この章では、Oracle Solaris OS における USB (Universal Serial Bus) デバイスの概要を説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
USB デバイスに関する最新の情報については、次の Web サイトを参照してください。
http://www.sun.com/io_technologies/usb/USB-Faq.html
USB デバイスに関する一般的な情報については、次の Web サイトを参照してください。
http://developers.sun.com/solaris/developer/support/driver/usb.html
Oracle Solaris OS における USB デバイスの使用手順については、第 8 章USB デバイスの使用 (手順)を参照してください。
動的再構成およびホットプラグについての一般的な情報については、第 6 章デバイスの動的構成 (手順)を参照してください。
USB プリンタを構成する方法については、『Solaris のシステム管理 (印刷)』を参照してください。
次の節では、Solaris リリースにおける USB の新機能について説明します。
Solaris の新機能の一覧および Solaris リリースについての説明は、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。
Solaris 10 8/07: USB EHCI ホストコントローラドライバは、USB 2.0 または高速のアイソクロナスデバイスでアイソクロナス転送を行えるようにします。詳細は、usb_isoc_request(9S) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 10 8/07: このリリースでは、CDC ACM デバイスがサポートされます。詳細については、「USB ドライバの機能拡張」を参照してください。
Solaris 10 6/06: この機能の情報は、Solaris 10 11/06 リリースで改訂されています。
この Solaris リリースでは、新規デバイス属性 hotpluggable が導入されました。この属性を使用すると、システムをリブートせずに接続または切り離しできるデバイスを識別したり、ユーザーの介入なしで自動的に設定および設定解除を実行したりできます。すべての USB および 1394 デバイスは、ホットプラグ対応デバイスとして識別され、「USB 大容量ストレージデバイスの使用」に記述されている利点が得られます。また、非リムーバブルメディア USB および 1394 デバイスは、リムーバブルメディアデバイスとしては識別されなくなり、removable-media 属性を持たなくなりました。
この変更は、非リムーバブルメディア USB および 1394 デバイスのサポートおよびそのパフォーマンスを改善する目的で、主にカーネルレベルで行われました。ただし、これらのデバイスの使用法が変更の影響を受けることはありません。たとえば、これらのデバイスのマウントおよびマウント解除は、vold を使用して制御します。ユーザーが識別できるのは、デバイスの hotpluggable および removable-media 属性の変更だけです。
詳細は、「USB と 1394 (FireWire) サポートの機能拡張」を参照してください。
ZFS ファイルシステムは、USB 大容量ストレージデバイス上で作成およびマウントできます。USB 大容量ストレージデバイスの使用方法の詳細は、「USB 大容量ストレージデバイスの使用」を参照してください。
ZFS ファイルシステムの作成およびマウントについては、zfs(1M) と zpool(1M) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 10 6/06: 以前に、この機能は Solaris 10 1/06 リリースで使用可能とされていましたが、これは正しい情報ではありません。この機能は、Solaris 10 6/06 リリース以降で使用できます。
Solaris 10 6/06: この Solaris リリースには、USB デバイスに供給される電源の管理を改善するための、USB デバイスの電源割り当て機能が実装されています。電源割り当ての制御は、過電流状態の発生を防ぎ、USB デバイスをより安全に使用するのに役立ちます。Solaris USB 電源割り当て制限の詳細については、「バス電源供給方式のデバイス」を参照してください。
Solaris 10 1/06: GRUB ベースのブート環境で次の USB 機能を使用できます。
USB CD または DVD ドライブからのインストール
