Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

第 23 章 UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)

この章では、ufsdump コマンドと ufsrestore コマンドを使用して、UFS ファイルシステムのバックアップおよび復元を実行する際のガイドラインと計画の作成について説明します。

この章の内容は以下のとおりです。

UFS バックアップと復元についての参照先

バックアップまたは復元処理 

参照先 

ufsdump コマンドを使用してファイルシステムのバックアップを行います。

第 24 章UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)

fssnap コマンドを使用して UFS スナップショットを作成します。

第 25 章UFS スナップショットの使用 (手順)

ufsrestore コマンドを使用してファイルシステムを復元します。

第 26 章UFS ファイルとファイルシステムの復元 (手順)

cpioddpax、および cpio コマンドを使用してファイルおよびディレクトリをコピーします。

第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

UFS ファイルシステムのバックアップと復元の概要

ファイルシステムの「バックアップ」とは、消失、損傷、または破損に備えて、ファイルシステムをリムーバブルメディア (テープなど) にコピーすることを意味します。ファイルシステムの「復元」とは、現在のバックアップファイルをリムーバブルメディアから作業ディレクトリに適宜コピーすることを意味します。

この章では、UFS ファイルシステムのバックアップおよび復元に使用する ufsdump および ufsrestore コマンドについて説明します。ほかのコマンドを使用してファイルやファイルシステムをコピーし、ファイルの共有や移動を行うこともできます。次の表に、個々のファイルやファイルシステムをほかのメディアにコピーするためのすべてのコマンドの参照先を示します。

表 23–1 ファイルとファイルシステムのバックアップおよび復元用コマンド

作業 

コマンド 

参照先 

1 つまたは複数のファイルシステムをローカルまたはリモートのテープデバイスにバックアップします。 

ufsdump

第 24 章UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)または第 27 章UFS バックアップおよび復元コマンド (参照情報)

ファイルシステムの読み取り専用コピーを作成します。 

fssnap

第 25 章UFS スナップショットの使用 (手順)

ネットワーク上のシステムのファイルシステム全体をバックアップサーバーからバックアップします。 

Solstice Backup ソフトウェア 

Solstice Backup 6.1 Administration Guide

NIS+ マスターサーバーをバックアップ、復元します。 

nisbackup および nisrestore コマンド

『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)』

テープまたはフロッピーディスク上でファイルをコピー、表示、検索します。 

tarcpio、または pax コマンド

第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

マスターディスクをクローンディスクにコピーします。 

dd

第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

ファイルシステム全体または個々のファイルを、リムーバブルメディアから作業ディレクトリに復元します。 

ufsrestore コマンド

第 26 章UFS ファイルとファイルシステムの復元 (手順)

ファイルシステムをバックアップする理由

ファイルのバックアップは、もっとも重要なシステム管理作業の 1 つです。次のような問題によるデータの消失に備えて、定期的にバックアップを実行することをお勧めします。

どの UFS ファイルシステムをバックアップするかの計画

頻繁に更新されるファイルシステムなど、ユーザーにとって重要なファイルシステムはバックアップしておく必要があります。次の表に、スタンドアロンシステムおよびサーバーについてバックアップすべきファイルシステムに関する一般的なガイドラインを示します。

表 23–2 スタンドアロンシステムにおけるバックアップ対象のファイルシステム

バックアップするファイルシステム 

説明 

バックアップ間隔 

ルート (/) – スライス 0

このファイルシステムにはカーネルが格納されていますが、/var ディレクトリが格納されていることもあります。/var ディレクトリには、一時ファイル、ロギングファイル、または状態ファイルのほか、頻繁に更新されるシステムアカウンティングファイルやメールファイルが含まれる場合もあります。

定期的 (毎週、毎日など) 

/usr – スライス 6、/opt

/usr および /opt ファイルシステムには、ソフトウェアと実行可能ファイルが含まれます。/opt ディレクトリは、ルート (/) の一部であるか、独自のファイルシステムです。

随時 

/export/home – スライス 7

このファイルシステムには、スタンドアロンシステム上のすべてのユーザーのディレクトリおよびサブディレクトリを格納できます。 

ルート (/) や /usr よりも頻繁に、サイトのニーズによっては毎日

/export/var、またはその他のファイルシステム

/export ファイルシステムには、ディスクレスクライアント用のカーネルおよび実行可能プログラムが含まれます。/var ディレクトリには、一時ファイル、ロギングファイル、または状態ファイルが含まれます。

