この章では、Solaris OS でリムーバブルメディアを管理するための一般的なガイドラインについて説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
次の節では、Solaris リリースにおけるリムーバブルメディアの新機能について説明します。
Solaris の新機能の一覧および Solaris リリースについての説明は、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。
Solaris 10 1/06: ボリューム管理デーモンである vold は、サービス管理機能 (SMF) によって管理されるようになりました。つまり、該当する場合は、svcadm disable コマンドを使用して、次の新しい volfs サービスを無効にすることができます。
# svcadm disable volfs |
このコマンドを使用して、volfs サービスのステータスを識別できます。
$ svcs volfs STATE STIME FMRI online Sep_29 svc:/system/filesystem/volfs:default |
詳細は、smf(5)を参照してください。
svccfg コマンドを使用して、追加の vold プロパティーを表示して設定できます。たとえば、vold のロギングを一時的に有効にして、問題のトラブルシューティングに役立てることができます。次に例を示します。
# svccfg svc:> select system/filesystem/volfs svc:/system/filesystem/volfs> setprop vold/log_debuglevel=3 svc:/system/filesystem/volfs> exit # svcadm disable volfs # svcadm enable volfs |
svccfg コマンドを使用して、設定可能な vold プロパティーの一覧を表示することもできます。
# svccfg svc:> select volfs svc:/system/filesystem/volfs> listprop vold/* vold/config_file astring vold/log_debuglevel count 3 vold/log_file astring vold/log_nfs_trace boolean false vold/log_verbose boolean false vold/root_dir astring vold/never_writeback_label boolean false svc:/system/filesystem/volfs> exit |
これらのプロパティーの詳細は、vold(1M) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 10 1/06: リムーバブルメディアの管理が改善されました。以前は、vold は、メディアを含んでいないリムーバブルデバイスのデバイスリンクを作成しませんでした。現在は、メディアを含んでいないデバイスのリンクが次のように適切に作成されます。
lrwxrwxrwx 1 root root 28 Jun 13 13:09 /vol/dev/aliases/cdrom0 -> /vol/dev/rdsk/c2t2d0/nomedia |
現在は、cdrw コマンドおよび rmformat コマンドを使用して、vold の実行時にメディアを含んでいないデバイスを一覧表示できます。
次のように /etc/vold.conf ファイル内の support nomedia エントリを変更することによって、以前の vold の動作に戻すことができます。
support media |
次に、vold を再起動します。詳細は、vold.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
さらに、vold はホットプラグ対応になりました。この結果、リムーバブルメディアを挿入しただけで、vold によってメディアが自動的に検出およびマウントされるようになりました。vold を手動で再起動しなくても、すべてのリムーバブルメディアデバイスのファイルシステムが認識されてデバイスからマウントされます。
USB ではない古いフロッピーディスクデバイスを使用している場合は、volcheck コマンドを実行しないと vold がメディアを認識しないことがあります。
メディアが検出されてもなんらかの理由でマウント解除された場合は、次のコマンドを実行する必要があります。
# volrmmount -i rmdisk0 |
リムーバブルメディアデバイスをホットリムーブする場合は、その前にメディアを取り出してください。次に例を示します。
# eject rmdisk0 |
リムーバブルメディアを管理する手順については、次を参照してください。
リムーバブルメディアの管理作業 |
参照先 |
---|---|
リムーバブルメディアへのアクセス | |
リムーバブルメディアのフォーマット | |
データ CD、データ DVD、および音楽 CD の書き込み |
Solaris リリースには、ユーザーとソフトウェア開発者用に、リムーバブルメディアを扱うための標準インタフェースが用意されています。リムーバブルメディアサービスには、次の利点があります。
リムーバブルメディアを自動的にマウントします。手動によるマウントと自動マウントの比較については、次の節を参照してください。
スーパーユーザーでなくても、リムーバブルメディアにアクセスできるようになります。
ネットワーク上のほかのシステムがローカルシステム上のリムーバブルメディアに自動的にアクセスできるようになります。詳細は、第 3 章リムーバブルメディアへのアクセス (手順)を参照してください。
次の表は、リムーバブルメディアの手動によるマウント (リムーバブルメディアサービスを使用しない場合) と自動マウント (リムーバブルメディア管理を使用する場合) に関する手順を比較したものです。
表 1–1 リムーバブルメディアの手動によるマウントと自動マウントの比較
手順 |
手動によるマウント |
自動マウント |
---|---|---|
1 |
メディアを挿入します。 |
メディアを挿入します。 |
2 |
スーパーユーザーになります。 |
フロッピーディスクの場合は、volcheck コマンドを使用します。 |
3 |
メディアデバイスの位置を確認します。 |
リムーバブルメディアサービスは、リムーバブルメディアを手動でマウントして使用するのに必要な多くの作業を自動的に実行します。 |
4 |
マウントポイントを作成します。 |
|
5 |
マウントポイントが現在のディレクトリではないことを確認します。 |
|
6 |
mount に適切なオプションを付けて、デバイスをマウントします。 |
|
7 |
スーパーユーザーを終了します。 |
|
8 |
メディア上のファイルを操作します。 |
メディア上のファイルを操作します。 |
9 |
スーパーユーザーになります。 |
|
10 |
メディアデバイスのマウントを解除します。 |
|
11 |
メディアを取り出します。 |
メディアを取り出します。 |
12 |
スーパーユーザーを終了します。 |
リムーバブルメディアサービスを使用すると、手動によるマウントの場合と同様にリムーバブルメディアにアクセスできますが、その操作ははるかに容易になり、スーパーユーザーになる必要もありません。
システムに複数の種類のリムーバブルメディアデバイスがある場合は、そのアクセスポイントについて、次の表を参照してください。
表 1–2 リムーバブルメディア上のデータにアクセスする方法
アクセス |
操作 |
ファイルを検索する場所 |
---|---|---|
最初のフロッピーディスク上のファイル |
フロッピーディスクを挿入して、コマンド行で volcheck と入力します |
/floppy |
リムーバブルハードディスク上のファイル |
リムーバブルハードディスクを挿入して、コマンド行で volcheck と入力します |
/rmdisk/rmdisk0 または /rmdisk/rmdisk1 |
最初の CD 上のファイル |
CD を挿入して、数秒間待ちます |
/cdrom/volume-name |
最初の DVD 上のファイル |
DVD を挿入して、数秒間待ちます |
/cdrom/volume-name |
表 1–3 リムーバブルメディアにアクセスする場所
ファイルシステムにアクセスするためのパス |
raw データにアクセスするための場所 |
---|---|
/floppy/floppy0 |
/vol/dev/aliases/floppy0 |
/floppy/floppy1 |
/vol/dev/aliases/floppy1 |
/cdrom/cdrom0 |
/vol/dev/aliases/cdrom0 |
/cdrom/cdrom1 |
/vol/dev/aliases/cdrom1 |
/rmdisk/rmdisk0 または /rmdisk/rmdisk1 |
/vol/dev/aliases/rmdisk0 または /vol/dev/aliases/rmdisk1 |
/pcmem/pcmem0 |
/vol/dev/aliases/pcmem0 |