Sun ONE Web Server の概要

この章では、Sun ONE Web Server を紹介し、サーバーの基本的な概念についていくつかを説明します。この章を読み、Sun ONE Web Server の機能の概要を理解してください。

Sun ONE Web Server

Sun ONE Web Server 6.1 は、マルチプロセス、マルチスレッドの Web サーバーで、オープン規格に基いて構築されています。この製品は、どのような規模の企業にも、高い性能、信頼性、スケーラビリティ、管理性を提供します。

この節では、Sun ONE Web Server の機能について説明し、基本管理タスクの一部を紹介します。この節は、次のトピックから構成されます。

Sun ONE Web Server 6.1 の新機能

Java Servlet 2.3 および JSP (JavaServer Pages) 1.2 のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 には、Java^TM Servlet 2.3 および JSP^TM (JavaServer Pages^TM) 1.2 仕様の J2EE^TM (Java^TM 2 Platform, Enterprise Edition) に準拠した実装が含まれます。J2EE 準拠の Web コンテナは、Java^TM 技術標準に準拠した Web アプリケーションの設計と配備に必要な、柔軟性と信頼性を提供します。Web アプリケーションは、仮想サーバー単位で配備することができます。

Sun ONE Web Server でのサーブレットと JSP の開発については、『Sun ONE Web Server 6.1 Programmer's Guide to Web Applications』を参照してください。

JDK 1.4.1_03 のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、JDK^TM (Java Developer's Kit) 1.4.1_03 をサポートしています。この JDK は、Web Server にバンドルされ、Web Server のインストール時に同時にインストールされます (インストールを選択した場合)。Web Server のインストール後に、独自の JDK をインストールすることもできます。管理サーバー、および Java とサーブレットのサポートを利用するには、JDK をインストールしておく必要があります。

WebDAV のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、WebDAV (Web-based Distributed Authoring and Versioning) プロトコルをサポートしています。このプロトコルは、次の機能によって共同 Web パブリッシングを可能にします。

WebDAV は、コンテンツメタデータ、ネームスペース管理、上書き保護を総合的にサポートします。これらの技術と WebDAV がサポートする多数のオーサリングツールを組み合わせることで、共同作業環境向けの理想的な開発プラットフォームが提供されます。

NSAPI フィルタのサポート

Sun ONE Web Server 6.1 では、NSAPI フィルタをサポートできるように NSAPI (Netscape Server Application Programmer's Interface) が拡張されています。

フィルタを使用することで、HTTP 要求および応答のストリームをカスタム処理できます。これにより、関数が、別の関数に提供されるコンテンツや別の関数により作成されたコンテンツを途中で受け取って変更することも可能になります。たとえば、プラグインに NSAPI フィルタをインストールして別のプラグインの SAF (Server Application Function) が生成する XML ページを受信し、その XML ページをクライアントに合わせて HTML、XHTML、または WAP ページに変換することもできます。あるいは、NSAPI フィルタを使用して、クライアントから受信したデータを解凍してから別のプラグインに渡すことができます。

詳細については、『Sun ONE Web Server 6.1 NSAPI Programmer's Guide』を参照してください。

HTTP 圧縮のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 では、コンテンツの圧縮を行うことができます。そのため、クライアントへの配信速度を高め、ハードウェア側の負荷を増やすことなく、より大容量のコンテンツに対応できます。コンテンツを圧縮することで、コンテンツのダウンロード時間が短縮されるため、ダイヤルアップ接続や、高トラフィックの接続を利用するユーザーにとって大きな利点となります。

詳細については、『Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド』を参照してください。

新しい検索エンジンのサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、全文検索のインデックス生成および検索結果の取得機能に対応した、新しい Java ベースの検索エンジンをサポートします。この検索機能を利用することで、ユーザーはサーバー上のドキュメントを検索し、結果を Web ページに表示できます。サーバー管理者はドキュメントのインデックスを作成し、ユーザーはこのインデックスに対して検索を行います。また、サーバー管理者は具体的な必要に合わせて検索インタフェースをカスタマイズすることができます。

詳細については、『Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド』を参照してください。

強化されたセキュリティ

Sun ONE Web Server 6.1 の新機能を使用することで、フラットファイル認証を使ってアクセスを制限できます。これまでのバージョンの Web Server と異なり、Sun ONE Web Server 6.1 は Java Security Manager もサポートするようになりました。製品インストール時のデフォルト設定では、Java Security Manager は無効に設定されています。server.xml については、『Sun ONE Web Server 6.1 Administrator's Configuration File Reference Guide』を参照してください。

