ネットワークに送出される特定のトラフィックフローの速度を制御するには、メーターのパラメータを定義しなければなりません。IPQoS 構成ファイル内で、2 つのメーター tokenmt と tswtclmt とのどちらかを使用できます。
次の手順では、例 34–3 のアプリケーションサーバーの IPQoS 構成ファイルを引き続き構築します。次の手順では、メーターを構成するだけではなく、メーター action 文の内部で呼び出される 2 つの マーカーアクションも構成します。
この手順の前に、フローを制御するアプリケーション用のクラスおよびフィルタを定義してあるものとします。
アプリケーションサーバー用に作成した IPQoS 構成ファイルを開きます。
/var/ipqos/BigAPPS.qos ファイルで、次のマーカーアクションのあとから作業を開始します。
action { module dscpmk name markAF21 params { global_stats FALSE dscp_map{0-63:18} next_action continue } } |
ftp クラスのトラフィックをフロー制御するメーター action 文を作成します。
action { module tokenmt name meterftp |
tokenmt メーターを呼び出す
action 文に meterftp という名前を付ける
params { committed_rate 50000000 committed_burst 50000000 |
ftp クラスのトラフィックに 50,000,000 bps の転送速度を割り当てる
ftp クラスのトラフィックに 50,000,000 ビットのバーストサイズを割り当てる
tokenmt パラメータについては、「tokenmt をツーレートメーターとして構成する」を参照してください。
次のようにパラメータを追加して、トラフィック適合優先順位を設定します。
red_action markAF31 green_action_name markAF22 global_stats TRUE } } |
ftp クラスのトラフィックフローが認定速度を超過した場合、パケットは、markAF31 マーカー action 文に送信されることを示す
ftp クラスのトラフィックフローが認定速度に適合する場合、パケットがアクション文 markAF22 に送られることを示す
ftp クラスのメータリング統計取得を有効にする
トラフィックの適合性については、「メーターモジュール」を参照してください。
ホップ単位動作を ftp クラスの不適合トラフィックフローに割り当てるマーカー action 文を追加します。
action { module dscpmk name markAF31 params { global_stats TRUE dscp_map{0-63:26} next_action continue } } |
dscpmk マーカーモジュールを呼び出す
action 文に markAF31 という名前を付ける
ftp クラスの統計取得を有効にする
ftp クラスのトラフィックが認定速度を超過した場合は常に、DSCP 26 を ftp クラスのパケットヘッダーに割り当てる
ftp クラスのパケットに対しこれ以上処理を行う必要がないことを示す。よって、これらのパケットはネットワークストリームに戻すことができる
DSCP 26 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 26 (バイナリ値 011010) に設定するよう指示します。DSCP 26 は、AF31 のホップ単位の動作を設定します。マーカーは、DS フィールドの DSCP 26 で ftp トラフィッククラスのパケットをマークします。
AF31 は DSCP 26 を持つすべてのパケットに低いドロップ優先度を保証しますが、優先順位は Class 2 にとどまります。このため、速度不適合の FTP トラフィックがドロップされる可能性は低くなりますが、設定可能な AF コードポイントの表については、表 37–2 を参照してください。
認定速度に適合する ftp トラフィックフローにホップ単位動作を割り当てるマーカー action 文を追加します。
action { module dscpmk name markAF22 params { global_stats TRUE dscp_map{0-63:20} next_action continue } } |
marker アクションに markAF22 という名前を付ける
ftp クラスのトラフィックが認定速度に適合する場合は常に、DSCP 20 をパケットヘッダーに割り当てる
DSCP 20 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 20 (バイナリ値 010100) に設定するよう指示します。DSCP 20 は、AF22 のホップ単位の動作を設定します。マーカーは、DS フィールドの DSCP 20 で ftp トラフィッククラスのパケットをマークします。
AF22 は、DSCP 20 を持つすべてのパケットに中程度のドロップ優先度と Class 2 の優先順位を保証します。このため、速度適合の FTP トラフィックは、IPQoS システムから同時に送出されるフロー内で中程度のドロップ優先度を保証されます。ただし、ルーターは、Class 1 で中程度のドロップ優先度以上を持つトラフィッククラスの転送を優先します。設定可能な AF コードポイントの表については、表 37–2 を参照してください。
アプリケーションサーバー用に作成した DSCP を、Diffserv ルーターの適切なファイルに追加します。
IPQoS 構成ファイルをアクティブにするには、「新規構成を IPQoS カーネルモジュールへ適用する方法」を参照してください。
Web サーバーの構成情報を追加するには、「IPQoS 構成ファイルを作成し、トラフィッククラスを定義する方法」を参照してください。
フローアカウンティングを設定するには、「IPQoS 構成ファイル内でクラスのアカウンティングを有効にする方法」を参照してください。
ルーターで転送動作を設定するには、「IPQoS 対応ネットワーク上でルーターを構成する方法」を参照してください。