Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

フロッピーディスクをフォーマットする

書き換え可能なフロッピーディスクをフォーマットしたり保護したりするには、rmformat コマンドを使用します。このユーティリティーには、vold が実行中の場合を除き、スーパーユーザー特権は必要ありません。ファイルシステムは自動的にマウントされます。そのため、メディアに既存のファイルシステムが含まれている場合は、メディアをフォーマットする前にマウント解除する必要があります。

rmformat コマンドには、次の 3 つのフォーマットオプションがあります。

リムーバブルメディアのハードウェア面での考慮事項

フロッピーディスクを使用するときは、次の制限事項に注意してください。

フロッピーディスクのハードウェア面での考慮事項

フロッピーディスクをフォーマットするときは、次のことに注意してください。

Solaris システムは、次の種類のフロッピーディスクをフォーマットできます。

Solaris システム (SPARC または x86 のどちらか) では、次の密度でフロッピーディスクをフォーマットできます。

フロッピーディスクのサイズ 

フロッピーディスクの密度 

容量 

3.5 インチ 

高密度 (HD) 

1.44M バイト 

3.5 インチ 

倍密度 (DD) 

720K バイト 

デフォルトで、フロッピーディスクドライブは、それに近い密度にフロッピーディスクをフォーマットします。つまり、デフォルトでは、1.44M バイトのドライブは、フロッピーディスクが実際に 1.44M バイトのフロッピーディスクかどうかに関係なく、特に指示しない限り、そのフロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットしようとします。言い換えれば、フロッピーディスクもドライブも、その容量以下にフォーマットすることは可能です。

Procedureリムーバブルメディアを読み込む方法

リムーバブルメディアのハードウェア面での考慮事項については、「リムーバブルメディアのハードウェア面での考慮事項」を参照してください。

  1. メディアを挿入します。

  2. メディアがフォーマットされていることを確認します。

    フォーマットされているかどうかがわからない場合は、メディアを挿入し、手順 3 の説明に従って、システムコンソールウィンドウの状態メッセージを確認してください。メディアをフォーマットする必要がある場合は、「フロッピーディスクをフォーマットする方法 (rmformat)」を参照してください。

  3. (省略可能) USB でない古いフロッピーディスクデバイスを使用している場合は、ボリューム管理に通知します。


    $ volcheck -v
    

    次の 2 つの状態メッセージのいずれかが表示されます。

    media was found

    ボリューム管理がメディアを検出し、表 3–1 に記述されたディレクトリにそのメディアをマウントしようとします。

    メディアが正しくフォーマットされている場合は、コンソールにエラーメッセージが表示されません。

    メディアがフォーマットされていない場合でも「media was found」メッセージは表示されます。ただし、次のようなエラーメッセージがシステムコンソールウィンドウに表示されます。

    fd0: unformatted diskette or no diskette in the drive

    fd0: read failed (40 1 0)

    fd0: bad format

    メディアをフォーマットしてからでないと、ボリューム管理はそれをマウントできません。詳細については、第 2 章リムーバブルメディアの管理 (手順)を参照してください。

    no media was found

    ボリューム管理は、メディアを検出しませんでした。メディアが正しく挿入されていることを確認して、volcheck をもう一度実行してください。うまくいかない場合は、メディアを検査してください。損傷の可能性があります。メディアを手動でマウントしてみることもできます。

  4. メディアの内容を表示して、メディアがマウントされていることを確認します。

    たとえば、フロッピーディスクの場合は次のように入力します。


    $ ls /floppy
    floppy0 myfiles

    ヒント –

    floppy0 はフロッピーディスクの実際の名前へのシンボリックリンクです。この場合、myfiles が実際の名前です。名前がないが正しくフォーマットされている場合は、unnamed_floppy と呼ばれます。

    /floppy ディレクトリの下に何も表示されない場合は、フロッピーディスクがマウントされていないか、正しくフォーマットされていないかのどちらかです。これを調べるには、mount コマンドを実行して、次のような /floppy で始まる行を探してください (通常は、リストの最後にあります)。

    /floppy/name on /vol/dev/diskette0/ name

    このような行が表示されない場合、フロッピーディスクはマウントされていません。システムコンソールウィンドウにエラーメッセージが表示されていないかどうか確認してください。


Procedureフロッピーディスクをフォーマットする方法 (rmformat)

rmformat コマンドを使用すると、フロッピーディスクをフォーマットできます。デフォルトでは、このコマンドによってメディア上にパーティション 0 とパーティション 2 (メディア全体) という 2 つのパーティションが作成されます。

