Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

ファイルシステムのマウントの概要

ファイルシステムを作成したら、そのファイルシステムをシステムで使用できるようにする必要があります。ファイルシステムを使用できるようにするには、マウントします。マウントしたファイルシステムは、システムのディレクトリツリー内の指定したマウントポイントに接続されます。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。

次の表に、ファイルシステムをその用途に応じてマウントするためのガイドラインを示します。

必要なマウントの種類 

推奨されるマウント方法 

ローカルまたはリモートのファイルシステムをときどきマウントする 

コマンド行から手動で mount コマンドを入力します。

ローカルの UFS ファイルシステムを頻繁にマウントする。ローカルの ZFS ファイルシステムは、SMF サービスにより自動的にマウントされます。 

/etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントします。

ホームディレクトリなどのリモートの UFS ファイルシステムを頻繁にマウントする 

  • /etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザーモードでブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントします。

  • autofs を使用して、ユーザーがアクセスするときに自動的にマウントします。その後、ファイルシステムから別のディレクトリに移動するときに自動的にマウント解除します。

ファイルシステムを含むリムーバブルメディアは、必要に応じてメディアをドライブに挿入し、volcheck コマンドを実行することによってマウントできます。リムーバブルメディアのマウント方法については、第 1 章リムーバブルメディアの管理 (概要)を参照してください。

UFS ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

次の表に、UFS ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用する /usr/sbin ディレクトリ内のコマンドを示します。

表 18–1 UFS ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

コマンド 

説明 

マニュアルページ 

mount

ファイルシステムとリモートリソースをマウントします。 

mount(1M)

mountall

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウントします。システムがマルチユーザーモードになるときに、mountall コマンドが自動的に実行されます。

mountall(1M)

umount

ファイルシステムとリモートリソースをマウント解除します。 

mount(1M)

umountall

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウント解除します。

mountall(1M)

ZFS ファイルシステムをマウントおよびマウント解除する方法の詳細は、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』を参照してください。

mount コマンドと mountall コマンドの使用時には、次の点に注意してください。

UFS の汎用マウントオプション

次の表に、mount -o オプションで指定できる汎用オプションを示します。複数のオプションを指定する場合は、コンマ (空白を入れない) で区切ります。たとえば、-o ro,nosuid のようになります。

各ファイルシステムタイプで指定可能なマウントオプションのリストについては、各マウントコマンドのマニュアルページ (mount_ufs(1M) など) を参照してください。ZFS ファイルシステムのマウントについては、zfs(1M) を参照してください。

表 18–2 -o で指定する汎用マウントオプション

mount オプション 

ファイルシステム 

説明 

bg | fg

NFS 

最初のマウントに失敗すると、バックグラウンド (bg) またはフォアグラウンド (fg) で再試行します。このオプションは重要でない vfstab エントリには安全です。デフォルトは fg です。

hard | soft

NFS 

サーバーが応答しない場合の手続きを指定します。soft オプションは、エラーが返されることを示します。hard オプションは、サーバーが応答するまで再試行要求が継続されることを示します。デフォルトは hard です。

intr | nointr

NFS 

ハードマウントされたファイルシステムに関する応答を待って実行を停止しているプロセスを、キーボード割り込みで強制終了できるかどうかを指定します。デフォルトは intr (割り込み可能) です。

largefiles | nolargefiles

UFS 

2G バイトを超えるファイルを作成できるようにします。largefiles オプションを使ってマウントされたファイルシステムには、2G バイトを超えるファイルを格納できます。nolargefiles オプションを指定した場合、UFS ファイルシステムは以前の Solaris バージョンが動作しているシステムにはマウントできません。デフォルトは largefiles です。

logging | nologging

UFS 

ファイルシステムのロギングを有効または無効にします。UFS ロギングとは、トランザクション (完全な UFS 処理を構成する変更) をログに保存してから、そのトランザクションを UFS ファイルシステムに適用するプロセスです。ロギングを使用すると、UFS ファイルシステムの整合性を保つことができます。つまり、fsck を省略できることを意味します。fsck を省略すると、システムがクラッシュしたとき、あるいはシステムをクリーンな状態でシャットダウンできなかったとき、システムをリブートする時間を省けます。

