Sun ONE ロゴ      前へ      目次      索引      次へ     

Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド

第 12 章
ネーミングとリソースの設定

コンポーネントベースの J2EETM (JavaTM 2 Platform, Enterprise Edition) テクノロジには、エンタープライズレベルの開発と配備を簡略化するために、Web サービス用のインフラストラクチャが用意されています。

この章では、Sun ONE Web Server が提供する J2EE リソースを紹介し、これらのリソースを作成、管理する方法について説明します。

Java のセキュリティとレルムベースの認証については、第 4 章「Web コンテナと Web アプリケーションの J2EE ベースのセキュリティ」を参照してください。

この章には、次の内容が記述されています。


Java の有効化と無効化

Java の有効と無効の設定は、Sun ONE Web Server のインスタンス単位でグローバルで行うか、特定の仮想サーバークラス単位で行うことができます。デフォルトでは、Sun ONE Web Server では Java が有効になっていて、magnus.conf ファイルには次の行が追加されています。

Init fn="load-modules" shlib="<server-root>/bin/https/lib/libj2eeplugin.so"

特定の仮想サーバーで Java を有効にすることもできます。この場合、サーバーはその仮想サーバーの obj.conf ファイルを、必要な J2EE 指令で更新します。

obj.conf ファイルと magnus.conf ファイルについては、『Sun ONE Web Server 6.1 Administrator's Configuration File Reference』および『Sun ONE Web Server 6.1 NSAPI Programmer's Guide』を参照してください。

サーバー全体、または特定の仮想サーバークラスがスタティックコンテンツだけを提供する場合など、Java をグローバルに、または特定の仮想サーバークラスで無効にすることが必要な場合もあります。

Java を有効または無効にするには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「Enable/Disable Servlets/JSP」をクリックします。
  3. 「Enable/Disable Servlets/JSP」インタフェース
    「Enable/Disable Servlets/JSP」ページを示す図

  4. Java をグローバルに有効または無効にするときは、「Enable/Disable Java Globally」を選択するか、選択解除します。
  5. または

    特定の仮想サーバークラスで Java を有効または無効にするときは、対応する仮想サーバークラスの「Enable/Disable Java」を選択するか、選択解除します。

  6. 「OK」をクリックします。


JVM の設定

従来のバージョンとは異なり、Sun ONE Web Server 6.1 はスタンドアロン Java 実行時環境 (Java Runtime Environment、JRE) をサポートしなくなりました。その代わりに、サーバーでは JDK 1.4.1 以降が必須となります。サーバーをインストールするときに、デフォルトの JDK オプションを選択した場合は、<server-root>/bin/https/jdk ディレクトリに JDK (Java Development Kit) 1.4.1_03 がインストールされます。

サーバーインスタンスに合わせて、JVM (Java Virtual Machine) を設定することができます。この設定には、Java ホームの場所、コンパイラオプション、デバッグオプション、プロファイラ情報などが含まれます。これらの設定を行う理由の一つは、パフォーマンスの向上です。パフォーマンスについては、『Sun ONE Web Server 6.1 Performance Tuning, Sizing, and Scaling Guide』を参照してください。

一般設定

JDK の場所を編集し、デバッグオプションを指定するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JVM General」をクリックします。
  3. 「JVM General」インタフェース
    「JVM General」ページを示す図

  4. 「Java Home」を設定します。
  5. Java Home は、JDK (Java Developer's Kit) がインストールされているディレクトリへのパスです。Sun ONE Web Server は、Sun JDK 1.4.1_03 をサポートしています。

  6. デバッグを有効にするかどうかを選択し、デバッグオプションを設定します。
  7. デバッグオプションのリストは、次の場所で参照できます。http://java.sun.com/products/jpda/doc/conninv.html#Invocation

  8. 「OK」をクリックします。

パスの設定

JVM パスの設定が必要な場合もあります。たとえば、XML Parser クラスなどのシステムクラスの設定を置き換えたるためにシステムクラスパスのサフィックスを選択したり、環境変数により運用環境に悪影響を与えないために環境クラスパスを無視するように設定することが必要になる場合があります。