JNDI のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、Java Naming and Directory Interface^TM (JNDI) をサポートします。JNDI により、複数種類が混在するエンタープライズネーミングサービスおよびディレクトリサービスへのシームレスな接続が可能になります。

JDBC のサポート

Sun ONE Web Server は、特別な設定なしで使用できるシームレスな Java^TM DataBase Connectivity (JDBC^TM) を提供し、業界標準の JDBC ドライバから、カスタマイズされたドライバまで広くサポートします。

Sun ONE Studio 5 のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、Sun^TM ONE Studio 5, Standard Edition をサポートしています。Sun ONE Studio 技術は、Java テクノロジ開発者向けの、強力で拡張可能な統合型開発環境 (IDE) です。Sun ONE Studio 5 は、NetBeans^TM ソフトウェアを基本とし、Sun ONE プラットフォームに統合されています。(Sun ONE Web Server 6.1 は、NetBeans 3.5 および 3.5.1 もサポートしています。

Sun ONE Studio は、Sun ONE Web Server 6.1 がサポートするすべてのプラットフォームでサポートされています。Web Server 用のプラグインは、次の方法で入手できます。

Sun ONE Web Server 6.1 用の Sun ONE Studio 5 プラグインは、ローカル Web サーバーだけで機能することに注意してください (つまり、IDE と Web サーバーが同じマシンに存在する必要があります)。

Sun ONE Web Server 6.1 用の Sun ONE Studio 5 プラグインは、Sun^TM ONE Application Server 7 用プラグインと同じように動作します。Sun ONE Studio 5 の Web アプリケーション機能の使用については、次の Web サイトにあるチュートリアルを参照してください。
http://developers.sun.com/tools/javatools/documentation/s1s5/cdshop.pdf

Sun ONE Web Server 6.1 インスタンスをデフォルトとして設定し、チュートリアルの説明どおりに操作します。

NSS 3.3.5 および NSPR 4.1.5 のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、NSS (Network Security Services) 3.3.5 および NSPR (Netscape Portable Runtime) 4.1.5 をサポートします。

PHP との互換性

Sun ONE Web Server 6.1 は、広く使用されている多目的のオープンソース Web スクリプト言語である PHP と互換性があります。PHP (PHP Hypertext Preprocessor) は、すべての主要オペレーティングシステムで動作します。

Sun ONE Web Server 6.1 で使用する場合は、PHP バージョン 4.3.2 をお勧めします。PHP 関連のインストールと設定に関する Sun ONE Web Server に固有の情報については、次の Web サイトを参照してください。
http://www.php.net/manual/en/install.netscape-enterprise.php

強化されたハードウェアアクセラレータによる暗号化のサポート

Sun ONE Web Server 6.1 は、Web サーバーでの SSL のパフォーマンスを向上させる暗号化アクセラレータボード Sun^TM Crypto Accelerator 1000 用に、ハードウェアアクセラレータをサポートします。

起動時開始オプション

UNIX プラットフォームの Sun ONE Web Server 6.1 では、起動時開始オプションを利用できます。このオプションを使用すると、システムの起動時に Web サーバーが自動的に起動されるように設定できます。詳細については、『Sun ONE Web Server 6.1 インストールおよび移行ガイド』を参照してください。

その他の機能

複数のプロセス、プロセスモニター、フェイルオーバー、自動回復、ダイナミックログローテーションなどをサポートします。

Sun ONE Web Server の管理と運用

Sun ONE Web Server は、次のユーザーインタフェースを使用して管理できます。

以前のリリースでは、Web サーバーやその他の Netscape サーバーは、管理サーバーという単一のサーバーで管理されていました。リリース 4.x では、「管理サーバー」は、Sun ONE Web Server の単なる追加のインスタンスの 1 つとなり、Sun ONE Web Server 管理サーバーまたは管理サーバーと呼ばれます。Sun ONE Web Server のすべてのインスタンスの管理に管理サーバーを使用します。詳細は、「管理サーバー」を参照してください。


注	設定ファイルを編集したり、コマンド行ユーティリティを使用したりすることで、管理作業を手動で行うこともできます。

Sun ONE Web Server の各インスタンスの管理には、サーバーマネージャを使用します。詳細は、「サーバーマネージャ」を参照してください。

仮想サーバーを管理するにはクラスマネージャを使用します。詳細は、「クラスマネージャ」を参照してください。

Sun ONE Web Server の設定

Sun ONE Web Server の設定を変更することで、各種機能を有効または無効にしたり、各クライアントの要求に対する応答方法を指定したり、サーバーで稼動しサーバーとの対話を行うプログラムを記述することが可能となります。これらのオプションを識別する命令 (指令と呼ばれます) は、設定ファイルに格納されます。Sun ONE Web Server は、起動時およびクライアントからの要求時に設定ファイルを読み取り、選択内容と適切なサーバーの動作をマッピングします。

