GNOME 2.2 ユーザーズガイド (Linux 版)

第 2 章 GNOME デスクトップの概要

この章では、GNOME デスクトップの機能と主なコンポーネントについて説明します。GNOME デスクトップを使用する前にこの章を読み、さまざまな機能と主なコンポーネントの動作を理解してください。GNOME デスクトップは、あらゆる設定が可能であるため、この章では、次の項目に関する標準的なデフォルトの設定について説明します。

GNOME デスクトップコンポーネントの概要

初めて GNOME デスクトップセッションを開始すると、パネル、ウィンドウ、およびさまざまなアイコンが含まれたデフォルトのスタートアップ画面が表示されます。

GNOME デスクトップの主なコンポーネントは以下のとおりです。

GNOME デスクトップの最大の特長は、柔軟に構成できることと、作業実行のために多数の手段が提供されていることです。

GNOME デスクトップのコンポーネントは相互運用可能です。通常、同じ操作を実行するには、いくつかの異なる方法があります。たとえば、アプリケーションはパネルから起動することも、メニューまたはデスクトップから起動することもできます。

システム管理者は、必要に応じて構成を変更できるため、GNOME デスクトップがこの章で説明するものとまったく同じでない可能性があります。それでも、この章では、GNOME デスクトップを使用した作業に役立つ有用な情報を提供します。

パネル

パネルの追加および削除はいつでも行えます。セッションを始めて開始すると、GNOME デスクトップには最低 1 つのパネルがあります。

パネルを使用して、以下の操作を実行できます。

パネルを作成する

パネルを追加するには、パネルの空きスペースを右クリックし、「New Panel」を選択します。 新しいパネルが GNOME デスクトップに追加されます。新しいパネルにはオブジェクトは含まれていません。利用者の環境に合わせて、新しいパネルをカスタマイズできます。ユーザーの要件に合わせて、オブジェクトをパネルに追加できます。パネルの背景も変更できます。作成できるパネルの数に制限はありません。

パネルを削除する

パネルを削除するには、パネルを右クリックし、「パネルを削除」を選択します。

パネルを隠す

パネルは、端に隠しボタンを持つことができます。この「非表示」ボタンをクリックして、パネルを表示させたり、隠したりすることができます。

パネルにオブジェクトを追加する

パネルは、いくつかのタイプのオブジェクトを持つことができます。図 2–1 に示すパネルには、各タイプのパネルオブジェクトが含まれています。

図 2–1 各種パネルオブジェクトを含むパネル

各種パネルオブジェクトを含むパネルを示しています。図中の説明: 電卓、メニュー、CD プレーヤーアプレット、引き出し、ロックボタン

以下に示すオブジェクトは、すべてのタイプのパネルに追加できます。

パネルオブジェクトを操作する

パネルオブジェクトは、次の方法で操作できます。

メニュー

デスクトップのすべての機能には、メニューからアクセスできます。次の GNOME デスクトップコンポーネントからメニューへアクセスできます。

ウィンドウ

GNOME デスクトップ上では、同時に複数のウィンドウを表示できます。各ウィンドウにはフレームがあり、ウィンドウでの作業に使用できるアクティブな制御要素が含まれています。

ウィンドウのタイプ

GNOME デスクトップの特長となっているウィンドウを次に説明します。

ウィンドウを操作する

アプリケーションウィンドウまたはダイアログウィンドウのフレームを使用して、ウィンドウでの各種操作を実行できます。ほとんどの制御要素は、ウィンドウフレームのトップエッジにあります。図 2–2 は、標準的なアプリケーションウィンドウのフレームのトップエッジを示しています。

図 2–2 標準的なアプリケーションウィンドウのフレームのトップエッジ

ウィンドウフレームのトップエッジを示しています。図中の説明: ウィンドウメニューボタン、タイトルバー、最小化/最大化ボタン、ウィンドウを閉じるボタン

ウィンドウフレームのアクティブな制御要素は次のとおりです。

制御要素 

説明 

ウィンドウメニューボタン

クリックすると、ウィンドウメニューが開く

タイトルバー 

ウィンドウを移動したりシェードしたりするために使用する 

最小化ボタン

最小化ボタンをクリックすると、ウィンドウが最小化する

最大化ボタン

ウィンドウの最大化と元のサイズに戻すことに使用する 

ウィンドウを最大化するには、最大化ボタンをクリックする。ウィンドウを元のサイズに戻すには、もう一度最大化ボタンをクリックする

ウィンドウを閉じるボタン

ウィンドウを閉じるボタンをクリックすると、ウィンドウが閉じる

境界 

境界を右クリックすると、ウィンドウメニューが開く

ウィンドウのサイズを変更する場合は、タイトルバーではなく、ウィンドウの境界をグラブします。変更したいサイズになるまで、ウィンドウの境界をドラッグします。

ウィンドウにフォーカスを移動する

フォーカスされているウィンドウは、マウスとキーボードから入力できます。一度にフォーカスできるのは 1 つのウィンドウだけです。フォーカスされているウィンドウの外観は、ほかのウィンドウとは異なります。

次の方法により、ウィンドウをフォーカスできます。

要素 

操作 

マウス 

ウィンドウが可視の場合には、そのウィンドウをクリックする 

ショートカットキー 

ショートカットキーは、開いているウィンドウ間の切り替えに使用する。あるウィンドウにフォーカスを移すには、そのウィンドウにフォーカスが移動したときにキーを放す。 ウィンドウ間を切り替える初期値のショートカットキーは、Alt + Tab キー。