サイトの必要に応じて 

表 23–3 UFS ファイルシステムをサーバー用にバックアップする

バックアップするファイルシステム 

説明 

バックアップ間隔 

ルート (/) – スライス 0

このファイルシステムには、カーネルおよび実行可能プログラムが含まれます。 

サイトの必要に応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。  

ネットワーク上でユーザーとシステムの追加および削除を頻繁に実行する場合、このファイルシステム内の構成ファイルを変更する必要があります。この場合、週に 1 度から月に 1 度の間隔で、ルート (/) ファイルシステムの完全バックアップを実行する必要があります。

サイトでユーザーのメールをメールサーバー上の /var/mail ディレクトリに保管しておき、後でクライアントシステムがマウントする場合は、ルート (/) ディレクトリを毎日バックアップすることをお勧めします。別のファイルシステムの場合は、/var を毎日バックアップすることをお勧めします。

/export – スライス 3

このファイルシステムには、ディスクレスクライアント用のカーネルおよび実行可能プログラムが含まれます。 

サイトの必要に応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。  

このファイルシステム内の情報はスライス 0 にあるサーバーのルートディレクトリと同様なので、ファイルシステムは頻繁に変化することはありません。サイトからメールをクライアントシステムに送信していない場合、このファイルシステムのバックアップは随時に実行するだけでかまいません。送信している場合は、/export のバックアップをさらに頻繁に実行する必要があります。

/usr – スライス 6、/opt

/usr および /opt ファイルシステムには、ソフトウェアと実行可能ファイルが含まれます。/opt ディレクトリは、ルート (/) の一部であるか、独自のファイルシステムです。

サイトの必要に応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。 

ソフトウェアの追加や削除が頻繁に行われなければ、これらのファイルシステムは比較的静的です。 

/export/home – スライス 7

このファイルシステムには、システムの全ユーザーのホームディレクトリを格納できます。このファイルシステム内のファイルは、頻繁に変更されます。 

毎日または毎週。 

バックアップタイプの選択

ufsdump コマンドを使用すると、完全バックアップまたは増分バックアップを実行できます。fssnap コマンドを使用すると、ファイルシステムの一時イメージを作成できます。次の表に、各バックアップタイプの手順の違いを示します。

表 23–4 バックアップタイプの相違点

バックアップのタイプ 

結果 

長所 

短所 

完全 (フル) 

ファイルシステムやディレクトリ全体をコピーします

すべてのデータが 1 カ所に格納されます 

大量のバックアップテープが必要であり、書き込みに時間がかかります。ドライブはテープ上でファイルが入っている位置に順番に移動しなければならないので、個々のファイルの検索時間が長くなります。複数のテープを検索しなければならない場合もあります。 

スナップショット 

ファイルシステムの一時イメージを作成します 

システムはマルチユーザモードで動作可能です 

スナップショットの作成中は、システムのパフォーマンスが低下する可能性があります。 

増分 

指定されたファイルシステム内で、前回のバックアップ以降に変更されたファイルのみをコピーします

ファイルシステム内の小さな変化を簡単に検索できます 

どの増分テープにファイルが入っているかを探すのに時間がかかることがあります。最後の完全バックアップに戻らなければならない場合もあります。 

テープデバイスの選択

次の表に、バックアップ処理中にファイルシステムを格納するための典型的なテープデバイスを示します。記憶容量は、ドライブのタイプとテープに書き込むデータのタイプによって異なります。テープデバイスの詳細は、第 29 章テープドライブの管理 (手順)を参照してください。

表 23–5 ファイルシステムのバックアップに使用する一般的なメディア

バックアップメディア 

記憶容量  

1/2 インチのリールテープ 

140M バイト (6250 bpi) 

2.5G バイト、1/4 インチのカートリッジ (QIC) テープ 

2.5G バイト 

DDS3 4mm カートリッジテープ (DAT) 

12 - 24G バイト 

14G バイト、8mm カートリッジテープ 

14G バイト 

DLT 7000 1/2 インチ カートリッジテープ 

35 - 70G バイト 

UFS ファイルシステムのバックアップおよび復元の概要 (作業マップ)

この作業マップを使用して、ファイルシステムのバックアップおよび復元作業をすべて確認できます。各作業は、実行するバックアップタイプの判別などの一連の追加作業を指し示します。

作業 

説明 

参照先 

1. バックアップするファイルシステムを識別します。 

毎日、毎週、または毎月、バックアップの必要なファイルシステムを識別します。 

「どの UFS ファイルシステムをバックアップするかの計画」

2. バックアップタイプを決定します。 

サイトに適したファイルシステムのバックアップタイプを決定します。 

「バックアップタイプの選択」

3. バックアップを作成します。 

次のいずれかの方法を使用します。 

 