これらのファイルについては、『Sun ONE Web Server 6.1 Administrator's Configuration File Reference』を参照してください。

管理サーバー

管理サーバーは、Web ベースのサーバーで、Java フォームが含まれており、これを使用して Sun ONE Web Server のすべてを設定できます。

Sun ONE Web Server をインストールしたら、ブラウザを使用して、管理サーバーのページを開き、フォームに必要事項を入力して Sun ONE Web Server を設定します。フォームを送信すると、Sun ONE Web Server が管理するサーバーの設定を変更します。

管理サーバーのページを開くのに使用する URL は、Sun ONE Web Server のインストール時に指定した、管理サーバーのコンピュータホスト名やポート番号により異なります。たとえば、管理サーバーをポート 1234 にインストールした場合の URL は次のとおりです。

管理サーバーでは、フォームのページを開く前に、本人の認証を求めるプロンプトが表示されます。ユーザー名とパスワードを入力する必要があります。コンピュータに Sun ONE Web Server をインストールするときに、「スーパーユーザー」のユーザー名とパスワードを設定します。次の図は、一般的な認証画面を示しています。

インストール終了後は、分散管理を使用して、複数のユーザーが管理サーバーの各種フォームにアクセスできるようにすることができます。分散管理については、第 5 章「管理サーバーの設定」の「複数の管理者の許可」を参照してください。

管理サーバーの設定は、複数のタブから構成された右側のウィンドウ枠に表示されます。

管理サーバーにアクセスしたときに表示される最初のページは「Servers」と呼ばれます。このページにある各ボタンを使用して、Sun ONE Web Server の管理、追加、削除、移行を実行します。管理サーバーには管理者レベルのタスク用に次のタブが用意されています。


注	サーバーの設定に必要な CGI プログラムを起動できるように、ブラウザの cookie を有効にする必要があります。

管理者レベルのタスクについての情報を含む、管理サーバーの使用方法については、「Sun ONE Web Server の管理」を参照してください。

サーバーマネージャ

サーバーマネージャは、Web ベースのインタフェースで、Java フォームが含まれており、これを使用して、Sun ONE Web Server の各インスタンスを設定します。

Sun ONE Web Server のサーバーマネージャにアクセスするには、次の手順を実行します。

Sun ONE Web Server をインストールし、起動します。

管理サーバーに「Servers」ページが表示されます。

「Manage Servers」領域から、目的のサーバーを選択し、「Manage」をクリックします。

Sun ONE Web Server に、サーバーマネージャの「Preferences」ページが表示されます。



注	サーバーの設定に必要な CGI プログラムを実行できるように、ブラウザの cookie を有効にする必要があることに留意してください。

「Preferences」ページのリンクを使用して、スレッドプール設定などのオプションを指定したり、Web サーバーのオン、オフを実行したりします。

さらに、サーバーマネージャには次のタブが用意してあり、Sun ONE Web Server 管理タスクを実行できます。

詳細は、オンラインヘルプの「Server Manager」を参照してください。

クラスマネージャ

クラスマネージャは、Web ベースのインタフェースで、Java フォームが含まれており、これを使用して、仮想 Sun ONE Web Server を設定します。仮想サーバーのユーザーインタフェースには、サーバーマネージャとクラスマネージャの 2 つの部分があります。クラスマネージャでは、単一クラスや単一仮想サーバーに影響を与える設定を行います。クラスマネージャでクラスにサービスを設定したり、仮想サーバー (クラスのメンバ) を追加したり、個々の仮想サーバーを設定することができます。

Sun ONE Web Server のクラスマネージャにアクセスするには、次の手順を実行します。

サーバーマネージャから、「Virtual Server Class」タブをクリックします。

サーバーマネージャに「Manage a Class of Virtual Server」ページが表示されます。

ドロップダウンリストから、仮想サーバークラスを選択し、「Manage」をクリックします。

Sun ONE Web Server に、クラスマネージャの「Select a Virtual Server」ページが表示されます。

クラスマネージャには、画面の右上隅にあるクラスマネージャのリンクを単にクリックするだけでも、アクセスすることができます。

クラスマネージャには、Sun ONE Web Server 仮想サーバーを管理するための次のタブが用意してあります。

詳細は、オンラインヘルプの「クラスマネージャ」を参照してください。

仮想サーバーマネージャ

仮想サーバーマネージャにアクセスするにはクラスマネージャの「Virtual Servers」タブを表示し、「Manage Virtual Servers」ページのリストから仮想サーバーを選択して、「Manage」をクリックします。またはツリービューで仮想サーバーへのリンクをクリックします。

