EFI ラベルは、サイズが 2T バイトを超える物理ディスクボリュームと仮想ディスクボリュームをサポートします。このリリースには、2T バイトを超えるサイズのディスクを管理するための更新版ディスクユーティリティーが付属しています。UFS ファイルシステムには EFI ディスクラベルとの互換性があり、2T バイトを超えるサイズの UFS ファイルシステムを作成できます。マルチテラバイトの UFS ファイルシステムの作成方法については、「64 ビット: マルチテラバイトの UFS ファイルシステムのサポート」を参照してください。
1T バイトを超えるファイルシステムを作成する必要がある場合は、別パッケージの Sun QFS ファイルシステムも使用できます。Sun QFS ファイルシステムについては、『Sun QFS, Sun SAM-FS, and Sun SAM-QFS File System Administrator’s Guide』を参照してください。
今回の Solaris リリースでは、Solaris ボリュームマネージャーでも 1T バイトを超えるディスク管理が可能です。Solaris ボリュームマネージャーの使用方法については、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。
サイズが 2T バイトに満たないディスクでは、引き続き VTOC ラベルを使用できます。現在のシステムでサイズが 2T バイトに満たないディスクしか使用しない場合は、以前の Solaris リリースと同じ方法でディスク管理を行います。サイズが 2T バイト以下のディスクに EFI ラベルでラベル付けを行う場合は、format-e コマンドを使用します。詳細は、例 11–6 を参照してください。
システム上で適切な Solaris リリースが実行されている場合、format -e コマンドを使用することで EFI ラベルをディスクに適用できます。ただし、EFI ラベルを適用する前に、「EFI ディスクラベルの制限」に記載された重要な情報を確認することをお勧めします。
EFI ラベルが不要になった場合に、format -e コマンドを使って、VTOC ラベルを再度適用することもできます。次に例を示します。
# format Specify disk (enter its number): 2 selecting c0t5d0 [disk formatted] . . . format> label [0] SMI Label [1] EFI Label Specify Label type[1]: 0 Warning: This disk has an EFI label. Changing to SMI label will erase all current partitions. Continue? yes Auto configuration via format.dat[no]? Auto configuration via generic SCSI-2[no]? format> quit |
ディスクラベルを変更すると、ディスク上のデータがすべて破棄されることに留意してください。
EFI ディスクラベルが VTOC ディスクラベルと異なる点は次のとおりです。
サイズが 2T バイトを超えるディスクをサポートします。
スライス 0 - 6 を使用できます (スライス 2 はその他のスライス)。
一次 (バックアップ) ラベルまたはその他のパーティションを使ってパーティションやスライスをオーバーラップすることはできません。EFI ラベルのサイズは通常 34 セクターなので、パーティションは通常セクター 34 で始まります。つまり、パーティションはセクターゼロ (0) では始められないことを意味します。
シリンダ、ヘッド、およびセクターの情報は、EFI ラベルには格納されません。サイズはブロック単位で報告されます。
代替シリンダ領域 (ディスクの終わりから 2 つめまでのシリンダ) に格納されていた情報は、スライス 8 に格納されます。
format ユーティリティーを使ってパーティションサイズを変更する場合、サイズ 0 のパーティションには unassigned パーティションタグが割り当てられます。format ユーティリティーでは、0 より大きいサイズのパーティションには、デフォルトにより usr パーティションタグが割り当てられます。パーティションを変更したあと新しいパーティションタグを割り当てたい場合は、パーティション変更メニューを使用します。ただし、サイズ 0 以外のパーティションに unassigned パーティションタグを割り当て直すことはできません。
サイズが 1T バイトを超えるディスクを使用することが現在の環境にとって適切かどうかを判断するときは、次の点を考慮してください。
VTOC ラベル付きディスクを使用するシステム向けの階層化されたソフトウェア製品で、EFI ラベル付きディスクにアクセスできないことがあります。
以前の Solaris リリースを実行しているシステムは、EFI ラベル付きディスクを認識しません。
EFI ラベル付きディスクからブートを実行できません。
x86 ベースのシステムでは、EFI ラベル付きの 2T バイトを超えるディスク上で fdisk コマンドを使用できます。
Solaris 管理コンソールの「ディスク」ツールでは、EFI ラベル付きディスクを管理できません。format ユーティリティーを使って EFI ラベル付きディスクをパーティションに分割します。すると、Solaris 管理コンソールの拡張ストレージツールを使って、EFI ラベル付きディスクを含むボリュームやディスクセットを管理できるようになります。
EFI 仕様では、スライスのオーバーラップは禁止されています。cxtydz でディスク全体を表現します。
EFI ディスクラベルは、ディスクやパーティションのサイズ情報を提供します。使用可能な単位はセクターまたはブロックです。シリンダおよびヘッドは使用できません。
次の format オプションは、EFI ラベル付きディスクではサポートされていないか、不適切です。
