみ。 |
「ユーザー名」 |
このフィールドには、メールサーバ上のアカウントのユーザ名を入力します。 「SMTP」オプションを選択した場合のみ。 |
「Remember this password」 |
メールサーバに接続するたびにパスワードを入力せずに、直接接続したい場合は、このオプションを選択します。 「SMTP」オプションを選択した場合のみ。 |
アカウント管理情報は、Evolution Setup Assistant
の「Account Management」ページに入力します。表 2–5に、構成可能なアカウント管理設定を示します。
アカウント管理情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
表 2–5 アカウント管理設定
要素 |
説明 |
---|---|
「名前」 |
テキストボックスにこの電子メールアカウントの名前を入力します。 |
「Make this my default account」 |
新しいアカウントを、デフォルトの電子メールアカウントに設定する場合は、このオプションを選択します。 |
タイムゾーンは、Evolution Setup Assistant
の「Timezone」ページで選択します。「Timezone」ページに、世界地図が示されます。主要都市とその他の場所が、地図上に赤い点で表されます。
次の方法で、マウスを使用してタイムゾーンを選択します。
地図上の赤い点をポイントすると、その場所の名前が表示されます。名前は、地図の下に表示されます。
地図上の領域を拡大し、そのタイムゾーンを選択するには、その領域をクリックします。
縮小する場合は、地図上で右マウスボタンをクリックします。
「Selection」ドロップダウンリストからタイムゾーンを選択することもできます。
タイムゾーンを選択したら、「Forward」ボタンをクリックします。
Evolution
は、次の形式の電子メールまたは連絡先データを検索します。
Evolution
、Netscape
Version 4.7 x、Mozilla
、Eudora
、Pine
、Elm
は、この電子メール形式を使用します。
Microsoft Outlook Express 4
は、この電子メール形式を使用します。
GnomeCard
、ほかの GNOME アプリケーション、KDE、および連絡先管理アプリケーションは、連絡先情報にこの形式を使用します。通常、この形式のファイルには、.vcf または .gcrd ファイル拡張子が付きます。
Evolution
が、システム上でリストされているアプリケーションからの電子メールまたは連絡先データを検出すると、Evolution Setup Assistant
は「Importing Files」ページを表示します。「Importing Files」ページには、Evolution
が検出した電子メールまたは連絡先データ用のアプリケーションが一覧表示されます。
Evolution
があるアプリケーションの電子メールデータを検出すると、そのアプリケーションの下に「mail」チェックボックスが表示されます。
Evolution
が、あるアプリケーションの連絡先データを検出すると、そのアプリケーションの下に「address book」チェックボックスが表示されます。
データをインポートするには、インポートするデータのチェックボックスを選択して、「Import」ボタンをクリックします。
インポートを完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。
構成情報の入力を完了したら、「Apply」ボタンをクリックします。
Evolution
の初期構成を行うときにデータをインポートしない場合は、Evolution Import Assistant
を使用できます。 Evolution Import Assistant
では、データをインポートするプロセスを通してガイドが示されます。Evolution Import Assistant
を開くには、Evolution
ウィンドウから「ファイル」->「Import」を選択します。
mutt
電子メールクライアントは、テキストベースです。Linux と UNIX のディストリビューションには、通常 mutt
が含まれています。 電子メールは、mutt
から Evolution
に簡単にインポートできます。mutt
では、標準の mbox、maildir、および mh 形式が使用されているからです。
デフォルトでは、mutt
は、電子メールを次の場所に格納します。
形式 |
ディレクトリ |
---|---|
mbox |
~/mbox |
maildir |
~/Maildir |
mutt
から Evolution
に電子メールをインポートするには、次の手順を実行します。
Evolution
ウィンドウから「ファイル」->「Import」を選択します。Evolution Import Assistant
が表示されます。
「Forward」ボタンをクリックして構成プロセスを開始します。「Importer Type」ページが表示されます。
「Import a single file」オプションを選択して、「Forward」ボタンをクリックします。
インポートするファイルの名前を「Filename」フィールドに入力します。または、「参照」ボタンをクリックしてファイルをブラウズする。ファイルを選択したら「OK」をクリックして、「Forward」ボタンをクリックします。
「Import」ボタンをクリックします。「Select folder」ダイアログが表示されます。
mutt
電子メールをインポートする Evolution
フォルダを選択します。
または、「新規」ボタンをクリックして新しいフォルダを作成します。