管理インタフェースで JVM のパスを設定するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JVM Path Settings」をクリックします。
  3. システムのクラスパスのサフィックスを選択します。
  4. 環境変数のクラスパスを無視するかどうかを指定します。
  5. クラスパスを無視しない場合、CLASSPATH 環境変数が読み込まれ、Sun ONE Web Server のクラスパスに追加されます。CLASSPATH 環境変数は、classpathsuffix の一番最後の部分に追加されます。

    開発環境では、クラスパスを使用してください。運用環境では、このクラスパスを無視して環境変数に影響を与えないようにする必要があります。

  6. ネイティブライブラリパスのプレフィックスとサフィックスを設定します。
  7. ネイティブライブラリパスは、Web Server のインストール相対パスに、ネイティブ共有ライブラリ、標準 JRE ネイティブライブラリパス、シェル環境設定 (UNIX の LD_LIBRARY_PATH)、さらに profiler 要素で指定されるすべてのパスを指定することで、自動的にこれらを連結して作成されます。これは合成されたものなので、明示的にサーバー設定としては表示されません。

  8. 「OK」をクリックします。

JVM オプションの設定

管理インタフェースで JVM コマンド行オプションを設定するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JVM Options」をクリックし、必要な変更を加えます。
  3. 各 JVM オプションについては、次の URL を参照してください。

    http://java.sun.com/docs/hotspot/VMOptions.html

  4. 「OK」をクリックします。

JVM プロファイラの設定

サーバー側のパフォーマンスのボトルネックを見つけるために、プロファイラを使って、Sun ONE Web Server 上でリモートプロファイリングを行うことができます。

管理インタフェースで JVM プロファイラを設定するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JVM Profiler」をクリックします。
  3. クラスパスとネイティブライブラリパスを指定し、プロファイラを有効にするかどうかを指定します。
  4. プロファイラの JVM オプションを追加、削除、編集し、「OK」をクリックします。

プロファイラについては、『Sun ONE Web Server 6.1 Programmer's Guide』を参照してください。


J2EE ネーミングサービスおよびリソースについて

Web アプリケーションは、リソースマネージャ、データソース (たとえば SQL データソースなど)、メールセッション、URL 接続ファクトリなど、さまざまなリソースにアクセスします。J2EE プラットフォームは、JNDI (Java Naming and Directory Interface) を経由して、これらのリソースをアプリケーションに公開します。

Sun ONE Web Server では、次の J2EE リソースを作成、管理できます。

JDBC データソース

JDBC データソースは、Sun ONE Web Server で作成、管理できる J2EE リソースです。

JDBC API は、リレーショナルデータベースシステムとの接続用 API です。JDBC API は、次の 2 つの部分に分かれています。

JDBC データソースオブジェクトは、Java プログラミング言語へのデータソースの実装です。データソースは、基本的にはデータを格納するための機能です。これは、大企業向けの複雑なデータベースである場合もあり、行と列から構成される簡単なファイルである場合もあります。JDBC データソースは、Sun ONE Web Server 経由で作成、管理できる J2EE リソースです。

JDBC API は、さまざまなリレーショナルデータベースに安定してアクセスできるように、標準 SQL データベースアクセスインタフェース用のクラスセットを Java に提供します。

JDBC を使用することで、仮想的にあらゆるデータベース管理システム (DBMS) に SQL 文を送信できます。これは、リレーショナル DBMS とオブジェクト DBMS の両方のインタフェースとして使用されます。

カスタムリソースの作成については、「JDBC リソースの作成」を参照してください。

JDBC 接続プール

JDBC 接続プールは、データベースへの JDBC 接続のグループで、名前が付けられています。これらの接続は、Sun ONE Web Server の起動時に、プールで最初の接続要求が行われるときに作成されます。

JDBC 接続プールは、接続プールの作成に使用されるプロパティを定義します。個々の接続プールは、サーバーの起動時に、JDBC ドライバを使用して実際のデータベースとの接続を確立します。

JDBC ベースのアプリケーションまたはリソースは、プールとの接続を確立してそれを使用し、接続が不要になると、接続を閉じて接続プールに戻します。複数の JDBC リソースが同じプール定義を指定する場合、実行時に同じ接続プールが使用されます。