save オプション。EFI ラベル付きディスクは format.dat ファイルにエントリを必要としません。したがって、このオプションはサポートされません。
backup オプション。ディスクドライバは、一次ラベルを検出してディスクに書き込みます。したがって、このオプションは不適切です。
x86 システム上では、EFI ディスクラベルの Solaris サポートが利用可能です。x86 システムで EFI ラベルを追加するには、次のコマンドを使用します。
# format -e > [0] SMI Label > [1] EFI Label > Specify Label type[0]: 1 > WARNING: converting this device to EFI labels will erase all current > fdisk partition information. Continue? yes |
以前のラベル情報は EFI ディスクラベルに変換されません。
format コマンドを使ってラベルのパーティション情報を手動で作成し直す必要があります。EFI ラベル付きの 2T バイトのディスク上で fdisk コマンドを使用することはできません。2T バイトを超えるディスクで fdisk コマンドを実行して Solaris パーティションを作成する場合、Solaris パーティションは 2T バイトに制限されます。EFI ディスクラベルの詳細は、前の節を参照してください。
Solaris インストールユーティリティーは、EFI ラベル付きディスクを自動的に認識します。しかし、Solaris インストールプログラムでは、これらのディスクのパーティション分割をやり直すことはできません。インストール前またはインストール後に EFI ラベル付きディスクのパーティション分割をやり直す場合は、format ユーティリティーを使用してください。Solaris Upgrade ユーティリティーおよび Live Upgrade ユーティリティーも EFI ラベル付きディスクを認識します。ただし、EFI ラベル付きディスクからシステムをブートすることはできません。
EFI ラベル付きディスクを使用するシステム上に Solaris をインストールした場合、次のようなパーティションテーブル情報が得られます。
Current partition table (original): Total disk sectors available: 2576924638 + 16384 (reserved sectors) Part Tag Flag First Sector Size Last Sector 0 root wm 34 1.20TB 2576924636 1 unassigned wm 0 0 0 2 unassigned wm 0 0 0 3 unassigned wm 0 0 0 4 unassigned wm 0 0 0 5 unassigned wm 0 0 0 6 unassigned wm 0 0 0 8 reserved wm 2576924638 8.00MB 2576941021 |
EFI ラベル付きディスクの管理方法は、次の表で確認できます。
作業 |
参照先 |
---|---|
インストール済みのシステムにディスクを接続し、再構成 (ブート) を実行します。 |
「SPARC: システムディスクまたは二次ディスクの追加 (作業マップ)」または 「x86: システムディスクまたは二次ディスクの追加 (作業マップ)」 |
format ユーティリティーを使ってディスクのパーティション分割を行います (必要に応じて)。 |
「SPARC: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」または 「x86: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」 |
ディスクボリュームを作成します。その後、Solaris ボリュームマネージャーでソフトパーティションを作成します (必要に応じて)。または、ZFS ストレージプールを設定します。 |
『Solaris ボリュームマネージャの管理』の第 2 章「記憶装置管理の概念」または『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』の「ZFS ストレージプールを作成する」 |
newfs コマンドを使用して新しいディスク用の UFS ファイルシステムを作成します。 | |
または ZFS ファイルシステムを作成します。 | |
EFI ラベル付きディスクを複製します。 |
EFI ラベル付きディスクに関する問題のトラブルシューティングを行うときは、次のエラーメッセージと解決方法を使用してください。
Dec 3 09:26:48 holoship scsi: WARNING: /sbus@a,0/SUNW,socal@d,10000/ sf@1,0/ssd@w50020f23000002a4,0 (ssd1): Dec 3 09:26:48 holoship disk has 2576941056 blocks, which is too large for a 32-bit kernel |
32 ビットの SPARC または x86 カーネルを実行しているシステムを、サイズが 1T バイトを超えるディスクでブートしようとしました。
サイズが 1T バイト以上のディスクでは、64 ビットの SPARC または x86 カーネルを実行しているシステムをブートしてください。
Dec 3 09:12:17 holoship scsi: WARNING: /sbus@a,0/SUNW,socal@d,10000/ sf@1,0/ssd@w50020f23000002a4,0 (ssd1): Dec 3 09:12:17 holoship corrupt label - wrong magic number |
古い Solaris リリースで動作するシステムにディスクを追加しようとしました。
このディスクは、EFI ディスクラベルをサポートしている Solaris リリースで動作するシステムに追加してください。