 

ファイルシステムの完全バックアップおよび増分バックアップを実行する場合は、ufsdump コマンドを使用します。

第 24 章UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)

 

アクティブかつマウント中のファイルシステムのスナップショットを作成する場合は、fssnap コマンドの使用を考慮します。

第 25 章UFS スナップショットの使用 (手順)

 

個人のホームディレクトリや、小規模で重要度の低いファイルシステムの完全バックアップを作成する場合は、tarcpio、または pax コマンドを使用します。

第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

4. (省略可能) ファイルシステムを復元します。 

ファイルまたはファイルシステムのバックアップに使用するコマンドに基づいて、復元方法を選択します。 

 

 

ufsdump コマンドを使用して作成したファイルシステムのバックアップを復元します。

第 26 章UFS ファイルとファイルシステムの復元 (手順)

 

tarcpio、または pax コマンドを使用して作成したファイルシステムを復元します。

第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

5. (省略可能) ルート (/) または /usr ファイルシステムを復元します。

ルート (/) または /usr ファイルシステムの復元は、それほど重要でないファイルシステムの復元よりも複雑です。これらのファイルシステムの復元中に、ローカルの Solaris DVD またはネットワークから起動する必要があります。

「UFS ルート (/) および /usr ファイルシステムを復元する方法」

バックアップスケジュールに関するその他の注意事項

「バックアップスケジュール」とは、ufsdump コマンドを実行するように設定するスケジュールです。この節では、バックアップスケジュールの作成時に考慮するべき点について説明します。また、バックアップスケジュールの例もいくつか紹介します。

バックアップスケジュールは、次の点を考慮に入れて作成します。

バックアップ頻度

バックアップに費やす時間とメディアの数を最小限度に抑える必要がない場合は、完全バックアップを毎日実行してもかまいません。しかし、多くのサイトの場合、このようなバックアップ方法は現実的ではないので、ほとんどの場合は増分バックアップが使用されます。その場合は、サイトが過去 4 週間分のバックアップからファイルを十分復元できるようにしてください。そのためには、少なくとも 1 週分ごとに 1 組ずつ、合計 4 組のテープが必要です。各組のテープを毎月使い回すことになります。また、少なくとも 1 年分の月別のバックアップを保存する必要があります。そして、数年分の年度別バックアップを保管しておく必要があります。

バックアップ間隔の用語と定義

次の表に、バックアップ間隔の用語および定義を示します。

用語 

定義 

スナップショット 

ファイルシステムの一時イメージを作成します。 

完全バックアップ 

ファイルシステムまたはディレクトリの完全なコピーを作成します。  

増分バックアップ 

指定したファイルシステムのファイルのうち、前回のバックアップ以降に変更されたファイルだけをコピーします。増分バックアップには、次の種類があります。 

  • 日単位累積 – 月曜日に 1 日分のファイル変更をコピーします。次に、月曜日のバックアップを火曜日、水曜日のように、各曜日のファイル変更で上書きしていきます。

  • 日単位増分 – 1 日分のファイル変更をコピーします。つまり、月曜日、火曜日のように、各曜日の変更の差分テープを記録していきます。

  • 週単位累積 – その週に変更されたファイルをコピーします。前の週のファイル変更も残しておきます。

  • 週単位増分 – 前の週のバックアップ以降に変更されたファイルをコピーします。

バックアップスケジュールを設定する際のガイドライン

次の表に、バックアップスケジュールのガイドラインを示します。バックアップスケジュールに関するその他の注意事項については、「バックアップスケジュールに関するその他の注意事項」を参照してください。

表 23–6 バックアップスケジュールのガイドライン

必要なファイル復元操作 

バックアップ間隔 

Comments 

各ファイルの別バージョン (ワード処理に使用するファイルシステムなど) を復元する必要があります 

作業日ごとに日単位増分バックアップを実行します。 

日単位増分バックアップには同じテープを再利用しません。

このスケジュールでは、その日に変更があったすべてのファイルが保存されるだけでなく、下のレベルの最後のバックアップ以降に変更があったファイルがディスク上に残ります。ただし、このスケジュールの場合は、毎日異なるテープを使用する必要があります。このように運用しないと、必要なバージョンのファイルを復元できなくなることがあるためです。  

