Sun Identity Manager 8.1 リソースリファレンス

アダプタの詳細

リソースを設定する際の注意事項

JMS リスナーアダプタは、JMS (Java Message Service) オープン標準のバージョン 1.1 以降をサポートするメッセージングシステムのみと対話できます。

アダプタは、指定した接続ファクトリおよび宛先の標準の JNDI 検索を通して、ソース JMS メッセージングシステムのトピックまたはキューと対話します。したがって、メッセージングシステムの管理者は、接続ファクトリと宛先があらかじめ作成済みで、標準の JNDI 検索によって使用可能であることを確認する必要があります。

Identity Manager のインストールに関する注意事項

JMS リスナーリソースアダプタは、次のものをサポートするアプリケーションサーバー環境でのみ使用されます。

アプリケーションサーバーの管理者は、Identity Manager の Web アプリケーションが、ソース JMS メッセージングシステムに適した JMS 接続ファクトリと宛先オブジェクトに対して、JNDI 経由で正常にバインドできることを確認する必要があります。

使用上の注意

ここでは、JMS リスナーリソースアダプタの使用に関する情報を示します。 次のトピックで構成されています。

接続

Active Sync 処理が開始されると、まず、「接続ファクトリの JNDI 名」リソースパラメータフィールドで指定された接続ファクトリを使用して、ソースメッセージングシステムへの接続が作成されます。「ユーザー」および「パスワード」フィールドが指定されている場合は、接続を確立するときに、これらが認証に使用されます。これらのフィールドが指定されていない場合は、デフォルトの認証を使用して接続が確立されます。

JMS リスナーアダプタは、同期モードで操作します。「宛先の JNDI 名」フィールドによって指定されたキューまたはトピックの宛先で、同期メッセージコンシューマが確立されます。各ポーリング間隔で、アダプタは提供されるすべてのメッセージを受信および処理します。「メッセージセレクタ」フィールドの有効な JMS メッセージセレクタ文字列を定義することで、メッセージを必要に応じて追加修飾することもできます。

接続ファクトリと宛先の属性によって、指定した宛先タイプに対応するオブジェクトを指定します。宛先タイプに「永続性トピック」を指定した場合、「永続性トピック ClientID」および「永続性トピック登録ラベル」という追加フィールドを使用して、永続性登録を設定します。

メッセージマッピング

修飾されたメッセージをアダプタが処理する場合、まず、「メッセージマッピング」フィールドによって指定されたメカニズムを使用して、受信した JMS メッセージを名前付きの値のマップに変換します。変換されたマップは、メッセージ値マップと呼ばれます。

次に、メッセージ値マップは、アカウント属性のスキーママップを使用して、Active Sync マップに変換されます。アダプタにアカウント属性が指定されている場合、アダプタは、スキーママップにリソースユーザー属性としても表示されているキー名で、メッセージ値マップを検索します。値が存在すれば Active Sync マップにコピーされますが、Active Sync マップ内のエントリ名は、スキーママップ内のアイデンティティーシステムのユーザー属性の列で指定された名前に変換されます。

メッセージ値マップにアカウント属性のスキーママップを使用して変換できないエントリが存在する場合は、メッセージ値マップのエントリは、変更されずに Active Sync マップにコピーされます。

保証される配信/信頼される処理

配信の保証は、メッセージの送信者側に責任があります。メッセージシステムによって配信されるまで、持続的に送信されたメッセージのみが保存されます。これにより、メッセージシステムのクラッシュまたはシャットダウンのためにメッセージが失われることを確実に防止できます。この仕組みは once-and-only-once 配信と呼ばれます。

「Reliable Messaging サポート」フィールドは、アダプタが処理する信頼性の高いメッセージ処理の書式を示します。

ライフサイクルリスナー

「メッセージライフサイクルリスナー」フィールドでは、任意のライフサイクルリスナークラスをアダプタに登録できます。ライフサイクルリスナーを使用すると、次のものを実行できます。

再接続

メッセージングシステムに対する接続を失った場合 (メッセージングシステムサーバーがシャットダウンされた場合など)、リスナーを再度確立するために、メッセージングシステムに対して定期的に再接続を試みるように、アダプタを設定できます。

「例外発生時に再初期化」チェックボックスをオンにすると、再接続動作が使用可能になります。「接続再試行間隔 (秒)」フィールドを使用して、再接続の試行間隔が設定できます。

JMX 監視

JMS リスナーアダプタは、Java Management Extensions (JMX) で監視できる複数の属性および操作を提供します。Identity Manager サーバーでの JMX の設定については、『Business Administrator's Guide』の設定に関する章を参照してください。

Active Sync プロセスが実行されている (かつ信頼できる MBean を含む) サーバーでは、指定されたウィンドウの時間に基づいて統計値が計算されます。setWindowMillis 操作は、期間の長さを設定します。統計値が計算されるたびに、統計ウィンドウの実際の期間が ActualWindowTime 属性として記録されます。

たとえば setWindowMillis 操作が 10000 (10 秒) に設定できても、ActualWindowTime には実際のウィンドウが 10.005 秒であったことを示す値 10005 が含まれる可能性があります。MsgCountInWindow などその他の属性は、実際のウィンドウを使用して統計値を計測またはカウントします。MsgCountInWindow に値 63 が含まれる場合、10.005 秒間に 63 個のメッセージが JMS から取得されたことになります。

次の表に、アダプタが JMX で使用できるようにする属性および操作を示します。属性および操作は、JMX コンソールから IDM/Cluster/ Synchronization/Active Sync/JMS Listener/SyncStats:DestinationName で確認できます。DestinationName の値は、「宛先タイプ」および「宛先の JNDI 名」リソースパラメータの値を結合して生成されます。

