Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

format ユーティリティー

手順や参照情報のセクションに進む前に、次の情報に目を通して format ユーティリティーの概要とその使用法を確認してください。

format ユーティリティーは、Solaris システム用にハードディスクドライブを用意するためのシステム管理ツールです。

次の表に、format ユーティリティーの機能とその利点を示します。

表 10–4 format ユーティリティーの機能と利点

機能 

利点 

システム内で接続されている全ディスクドライブを検索します 

次の状態を報告します  

  • ターゲットの位置

  • ディスクのジオメトリ

  • ディスクがフォーマット済みかどうか

  • ディスク上にマウントされているパーティションが存在するかどうか

ディスクラベルを検索します 

修復処理に使用します 

欠陥セクターを修復します 

回復可能なエラーが発生したディスクドライブを製造元に返送しなくても、熟練した管理者なら修復できます 

ディスクをフォーマットして、分析します 

ディスク上でセクターを作成し、検査します 

ディスクをパーティションに分割します 

個々のファイルシステムを別々のスライス上で作成できるようにディスクを分割します 

ディスクにラベルを付けます 

後から検索できるように (通常は修復用)、ディスクにディスク名と構成情報を書き込みます 

format ユーティリティーのオプションについては、第 15 章format ユーティリティー (参照情報)を参照してください。

format ユーティリティーを使用する場合

Solaris のインストール時に、Solaris インストールユーティリティーによってディスクドライブがパーティションに分割され、ラベルが付けられます。次のような場合に、format ユーティリティーを使用できます。

システム管理者が format ユーティリティーを使用するのは、主にディスクをパーティションに分割するためです。これらの手順については、第 12 章SPARC: ディスクの追加 (手順)第 13 章x86: ディスクの追加 (手順)を参照してください。

format ユーティリティーの使用上のガイドラインについては、次の節を参照してください。

format ユーティリティー使用上のガイドライン

表 10–5 format ユーティリティーのガイドライン

作業 

ガイドライン 

参照先 

ディスクをフォーマットします。 

  • ディスクをフォーマットし直すと、既存のデータが失われます。

  • ディスクドライブをフォーマットしてパーティションに分割した状態で出荷する製造元が増えているので、ディスクドライブをフォーマットする必要性は減少しています。既存のシステムにディスクドライブを追加する場合は、format ユーティリティーを使用しなくてもすむことがあります。

  • ディスクを配置し直して多数のディスクエラーが表示される場合は、フォーマットし直してみることをお勧めします。不良セクターが自動的にマッピングし直されます。

「ディスクをフォーマットする方法」

システムディスクを交換します。 

  • 損傷したシステムディスクのデータは、バックアップメディアから復元しなければなりません。復元しなければ、インストールユーティリティーを使用してシステムをもう一度インストールしなければなりません。

「SPARC: システムディスクを接続してブートする方法」「x86: システムディスクの接続方法」、また、システムをインストールし直さなければならない場合は『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』

ディスクをスライスに分割します。 

  • すでにスライスに分割されているディスクで、パーティションを再分割してラベルを付け直すと、既存のデータが失われます。

  • ディスクのパーティションを分割し直して復元する前に、既存のデータをバックアップメディアにコピーする必要があります。

「SPARC: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」または 「x86: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」

既存のシステムに二次ディスクを追加します。 

  • 二次ディスクをフォーマットし直すか、パーティションに分割し直す場合は、既存のデータをバックアップメディアから復元しなければなりません。

「SPARC: 二次ディスクを接続してブートする方法」または 「x86: 二次ディスクを接続してブートする方法」

ディスクドライブを修復します。 

  • 顧客のサイトによっては、欠陥ドライブの修復ではなくドライブ自体の交換を希望する場合があります。サイトがディスクドライブの製造元と保守契約を結んでいる場合は、format ユーティリティーを使用してディスクドライブを修復する必要はありません。

  • 通常、ディスクドライブの修復とは、不良セクターを欠陥リストに追加することを意味します。新しいコントローラは不良セクターをマップし直すので、システムを中断する必要はありません。

  • システムに旧型のコントローラがある場合や、失われたデータを復元する場合は、不良セクターをマップし直す必要があります。

「欠陥セクターの修復」

ディスクのフォーマット

ほとんどの場合、ディスクは製造元または再販業者によってフォーマットされています。このため、ドライブをインストールするときにフォーマットし直す必要はありません。ディスクがフォーマットされているかどうかを判別するには、format ユーティリティーを使用します。詳細は、「ディスクがフォーマット済みかを調べる方法」を参照してください。

ディスクがフォーマットされていない場合、format ユーティリティーを使用してフォーマットしてください。

ディスクのフォーマットでは、次の 2 つのステップが行われます。


注意 – 注意 –

フォーマットは、ディスク上のデータを上書きする、破壊的なプロセスです。このため、通常は製造元や再販業者のみがディスクをフォーマットします。ディスクに欠陥があるために問題が再発していると思われる場合は、format ユーティリティーを使用して表面解析を実行できますが、データを破壊しないコマンドだけを使用するように注意してください。詳細は、「ディスクをフォーマットする方法」を参照してください。


データに利用できる合計ディスク容量のうち、ごくわずかな容量が欠陥情報とフォーマット情報の格納に使用されます。この容量はディスクのジオメトリによって異なり、使用年数がたち欠陥箇所が多くなるにつれて、少なくなります。

ディスクの種類とサイズに応じて、フォーマットは数分から数時間かかります。