NIS と比較すると、NIS+ には次のようなメリットがあります。
安全性の高いデータアクセス
階層構造を使用した分散型のネットワーク管理
非常に大きな名前空間の管理
異なるドメインにあるリソースへのアクセス
増分 (incremental) 更新
「NIS+ のセキュリティ」で説明したセキュリティシステムを使用すれば、特定のテーブルの個々のエントリに対する特定のユーザーのアクセスを制御できます。このようなセキュリティ方式では、システムを安全に維持でき、しかも NIS+ 名前空間全体またはテーブル全体が損傷する危険性がなく、管理業務を広く分散させることができます。
NIS+ の階層構造により、使用する名前空間に複数のドメインを置くことができます。ドメインに分割することにより、管理が容易になります。個々のドメインは完全に独立して管理できるため、システム管理者の負担が軽減され、非常に大きな名前空間の管理責任から解放されます。このように、セキュリティシステムを分散型のネットワーク管理と組み合わせることによって、管理作業の負担を分担することができます。
ドメインが個別に管理されているとしても、すべてのクライアントに名前空間内のすべてのドメインの情報を参照するアクセス権を与えることができます。クライアントは自分のドメイン内のテーブルしか見ることができないため、クライアントがほかのドメイン内のテーブルにアクセスするには、そのテーブルについて明示的にアドレスを指定しなければなりません。
増分更新とは、名前空間内での情報の高速の更新を意味します。ドメインは独立して管理されるため、マスターサーバーテーブルへの変更は、名前空間全体にではなく、その複製サーバーだけに伝達します。伝達が行われると、これらの変更はすぐに名前空間全体で有効になります。