USB ストレージデバイスからのブート。Solaris リリースをブートする前に、USB ドライブに Solaris リリースをインストールする必要があります。
GRUB ブートの詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 9 章「システムのシャットダウンとブート (概要)」を参照してください。
Solaris 10 1/06: USB 仮想キーボードおよびマウスがサポートされているため、複数のキーボードおよび複数のマウスを接続して、それらを 1 つの仮想キーボードまたは仮想マウスとして動作させることができます。つまり、各物理デバイスの入力が 1 つの入力ストリームに統合されます。たとえば、一方のキーボードで Shift キーを押してもう一方のキーボードで A キーを押した場合、表示される文字は大文字の A になります。
また、USB キーボードまたはマウスをラップトップに追加し、これらのデバイスをラップトップの PS/2 キーボードおよびパッドと一緒に 1 つのデバイスとして動作させる機能もサポートされています。
さらに、仮想キーボードおよびマウス機能により、バーコードリーダーもサポートされています。
詳細については、virtualkm(7D) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 10 1/06: リムーバブルメディアマネージャー (vold) はホットプラグ対応になりました。ホットインサートされた USB 大容量ストレージデバイスをマウントするために、このデーモンを再起動する必要はありません。ただし、一部のデバイスでは vold が正常に機能しないことがあるため、手動によるデバイスのマウントが必要な場合があります。vold による USB デバイスの自動マウントが失敗した場合は、次のコマンドを実行して vold を停止します。
# /etc/init.d/volmgt stop |
USB 大容量ストレージデバイスを手動でマウントする方法については、「vold を使用しないで USB 大容量ストレージデバイスをマウントまたはマウント解除する方法」を参照してください。
USB 1.1 および USB 2.0 の各デバイスが Solaris でどのようにサポートされるかを確認するには、次の表を使用してください。
USB デバイス |
Solaris 8 HW 5/03 以降のリリース |
Solaris 9 リリース |
Solaris 10 リリース |
---|---|---|---|
一般的な USB 1.1 デバイスのサポート |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
一般的な USB 2.0 デバイスのサポート |
SPARC のみ |
SPARC と x86 (Solaris 9 4/04) |
SPARC と x86 |
特定の USB 1.1 および USB 2.0 デバイスのサポート | |||
オーディオデバイス (下の注意事項を参照してください。) |
USB 1.1 のみ: USB 2.0 ハブではサポートされません |
USB 1.1 のみ: USB 2.0 ハブではサポートされません |
USB 1.1 のみ: USB 2.0 ハブでサポートされます |
汎用 USB ドライバ (ugen(7D)) |
SPARC のみ |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
HID デバイス (キーボードおよびマウスデバイス、hid(7D)) |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
ハブ (hubd(7D)) |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
プリンタ |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
シリアルデバイス (Edgeport (usbser_edge(7D))、Prolific (usbsprl(7D))、Keyspan (usbsksp(7D)) |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
ストレージデバイス (scsa2usb(7D)) |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
SPARC と x86 |
ユーザー領域 USB デバイス管理ライブラリ (libusb(3LIB)) |
サポートされていません |
サポートされていません |
SPARC と x86 |
注:
USB 1.x オーディオデバイスのみがサポートされます。USB 2.0 オーディオデバイスはサポートされません。