たとえば、火曜日に変更があったファイルが木曜日にも変更されると、金曜 日の下のレベルのバックアップでは、火曜日の夜ではなく木曜日の夜に変更されたように見えます。ユーザーが火曜日のバージョンを必要とする場合には、火曜日 (または水曜日) のバックアップテープを保存しておかなければ、それを復元できません。また、火曜日と水曜日には存在したファイルが木曜日に削除されても、金曜日の下のレベルのバックアップには表示されません。 

ファイルシステム全体を短時間で復元する必要があります 

下位のレベルのバックアップを頻繁に実行します。 

— 

同じサーバー上で多数のファイルシステムのバックアップを作成します 

ファイルシステムごとにスケジュールをずらすことを検討します。 

この方法では、すべてのレベル 0 のバックアップを同じ日に実行しないことになります。 

使用するテープ数を最小限に抑えます 

1 週間に実行する増分バックアップのレベルを上げます。  

毎日の変更のみが各日単位テープに保存されます。 

 

週末に実行するバックアップのレベルを上げます。日単位と週単位の増分バックアップを同じテープに入れます。 

変更は (月単位ではなく) 週単位でしか週単位テープに保存されません。 

 

日単位と週単位の増分バックアップを同じテープに入れます。 

この操作には、ufsdump の 'no rewind' オプションを使用します。たとえば、/dev/rmt/0n のように指定します。

ダンプレベルを使用して増分バックアップを作成する

ufsdump コマンドで指定するダンプレベル (0 - 9) により、バックアップするファイルを決定できます。ダンプレベル 0 を指定すると、完全バックアップが作成されます。増分バックアップのスケジュール設定にレベル 1 から 9 までの番号が使用されますが、特に意味が定義されているわけではありません。レベル 1 から 9 は、累積バックアップまたは個別バックアップのスケジュール設定に使用する番号の範囲にすぎません。レベル 1 から 9 までが意味するのは、大小による相互関係だけです。下位ダンプレベル番号を使用した場合は、常に完全バックアップまたは累積バックアップが再開されます。次の例で、1 から 9 までのレベルを使用する増分ダンプの手順を示します。

例—日単位累積バックアップのダンプレベル

日単位の累積増分バックアップを実行するのが、もっとも一般に使用されるバックアップスケジュールで、ほとんどの場合に推奨できます。次の例で、月曜日から木曜日までレベル 9 のダンプを使用し、金曜日にはレベル 5 のダンプを使用してプロセスを再開するスケジュールを示します。

図 23–1 増分バックアップ: 日単位累積

この図は、月曜日から金曜日までの日単位累積バックアップで、必要なテープの量が増加していくことを示す

前の例では、1 から 9 までの範囲内で他の番号を使用しても同じ結果が得られます。ポイントは、月曜日から木曜日まで同じ番号を使用し、金曜日にはそれより「小さい」番号を使用することです。たとえば、レベル 4、4、4、4、2 や 7、7、7、7、5 を指定してもかまいません。

例—日単位増分バックアップのダンプレベル

次の例で、1 日分の作業内容のみを別々のテープ上で保存するスケジュールを示します。このようなバックアップは、日単位増分バックアップと呼ばれます。この場合、月曜日から木曜日までは連続するダンプレベル番号(3、4、5、6) を使用し、金曜日にはそれより小さい番号(2) を使用します。金曜日はレベル番号が小さいので、プロセスが再開されます。

図 23–2 増分バックアップ: 日単位増分

この図は、月曜日から金曜日までの日単位個別バックアップで、必要なテープ量はほぼ均一であることを示す

前の例では、連番 6、7、8、9 の次に 2 を使用したり、5、6、7、8 の次に 3 を使用したりすることもできます。番号自体は特定の意味を持たないことに注意してください。この例が示しているように、連続した番号を並べることによって、それらの番号に意味が生まれます。

バックアップスケジュールの例

バックアップスケジュールの例をいくつか紹介します。どのスケジュールも、完全バックアップ (ダンプレベル 0) から始めることと、-u オプションを使用して /etc/dumpdates ファイルに各バックアップを記録することを前提としています。

例 — 日単位累積、週単位累積バックアップスケジュール

表 23–7 に、よく使用される増分バックアップスケジュールを示します。これは、ほとんどの場合に推奨できるスケジュールです。このスケジュールで実行される処理は次のとおりです。

表 23–7 日単位累積/週単位累積バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週 

 

第 2 週 

 

第 3 週 

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位累積、週単位累積スケジュールを使用して、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–8 日単位累積、週単位累積スケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

a b c 

a b c d 

a b c d e 

a b c d e f 

第 2 週  

g h 

g h i 

g h i j 

a b c d e f g h i j k 

日単位累積、週単位累積スケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例 — 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュール

