Solaris のシステム管理 (IP サービス)

ProcedureIPQoS 構成ファイルを作成し、トラフィッククラスを定義する方法

最初の IPQoS 構成ファイルは、メンテナンスしやすい任意のディレクトリに作成できます。この章では、IPQoS 構成ファイルの位置としてディレクトリ /var/ipqos を使用します。次の手順では、例 34–1 の IPQoS 構成ファイルの最初のセグメントを構築します。


注 –

IPQoS 構成ファイルを作成する際、各 action 文および句を必ず中括弧 ({ }) で囲んでください。中括弧の使用例については、例 34–1 を参照してください。


  1. プレミアム Web サーバーにログインし、新規 IPQoS 構成ファイルを拡張子 .qos を付けて作成します。

    すべての IPQoS 構成ファイルで、最初の非コメント行にバージョン番号 fmt_version 1.0 を記述する必要があります。

  2. 冒頭のパラメータに続き、初期 action 文を記述して汎用の IP クラシファイア ipgpc を構成します。

    IPQoS 構成ファイルを成す action 文のツリーは、この初期アクションから始まります。たとえば、/var/ipqos/Goldweb.qos ファイルは、 ipgpc クラシファイアを呼び出す初期 action 文で始まります。


    fmt_version 1.0
    
    action {
        module ipgpc
        name ipgpc.classify
    
    fmt_version 1.0

    IPQoS 構成ファイルを開始する

    action {

    action 文を開始する

    module ipgpc

    構成ファイル内の最初のアクションとして ipgpc クラシファイアを構成する

    name ipgpc.classify

    クラシファイアの action 文の名前を定義する。名前は常に ipgpc.classify でなければならない

    action 文の詳しい構文については、action 文」および ipqosconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. 統計パラメータ global_stats を含む params 句を追加します。


    params {
              global_stats TRUE
       }
    

    ipgpc.classify 文のパラメータ global_stats TRUE は、そのアクションに関する統計の収集を可能にします。また、global_stats TRUE を使用し、かつクラス句定義に enable_stats TRUE を指定すれば、そのクラスの統計の収集が可能になります。

    統計の取得を有効にすると、パフォーマンスが影響を受けます。新規 IPQoS 構成ファイルを作成したときには、IPQoS が適正に動作するか検証するために、統計収集を有効にしてもかまいません。あとで global_stats の引数を FALSE に変更すれば、統計取得を無効にできます。

    グローバル統計は、params 句で定義可能なパラメータの 1 種類に過ぎません。params 句の構文などについては、params 句」および ipqosconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. プレミアムサーバーに向かうトラフィックを特定するクラスを定義します。


    class { 
            name goldweb 
            next_action markAF11   
            enable_stats FALSE 
        }
    

    この文は、「class 句」と呼ばれます。class 句には次の内容が含まれます。

    name goldweb

    goldweb クラスを作成して、Goldweb サーバーに向かうトラフィックを特定する

    next_action markAF11

    ipgpc モジュールに対し、goldweb クラスのパケットをアクション文 markAF11 に渡すよう指示する。アクション文 markAF11 は、 dscpmk マーカーを呼び出す

    enable_stats FALSE

    goldweb クラスの統計取得を可能にする。ただし、enable_stats の値が FALSE であるため、このクラスの統計取得は有効にはならない

    class 句の構文の詳細については、class 句」 ipqosconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  5. もっとも高い優先順位の転送を必要とするアプリケーションを特定するクラスを定義します。


    class {
            name video
            next_action markEF
            enable_stats FALSE
        }
    
    name video

    video クラスを作成して、Goldweb サーバーから発信されるストリーミングビデオのトラフィックを特定する

    next_action markEF

    ipgpc モジュールに対し、ipgpc による処理が完了した video クラスのパケットを、markEF 文に渡すよう指示する。markEF 文は、dscpmk マーカーを呼び出す

    enable_stats FALSE

    video クラスの統計収集を可能にする。ただし、enable_stats の値が FALSE であるため、このクラスの統計収集は有効にはならない

参照