USB 2.0 ポートに接続されている USB 2.0 ハブに接続された USB 1.x オーディオデバイスは、Solaris 10 リリースでのみ使用できます。詳細は、usb_ac(7D) および usb_as(7D) のマニュアルページを参照してください。
USB ドライバによってサポートされていないデバイスのために、gphoto2、gtkam、および pilotlink などの libusb アプリケーションが用意されています。詳細は、/usr/sfw/share/doc/libusb/libusb.txt を参照してください。
Solaris 8 および Solaris 9 リリース – USB デュアルフレームワークの問題については、次の Web サイトを参照してください。
大容量ストレージデバイスに関連する作業については、第 8 章USB デバイスの使用 (手順)を参照してください。
ugen の詳細は、「USB ドライバの機能拡張」を参照してください。
Universal Serial Bus (USB) は PC 業界で開発された、周辺デバイス (キーボード、マウス、プリンタなど) をシステムに接続するための低コストのソリューションです。
USB コネクタは 1 方向 1 種類のケーブルだけに適合するように設計されています。USB が設計された主な目的は、デバイスごとに異なる何種類ものコネクタを減らすことです。USB の設計により、システムの背面パネルの混雑を軽減できます。
デバイスは、外部 USB ハブ上の USB ポートか、コンピュータ本体に設置されたルートハブ上の USB ポートのいずれかに接続されます。ハブには複数のポートがあるため、1 つのハブからデバイスツリーの複数の枝が伸びることがあります。
詳細は、usba(7D) のマニュアルページまたは次の Web サイトを参照してください。
次の表に、Oracle Solaris OS で使用される USB の略語を示します。USB の構成要素と略語についての詳細は、次の Web サイトを参照してください。
略語 |
定義 |
参照先 |
---|---|---|
UGEN |
USB 汎用ドライバ | |
USB |
Universal Serial Bus | |
USBA |
USB アーキテクチャー (Solaris) | |
USBAI |
USBA クライアントドライバインタフェース (Solaris) |
なし |
HCD |
USB ホストコントロールドライバ |
なし |
EHCI |
拡張ホストコントローラインタフェース | |
OHCI |
オープンホストコントローラインタフェース | |
UHCI |
ユニバーサルホストコントローラインタフェース |
USB 仕様は、ライセンス料を払わずに入手できます。USB 仕様は、バスとコネクタの電気的および機械的なインタフェースを定義します。
USB が採用するトポロジでは、ハブが USB デバイスに接続点を提供します。ホストコントローラには、システム内のすべての USB ポートの起点となるルートハブが含まれます。ハブの詳細は、「USB ホストコントローラとハブ」を参照してください。
図 7–1 は、有効な USB ポートが 3 つ搭載されたシステムを示しています。1 番目の USB ポートは USB メモリースティックに接続されています。2 番目の USB ポートは外部ハブに接続されており、このハブには CD-RW デバイスと、キーボードとマウスの複合デバイスが接続されています。このキーボードは「複合デバイス」であるため USB コントローラが組み込まれており、このコントローラによって、キーボードとキーボードに接続されたマウスの両方が制御されます。キーボードとマウスは、同じ USB コントローラによって制御されるため、同一の USB バスアドレスを共有します。
図 7–1 は、ハブとプリンタの「合成デバイス」の例も示しています。このハブは外部ハブで、プリンタと同じケースに入っています。プリンタはこのハブに固定接続されます。このハブとプリンタは、それぞれ異なる USB バスアドレスを持ちます。
次の表に、図 7–1 に示したデバイスの一部について、デバイスツリーパス名を一覧表示します。
/pci@1f,4000/usb@5/storage@1
/pci@1f,4000/usb@5/hub@2/device@1/keyboard@0
/pci@1f,4000/usb@5/hub@2/device@1/mouse@1
/pci@1f,4000/usb@5/hub@2/storage@3
/pci@1f,4000/usb@5/hub@3/printer@1
属性とサービスが似ている USB デバイスは、いくつかのデバイスクラスに分類されます。各デバイスクラスには対応するドライバが 1 つずつ存在しています。クラス内のデバイスは、同じ組み合わせのデバイスドライバによって管理されます。ただし、USB 仕様では、特定のクラスに属さないベンダー固有のデバイスも許可しています。