新しい JDBC 接続プールの作成方法については、「JDBC 接続プールの新規作成」を参照してください。

Java メールセッション

JMS 送信先は、Sun ONE Web Server 経由で作成、管理できる J2EE リソースです。

多くのインターネットアプリケーションでは、電子メールによる通知を送信する機能を必要とするため、J2EE プラットフォームには、アプリケーションコンポーネントがインターネットメールを送信できるように、JavaMail API と JavaMail サービスプロバイダが用意されています。JavaMail API は、次の 2 つの部分に分かれています。

JMS メールセッションは、Sun ONE Web Server 経由で作成、管理できる J2EE リソースです。


Sun ONE Web Server には、Java メールセッションを作成するための管理サーバーインタフェースが用意されていません。この操作は、コマンド行インタフェースを使って実行できます。コマンド行ユーティリティを使ってメールリソースを作成する方法については、「メールリソースの作成」を参照してください。


カスタムリソース

カスタムリソースは、ローカル JNDI リポジトリにアクセスします。カスタムサーバー全体のリソースオブジェクトファクトリを指定するには、server.xml に定義されている customresource 要素を使用します。このようなオブジェクトファクトリは、javax.naming.spi.ObjectFactory インタフェースを実装します。この要素は、サーバー全体のネームスペースで使用される JNDI 名 (その他の Sun ONE Web Server リソースと同様に、jndiname サブ要素を使って指定されます) と、そのタイプ、リソースファクトリクラスの名前、および同じインスタンスの作成に使用される標準プロパティを関連付けます。

リソース参照の環境参照が、server.xmlcustomresource タグおよび externaljndiresource タグによって定義される、設定済みのサーバー全体のリソースにリンクされていることを確認する必要があります。アプリケーションコンポーネントのダイナミックな再配備は、JNDI ネーミング環境で問題となります。Sun ONE Web Server は、アプリケーションに固有のすべての参照を解放し、新たにインストールされたアプリケーションのネーミングコンテキスト内で、新しい参照をすべて作成し直します。

カスタムリソースの作成については、「カスタムリソースの作成」を参照してください。

外部 JNDI リソース

Sun ONE Web Server で稼動するアプリケーションの多くは、外部 JNDI リポジトリに格納されているリソースにアクセスします。たとえば、汎用 Java オブジェクトは、Java スキーマとして LDAP サーバーに格納することができます。カスタムリソースではローカル JNDI リポジトリにアクセスできましたが、外部 JNDI リポジトリにアクセスするには、外部 JNDI リソースを使用しなければなりません。外部 JNDI ファクトリは、javax.naming.spi.InitialContextFactory インタフェースを実装する必要があります。

外部 JNDI リソースの作成については、「外部 JNDI リソースの作成」を参照してください。


JNDI (Java Naming and Directory Interface) について

ここでは、JNDI (Java Naming and Directory Interface) について説明します。JNDI は、さまざまなネーミングサービスやディレクトリサービスにアクセスするためのアプリケーションプログラミングインタフェース (API) です。J2EE コンポーネントは、JNDI 検索メソッドを呼び出してオブジェクトを特定します。

この節では、次の内容について説明します。

J2EE ネーミングサービス

JNDI 名は、ユーザーにとって理解しやすいオブジェクト名です。これらの名前は、J2EE サーバーが提供するネーミングとディレクトリのサービスによって、実際のオブジェクトにバインドされます。J2EE コンポーネントは、JNDI API 経由でこのサービスにアクセスするため、ユーザーが理解しやすいオブジェクト名を JNDI 名と呼びます。たとえば、Oracle データベースの JNDI 名としては、jdbc/Oracle が考えられます。Sun ONE Web Server を起動すると、設定ファイルの情報が読み取られ、JNDI データベース名が自動的にネームスペースに追加されます。

アプリケーションコンポーネントのネーミング環境は、運用時またはアセンブル時にアプリケーションコンポーネントのビジネスロジックをカスタマイズできるメカニズムです。アプリケーションコンポーネントの環境を使用することで、アプリケーションコンポーネントのソースコードを変更せずに、アプリケーションコンポーネントをカスタマイズすることができます。

