Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

バックアップスケジュールの例

バックアップスケジュールの例をいくつか紹介します。どのスケジュールも、完全バックアップ (ダンプレベル 0) から始めることと、-u オプションを使用して /etc/dumpdates ファイルに各バックアップを記録することを前提としています。

例 — 日単位累積、週単位累積バックアップスケジュール

表 23–7 に、よく使用される増分バックアップスケジュールを示します。これは、ほとんどの場合に推奨できるスケジュールです。このスケジュールで実行される処理は次のとおりです。

表 23–7 日単位累積/週単位累積バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週 

 

第 2 週 

 

第 3 週 

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位累積、週単位累積スケジュールを使用して、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–8 日単位累積、週単位累積スケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

a b c 

a b c d 

a b c d e 

a b c d e f 

第 2 週  

g h 

g h i 

g h i j 

a b c d e f g h i j k 

日単位累積、週単位累積スケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例 — 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュール

次の表に、各曜日のテープに月曜日 (第 1 週の場合は初期レベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルが累積されるスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、その週に変更されたすべてのファイルが入ります。

表 23–9 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週 

 

第 2 週 

 

9  

第 3 週 

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–10 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

a b c 

a b c d 

a b c d e 

a b c d e f 

第 2 週  

g h 

g h i 

g h i j 

g h i j k 

日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例 — 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュール

次の表に、各曜日のテープには前日以降に変更があったファイルのみが入るスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、月初めの初期レベル 0 バックアップ以降に変更されたすべてのファイルが入ります。

表 23–11 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュール
 

開始日 

月 

火 

水 

木 

金 

月の 1 日目 

 

 

 

 

 

第 1 週  

 

第 2 週  

 

第 3 週  

 

第 4 週 

 

次の表に、日単位増分、週単位累積スケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。

表 23–12 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュールのテープの内容
 

月 

火 

水 

木 

金 

第 1 週  

a b 

c d 

e f g 

hi 

a b c d e f g h i 

第 2 週 

 

j k l 

n o 

p q 

a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 

日単位増分、週単位累積スケジュールのテープ要件

このスケジュールでは、少なくとも 9 本のテープが必要になります。これは日単位テープを毎週再利用することが前提となっていますが、これはお勧めできません。週単位テープを 1 カ月保存する場合は、21 本のテープが必要になります。可能であれば、こちらの方法をお勧めします。 内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ 4 本または 16 本です。

ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。

例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

次の表に、ユーザーがプログラム開発や文書作成のようなファイル集約型の作業を実行する小型ネットワーク上の、使用頻度の高いファイルサーバーのバックアップ方針の例を示します。この例は、バックアップ期間が日曜日に始まり、1 週 7 日間を 4 週間行うものと想定しています。

表 23–13 例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

ディレクトリ 

日付 

ダンプレベル 

テープ名 

ルート (/)

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 1 日曜日 

n 本のテープ

 

第 1 月曜日 

 

第 1 火曜日 

 

第 1 水曜日 

 

第 1 木曜日 

 

第 1 金曜日 

 

第 1 土曜日 

ルート (/)

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 2 日曜日 

n 本のテープ

 

第 2 月曜日 

G  

 

第 2 火曜日 

H  

 

第 2 水曜日 

I  

 

第 2 木曜日 

J  

 

第 2 金曜日 

 

第 2 土曜日 

L  

ルート (/)

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 3 日曜日 

n 本のテープ

 

第 3 月曜日 

 

第 3 火曜日 

N  

 

第 3 水曜日 

O  

 

第 3 木曜日 

 

第 3 金曜日 

 

第 3 土曜日 

ルート (/)

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 4 日曜日 

n 本のテープ

 

第 4 月曜日 

 

第 4 火曜日 

 

第 4 水曜日 

 

第 4 木曜日 

 

第 4 金曜日 

 

第 4 土曜日 

このスケジュールでは、4n 本のテープ (ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの 4 回の完全バックアップに必要な本数) を使用します。また、/export/home ファイルシステムの増分バックアップ用に 24 本のテープを使用します。このスケジュールは、増分バックアップごとに 1 本ずつテープを使用し、それを 1 カ月は保存することを前提としています。

このスケジュールの機能を、次に示します。

  1. 日曜日ごとに、ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの完全バックアップ (レベル 0) を実行します。レベル 0 のテープを少なくとも 3 カ月は保存します。

  2. 月の第 1 月曜日に、テープ A を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。この場合、直前の下位レベルのバックアップは、日曜日に実行したレベル 0 のバックアップになります。

  3. 月の第 1 火曜日に、テープ B を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。この場合も、ufsdump コマンドは、直前の下のレベルのバックアップ (日曜日のレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  4. 月の第 1 水曜日に、テープ C を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、日曜日以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  5. 木曜日と金曜日には、テープ D と E を使用して、/export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、最後の下位レベルのバックアップ (水曜日のレベル 5 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  6. 月の第 1 土曜日に、テープ F を使用して /export/home のレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ (この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。テープを再利用する場合は、テープ A から F までを次の 4 週間の第 1 月曜日までは保存しておきます。

  7. 次の 3 週間は、テープ G から L までと、日曜日のレベル 0 のバックアップ用に 4n 本のテープを使用して、手順 1 から 6 までを繰り返します。

  8. 4 週ごとに、レベル 0 のバックアップ用に新しいテープ 1 組と、増分バックアップ用のテープ A から X までを再利用して、手順 1 から 7 までを繰り返します。レベル 0 のテープは、3 カ月後に再利用できるようになります。

    このスケジュールでは、各ファイルを 1 カ月間で段階別に保存できます。多数のテープが必要ですが、テープのライブラリを確実に用意できます。テープの本数を減らすには、テープ A から F までを毎週再利用します。