Human Interface Device (HID) クラスには、ユーザーが制御する次のようなデバイスが含まれます。
キーボード
マウスデバイス
ジョイスティック
Communication Device クラスには、次のデバイスが含まれます。
モデム
Ethernet アダプタ
その他にも、次のようなデバイスクラスがあります。
Audio Device
モニター
プリンタ
Storage Device
各 USB デバイスはデバイスのクラスを表す記述子を持っています。デバイスクラスは、そのメンバーが構成とデータ転送についてどのように動作するかを指定します。クラス情報の詳細は、次の Web サイトを参照してください。
Solaris リリースでサポートされる USB デバイスの詳細は、usb(7D) のマニュアルページを参照してください。
次の USB ドライバ拡張が含まれています。
USB CDC ACM デバイスのサポート – acm ドライバは、USB Communication Device Class 仕様の Abstract Control Model に準拠するデバイスと、モデム機能を持ついくつかの PCMCIA カードで動作します。
pppd デーモンは、/dev/term/[0~9]* エントリを通してこれらのデバイスにアクセスできます。詳細は、pppd(1M) のマニュアルページを参照してください。
詳細は、usbsacm(7D) のマニュアルページを参照してください。
汎用 USB ドライバ – 特別なカーネルドライバを記述する必要なく、UNIX 標準の read(2) および write(2) システムコールを使って、アプリケーションから USB デバイスのアクセスおよび操作を実行できるようになりました。次の機能が追加されています。
アプリケーションから raw デバイスのデータおよびステータスにアクセスできます。
制御転送、バルク転送、および割り込み (入力と出力) 転送がサポートされます。
Solaris 10 6/06 リリースから、デバイスへの明示的なバインドに ugen ドライバは不要になりました。デフォルトでは、usb_mid により、クラスドライバの存在しないデバイスへのバインド、および libusb で動作する ugen インタフェースのエクスポートが実行されます。たとえば、大容量ストレージデバイスではない USB カメラを接続し、libusb アプリケーションを使ってアクセスできます。また、scsa2usb ドライバと usbprn ドライバの両方が ugen インタフェースをエクスポートするため、これらのデバイスクラス上で libusb アプリケーションを直接使用できます。
詳細は、ugen(7D) のマニュアルページを参照してください。
USB シリアルドライバのサポート
Digi Edgeport USB サポート – Edgeport USB ドライバは、Edgeport デバイスでのみ機能し、ほかの USB シリアルデバイスでは機能しません。
新しいデバイスには、/dev/term/[0-9]* または /dev/cua/[0-9]* としてアクセスできます。
USB シリアルポートをその他のシリアルポートと同じように使用できます。ただし、ローカルシリアルコンソールの機能はありません。ユーザーから見て、USB ポート経由でデータが実行されていることはわかりません。
詳細は、usbser_edge(7D) のマニュアルページを参照するか、次の Web サイトにアクセスしてください。
Keyspan – Keyspan USB シリアルドライバは Keyspan デバイスでのみ動作します。現在サポートしているのは USA-19HS モデルと USA-49WLC モデルです。
詳細は、usbsksp(7D) のマニュアルページを参照してください。
Prolific – Prolific USB シリアルドライバは、PL2303 チップセットをベースとするデバイスだけで動作します。
詳細は、usbsprl(7D) のマニュアルページを参照してください。
USB to serial デバイスのサポートについては、次のサイトを参照してください。
ユーザーが記述したカーネルおよびユーザー独自のドライバの文書サポートおよびバイナリサポート – USB ドライバの開発に関する最新の情報については、次の Web サイトを参照してください。
EHCI ドライバには、次の特徴があります。
USB 2.0 をサポートする拡張ホストコントローラインタフェースに準拠しています。
高速の制御転送、バルク転送、割り込み転送、およびアイソクロナス転送をサポートします。
USB 2.0 チップには、1 つの EHCI コントローラと 1 つ以上の OHCI または UHCI コントローラが組み込まれています。
