Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

iSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットのパラメータの変更

iSCSI イニシエータおよび iSCSI ターゲットデバイスのどちらでもパラメータは変更可能です。ただし、iSCSI イニシエータ上で変更可能なパラメータは、次のものだけです。

iSCSI ドライバは、iSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットデバイスのパラメータのデフォルト値を提供します。iSCSI イニシエータのパラメータを変更すると、iSCSI ターゲットデバイスにすでに別の値が設定されている場合以外、その変更後のパラメータが iSCSI ターゲットデバイスに継承されます。


注意 – 注意 –

変更対象のパラメータがターゲットソフトウェアによってサポートされていることを確認してください。サポートされていない場合、iSCSI ターゲットデバイスにログインできない可能性があります。サポートされているパラメータの一覧については、使用するアレイのマニュアルを参照してください。


iSCSI パラメータの変更は、イニシエータとターゲット間の入出力が完了した時点で行うことをお勧めします。iscsiadm modify コマンドを使って変更が実行されると、iSCSI ドライバはセッションを接続し直します。

ProcedureiSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットのパラメータを変更する方法

この手順の前半では、iSCSI イニシエータの変更されたパラメータが iSCSI ターゲットデバイスにどのように継承されるかを示します。この手順の後半では、iSCSI ターゲットデバイス上のパラメータを実際に変更する方法を示します。

この省略可能な手順では、ユーザーが現在ログインしているローカルシステム上で、iSCSI ターゲットデバイスへのアクセスがすでに構成されているものとします。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. iSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットデバイスの現在のパラメータを一覧表示します。

    1. iSCSI イニシエータの現在のパラメータを一覧表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list initiator-node
      Initiator node name: iqn.1986-03.com.sun:01:0003ba4d233b.425c293c
      Initiator node alias: zzr1200
              Login Parameters (Default/Configured):
                      Header Digest: NONE/-
                      Data Digest: NONE/-
              Authentication Type: NONE
              RADIUS Server: NONE
              RADIUS access: unknown
              Configured Sessions: 1
    2. iSCSI ターゲットデバイスの現在のパラメータを一覧表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list target-param -v iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
      Target: iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
              Alias: -
              Bi-directional Authentication: disabled
              Authentication Type: NONE
              Login Parameters (Default/Configured):
                      Data Sequence In Order: yes/-
                      Data PDU In Order: yes/-
                      Default Time To Retain: 20/-
                      Default Time To Wait: 2/-
                      Error Recovery Level: 0/-
                      First Burst Length: 65536/-
                      Immediate Data: yes/-
                      Initial Ready To Transfer (R2T): yes/-
                      Max Burst Length: 262144/-
                      Max Outstanding R2T: 1/-
                      Max Receive Data Segment Length: 65536/-
                      Max Connections: 1/-
                      Header Digest: NONE/-
                      Data Digest: NONE/-
               Configured Sessions: 1

      iSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットデバイスの両方で、ヘッダーダイジェストとデータダイジェストのパラメータがどちらも現在 NONE に設定されています。

      iSCSI ターゲットデバイスのデフォルトのパラメータを確認するには、Example 14–1例 14–1 出力を参照してください。

  3. iSCSI イニシエータのパラメータを変更します。

    たとえば、ヘッダーダイジェストを CRC32 に設定します。


    initiator# iscsiadm modify initiator-node -h CRC32
    

    イニシエータのノード名を変更した場合は、新しい名前がターゲットと同じ発見ドメインに属していないと、iSNS によって発見されたターゲットがログアウトおよび削除されることがあります。ただし、ターゲットが使用中の場合は、削除されません。たとえば、これらのターゲット上でファイルが開いている場合またはファイルシステムがマウントされている場合は、それらのターゲットは削除されません。

    これらのターゲットと新しいイニシエータノードの名前が同じ発見ドメインに属している場合は、名前の変更後に新しいターゲットも表示されることがあります。

  4. パラメータが変更されたことを確認します。

    1. iSCSI イニシエータの更新済みパラメータ情報を表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list initiator-node
      Initiator node name: iqn.1986-03.com.sun:01:0003ba4d233b.425c293c
      Initiator node alias: zzr1200
              Login Parameters (Default/Configured):
                      Header Digest: NONE/CRC32
                      Data Digest: NONE/-
              Authentication Type: NONE
              RADIUS Server: NONE
              RADIUS access: unknown
              Configured Sessions: 1

      ヘッダーダイジェストは CRC32 に設定されています。

    2. iSCSI ターゲットデバイスの更新済みパラメータ情報を表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list target-param -v iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
      Target: iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
              Alias: -
              Bi-directional Authentication: disabled
              Authentication Type: NONE
              Login Parameters (Default/Configured):
                      Data Sequence In Order: yes/-
                      Data PDU In Order: yes/-
                      Default Time To Retain: 20/-
                      Default Time To Wait: 2/-
                      Error Recovery Level: 0/-
                      First Burst Length: 65536/-
                      Immediate Data: yes/-
                      Initial Ready To Transfer (R2T): yes/-
                      Max Burst Length: 262144/-
                      Max Outstanding R2T: 1/-
                      Max Receive Data Segment Length: 65536/-
                      Max Connections: 1/-
                      Header Digest: CRC32/-
                      Data Digest: NONE/-
              Configured Sessions: 1

      ヘッダーダイジェストは CRC32 に設定されています。

  5. iSCSI イニシエータが iSCSI ターゲットに接続し直されたことを確認します。次に例を示します。


    initiator# iscsiadm list target -v iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
    Target: iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
            TPGT: 2
            ISID: 4000002a0000
            Connections: 1
                    CID: 0
                      IP address (Local): nnn.nn.nn.nnn:64369
                      IP address (Peer): nnn.nn.nn.nnn:3260
                      Discovery Method: SendTargets
                      Login Parameters (Negotiated):
                            .
                            .
                            .
                            Header Digest: CRC32
                            Data Digest: NONE 
  6. (省略可能) iSCSI イニシエータまたは iSCSI ターゲットデバイスのパラメータを設定解除します。

    iscsiadm modify コマンドを使用してデフォルトの設定に戻すことによってパラメータを設定解除できます。あるいは、iscsiadm remove コマンドを使ってすべてのターゲットプロパティーをデフォルト設定にリセットします。

    iscsiadm modify target-param コマンドは、コマンド行で指定されたパラメータのみを変更します。

    次の例では、ヘッダーダイジェストを none にリセットする方法を示します。


    initiator# iscsiadm modify target-param -h none iqn.1992-08.com.abcstorage:sn...
    

    iscsiadm remove target-param コマンドについては、iscsiadm(1M) のマニュアルページを参照してください。