J2EE コンテナには Web アプリケーションコンポーネントの環境が実装されて、アプリケーションコンポーネントインスタンスに、 JNDI ネーミングコンテキストとして提供されます。アプリケーションコンポーネントの環境は、次のように使用されます。

各アプリケーションコンポーネントは、独自の環境エントリセットを定義します。同じコンテナに含まれるアプリケーションコンポーネントのすべてのインスタンスは、同じ環境エントリを共有します。アプリケーションコンポーネントインスタンスは、実行時に環境を変更することができません。

ネーミング参照とバインド情報

リソース参照は、配備記述子内の要素で、コンポーネントのコード化されたリソース名を識別します。より具体的には、コード化された名前は、そのリソースの接続ファクトリを参照します。次の項で紹介する例では、リソース参照名は jdbc/SavingsAccountDB です。

リソースの JNDI 名と、リソース参照の名前は異なります。この命名方法では、配備の前に 2 つの名前をマッピングする必要がありますが、リソースからコンポーネントが切り離されることにもなります。この切り離しにより、後にコンポーネントが別のリソースにアクセスしなければならなくなったときに、コード内で名前を変更する必要がなくなります。また、この柔軟性により、既存のコンポーネントから J2EE アプリケーションを構築することが容易になります。

次の表は、推奨される JNDI 検索と、Sun ONE Web Server で使用される、それぞれに関連付けられている J2EE リソースの参照を示しています。

表 12-1 JNDI 検索と関連参照

JNDI 検索名

関連付けられている参照

java:comp/env

アプリケーション環境エントリ

java:comp/env/jdbc

JDBC DataSource リソース

java:comp/env/mail

JavaMail セッション接続ファクトリ

java:comp/env/url

URL 接続ファクトリ

J2EE 標準配備記述子内のネーミング参照

ネーミング参照は、アプリケーションが指定のネーミングコンテキストからオブジェクトを検索するために使用する文字列です。各 Web アプリケーションにはネーミングコンテキストがあり、参照は標準のコンポーネント配備記述子に設定されています。ここでは、Sun ONE Web Server で使用される標準の配備記述子の機能について説明します。この節では、次の内容について説明します。

アプリケーション環境エントリ

<env-entry> によって定義される環境エントリは、配備時のパラメータを J2EE Web アプリケーションに指定するための方法です。<context-param> を使用してサーブレットコンテキスト初期化パラメータを定義することもできますが、アプリケーションデプロイヤは、名前、タイプ、値を明示的に指定してこのようなアプリケーションパラメータを設定するため、<env-entry> のほうが好まれます。

次の例は、J2EE 標準配備記述子に指定される <env-entry> の構文を示しています。

<env-entry>

<description> Send pincode by mail </description>

<env-entry-name> mailPincode </env-entry-name>

<env-entry-value> false </env-entry-value>

<env-entry-type> java.lang.Boolean </env-entry-type>

</env-entry>

<env-entry-type> タグは、エントリの完全修飾クラス名を指定します。次に、JNDI を使用してサーブレットまたは JSP から <env-entry> を検索するコード例を示します。

Context initContext = new InitialContext();

Boolean mailPincode = (Boolean)

initContext.lookup("java:comp/env/mailPincode");

// one could use relative names into the sub-context

Context envContext = initContext.lookup("java:comp/env");

Boolean mailPincode = (Boolean)

envContext.lookup("mailPincode");

リソースへの参照

ファクトリは、その他のオブジェクトを必要に応じて作成するオブジェクトです。リソースファクトリは、データベース接続やメッセージサービス接続などのリソースオブジェクトを作成します。これは、<resource-ref> 要素を使用して、標準配備記述子に設定されます。

次に、ファクトリの使用例を示します。

javax.sql.DataSource というタイプのオブジェクトを返す JDBC 接続ファクトリへの参照の宣言

<resource-ref>

<description> Primary database </description>

<res-ref-name> jdbc/primaryDB </res-ref-name>

<res-type> javax.sql.DataSource </res-type>

<res-auth> Container </res-auth>

</resource-ref>

<res-type> は、リソースファクトリの完全修飾クラス名です。<res-auth> 変数には、値として Container または Application を割り当てることができます。