USB 1.1 デバイスを接続すると、OHCI または UHCI コントローラに動的に割り当てられます。USB 2.0 デバイスを接続すると、EHCI コントローラに動的に割り当てられます。
prtconf コマンドの出力を使用して、システムが USB 1.1 デバイスまたは USB 2.0 デバイスをサポートしているかどうかを確認します。次に例を示します。
# prtconf -D | egrep "ehci|ohci|uhci" |
prtconf の出力で EHCI コントローラが確認される場合、システムは USB 2.0 デバイスをサポートしています。
prtconf の出力で OHCI または UHCI コントローラが確認される場合、システムは USB 1.1 デバイスをサポートしています。
USB デバイスは、2 つのレベルのデバイスツリーノードとして表現できます。デバイスノードは、USB デバイス全体を表します。1 つまたは複数の子インタフェースノードはデバイス上にある個々のUSB インタフェースを表します。
ドライバのバインドは互換性のある名前属性の使用によって実現されます。詳細については、『IEEE 1275 USB binding (英語版)』の 3.2.2.1 項と『Writing Device Drivers 』を参照してください。ドライバは、デバイス全体にバインドしてすべてのインタフェースを制御することも、1 つのインタフェースだけにバインドすることも可能です。デバイス全体にバインドするドライバがベンダーにもクラスにも存在しない場合、汎用 USB マルチインタフェースドライバがデバイスレベルのノードにバインドされます。IEEE 1275 バインド仕様の 3.2.2.1 項で定義されているように、このドライバは互換名プロパティーを使用して、各インタフェースに対してドライバのバインドを試みます。
Solaris USB アーキテクチャー (USBA) は、USB 1.1 および USB 2.0 の仕様に準拠しており、Solaris デバイスドライバインタフェース (DDI) の一部です。USBA モデルは Sun Common SCSI Architecture (SCSA) に似ています。次の図が示すように、USBA は、汎用 USB トランスポート層という概念をクライアントドライバに提供する薄い層で、汎用 USB の主要な機能を実装するサービスをクライアントドライバに提供します。
次の節では、Oracle Solaris OS における USB について知っておく必要のある情報を説明します。
次に示す USB 2.0 の機能が含まれます。
パフォーマンスの向上 – USB 40 コントローラに接続されたデバイスの場合は、データのスループットが USB 2.0 デバイスと比較して最大で 1.1 倍速に向上します。
DVD やハードディスクなどの高速の USB デバイスにアクセスするときに、高速の USB プロトコルを利用できます。
下位互換性 – 1.0 および 1.1 デバイスおよびドライバとの下位互換性があるので、同じケーブル、コネクタ、およびソフトウェアインタフェースを使用できます。
USB デバイスおよび USB 用語については、「USB デバイスの概要」を参照してください。
USB 2.0 デバイスは、USB 2.0 仕様に準拠した高速デバイスです。USB 2.0 仕様は、http://www.usb.org/home で確認できます。
Solaris 10 リリースで USB デバイスの速度を識別するには、/var/adm/messages ファイルで次のようなメッセージを確認します。
Dec 13 17:05:57 mysystem usba: [ID 912658 kern.info] USB 2.0 device (usb50d,249) operating at hi speed (USB 2.x) on USB 2.0 external hub: storage@4, scsa2usb0 at bus address 4 |
この Solaris リリースでは、たとえば、次の USB デバイスがサポートされます。
大容量ストレージデバイス。たとえば CD-RW、ハードディスク、DVD、デジタルカメラ、フロッピーディスク、テープドライブ、メモリースティック、およびマルチフォーマットのカードリーダー
キーボードおよびマウス
オーディオデバイス。たとえばスピーカおよびマイク
今回の Solaris リリースで検証済みの USB デバイスの一覧は、次のサイトで確認できます。
http://www.sun.com/io_technologies/USB.html
それ以外のストレージデバイスでも、scsa2usb.conf ファイルを変更すれば使用できることがあります。詳細は、scsa2usb(7D) のマニュアルページを参照してください。
Solaris USB 2.0 デバイスのサポートとして、次の機能が用意されています。