フォルダを選択したら、「OK」をクリックします。 指定したフォルダに mutt
電子メールがインポートされます。
KMail
は、KDE の電子メールクライアントです。 電子メールは、KMail
から Evolution
に簡単にインポートできます。KMail
では、標準の mbox 形式が使用されているからです。デフォルトでは、KMail
は、ホームディレクトリの Mail ディレクトリに電子メールを格納します。
KMail
から Evolution
に電子メールをインポートするには、次の手順を実行します。
Evolution
ウィンドウから「ファイル」->「Import」を選択します。Evolution Import Assistant
が表示されます。
「Forward」ボタンをクリックして構成プロセスを開始します。「Importer Type」ページが表示されます。
「Import a single file」オプションを選択して、「Forward」ボタンをクリックします。
インポートするファイルの名前を「Filename」フィールドに入力します。または、「参照」ボタンをクリックしてファイルをブラウズする。ファイルを選択したら「OK」をクリックして、「Forward」ボタンをクリックします。
「Import」ボタンをクリックします。「Select folder」ダイアログが表示されます。
KMail
電子メールをインポートする Evolution
フォルダを選択します。
または、「新規」ボタンをクリックして新しいフォルダを作成します。
フォルダを選択したら、「OK」をクリックします。 指定したフォルダに KMail
電子メールがインポートされます。
Sun ONE Connector
for Evolution
を使用すると、Evolution
を Sun ONE
カレンダサーバのクライアントとして使用できます。「Sun One Connector for Evolution」にしました。
Sun ONE アカウントを構成するには、次の手順を実行します。
「ツール」->「Settings」を選択します。 「Evolution Settings」ダイアログが表示されます。
左区画で「Sun One accounts」をクリックします。Sun ONE アカウントの表が右区画に表示されます。
「Add」をクリックします。「Add new account」ダイアログが表示されます。
Sun ONE アカウント情報を「Add new account」ダイアログに入力します。次の表は、「Add new account」ダイアログの要素を説明しています。
「OK」をクリックして変更を保存し、「Add new account」ダイアログを閉じます。Evolution
は、Sun ONE アカウント情報を確認して「Information」ダイアログを表示し、これらの設定を有効にするためには、Evolution
を再起動する必要があることを通知します。
Evolution
を再起動します。
LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) により、ユーザはネットワークを介して連絡先情報にアクセスできます。ユーザは同じ連絡先情報を共有できます。LDAP の典型的なアプリケーションは、会社のすべての従業員用の単一のアドレス帳です。すべての従業員がこのアドレス帳にアクセスできます。
LDAP サーバを構成するには、次の手順を実行します。
「ツール」->「Settings」を選択します。 「Evolution Settings」ダイアログが表示されます。
左区画で「Directory Servers」をクリックします。LDAP サーバの表が右区画に表示されます。
「Add」をクリックします。LDAP Configuration Assistant
が表示されます。LDAP Configuration Assistant
では、LDAP サーバの構成プロセスを通してガイドが示されます。「Forward」ボタンをクリックして構成プロセスを開始します。「Server Information」ページが表示されます。
「Server Information」ページに一般的なサーバ情報を入力します。次の表は、「Server Information」ページの要素を説明しています。
一般的なサーバ情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。「Connecting to Server」ページが表示されます。
「Connecting to Server」ページにサーバの接続情報を入力します。次の表は、「Connecting to Server」ページの要素を説明しています。
サーバの接続情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。「Searching the Directory」ページが表示されます。
サーバ上でディレクトリを検索するための詳細を「Searching the Directory」ページに入力します。次の表は、「Searching the Directory」ページの要素を説明しています。
検索情報の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。「Display Name」ページが表示されます。
「Display name」テキストボックスに、サーバの名前を入力します。この名前は、Evolution
インターフェイスに表示されます。
表示名の入力を完了したら、「Forward」ボタンをクリックします。「Finished」ページが表示されます。
「Apply」ボタンをクリックして、LDAP サーバを作成し、LDAP Configuration Assistant
を閉じます。