  1. リムーバブルメディアサービスが動作していることを確認します。動作していれば、デバイス名のニックネームを使用できます。


    $ svcs volfs
    STATE          STIME    FMRI
    online         10:39:12 svc:/system/filesystem/volfs:default

    リムーバブルメディアサービスを再起動する方法については、「リムーバブルメディアサービスを無効または有効にする方法」を参照してください。メディアのデバイス名の確認方法については、「リムーバブルメディア名の使用」を参照してください。

  2. フロッピーディスクをフォーマットします。


    $ rmformat -F [ quick | long | force ] device-name
    

    rmformat のフォーマットオプションについては、「フロッピーディスクをフォーマットする」を参照してください。

    rmformat コマンドの出力によって不良ブロックが見つかった場合は、「リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復する方法」を参照してください。

  3. (省略可能) フロッピーディスクに 8 文字のラベルを付けます。


    $ rmformat -b label device-name
    

    DOS ラベルの作成の詳細は、mkfs_pcfs(1M) のマニュアルページを参照してください。


例 2–1 フロッピーディスクをフォーマットする

次の例は、フロッピーディスクのフォーマット方法を示しています。


$ rmformat -F quick /dev/rdiskette
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
.........................................................................

Procedureリムーバブルメディア上にファイルシステムを作成する方法

  1. (省略可能) フロッピーディスクをフォーマットします。


    $ rmformat -F quick device-name
    
  2. (省略可能) 代替の Solaris パーティションテーブルを作成します。


    $ rmformat -s slice-file device-name
    

    スライスファイルの例は次のようになります。


    slices: 0 = 0, 30MB, "wm", "home" : 
                  1 = 30MB, 51MB : 
                  2 = 0, 94MB, "wm", "backup" : 
                  6 = 81MB, 13MB
  3. スーパーユーザーになります。

  4. 適切なファイルシステムの種類を決定し、次のいずれかの作業を選択します。

    • UFS ファイルシステムを作成します。次に例を示します。


      # newfs /vol/dev/aliases/floppy0
      
    • PCFS ファイルシステムを作成します。次に例を示します。


      # mkfs -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2:c
      
    • UDFS ファイルシステムを作成します。次に例を示します。


      # mkfs -F udfs /dev/rdsk/c0t1d0s1
      

例 2–2 UFS ファイルシステム用にフロッピーディスクをフォーマットする

次の例は、フロッピーディスクをフォーマットし、そのフロッピーディスク上に UFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/floppy0
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
$ su
# /usr/sbin/newfs /vol/dev/aliases/floppy0
newfs: construct a new file system /dev/rdiskette: (y/n)? y
/dev/rdiskette: 2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 18 sectors
        1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g)
super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at:
 32, 640, 1184, 1792, 2336,
# 

$ rmformat -F quick /dev/rdiskette
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n)y
$ su
# /usr/sbin/newfs /dev/rdiskette
newfs: construct a new file system /dev/rdiskette: (y/n)? y
/dev/rdiskette: 2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 18 sectors
        1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g)
super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at:
 32, 640, 1184, 1792, 2336,


例 2–3 PCFS ファイルシステム用にフロッピーディスクをフォーマットする

次の例は、代替 fdisk パーティションを作成して、PCFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。これらの例では、vold は動作していません。


$ rmformat -F quick /dev/rdsk/c0t4d0s2:c
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
$ su
# fdisk /dev/rdsk/c0t4d0s2:c 
# mkfs -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2:c
Construct a new FAT file system on /dev/rdsk/c0t4d0s2:c: (y/n)? y
#

次の例は、fdisk パーティションを作成せずに、PCFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /dev/rdiskette
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
$ su
# mkfs -F pcfs -o nofdisk,size=2 /dev/rdiskette
Construct a new FAT file system on /dev/rdiskette: (y/n)? y
#

ProcedureDVD-RAM 上にファイルシステムを作成する方法

現在のところ、vold は DVD-RAM デバイスをサポートしていません。このため、vold を無効にして DVD-RAM デバイスを使用すると、vold が無効で使用できないために、CD-R、CD-RW、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW デバイスを使用できなくなります。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. vold を停止します。


