Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

NFS ファイル

ファイルによっては、いずれのコンピュータ上でも NFS アクティビティーをサポートする必要があるファイルがあります。その多くは ASCII ファイルで、いくつかはデータファイルです。表 6–1 にこのようなファイルとその機能をまとめます。

表 6–1 NFS ファイル

ファイル名 

機能 

/etc/default/autofs

autofs 環境の構成情報を示します。 

/etc/default/fs

ローカルファイルシステムにおけるデフォルトファイルシステムのタイプを示します。 

/etc/default/nfs

lockd および nfsd の構成情報を示します。詳細は、/etc/default/nfs ファイルのキーワード」および nfs(4) のマニュアルページを参照してください。

/etc/default/nfslogd

NFS サーバーログデーモン ( nfslogd) の構成情報を示します。

/etc/dfs/dfstab

共有するローカルリソースを示します。 

/etc/dfs/fstypes

リモートファイルシステムにおけるデフォルトファイルシステムのタイプを示します。 

/etc/dfs/sharetab

共有されるローカルとリモートのリソースを示します。sharetab(4) のマニュアルページを参照してください。このファイルは編集しないでください。

/etc/mnttab

自動マウントしたディレクトリを含む、現在マウントしているファイルシステムを示します。mnttab(4) のマニュアルページを参照してください。このファイルは編集しないでください。

/etc/netconfig

トランスポートプロトコルを示します。このファイルは編集しないでください。

/etc/nfs/nfslog.conf

NFS サーバーログのための一般的な構成情報を示します。 

/etc/nfs/nfslogtab

nfslogd によるログ後処理のための情報を示します。このファイルは編集しないでください。

/etc/nfssec.conf

NFS のセキュリティーサービスを示します。 

/etc/rmtab

NFS クライアントがリモートでマウントしたファイルシステムを示します。rmtab(4) のマニュアルページを参照してください。このファイルは編集しないでください。

/etc/vfstab

ローカルにマウントするファイルシステムを定義します。vfstab(4) のマニュアルページを参照してください。

/etc/dfs/fstypes の最初のエントリは、リモートファイルシステムにおけるデフォルトファイルシステムのタイプとして利用されることがよくあります。このエントリは、NFS ファイルシステムのタイプをデフォルトとして定義します。

/etc/default/fs には、エントリが 1 つしかありません。 ローカルディスクにおけるデフォルトファイルシステムのタイプです。クライアントやサーバーでサポートするファイルシステムのタイプは、/kernel/fs のファイルを確認して決定することができます。

/etc/default/autofs ファイル

Solaris 10 以降のリリースでは、/etc/default/autofs ファイルを使用して autofs 環境を設定することができます。特に、このファイルにより、autofs コマンドおよび autofs デーモンを設定する方法が追加されました。コマンド行と同じように、この設定ファイルで指定できます。ただし、コマンド行とは異なり、オペレーティングシステムのアップグレード中にも、このファイルは指定を保持します。さらに、autofs 環境の既存の動作が保持されているかを確認するために、クリティカルな起動ファイルを更新する必要がなくなります。指定を行うには、次のキーワードに値を割り当てます。

AUTOMOUNT_TIMEOUT

ファイルシステムがアンマウントされるまでアイドル状態を持続する時間を設定します。このキーワードは、automount-t 引数と同等です。デフォルト値は 600 です。

AUTOMOUNT_VERBOSE

マウント、アンマウント、およびその他の重要でないイベントを通知します。このキーワードは、-automountv 引数と同等です。デフォルトの値は FALSE です。

AUTOMOUNTD_VERBOSE

状態メッセージをコンソールに記録します。このキーワードは automountd デーモンの -v 引数と同等です。デフォルトの値は FALSE です。

AUTOMOUNTD_NOBROWSE

すべての autofs マウントポイントのブラウズをオンまたはオフにします。このキーワードは -automountdn 引数と同等です。デフォルトの値は FALSE です。

AUTOMOUNTD_TRACE

各遠隔手続き呼び出し (RPC) を拡張し、拡張された RPC を標準出力に表示します。このキーワードは、-automountdT 引数と同等です。デフォルト値は 0 です。値の範囲は 0 から 5 です。

AUTOMOUNTD_ENV

さまざまな値をさまざまな環境に割り当てることを許可します。このキーワードは、-automountdD 引数と同等です。AUTOMOUNTD_ENV キーワードは、何度でも使用できます。ただし、環境割り当てごとに行を分けて使用する必要があります。

詳細は、automount(1M) および automountd(1M) のマニュアルページを参照してください。手順については、/etc/default/autofs ファイルを使用する方法」を参照してください。

/etc/default/nfs ファイルのキーワード

NFS version 4 では、次のキーワードを /etc/default/nfs ファイルに設定できます。これらのキーワードは、クライアントとサーバーの両方で使用される NFS プロトコルを制御します。

NFS_SERVER_VERSMIN

サーバーが登録し提供する最小バージョンの NFS プロトコルを設定します。Solaris 10 以降のリリースでは、デフォルトは 2 です。有効な値はほかに 3 と 4 があります。「NFS サービスの設定」を参照してください。

NFS_SERVER_VERSMAX

サーバーが登録し提供する最大バージョンの NFS プロトコルを設定します。Solaris 10 以降のリリースでは、デフォルトは 4 です。有効な値はほかに 2 と 3 があります。「NFS サービスの設定」を参照してください。

NFS_CLIENT_VERSMIN

NFS クライアントが使用する最小バージョンの NFS プロトコルを設定します。Solaris 10 以降のリリースでは、デフォルトは 2 です。有効な値はほかに 3 と 4 があります。「NFS サービスの設定」を参照してください。

NFS_CLIENT_VERSMAX

NFS クライアントが使用する最大バージョンの NFS プロトコルを設定します。Solaris 10 以降のリリースでは、デフォルトは 4 です。有効な値はほかに 2 と 3 があります。「NFS サービスの設定」を参照してください。

NFS_SERVER_DELEGATION

NFS version 4 の委託機能をサーバーで有効にするかどうかを制御します。この機能が有効な場合、サーバーは NFS version 4 のクライアントに委託しようとします。デフォルトでは、サーバー委託は有効になっています。サーバー委託を無効にするには、「サーバー上で異なるバージョンの NFS を選択する方法」を参照してください。詳細は、「NFS version 4 における委託」を参照してください。

NFSMAPID_DOMAIN

クライアントとサーバーに共通のドメインを設定します。ローカル DNS ドメイン名を使用するデフォルトの動作は無効になります。作業の詳細は、「NFS サービスの設定」を参照してください。また、nfsmapid デーモン」も参照してください。

/etc/default/nfslogd ファイル

このファイルは、NFS サーバーログ機能を使用するときに使用されるいくつかのパラメータを定義します。次のパラメータを定義することができます。

CYCLE_FREQUENCY

ログファイルを循環させる前に経過すべき時間数を決定するパラメータです。デフォルト値は 24 時間です。このパラメータはログファイルが大きくなり過ぎないように使用します。

IDLE_TIME

nfslogd が、バッファーファイル内のさらなる情報を検査する前にスリープすべき秒数を決定するパラメータです。このパラメータは、構成ファイルの検査頻度も決定します。このパラメータと MIN_PROCESSING_SIZE によりバッファーファイルの処理頻度が決まります。デフォルト値は 300 秒です。この数値を増加させると、検査の回数が減ってパフォーマンスが向上します。

MAPPING_UPDATE_INTERVAL

ファイルハンドルパスマッピングテーブル内でレコードを更新する間隔を秒数で指定します。デフォルト値は 86400 秒つまり 1 日です。このパラメータを使用すると、ファイルハンドルパスマッピングテーブルを常時更新しないで最新の状態に保つことができます。

MAX_LOGS_PRESERVE

保存するログファイル数を決めます。デフォルト値は 10 です。

MIN_PROCESSING_SIZE

バッファーファイルが処理してログファイルに書き込むための最小限のバイト数を設定します。このパラメータと IDLE_TIME によりバッファーファイルの処理頻度が決まります。デフォルト値は 524,288 バイトです。この数値を大きくするとバッファーファイルの処理回数が減ってパフォーマンスが向上します。

PRUNE_TIMEOUT

ファイルハンドルパスマッピングレコードを中断して削減できるようになるまでに経過しなければならない時間数を選択するパラメータです。デフォルト値は 168 時間、つまり 7 日間です。

UMASK

nfslogd によって作成されるログファイルのファイルモード生成マスクを指定します。デフォルト値は 0137 です。

/etc/nfs/nfslog.conf ファイル

このファイルは nfslogd で使用するログのパス、ファイル名、およびタイプを定義します。各定義はタグと関連づけられています。NFS サーバーのログを開始するためには、各ファイルシステムについてタグを付ける必要があります。広域タグはデフォルト値を定義します。必要に応じて、各タグに、次のパラメータを使用することができます。

defaultdir=path

ログファイルのデフォルトのディレクトリパスを指定するパラメータです。特に指定しないかぎり、デフォルトのディレクトリは /var/nfs です。

log=path/filename

ログファイルのパスとファイル名を指定するパラメータです。デフォルトは /var/nfs/nfslog です。

fhtable=path/filename

ファイルハンドルパスデータベースのパスとファイル名を選択するパラメータです。デフォルトは /var/nfs/fhtable です。

buffer=path/filename

バッファーファイルのパスとファイル名を決定するパラメータです。デフォルトは /var/nfs/nfslog_workbuffer です。

logformat=basic|extended

ユーザーから読み取り可能なログファイルを作成するときに使用するフォーマットを選択します。基本フォーマットでは、ftpd デーモンに似たログファイルが作成されます。拡張フォーマットは、より詳細に表示されます。

パスが指定されていない場合は、defaultdir が定義するパスが使用されます。絶対パスを使用すると defaultdir を無効にすることができます。

ファイルを識別しやすくするために、ファイルを別々のディレクトリに入れておきます。次に、必要な変更の例を示します。


% cat /etc/nfs/nfslog.conf
#ident  "@(#)nfslog.conf        1.5     99/02/21 SMI"
#
  .
  .
# NFS server log configuration file.
#

global  defaultdir=/var/nfs \
        log=nfslog fhtable=fhtable buffer=nfslog_workbuffer

publicftp log=logs/nfslog fhtable=fh/fhtables buffer=buffers/workbuffer

この例では、log=publicftp と共有するファイルシステムはすべて、次の値を使用します。

手順については、「NFS サーバーログを有効にする方法」を参照してください。