Container を指定した場合、Web コンテナは、リソースファクトリを JNDI 検索レジストリにバインドする前に認証を処理します。Application を指定した場合、サーブレットがプログラム上で認証を処理する必要があります。リソースのタイプを指定する異なるサブコンテキストによって、異なるリソースファクトリが検索されます。

次に、アプリケーションコンポーネントから JDBC 接続を取得し、コンテナが認証を処理するコード例を示します。

InitialContext initContext = new InitialContext();

DataSource source =

(DataSource) initContext.lookup("java:comp/env/jdbc/primaryDB");

Connection conn = source.getConnection();

これらのリソース参照が確実に機能するには、実行時に res-ref-name が有効なリソースファクトリにマッピングされる必要があることに注意してください。

リソース環境参照

リソース環境参照は、JNDI 検索によって、リソースに関連付けられている管理対象オブジェクトにアクセスするための方法です。アプリケーションは、標準配備記述子に定義される <resource-env-ref> 要素を使用してリソース要件を宣言します。

<resource-env-ref> 要素と <resource-ref> 要素の最大の違いは、特定のリソース認証要件が指定されていないことです。これらの要素は、どちらもリソースファクトリ記述子によってバックアップされる必要があります。

<resource-env-ref>

     <description> My Topic </description>

     <res-env-ref-name> jdbc/MyTopic </res-ref-name>

     <res-env-ref-type> javax.jdbc.Topic </res-type>

</resource-env-ref>

次に、JMS Topic オブジェクトにアクセスするためのコード例を示します。

InitialContext initContext = new InitialContext();

javax.jms.Topic myTopic = (javax.jdbc.Topic) initContext.lookup("java:comp/env/jdbc/MyTopic");

初期ネーミングコンテキスト

Sun ONE Web Server によるネーミングのサポートは主に J2EE 1.3 に基づき、それにいくつかの拡張が追加されています。アプリケーションコンポーネントが InitialContext() を通じて初期コンテキストを作成すると、Sun ONE Web Server は、その Web アプリケーションのネーミング環境へのハンドルとして機能するオブジェクトを返します。このオブジェクトは、java:comp/env ネームスペースのサブコンテキストを提供します。各 Web アプリケーションは固有のネームスペースを取得します。つまり、java:comp/env ネームスペースは Web アプリケーションごとに異なり、ある Web アプリケーションでネームスペースにバインドされるオブジェクトは、別の Web アプリケーションでバインドされるオブジェクトと競合しません。

JNDI 接続ファクトリ

J2EE Web アプリケーションでは、web.xml ファイル内の配備記述子は、アプリケーション環境エントリ、またはリソースマネージャ (SQL データソースなど) 接続ファクトリへの参照を定義するためのプレイスホルダです。アプリケーションは、J2EE コンテナが提供する JNDI InitialNamingContext を使用してこの参照を検索します。これにより、アプリケーションのソースコードにアクセスしたり、それを変更したりすることなく、配備記述子に変更を加えるだけで、別の Web Server 環境でアプリケーションを利用できます。

接続ファクトリは、J2EE コンポーネントがリソースにアクセスするための接続オブジェクトを生成するオブジェクトです。データベースの接続ファクトリは javax.sql.DataSource オブジェクトで、これは java.sql.Connection オブジェクトを作成します。

Sun ONE Web Server では、次のリソースおよびリソースファクトリにアクセスする方法を設定できます。

Sun ONE Web Server のすべてのリソースファクトリは、server.xml ファイルの <resources> </resources> タグ内に指定され、jndiname 属性によって指定される JNDI 名を持ちます (例外として、jdbconnectionpool は JNDI 名を持たない)。この属性は、サーバー全体のネームスペースへのファクトリの登録に使用されます。デプロイヤは、sun-web.xml ファイルの resource-ref 要素を使用して、ユーザーが指定したアプリケーション固有のリソース参照名 (resource-ref 要素または resource-env-ref 要素内で宣言される) を、このサーバー全体のリソースファクトリにマッピングできます。これにより、特定のアプリケーションでどの JDBC リソース (およびその他のリソースファクトリ) を使用するかを、配備時に決定できます。