ウィンドウリスト

ウィンドウリストのウィンドウを表すボタンをクリックする

ワークスペーススイッチ

ワークスペーススイッチ ディスプレイで、フォーカスするウィンドウをクリックする

ワークスペース

GNOME デスクトップ上では、同時に複数のウィンドウを表示できます。ウィンドウは、ワークスペースと呼ぶ GNOME デスクトップに分割して表示されます。ワークスペースとは、作業可能な個別の領域です。

すべてのワークスペースのデスクトップ、パネル、メニューは同じです。ただし、各ワークスペースで異なるアプリケーションを実行したり、異なるウィンドウを開くことができます。GNOME デスクトップ上で一度に表示できるワークスペースは 1 つのみですが、別のワークスペースで複数のウィンドウを開くことができます。

多数のアプリケーションを同時に実行する場合、ワークスペースを利用すると GNOME デスクトップを整理できます。 作業中のワークスペースがウィンドウで一杯になった場合、別のワークスペースに移動して作業できます。また、別のワークスペースに切り替えて、より多くのアプリケーションを起動することもできます。

ワークスペースは、ワークスペーススイッチアプレットに表示されます。図 2–3 では、ワークスペーススイッチに 4 つのワークスペースが表示されています。最初の 3 つのワークスペースには開いたウィンドウがあり、4 番目のワークスペースには、現在アクティブなウィンドウはありません。

図 2–3 ワークスペーススイッチに表示されたワークスペース

ワークスペーススイッチを示します。この内容は図についての説明です。

ワークスペースを切り替える

次の方法でワークスペース間を切り替えることができます。

ワークスペースを追加する

ワークスペースを GNOME デスクトップに追加するには、ワークスペーススイッチアプレットを右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスで、必要なワークスペースの数を指定します。

Nautilus ファイルマネージャ

Nautilus ファイルマネージャは、ファイル、アプリケーション、FTP サイト、および URI への統合アクセスポイントを提供します。ファイルマネージャのウィンドウを開くには、デスクトップの「ドキュメント」上でダブルクリックします。以下の図は、フォルダの内容を表示するファイルマネージャウィンドウを示しています。

ファイルマネージャウィンドウを示しています。この内容は図についての説明です。

ファイルマネージャウィンドウは、以下の区画を含むことができます。

サイド区画

ファイル内をナビゲートできます。この区画は、使用中のファイルまたはフォルダに関する情報を表示します。サイド区画は、ウィンドウの左側にあります。

表示区画

ファイルまたはフォルダの内容を表示します。表示区画は、ウィンドウの右側にあります。

ファイルマネージャで次のことができます。

ファイルマネージャでは、デスクトップも作成できます。

ファイルマネージャからファイルを開く

開きたいファイルが存在するフォルダへ移動するには、表示区画内の該当するフォルダアイコンをダブルクリックします。開きたいファイルが表示されたら、そのファイルアイコンをダブルクリックしてファイルを開きます。

フォルダ間でファイルを移動する

2 つ以上のファイルマネージャウィンドウを開いて、ファイル間の移動できます。各ウィンドウで異なるフォルダを開き、一方のウィンドウから別のウィンドウにファイルをドラッグします。

デスクトップとデスクトップオブジェクト

デスクトップは、デスクトップのアクティブコンポーネントです。デスクトップを使用して、次の操作を実行できます。

ファイルマネージャでは、デスクトップを管理できます。

デスクトップオブジェクトを開く

デスクトップオブジェクトを開くには、そのオブジェクトをダブルクリックします。Nautilus ウィンドウで設定することにより、オブジェクトを 1 度クリックするだけでデフォルトの操作を実行できます。

デスクトップにオブジェクトを追加する

デスクトップオブジェクトを追加すると、頻繁に使用するファイル、フォルダ、またはアプリケーションにアクセスしやすくなります。デスクトップにオブジェクトを追加するには、次の方法を使用します。

GNOME デスクトップの設定

GNOME デスクトップのほとんどすべての機能は、デスクトップ設定ツールを使用して構成できます。各ツールは、GNOME デスクトップの特定の機能を制御します。a たとえば、設定ツールを使用して、GNOME デスクトップのテーマを選択できます。テーマとは、 インターフェイス部分の外観を指定する設定グループのことです。

設定ツールは、次のいずれかの方法で起動できます。

アプリケーション

GNOME デスクトップが提供するアプリケーションには、いくつかの共通する特性があります。たとえば、アプリケーションは一貫したルック&フィールを持ちます。アプリケーションが共通する特性を持つのは、同じプログラミングライブラリを使用するためです。標準の GNOME プログラミングライブラリを使用するアプリケーションを、GNOME 対応アプリケーションと呼びます。たとえば、Nautilus および gedit テキストエディタは、GNOME 対応アプリケーションです。

GNOME は、オペレーティングシステムが提供するライブラリ以外のライブラリも提供します。このライブラリにより、GNOME は、GNOME 対応アプリケーションだけでなく、既存のアプリケーションも実行することができます。たとえば、使用しているオペレーティングシステムが UNIX ベースの場合、現在の X11 アプリケーションと Motif アプリケーションを GNOME デスクトップから実行できます。

以下に、GNOME 対応アプリケーションの特長を示します。

詳細を調べる

GNOME デスクトップのヘルプでは、次の項目に関する詳細を調べることができます。

GNOME デスクトップトピックの詳細を調べる

GNOME デスクトップの特定のトピックについて詳しく調べるには、統合されたヘルプシステムを使用できます。ヘルプシステムを起動するには、メインメニューから「ヘルプ」を選択します。

アプレットの詳細を調べる

特定のアプレットについて詳しく調べるには、アプレットを右クリックし、「ヘルプ」 を選択します。

アプリケーションの詳細を調べる

特定のアプリケーションについて詳しく調べるには、アプリケーションを起動し、「ヘルプ」-> 「使い方」を選択します。または、アプリケーションを起動したあとで F1 キーを押します。