ログはファイルシステムの空きブロックから、1G バイトのファイルシステム領域ごとに約 1M バイトのサイズ (合計で 256M バイトまで) が割り当てられます。ファイルシステムに大量のシリンダグループが存在する場合、ログのサイズはこれより大きくなることがあります (最大で 512M バイトまで)。 

atime | noatime

UFS 

ファイルのアクセス時間更新を抑制します。ただし、最後にファイルの状態が変わった時間または最後にファイルが変更された時間に対する更新が同時に行われる場合を除きます。詳細は、stat(2) のマニュアルページを参照してください。このオプションによって、アクセス時間が重要でないファイルシステム (Usenet ニューススプールなど) でのディスクに対する動作が減ります。デフォルトでは、通常アクセス時間 (atime) が記録されます。

remount

すべて 

すでにマウントされているファイルシステムに関連付けられているマウントオプションを変更します。このオプションは、通常、ro 以外のオプションと併用できます。ただし、このオプションを使って変更できる内容は、ファイルシステムの種類によって異なります。

retry=n

NFS 

マウント処理に失敗した場合に再試行します。n は再試行回数です。

ro | rw

CacheFS、NFS、 PCFS、UFS、HSFS 

読み取り / 書き込み (rw) または読み取り専用 (ro) を指定します。このオプションを指定しない場合のデフォルトは rw です。HSFS のデフォルトのオプションは ro です。

suid | nosuid

CacheFS、HSFS、 NFS、UFS 

setuid 実行を許可または禁止します。デフォルトは、setuid 実行を許可します。

/etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

/etc/vfstab ファイル内のエントリには、次の表に示すように 7 つのフィールドがあります。

表 18–3 /etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

フィールド名 

説明 

device to mount

このフィールドは、次のいずれかを指定します。 

  • ローカル UFS ファイルシステム用のブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t0d0s0 など)。

  • リモートファイルシステム用のリソース名 (myserver:/export/home など)。NFS の詳細は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照してください。

  • スワップ空間用のスライスのブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t3d0s1 など)。

  • 仮想ファイルシステム用のディレクトリ。

device to fsck

device to mount」フィールドで指定した UFS ファイルシステムに対応する raw (キャラクタ型) デバイス名 (/dev/rdsk/c0t0d0s0 など)。このフィールドによって、fsck コマンドが使用する raw インタフェースが決まります。読み取り専用ファイルシステムやリモートファイルシステムなど、適用できるデバイスがない場合は、ダッシュ (-) を使用します。

マウントポイント

ファイルシステムのマウントポイントディレクトリ (/usr など) を指定します。

 

FS type

ファイルシステムのタイプを指定します。 

fsck pass

fsck コマンドが UFS ファイルシステムを検査するか決めるために使用するパス番号。このフィールドでダッシュ (-) を指定すると、ファイルシステムは検査されません。現在、/etc/vfstab ファイルの fsck pass 値はブートプロセスで無視されます。

このフィールドでゼロを指定すると、UFS ファイルシステムは検査されません。このフィールドに 0 より大きい値が指定されている場合、UFS ファイルシステムは常に検査されます。  

このフィールドに 1 が指定されている場合、すべての UFS ファイルシステムは vfstab ファイル内の順番どおりに 1 つずつ検査されます。このフィールドに 1 より大きな値が指定され、さらに preen (修復) オプション (-o p) が指定されている UFS ファイルシステムが複数ある場合、効率を最大限に高めるために、fsck コマンドは複数のディスク上のファイルシステムを自動的に並行して検査します。それ以外の場合、このフィールドの値は意味を持ちません。

mount at boot

システムのブート時にファイルシステムが mountall コマンドによって自動的にマウントされるかどうかを yes または no で設定します。このフィールドは autofs とは連動していません。ルート (/)、/usr/var のファイルシステムは最初は vfstab ファイルからマウントされません。これらのファイルシステムおよび /proc/dev/fd などのような仮想ファイルシステムの場合、このフィールドは常に no に設定するべきです。

mount options

ファイルシステムのマウントに使用されるオプションを (空白を入れずに) コンマで区切ったリスト。オプションなしを示すにはダッシュ (-) を使用します。よく使用されるマウントオプションの一覧については、表 18–2 を参照してください。


注 –

/etc/vfstab ファイル内の各フィールドには必ずエントリが必要です。フィールドに値を指定しない場合は、必ずダッシュ (-) を入力してください。ダッシュを入力しないと、システムが正常にブートしない可能性があります。同様に、フィールドの値に空白文字を使用しないでください。