カスタムリソースはローカル JNDI リポジトリにアクセスし、外部リソースは外部 JNDI リポジトリにアクセスします。どちらのリソースも、ユーザー指定のファクトリクラス要素、JNDI 名属性などを必要とします。

ここでは、各種 J2EE リソースを作成する方法、およびこれらのリソースにアクセスする方法について説明します。


Java ベースのリソースの作成

ここでは、管理インタフェースを使用して各種 J2EE ベースリソースを作成する方法について説明します。

JDBC 接続プールの新規作成

新しい JDBC 接続プールは、次の方法で作成できます。

管理インタフェースを使用

管理インタフェースを使用して新しい JDBC 接続プールを作成するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Connection Pools」をクリックします。
  3. 「New」をクリックします。
  4. 「JDBC Connection Pools」インタフェース
    「JDBC Connection Pools」ページを示す図

  5. 「Database Vendor」ドロップダウンメニューから、接続するデータベースのタイプを選択します。適切な DBMS が表示されないときは、「Other」を選択します。
  6. 「New JDBC Connection Pool」インタフェース
    データベースベンダを選択した状態の「New JDBC Connection Pool」ページを示す図

  7. 「Next」をクリックします。
  8. 「Add New JDBC Connection Pool」ページが表示されます。

  9. 新しい接続プールのプロパティを指定し、「OK」をクリックします。
  10. 次に、指定が必要な接続プールのプロパティを示します。

コマンド行インタフェースを使用

コマンド行インタフェースを使用して新しい JDBC 接続プールを作成する方法については、付録 A 「コマンド行ユーティリティ」の「JDBC 接続プールの作成」を参照してください。

JDBC リソースの作成

JDBC リソースはデータソースとも呼ばれ、getConnection() を使用してデータベースへの接続を提供します。JDBC リソースは、次の方法で作成できます。

管理インタフェースの使用

管理インタフェースを使用して JDBC リソースを作成するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Resources」をクリックします。
  3. 「New」ボタンをクリックします。
  4. 次の情報を入力します。
    • JNDI Name (必須): JDBC リソースへのアクセスにアプリケーションコンポーネントが使用しなければならない JNDI 名を入力します。
    • Pool Name (必須): この JDBC リソースで使用される接続プールの名前 (または ID) をリストから選択します。詳細は、「JDBC 接続プールの新規作成」を参照してください。
  5. JDBC リソースを有効にするには、「Data Source Enabled」ドロップダウンリストから「On」を選択します。
  6. JDBC リソースが無効な場合、どのアプリケーションコンポーネントもこのリソースに接続できませんが、設定はサーバーインスタンスで維持されます。

  7. 「OK」をクリックします。
  8. 「Apply Changes」をクリックします。

コマンド行インタフェースを使用

コマンド行インタフェースを使用して新しい JDBC リソースを作成する方法については、付録 A 「コマンド行ユーティリティ」の「JDBC リソースの作成」を参照してください。

カスタムリソースの作成

カスタムリソースは、次の方法で作成できます。

管理インタフェースの使用

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「Custom Resources」をクリックします。
  3. 「New」ボタンをクリックします。
  4. 次の情報を入力します。
    • JNDI Name (必須): カスタムリソースへのアクセスにアプリケーションコンポーネントが使用しなければならない JNDI 名を入力します。
    • Resource Type (必須): カスタムリソースの完全修飾タイプを入力します。
    • Factory Class (必須): ユーザーが記述するファクトリクラスの完全修飾名を入力します。このクラスは javax.naming.spi.ObjectFactory を実装します。
    • Custom Resource Enabled (オプション): 「On」を選択すると、実行時にカスタムリソースが有効になります。
  5. 「OK」をクリックします。
  6. 「Apply Changes」をクリックします。

コマンド行インタフェースを使用

コマンド行インタフェースを使用して新しいカスタムリソースを作成する方法については、付録 A 「コマンド行ユーティリティ」の「カスタムリソースの作成」を参照してください。