JMX の属性

属性  

説明  

ActualWindowTime

最新のウィンドウの実際の時間 (ミリ秒) を示します。 

Attributes

アダプタのリソースパラメータの値を一覧表示します。 

Authoritative

サーバーが Active Sync プロセスを実行しているサーバーであるかどうかを示します。 

AvgMsgWaitTime

メッセージの待機に費やされた平均の時間 (ミリ秒) を示します。 

AvgProcessTime

メッセージの処理に費やされた平均の時間 (ミリ秒) を示します。 

CurrentMsgWaitStart

現在のメッセージ待機の待機が開始した日付と時刻を示します。 保留中の待機がない場合は NULL です。 

CurrentMsgWaitTime

メッセージの待機に費やされたミリ秒を示します。 

CurrentPollStart

Active Sync が現在実行中の場合に、Active Sync が最後に開始した日付と時刻を示します。 

CurrentProcessStart

現在処理中のメッセージの処理が開始した日付と時刻を示します。 

CurrentProcessTime

現在のメッセージの処理に費やされたミリ秒の合計を示します。値が 0 の場合は、メッセージが処理されていないことを示しています。 

LastCalculatedPollTime

現在のポーリングが含まれるポーリングループにおけるミリ秒について、最後に計算された時点での合計を示します。 

MaxMsgWaitTime

1 メッセージの待機に費やされる最大ミリ秒を示します。 

MaxPollTime

1 ポーリングサイクルの最大ミリ秒を示します。 

MaxProcessTime

1 メッセージの処理に費やされる最大ミリ秒を示します。 

MsgCountInWindow

最後のウィンドウの時間中に受信したメッセージ数を示します。 

MsgPerUnittime

指定されたウィンドウ中に処理されたメッセージ数を示します。 

PollMsgWaitPercent

メッセージの待機に費やされた時間の割合を示します。 

PollOtherPercent

オーバーヘッドとして費やされた時間の割合を示します。 

PollProcessPercent

メッセージの処理に費やされた時間の割合を示します。 

PollStatistics

最新のウィンドウの実際の時間を示します。 

TotMsgCount

受信したメッセージの合計数を示します。 

TotMsgWaitTime

メッセージの待機に費やされたミリ秒の合計を示します。 

TotProcessTime

メッセージの処理に費やされたミリ秒の合計を示します。 

JMX の操作

操作  

説明  

getWindowMillis

統計ウィンドウの期間 (ミリ秒) を取得します。この操作は、Authoritative 属性が true の場合のみ使用できます。 

refreshAttributes

リソース属性の最新の値を返します。 

resetStatistics

アダプタの統計値をリセットします。この操作は、Authoritative 属性が true の場合のみ使用できます。 

setWindowMillis

統計ウィンドウの期間 (ミリ秒) を設定します。この操作は、Authoritative 属性が true の場合のみ使用できます。 

セキュリティーに関する注意事項

ここでは、サポートされる接続と特権の要件について説明します。

サポートされる接続

多くのメッセージングシステムが、クライアントとブローカ間のメッセージの暗号化機能をサポートしています。設定方法は、メッセージングシステムによって異なります。ただし、通常、暗号は抽象化されるので、JMS リスナーアダプタとメッセージングシステムのブローカ間の暗号を有効にするには、特別に設定された接続ファクトリを選択するだけで十分です。

必要な管理特権

JMS リスナーアダプタに対して設定するユーザーおよびパスワードは、JMS メッセージングシステムで認証されたユーザーでなくてはなりません。 また、そのユーザーには、JMS 宛先からのメッセージを読み取るために十分な特権を許可してください。

メッセージングシステム管理者は、デフォルト認証を無効にすることで、JMS 接続を保護するようにしてください。それ以上の保護については、メッセージングシステム管理者が、承認 (アクセス制御) を設定してセキュリティーを最適化します。

プロビジョニングに関する注意事項

次の表に、JMS リスナーアダプタのプロビジョニング機能の概要を示します。

機能  

サポート状況  

アカウントの作成 

なし 

アカウントの更新 

なし 

アカウントの削除 

なし 

アカウントの有効化/無効化 

なし 

アカウントの名前の変更 

なし 

パススルー認証 

なし 

前アクションと後アクション 

なし 

データ読み込みメソッド 

なし 

アカウント属性

アカウント属性はトピックまたはキューから読み取られるメッセージによってかなり異なるため、JMS リスナーアダプタにはデフォルトのアカウント属性が用意されていません。

アイデンティティーシステムユーザー属性の名前が accountId であるアカウント属性を定義する必要があります。

リソースオブジェクトの管理

サポートされていません。

アイデンティティーテンプレート

なし。有効な値を持つアイデンティティーテンプレートを設定する必要があります。

サンプルフォーム

JmsListenerActiveSync.xml

トラブルシューティング

Identity Manager のデバッグページを使用して、次のクラスでトレースオプションを設定します。

com.waveset.adapter.JmsListenerResourceAdapter

リソースインスタンスに対して、次の Active Sync ログパラメータを設定することもできます。

タイプ JMS リスナーのリソースを作成時または編集時に、リソースウィザードの「設定のテスト」ボタンを使用すると、広範囲に及ぶチェックが実行されます。これは、設定上の問題のトラブルシューティングに非常に役立ちます。

また、Send JMS Message という名前のレポートでは、キューやトピックにメッセージを送信または発行するための単純なツールも使用できます。このレポートを使用するには、最初に交換ファイル $WSHOME/sample/SendJMSMessageReport.xml をインポートします。すると、Send JMS Message レポートのインスタンスを作成できます。このレポートのインスタンスが実行されているときには、指定したキューまたはトピックに、指定したメッセージが書き込まれます。