    # svcadm disable volfs
    
  3. DVD-RAM デバイス上にファイルシステムを作成します。

    • UFS ファイルシステムを作成します。次に例を示します。


      # newfs /dev/rdsk/c0t0d0s2
      
    • UDFS ファイルシステムを作成します。次に例を示します。


      # mkfs -F udfs /dev/rdsk/c0t0d0s2
      
  4. ファイルシステムをマウントします。

    • UFS ファイルシステムをマウントします。次に例を示します。


      # mount -F ufs /dev/dsk/c0t0d0s2 /mnt
      
    • UDFS ファイルシステムをマウントします。次に例を示します。


      # mount -F udfs /dev/dsk/c0t0d0s2 /mnt
      
  5. ファイルシステムの読み取りや書き込みができることを確認します。

  6. 作業が完了したら、DVD-RAM を取り出します。

  7. vold を再起動します。


    # svcadm enable volfs
    

Procedureリムーバブルメディア上のファイルシステムを検査する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ファイルシステムの種類を確認し、次のいずれかの作業を選択します。

    • UFS ファイルシステムを検査します。


      # fsck -F ufs device-name
      
    • UDFS ファイルシステムを検査します。


      # fsck -F udfs device-name
      
    • PCFS ファイルシステムを検査します。


      # fsck -F pcfs device-name
      

例 2–4 リムーバブルメディア上の PCFS ファイルシステムを検査する

次の例は、メディア上の PCFS ファイルシステムの整合性を検査する方法を示しています。この例では、vold は動作していません。


# fsck -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2
** /dev/rdsk/c0t4d0s2
** Scanning file system meta-data
** Correcting any meta-data discrepancies
1457664 bytes.
0 bytes in bad sectors.
0 bytes in 0 directories.
0 bytes in 0 files.
1457664 bytes free.
512 bytes per allocation unit.
2847 total allocation units.
2847 available allocation units.
# 

Procedureリムーバブルメディア上の不良ブロックを修復する方法

ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合にのみ、検証中に見つかった不良セクタを rmformat コマンドで検証、解析、および修復できます。ほとんどのフロッピーディスクおよび USB メモリースティックは不良ブロック管理をサポートしていません。

ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合、不良ブロックを修復するための最大の努力が行われます。それでも不良ブロックを修復できなかった場合、メディアの修復に失敗したことを示すメッセージが表示されます。

  1. リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復します。


    $ rmformat -c block-numbers device-name
    

    block-numbers には、前の rmformat セッションで獲得したブロック番号を 10 進数、8 進数、または 16 進数形式で指定します。

  2. リムーバブルメディアを検証します。


    $ rmformat -V read device-name
    

リムーバブルメディアに読み取り/書き込み保護とパスワードによる保護を適用する

この機能をサポートしているリムーバブルメディアには、読み取り保護または書き込み保護を適用し、パスワードを設定できます。

Procedureリムーバブルメディアの書き込み保護を有効または無効にする方法

  1. 書き込み保護を有効にするか無効にするかを決定し、次のいずれかの作業を選択します。

    • 書き込み保護を有効にします。


      $ rmformat -w enable device-name
      
    • 書き込み保護を無効にします。


      $ rmformat -w disable device-name
      
  2. リムーバブルメディアの書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。


    $ rmformat -p device-name
    

Procedureリムーバブルメディアの読み取り/書き込み保護を有効または無効にする方法とパスワードを設定する方法

パスワードによる保護機能をサポートしているリムーバブルメディアには、最大 32 文字のパスワードを適用できます。

パスワード機能をサポートしていないリムーバブルメディア上でパスワードを適用しようとすると、警告メッセージが表示されます。

  1. 読み取り保護または書き込み保護を有効または無効のどちらにするかを決定し、パスワードを設定します。次のいずれかの手順に従います。

    • 読み取り保護または書き込み保護を有効にします。


      $ rmformat -W enable device-name
      Please enter password (32 chars maximum): xxx
      Please reenter password:

      $ rmformat -R enable device-name
      Please enter password (32 chars maximum): xxx
      Please reenter password:
    • 読み取り保護または書き込み保護を無効にし、パスワードを削除します。


      $ rmformat -W disable device-name
      Please enter password (32 chars maximum): xxx
      

      $ rmformat -R disable device-name
      Please enter password (32 chars maximum): xxx
      
  2. リムーバブルメディアの読み取り保護または書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。


    $ rmformat -p device-name
    

例 2–5 読み取り/書き込み保護とパスワードによる保護を有効または無効にする

次の例は、フロッピーディスクに対して書き込み保護を有効にし、パスワードを設定する方法を示しています。


$ rmformat -W enable /vol/dev/aliases/floppy0
Please enter password (32 chars maximum): xxx
Please reenter password: xxx

次の例は、フロッピーディスクに対して読み取り保護を無効にし、パスワードを削除する方法を示しています。


$ rmformat -R disable /vol/dev/aliases/floppy0
Please enter password (32 chars maximum): xxx