外部 JNDI リソースの作成

外部リソースは、次の方法で作成できます。

管理インタフェースの使用

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「External JNDI Resources」をクリックします。
  3. 「New」ボタンをクリックします。
  4. 次の情報を入力します。
    • JNDI Name (必須): カスタムリソースへのアクセスにアプリケーションコンポーネントが使用しなければならない JNDI 名を入力します。
    • Resource Type (必須): カスタムリソースの完全修飾タイプを入力します。
    • Factory Class (必須): ユーザーが記述するファクトリクラスの完全修飾名を入力します。このクラスは javax.naming.spi.ObjectFactory を実装します。
    • JNDI Lookup (必須): 外部リポジトリを検索するための JNDI 値を入力します。たとえば、メールクラスをテストするために外部リポジトリに接続する外部リソースを作成する場合、JNDI 検索は cn=testmail を読み込みます。
    • External Resource Enabled (オプション): 「On」を選択すると、実行時に外部リソースが有効になります。
  5. 「OK」をクリックします。
  6. 「Apply Changes」をクリックします。

コマンド行インタフェースを使用

コマンド行インタフェースを使用して新しいカスタムリソースを作成する方法については、付録 A 「コマンド行ユーティリティ」の「外部 JNDI リソース」を参照してください。


Java ベースのリソースの変更

ここでは、作成した Java ベースのリソースのプロパティを、管理インタフェースを使用して変更する方法について説明します。

JDBC 接続プールの変更

JDBC 接続プールのプロパティを変更するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Connection Pools」リンクをクリックします。
  3. 編集する JDBC 接続プールのリンクをクリックします。
  4. 必要に応じて設定を変更します。
  5. 「OK」をクリックします。

JDBC リソースの変更

JDBC リソースのプロパティを変更するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Resources」リンクをクリックします。
  3. 編集する JDBC リソースのリンクをクリックします。
  4. 必要に応じて設定を変更します。
  5. 「OK」をクリックします。

カスタムリソースの変更

カスタムリソースのプロパティを変更するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「Custom Resources」リンクをクリックします。
  3. 編集するカスタムリソースのリンクをクリックします。
  4. 必要に応じて設定を変更します。
  5. 「OK」をクリックします。

外部 JNDI リソースの変更

外部 JNDI リソースのプロパティを変更するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「External JNDI Resources」リンクをクリックします。
  3. 編集する外部 JNDI リソースのリンクをクリックします。
  4. 必要に応じて設定を変更します。
  5. 「OK」をクリックします。


Java ベースのリソースの削除

ここでは、管理インタフェースを使用して各種 Java ベースリソースを削除する方法について説明します。

JDBC 接続プールの削除

JDBC リソースは、次のいずれかの方法で削除できます。

管理サーバーの使用

管理サーバーを使用して JDBC 接続プールを削除するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Connection Pools」リンクをクリックします。
  3. 削除する JDBC 接続プールのチェックボックスを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。
コマンド行ユーティリティを使用

使用するコマンド行オプションの構文については、「コマンド行ユーティリティ」を参照してください。

JDBC リソースの削除

JDBC リソースは、次のいずれかの方法で削除できます。

管理サーバーの使用

管理サーバーを使用して JDBC リソースを削除するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「JDBC Resources」リンクをクリックします。
  3. 削除する JDBC リソースのチェックボックスを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。
コマンド行ユーティリティを使用

使用するコマンド行オプションの構文については、「コマンド行ユーティリティ」を参照してください。

カスタムリソースの削除

カスタムリソースは、次のいずれかの方法で削除できます。

管理サーバーの使用

管理サーバーを使用してカスタムリソースを削除するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「Custom Resources」リンクをクリックします。
  3. 削除するカスタムリソースのチェックボックスを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。
コマンド行ユーティリティを使用

使用するコマンド行オプションの構文については、「コマンド行ユーティリティ」を参照してください。

外部 JNDI リソースの削除

外部 JNDI リソースは、次のいずれかの方法で削除できます。

管理サーバーの使用

管理サーバーを使用して外部 JNDI リソースを削除するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーマネージャにアクセスし、「Java」タブを選択します。
  2. 「External JNDI Resources」リンクをクリックします。
  3. 削除する外部 JNDI リソースのチェックボックスを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。
コマンド行ユーティリティを使用

使用するコマンド行オプションの構文については、「コマンド行ユーティリティ」を参照してください。



前へ      目次      索引      次へ     


Copyright 2004 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved.