DSL モデム上で PPP を実行するには、マシンが PPPoE クライアントになる必要があります。PPPoE を実行するためにインタフェースを plumb し、次に pppoec ユーティリティーを使ってアクセスサーバーの存在を「発見」する必要があります。その後、クライアントは DSL モデム上に PPPoE トンネルを作成し PPP を実行できます。
PPPoE クライアントは、従来のクライアント - サーバーモデルでアクセスサーバーに接続します。PPPoE トンネルはダイアルアップリンクではありませんが、ほぼ同じような方法で構成され、操作されます。
PPPoE クライアントを設定するコマンドおよびファイルには、次が含まれます。
/usr/lib/inet/pppoec ユーティリティーは、PPPoE トンネルのクライアント側をネゴシエーションします。pppoec は、Solaris PPP 4.0 の chat ユーティリティーに似ています。pppoec は直接起動しません。直接起動するのではなく、pppd の connect オプションの引数として /usr/lib/inet/pppoec を起動します。
pppoe.so は PPPoE 共有オブジェクトで、PPPoE によって読み込まれ、PPPoE 機能をアクセスサーバーとクライアントに提供します。共有オブジェクト pppoe.so は、MTU および MRU を 1492 に制限し、ドライバからのパケットにフィルタをかけ、実行時 PPPoE メッセージを処理します。
クライアント側では、ユーザーが plugin pppoe.so オプションを指定すると、pppd が pppoe.so を読み込みます。
アクセスサーバーが pppoec によって発見されるように定義する場合は、pppoec および pppd デーモンの両方に適用されるオプションを使用します。アクセスサーバーの /etc/ppp/peers/peer-name ファイルは次のパラメータを必要とします。
sppptun – PPPoE トンネルが使用するシリアルデバイスの名前。
plugin pppoe.so – pppd に pppoe.so 共有オブジェクトを読み込むように指示します。
connect "/usr/lib/inet/pppoec device" – 接続を開始します。次に、PPPoE に plumb されているインタフェース device 上で pppoec ユーティリティーを起動します。
/etc/ppp/peers/ peer-name ファイル内の残りのパラメータは、サーバー上の PPP リンクに適用されます。ダイアルアウトマシン上の /etc/ppp/peers/peer-name と同じオプションを使用します。オプションの数を PPP リンクで必要な最小数に制限するようにしてください。
次の例は、「PPPoE アクセスサーバーピアを定義する方法」で紹介されています。
# cat /etc/ppp/peers/dslserve sppptun plugin pppoe.so connect "/usr/lib/inet/pppoec hme0" noccp noauth user Red password redsecret noipdefault defaultroute |
このファイルは、アクセスサーバー dslserve に PPPoE トンネルと PPP リンクを設定するときに使用するパラメータを定義します。オプションには、次が含まれます。
オプション |
説明 |
---|---|
sppptun |
sppptun をシリアルデバイスの名前として定義します。 |
plugin pppoe.so |
pppd に pppoe.so 共有オブジェクトを読み込むように指示します。 |
connect "/usr/lib/inet/pppoec hme0" |
pppoec を実行し、PPPoE トンネルおよび PPP リンク用のインタフェースとして hme0 を指定します。 |
noccp |
接続上で CCP 圧縮をオフに設定します。 注 – 多くの ISP は独自の圧縮アルゴリズムだけを使用します。公開された CCP アルゴリズムをオフにすると、ネゴシエーションの時間を節約し、偶発的な相互運用性の問題を避けることができます。 |
noauth |
pppd 認証資格をアクセスサーバーに要求するのを 停止します。ほとんどの ISP は認証資格を顧客に提供しません。 |
user Red |
アクセスサーバーによる PAP 認証に必要なクライアントのユーザー名として Red の名前を設定します。 |
password redsecret |
PAP 認証のためにアクセスサーバーに提供されるパスワードとして redsecret を定義します。 |
noipdefault |
初期 IP アドレスとして 0.0.0.0 を割り当てます。 |
defaultroute |
IPCP ネゴシエーション後にデフォルトの IPv4 経路指定をインストールするよう pppd に指示します。接続がシステムのインターネットへの接続である場合、/etc/ppp/peers/peer-name 内に defaultroute を含める必要があります。PPPoE クライアントの場合これにあてはまります。 |