NFS 環境でファイルシステムを共有することにより、サーバーのファイルシステムにアクセスできるようになります。共有するファイルシステムは、share コマンドまたは /etc/dfs/dfstab ファイルで指定します。
/etc/dfs/dfstab ファイル中のエントリは、NFS サーバーオペレーションを起動したときに自動的に共有されます。同じファイルシステムを定期的に共有する必要がある場合は、自動共有を設定するようにしてください。たとえばサーバーがホームディレクトリをサポートしている場合、ホームディレクトリを常に使用できるようにしておく必要があります。ファイルシステムの共有はほとんどが自動的に行われます。共有を手動で実行するのは、テストまたはトラブルシューティングの場合だけです。
dfstab ファイルには、サーバーがクライアントと共有しているすべてのファイルシステムが一覧表示されています。このファイルを使用して、ファイルシステムをマウントできるクライアントを制御します。dfstab ファイルを変更して、ファイルシステムを追加または削除したり、共有方法を変更したりできます。その場合は、vi などのサポートされているテキストエディタを使って dfstab ファイルを編集します。コンピュータが次に実行レベル 3 に入ったときに、更新された dfstab ファイルが読み込まれ、共有するファイルシステムが自動的に判断されます。
dfstab ファイルの各行は、share コマンドで構成されています。このコマンドは、コマンド行プロンプトに入力してファイルシステムを共有するのと同じコマンドです。share コマンドは、/usr/sbin に保存されています。
表 5–1 ファイルシステムの共有 (作業マップ)
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
ファイルシステムの自動共有を確立します |
サーバーのリブート時、ファイルシステムが自動的に共有されるようにサーバーを設定する手順 | |
WebNFS を有効にします |
ユーザーが WebNFS でファイルにアクセスできるようにサーバーを設定する手順 | |
NFS サーバーログを有効にします |
NFS ログが選択したファイルシステム上で動作するようにサーバーを設定する手順 |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
共有する対象の各ファイルシステムに関してエントリを追加します。
/etc/dfs/dfstab を編集します。自動的に共有する各ファイルシステムのファイルにエントリを 1 つ追加します。各エントリは、ファイル中に 1 行で記述する必要があり、次のような構文を使用します。
share [-F nfs] [-o specific-options] [-d description] pathname |
/etc/dfs/dfstab については dfstab(4) のマニュアルページを、オプションの完全な一覧については share_nfs(1M) のマニュアルページを、それぞれ参照してください。
ファイルシステムを共有します。
エントリを /etc/dfs/dfstab に追加したあと、システムをリブートするか、shareall コマンドを使用して、ファイルシステムを共有可能にします。
# shareall |
情報が正しいことを確認します。
share コマンドを実行し、適切なオプションが表示されていることを確認します。
# share - /export/share/man ro "" - /usr/src rw=eng "" - /export/ftp ro,public "" |
次の手順では、サーバー上で共有したファイルシステムにクライアントがアクセスできるように autofs マップを設定します。「autofs 管理作業の概要」を参照してください。
Solaris 2.6 リリース以降ではデフォルトで、NFS マウントに利用可能なすべてのファイルシステムが、WebNFS アクセス用として自動的に利用可能となります。この手順を使用する必要があるのは、次のいずれかの場合だけです。
NFS マウントがその時点で利用可能になっていないサーバーで NFS マウントができるようにする場合
public オプションを使用することで、公開ファイルハンドルをリセットして NFS URL を短くする場合
index オプションを使用することで、特定の HTML ファイルが強制的に読み込まれるようにする場合
WebNFS サービスを起動する際の注意事項については、「WebNFS アクセスの計画」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
WebNFS サービスを使用して、共有する各ファイルシステムのエントリを追加します。
/etc/dfs/dfstab を編集します。各ファイルシステムごとにエントリを 1 つ追加します。次の例の public タグおよび index タグは省略できます。
share -F nfs -o ro,public,index=index.html /export/ftp |
/etc/dfs/dfstab については dfstab(4) のマニュアルページを、オプションの完全な一覧については share_nfs(1M) のマニュアルページを、それぞれ参照してください。
ファイルシステムを共有します。
エントリを /etc/dfs/dfstab に追加したあと、システムをリブートするか、shareall コマンドを使用して、ファイルシステムを共有可能にします。
# shareall |
情報が正しいことを確認します。
share コマンドを実行し、適切なオプションが表示されていることを確認します。
# share - /export/share/man ro "" - /usr/src rw=eng "" - /export/ftp ro,public,index=index.html "" |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
(省略可能) ファイルシステム構成の設定を変更します。
/etc/nfs/nfslog.conf で設定を変更する方法は 2 つあります。すべてのファイルシステムについてデフォルトの設定を編集するには、global タグに関連するデータを変更します。または、このファイルシステムについて新しいタグを追加します。これらの変更が必要でない場合には、このファイルを変更する必要はありません。/etc/nfs/nfslog.conf の書式については、nfslog.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
NFS サーバーログを使用して、共有する各ファイルシステムについてエントリを追加します。
/etc/dfs/dfstab を編集します。NFS サーバーログを有効にするファイルシステムについてエントリを 1 つ追加します。log=tag オプションとともに使用するタグは、/etc/nfs/nfslog.conf にも記述する必要があります。次の例では、global タグ内のデフォルト設定を使用しています。
share -F nfs -o ro,log=global /export/ftp |
/etc/dfs/dfstab については dfstab(4) のマニュアルページを、オプションの完全な一覧については share_nfs(1M) のマニュアルページを、それぞれ参照してください。
ファイルシステムを共有します。
エントリを /etc/dfs/dfstab に追加したあと、システムをリブートするか、shareall コマンドを使用して、ファイルシステムを共有可能にします。
# shareall |
情報が正しいことを確認します。
share コマンドを実行し、適切なオプションが一覧表示されることを確認します。
# share - /export/share/man ro "" - /usr/src rw=eng "" - /export/ftp ro,log=global "" |
NFS ログデーモン nfslogd が動作していることを確認します。
# ps -ef | grep nfslogd |
(省略可能) 動作していない場合は、nfslogd を起動します。