USB バス速度が、12 Mbps から 480 Mbps に向上しています。このため、USB 2.0 仕様をサポートするデバイスを USB 2.0 ポートに接続すると、対応する USB 1.1 デバイスに比べて速度が大幅に向上します。
次のいずれかの USB 2.0 ポートを使用できます。
USB 2.0 PCI カード上のポート
USB 2.0 ポートに接続された USB 2.0 ハブ上のポート
SPARC または x86 コンピュータのマザーボード上のポート
以前の SPARC プラットフォームでは、USB 2.0 PCI カードが必要な場合があります。
Solaris リリースで検証済みの USB 2.0 PCI カードについては、次の Web サイトを参照してください。
同じシステム上に USB 1.1 デバイスと USB 2.0 デバイスが共存する場合でも、USB 1.1 デバイスは以前と同様に機能します。
USB 2.0 デバイスは USB 1.x ポートでも動作しますが、USB 2.0 ポートに接続するとパフォーマンスが大幅に向上します。
USB 2.0 ホストコントローラには、1 つのハイスピード EHCI (Enhanced Host Controller Interface) と、1 つ以上の OHCI (OpenHCI Host Controller Interface) または UHCI (Universal Host Controller Interface) が組み込まれたコントローラが用意されています。USB 2.0 ポートに接続されているデバイスは、USB 2.0 をサポートしているかどうかに応じて、EHCI または OHCI コントローラに動的に割り当てられます。
USB 2.0 PCI カード上のポートに 接続された USB 2.0 ストレージデバイスのデバイス名は、以前の Solaris リリースで同じハードウェア構成で使用していた場合には、このリリースにアップグレードした後で変更されることがあります。この変更は、アップグレードによりこれらのデバイスが USB 2.0 デバイスとして認識され、制御が EHCI コントローラに引き継がれるために発生します。 /dev/[r]dsk/cwtxdysz の w (コントローラの番号) は、それらのデバイスに合わせて変更されます。
また、USB デバイスの速度は親ポートがサポートできる速度に制限されます。たとえば、USB 1.x ハブに USB 2.0 外部ハブが接続され、その USB 2.0 外部ハブに USB 2.0 デバイスが接続されている場合、そのデバイスは最大限の速度で動作した場合でもそれほど高速では動作しません。
USB 2.0 デバイスのサポートの詳細は、ehci(7D) および usba(7D) のマニュアルページを参照してください。
バス電源供給方式のハブは、接続先の USB バスの電源を利用して、接続されているデバイスに電源を供給します。これらのハブの負荷が大きくなりすぎないように、十分に注意してください。これらのハブから接続先のデバイスに供給できる電源は限られているためです。
Solaris 10 6/06 リリースから、USB デバイスへの電源割り当てが実装されています。この機能には、次の制限があります。
2 台のバス電源供給方式のハブをカスケード接続しないでください。
バス電源供給方式のハブの各ポートの最大消費電力は100mAです。
バス電源供給方式のハブに接続できるのは、自己電源のデバイスまたはバス電源供給方式の低電力デバイスだけです。バス電源供給方式の高電力デバイスは接続を拒否されます。接続は予測できない場合があるため、誤った電源をレポートするハブやデバイスもあります。
USB キーボードおよびマウスデバイスを使用するときは、次のことに注意してください。
SPARC システムにおいて、リブート中または ok プロンプトの出ている間は、キーボードおよびマウスを移動しないでください。システムのリブート後であれば、いつでもキーボードおよびマウスを別のハブに移動できます。キーボードおよびマウスは、差し込んだ後は再び完全に機能します。
Sun 社製以外の USB キーボードでは、キーパッドの左側にある機能は使用できない場合があります。
SPARC – SPARC システムにおいて USB キーボードおよびマウスデバイスを使用するときは、次のことに注意してください。
USB キーボードの電源キーと Sun タイプ 5 キーボードの電源キーの動作は異なります。USB キーボードでは、「SUSPEND/SHUTDOWN」キーを使用してシステムを中断またはシャットダウンできます。ただし、そのキーを使用してシステムの電源を入れることはできません。
ブートプロセスが完了するまでは、OpenBoot PROM (OBP) の制限により、キーボードおよびマウスデバイスはマザーボードのルートハブのポートにしか接続できません。