次の表に、各曜日のテープに月曜日 (第 1 週の場合は初期レベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルが累積されるスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、その週に変更されたすべてのファイルが入ります。

表 23–9 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週 

 

第 2 週 

 

9  

第 3 週 

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–10 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

a b c 

a b c d 

a b c d e 

a b c d e f 

第 2 週  

g h 

g h i 

g h i j 

g h i j k 

日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例 — 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュール

次の表に、各曜日のテープには前日以降に変更があったファイルのみが入るスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、月初めの初期レベル 0 バックアップ以降に変更されたすべてのファイルが入ります。

表 23–11 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週  

 

第 2 週  

 

第 3 週  

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位増分、週単位累積スケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–12 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

c d 

e f g 

hi 

a b c d e f g h i 

第 2 週 

 

j k l 

n o 

p q 

a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 

日単位増分、週単位累積スケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、少なくとも 9 本のテープが必要になります。これは日単位テープを毎週再利用することが前提となっていますが、これはお勧めできません。週単位テープを 1 カ月保存する場合は、21 本のテープが必要になります。可能であれば、こちらの方法をお勧めします。 内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ 4 本または 16 本です。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

次の表に、ユーザーがプログラム開発や文書作成のようなファイル集約型の作業を実行する小型ネットワーク上の、使用頻度の高いファイルサーバーのバックアップ方針の例を示します。この例は、バックアップ期間が日曜日に始まり、1 週 7 日間を 4 週間行うものと想定しています。

表 23–13 例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

ディレクトリ 

日付 

ダンプレベル 

テープ名 

ルート (/)

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 1 日曜日 

n 本のテープ

 

第 1 月曜日 

 

第 1 火曜日 

 

第 1 水曜日 

 

第 1 木曜日 

 

第 1 金曜日 

 

第 1 土曜日 

ルート (/)

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 2 日曜日 

n 本のテープ

 

第 2 月曜日 

G  

 

第 2 火曜日 

H  

 

第 2 水曜日 

I  

 

第 2 木曜日 

J  

 

第 2 金曜日 

 

第 2 土曜日 

L  

ルート (/)

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 3 日曜日 

n 本のテープ

 

第 3 月曜日 

 

第 3 火曜日 

N  

 

第 3 水曜日 

O  

 

第 3 木曜日 

 

第 3 金曜日 

 

第 3 土曜日 

ルート (/)

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 4 日曜日 

n 本のテープ

 

第 4 月曜日 

 

第 4 火曜日 

 

第 4 水曜日 

 

第 4 木曜日 

 

第 4 金曜日 

 

第 4 土曜日 

このスケジュールでは、4n 本のテープ (ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの 4 回の完全バックアップに必要な本数) を使用します。また、/export/home ファイルシステムの増分バックアップ用に 24 本のテープを使用します。このスケジュールは、増分バックアップごとに 1 本ずつテープを使用し、それを 1 カ月は保存することを前提としています。

このスケジュールの機能を、次に示します。

  1. 日曜日ごとに、ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの完全バックアップ (レベル 0) を実行します。レベル 0 のテープを少なくとも 3 カ月は保存します。

  2. 月の第 1 月曜日に、テープ A を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。この場合、直前の下位レベルのバックアップは、日曜日に実行したレベル 0 のバックアップになります。

  3. 月の第 1 火曜日に、テープ B を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。この場合も、ufsdump コマンドは、直前の下のレベルのバックアップ (日曜日のレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  4. 月の第 1 水曜日に、テープ C を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、日曜日以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  5. 木曜日と金曜日には、テープ D と E を使用して、/export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、最後の下位レベルのバックアップ (水曜日のレベル 5 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  6. 月の第 1 土曜日に、テープ F を使用して /export/home のレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ (この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。テープを再利用する場合は、テープ A から F までを次の 4 週間の第 1 月曜日までは保存しておきます。

  7. 次の 3 週間は、テープ G から L までと、日曜日のレベル 0 のバックアップ用に 4n 本のテープを使用して、手順 1 から 6 までを繰り返します。

  8. 4 週ごとに、レベル 0 のバックアップ用に新しいテープ 1 組と、増分バックアップ用のテープ A から X までを再利用して、手順 1 から 7 までを繰り返します。レベル 0 のテープは、3 カ月後に再利用できるようになります。

    このスケジュールでは、各ファイルを 1 カ月間で段階別に保存できます。多数のテープが必要ですが、テープのライブラリを確実に用意できます。テープの本数を減らすには、テープ A から F までを毎週再利用します。