仮想サーバーマネージャのページから、ステータスや設定を確認したり、Java Web アプリケーションの状態をオンにしたり、選択した仮想サーバーについてのレポートを生成したりすることができます。

仮想サーバーマネージャには、Sun ONE Web Server 仮想サーバーを管理するための次のタブが用意してあります。

リソースピッカーの使用

サーバーマネージャとクラスマネージャのページの多くは、Sun ONE Web Server 全体やクラス全体を設定するのに使用します。ただし、サーバー (またはクラス) 全体、またはサーバー (またはクラス) が管理するファイルとディレクトリ、のどちらかを設定できるページもあります。これらのページには、最上部にリソースピッカーがあります。

リソースピッカーが表示されているページは数多くあり、サーバーマネージャの「Log Preferences」ページやクラスマネージャの「Content Management」タブからアクセスできる画面の多くが含まれます。

リソースピッカーを使用するには、設定のドロップダウンリストからリソースを選択します。「Browse」をクリックしてプライマリドキュメントを直接参照し、「Wildcard」をクリックして特定の拡張子を持つファイルを設定します。

リソースピッカーで使用するワイルドカード

サーバー設定の大部分で、ワイルドカードパターンを指定して、設定する 1 つ、または、複数の項目を示すことができます。ただし、アクセス制御に用いるワイルドカードと、この節で述べるワイルドカードとは、一部、異なる場合があるため注意が必要です。

ワイルドカードパターンには、特殊文字を使用します。これらの特殊文字を特殊な意味を持たせずに使用したい場合は、1 つの ¥ (円マーク) を該当する特殊文字の前に付けます。

ワイルドカードパターンは、ファイル名だけでなく、ディレクトリパスにも適用されます。このため、ワイルドカードパターンは、特定のディレクトリ内のファイルだけに適用されます。たとえば、/tmp ディレクトリにファイルを追加するには、tmp/*.html というワイルドカードパターンを指定します。すべてのサブディレクトリからの index.html を追加する場合は、パターンは */index.html となります。

表 1-1 リソースピッカーのワイルドカードパターン
パターン	使用法
*	0 個以上の文字に相当します。
?	任意の文字 1 個に相当します。
\|	OR 式を構成します。この演算子とともに使用する部分文字列では、* または $ のような他の特殊文字を含むことができます。部分文字列は (a\|b\|c) などのようにカッコで囲む必要があります。しかし、( ) を入れ子にして使用することはできません。
$	文字列の末尾に相当します。これを OR 式で使用すると便利です。
[abc]	a、b、または c という文字の 1 回の出現に相当します。この式では、特殊文字として扱われる文字は ] だけです。その他の文字は特殊文字として扱われません。
[a-z]	a から z までの文字の 1 回の出現に相当します。
[^az]	a でも z でもない、任意の 1 個の文字に相当します。
*~	この式は、後ろに別の式が続き、2 番目の式と一致するパターンをすべて削除します。

表 1-2 リソースピッカーのワイルドカードの例
パターン	使用法
*.sun.com	.sun.com という綴りで終わる任意の文字列に相当します。
(products\|docs).sun.com	products.sun.com または docs.sun.com のいずれかに相当します。
198.93.9[23].???	198.93.92 または 198.93.93 のいずれかで始まり、任意の 3 文字で終わる数値文字列に相当します。
.	ピリオドが含まれる任意の文字列に相当します。
~sun-	文字列の最初の部分が sun- という綴りではない、任意の文字列に相当します。
*.sun.com~docs.sun.com	sun.com というドメインに含まれているすべてのホスト (ただし docs.sun.com を除く) に相当します。
*.sun.com~(products\|docs\|software).sun.com	ホスト products.sun.com、docs.sun.com、および software.sun.com を除き、ドメイン sun.com に含まれるすべてのホストに相当します。
.com~.sun.com	サブドメイン sun.com のホストを除き、ドメイン com に含まれるすべてのホストに相当します。

第 1 章 Sun ONE Web Server の概要