Ultra 80 などの旧バージョンの SPARC システムでは、USB キーボードおよびマウスデバイスをタイプ 3、タイプ 4 またはタイプ 5 キーボードと同時に使用できません。
複数のキーボードおよびマウスデバイスのサポートについては、virtualkm(7D) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 9 9/04 リリース以降では、次のホイール付きマウス機能がサポートされています。
USB マウスまたは PS/2 マウスデバイスでは、3 ボタン以上の使用がサポートされ ています。
USB マウスまたは PS/2 マウスデバイスでは、ホイール付きマウスによるスクロー ルが使用可能です。USB マウスまたは PS/2 マウスでホイールを回転させると、マウスが置かれたアプリケーションまたはウィンドウがスクロールします。StarSuite、Firefox、および GNOME アプリケーションはホイール付きマウスによるスクロール機能をサポートします。その他のアプリケーションの中には、この機能をサポートしないものもあります。
USB ハブは次のことを行います。
ポートにおけるデバイスの取り付けと取り外しの監視
ポートにおける個々のデバイスの電源管理
ポートへの電源の制御
USB ホストコントローラは「ルートハブ」という埋め込みハブを持っています。システムの背面パネルに見えるポートはルートハブのポートです。USB ホストコントローラは次のことを行います。
USB バスの管理。個々のデバイスはバスの調整はできません。
デバイスによって決定されるポーリング間隔による、デバイスのポーリング。ポーリング間隔 (時間) を考慮してデバイスに十分なバッファーがあることを前提とします。
USB ホストコントローラとそれに接続されているデバイス間でのデータの送信。ピアツーピア通信はサポートされません。
SPARC システムと x86 システムのどちらにおいても、ハブは 4 段を超えて多段接続しないでください。SPARC システムでは、OpenBoot PROM (OBP) は 4 段を超えるデバイスを正確に認識できません。
バス電源供給方式のハブ同士をカスケード接続しないでください。バス電源供給方式のハブは独自の電源を持っていません。
大量の電源を必要とするデバイスをバス電源供給方式のハブに接続しないでください。これらのデバイスがバス電源供給方式のハブへの接続を拒否されたり、ほかのデバイス用の電源がなくなったりする可能性があります。このようなデバイスとして、USB フロッピーディスクデバイスなどがあります。
SPARC システムでは、USB デバイスの保存停止および復元再開機能が完全にサポートされます。ただし、稼働中のデバイスを保存停止したり、システムの保存停止で電源がオフになっているときにデバイスを取り外すことは決してしないでください。
SPARC システムで電源管理を有効にしている場合、USB のフレームワークはすべてのデバイスの電源管理を最大限に試みます。USB デバイスの電源管理により、ハブドライバはデバイスが接続されているポートの中断も行います。「リモートウェイクアップ」をサポートするデバイスは、そのデバイスが利用可能な状態になるように、そのデバイスのパス上にあるすべてのデバイスを呼び起こすようシステムに通知できます。アプリケーションがデバイスに入出力を送信した場合も、ホストシステムはデバイスを呼び起こすことができます。
リモートウェイクアップ機能がサポートされている場合、すべての HID デバイス (キーボード、マウス、ハブ、およびストレージデバイス)、ハブデバイス、およびストレージデバイスは、デフォルトで電源管理されます。USB プリンタが電源管理されるのは、2 つの印刷ジョブ間だけです。汎用の USB ドライバ (UGEN) で管理されているデバイスの電源は、デバイスが閉じているときにのみ管理されます。
電源消費を減らすために電源管理を行なっている場合は、まず USB 末端デバイスの電源が切断されます。また、ハブのポートに接続されているすべてのデバイスの電源が切断されると、しばらくしてからハブの電源が切断されます。もっとも効率的に電源管理をするためには、あまり多くのハブをカスケード接続しないでください。
SPARC システムの SUSPEND/SHUTDOWN キーの使用についての詳細は、「USB キーボードとマウス」を参照してください。
USB ケーブルを接続する際には、次のガイドラインに従ってください。
USB 2.0 デバイスを接続するときは、必ず USB 2.0 に準拠したフルレイト (480M ビット/秒) の 20/28 AWG ケーブルを使用してください。
サポートされている最長ケーブル長は 5 m です。
延長ケーブルを使用しないでください。ケーブルを延長するには、最良の結果が得られるよう、自己電源供給方式のハブを使ってください。
詳細は、次の Web サイトを参照してください。