Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

次の表に、ユーザーがプログラム開発や文書作成のようなファイル集約型の作業を実行する小型ネットワーク上の、使用頻度の高いファイルサーバーのバックアップ方針の例を示します。この例は、バックアップ期間が日曜日に始まり、1 週 7 日間を 4 週間行うものと想定しています。

表 23–13 例—サーバーの月単位バックアップスケジュール

ディレクトリ 

日付 

ダンプレベル 

テープ名 

ルート (/)

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 1 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 1 日曜日 

n 本のテープ

 

第 1 月曜日 

 

第 1 火曜日 

 

第 1 水曜日 

 

第 1 木曜日 

 

第 1 金曜日 

 

第 1 土曜日 

ルート (/)

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 2 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 2 日曜日 

n 本のテープ

 

第 2 月曜日 

G  

 

第 2 火曜日 

H  

 

第 2 水曜日 

I  

 

第 2 木曜日 

J  

 

第 2 金曜日 

 

第 2 土曜日 

L  

ルート (/)

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 3 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 3 日曜日 

n 本のテープ

 

第 3 月曜日 

 

第 3 火曜日 

N  

 

第 3 水曜日 

O  

 

第 3 木曜日 

 

第 3 金曜日 

 

第 3 土曜日 

ルート (/)

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/usr

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export

第 4 日曜日 

n 本のテープ

/export/home

第 4 日曜日 

n 本のテープ

 

第 4 月曜日 

 

第 4 火曜日 

 

第 4 水曜日 

 

第 4 木曜日 

 

第 4 金曜日 

 

第 4 土曜日 

このスケジュールでは、4n 本のテープ (ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの 4 回の完全バックアップに必要な本数) を使用します。また、/export/home ファイルシステムの増分バックアップ用に 24 本のテープを使用します。このスケジュールは、増分バックアップごとに 1 本ずつテープを使用し、それを 1 カ月は保存することを前提としています。

このスケジュールの機能を、次に示します。

  1. 日曜日ごとに、ルート (/)、/usr/export、および /export/home ファイルシステムの完全バックアップ (レベル 0) を実行します。レベル 0 のテープを少なくとも 3 カ月は保存します。

  2. 月の第 1 月曜日に、テープ A を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。この場合、直前の下位レベルのバックアップは、日曜日に実行したレベル 0 のバックアップになります。

  3. 月の第 1 火曜日に、テープ B を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。この場合も、ufsdump コマンドは、直前の下のレベルのバックアップ (日曜日のレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  4. 月の第 1 水曜日に、テープ C を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、日曜日以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  5. 木曜日と金曜日には、テープ D と E を使用して、/export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、最後の下位レベルのバックアップ (水曜日のレベル 5 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。

  6. 月の第 1 土曜日に、テープ F を使用して /export/home のレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ (この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。テープを再利用する場合は、テープ A から F までを次の 4 週間の第 1 月曜日までは保存しておきます。

  7. 次の 3 週間は、テープ G から L までと、日曜日のレベル 0 のバックアップ用に 4n 本のテープを使用して、手順 1 から 6 までを繰り返します。

  8. 4 週ごとに、レベル 0 のバックアップ用に新しいテープ 1 組と、増分バックアップ用のテープ A から X までを再利用して、手順 1 から 7 までを繰り返します。レベル 0 のテープは、3 カ月後に再利用できるようになります。

    このスケジュールでは、各ファイルを 1 カ月間で段階別に保存できます。多数のテープが必要ですが、テープのライブラリを確実に用意できます。テープの本数を減らすには、テープ A から F までを毎週再利用します。