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Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド

第 14 章
仮想サーバーの作成と設定

仮想サーバーのクラスには、仮想サーバー (クラスのメンバー) が関連付けられます。クラスレベルの設定の一部を、仮想サーバーレベルで無効にすることができます。この章では、個々の仮想サーバーを作成して設定する方法について説明します。仮想サーバークラスの設定については、「コンテンツ管理」を参照してください。仮想サーバーの概要については、「仮想サーバーの使用」を参照してください。

この章では、次の項目について説明します。


仮想サーバーの作成

仮想サーバーを使用すると、インストールされた 1 つのサーバーで、複数の会社または個人に対して、ドメイン名、IP アドレス、およびサーバー監視機能を提供できます。仮想サーバーの紹介および Sun ONE Web Server での仮想サーバーの設定方法については、「仮想サーバーの使用」を参照してください。

仮想サーバーを作成するには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブを選択します。
  2. 「Add Virtual Server」をクリックします。
  3. 仮想サーバーの名前を選択します。
  4. 仮想サーバーの URL ホストを選択します。
  5. 複数の URL ホストを、空白文字で区切って入力できます。

  6. 「OK」をクリックします。

仮想サーバーの作成に必要な設定項目はこれだけです。ただし、このタブのほかのページを使用して、さらに詳細な仮想サーバーの設定内容を設定できます。


仮想サーバーの設定内容の変更

仮想サーバーを設定したあと、設定内容を変更できます。仮想サーバーの設定を変更する方法は 2 通りあります。1 つはクラスマネージャを使用する方法で、もう 1 つは仮想サーバーマネージャを使用する方法です。

クラスマネージャでは、ページは変更する設定の種類別に編成されています。たとえば、クラスの 1 つまたは複数の仮想サーバーについてサービス品質の設定を変更する場合は、「Quality of Service」ページを使用します。

仮想サーバーマネージャでは、ページは 1 つの仮想サーバーだけに関係します。したがって、その仮想サーバーのすべての設定を表示したり変更したりできます。


クラスマネージャを使用した変更

次に示すクラスマネージャの各ページを使用して、仮想サーバーの設定を変更します。

仮想サーバーの設定内容の変更

仮想サーバーの一般設定を変更する場合は、「Edit Virtual Servers」ページを使用します。このページにアクセスするには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブをクリックします。
  2. 「Edit Virtual Servers」をクリックします。
  3. 仮想サーバーを編集するには、編集する仮想サーバーの隣のドロップダウンリストから「Edit」または「Delete」を選択します。
  4. デフォルトの仮想サーバーは、編集することはできますが、削除することはできません。

  5. 「State」を、「On」、「Off」、または「Disabled」に設定します。
  6. 管理者は仮想サーバーの状態を「Disabled」に設定しても再びオンに戻すことができますが、その仮想サーバーのエンドユーザーはオンにすることができません。

    これは仮想サーバーの状態であり、サーバーインスタンスのオンまたはオフとは関係ありません。このページで仮想サーバーの状態がオンと表示されている場合、サーバーインスタンスもオンのときだけ、その仮想サーバーは要求を受け付けることができます。

    デフォルトのサーバーインスタンスのデフォルトの仮想サーバーについても同じことがいえます。サーバーインスタンスをオフにすると、デフォルトの仮想サーバーはオンのままですが、接続を受け付けることはできません。

    サーバーインスタンスのデフォルトの仮想サーバーは、「Off」にしたり、「Disabled」にすることはできません。

  7. 「Urlhosts」列に表示されているものと異なる URL ホストを使用する場合は、「URL Hosts」にそのホスト名を入力します。
  8. 複数の URL ホストを、空白文字で区切って入力できます。

  9. 仮想サーバーの変更作業が終了したら、「OK」をクリックします。

仮想サーバーの MIME の設定

個々の仮想サーバーに MIME タイプファイルを設定できます。MIME タイプファイルには、ファイル拡張子とファイルタイプのマッピング情報が格納されます。たとえば、MIME タイプファイルで、.cgi で終わるすべてのファイルを CGI ファイルとして扱うように指定できます。

仮想サーバーまたは仮想サーバークラスごとに個別の MIME タイプファイルを作成する必要はありません。必要な数の MIME タイプファイルを作成し、それらを仮想サーバーに関連付けます。サーバーには mime.types という MIME タイプファイルがデフォルトで 1 つ存在します。新しい MIME タイプファイルを作成するか、あるいは MIME タイプファイル内の定義を編集する場合は、「MIME タイプの選択」を参照してください。

特定の仮想サーバーに MIME タイプファイルを設定するには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブをクリックします。
  2. 「MIME Settings」をクリックします。
  3. 仮想サーバーの横にあるドロップダウンリストから、MIME タイプファイルを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。

仮想サーバーの ACL の設定

ACL を使用して、仮想サーバーへのアクセスを制御できます。各仮想サーバーは、LDAP データベースで個別のベース DN を持つことができます。このため、各仮想サーバーは、Sun ONE Web Server で使用する 1 つの LDAP データベースに独自のエントリを持つことができます。

詳細は、 「仮想サーバーへのアクセス制御」を参照してください。

仮想サーバーのセキュリティの設定

仮想サーバーが、セキュリティ保護された待機ソケットにバインドされている場合、その仮想サーバーのセキュリティを設定できます。

セキュリティについては、第 4 章「Web コンテナと Web アプリケーションの J2EE ベースのセキュリティ」を参照してください。

仮想サーバーのサービス品質の設定

サービス品質は、仮想サーバーに対して設定するパフォーマンス制限です。たとえば、ISP では、仮想サーバーで使用できる帯域幅の広さに応じて課金する必要がある場合があります。

サーバー全体または仮想サーバークラスに対してこの設定を有効にするには、サーバーマネージャの「Monitor」タブを使用します。ただし、個々の仮想サーバーについて、サーバー全体またはクラスレベルの設定を無効にできます。

仮想サーバーに対してサービス品質を有効にする前に、まず、サーバー全体に対してサービス品質を有効にし、基本的な値をいくつか設定する必要があります。「サービス品質の使用法」を参照してください。

仮想サーバーのサービス品質を設定するには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブをクリックします。
  2. 「Quality of Service」をクリックします。
  3. クラスのすべての仮想サーバーおよびそれらのサービス品質の設定項目のリストを示すページが表示されます。

  4. 仮想サーバーのサービス品質を有効にするには、ドロップダウンリストから「Enable」を選択します。
  5. デフォルトでは、サービス品質は無効になっています。サービス品質を有効にすると、サーバーのオーバーヘッドがわずかに増えます。

  6. その仮想サーバーの最大帯域幅をバイト/秒単位で設定します。
  7. 最大帯域幅の設定を適用するかどうかを選択します。
  8. 最大帯域幅を適用する場合、サーバーがその帯域幅の制限値に達すると、それ以上の接続は拒否されます。

    最大帯域幅を適用しない場合は、最大帯域幅を超えると、サーバーのエラーログにメッセージが記録されます。

  9. その仮想サーバーに対して許可する最大接続数を選択します。
  10. この数は、同時に処理する要求の数です。

  11. 最大接続数の設定を適用するかどうかを選択します。
  12. 最大接続数を適用する場合、サーバーがその最大接続数に達すると、それ以上の接続は拒否されます。

    最大接続数を適用しない場合は、最大接続数を超えると、サーバーのエラーログにメッセージが記録されます。

  13. 「OK」をクリックします。

サービス品質機能については、「サービス品質の使用法」を参照してください。

仮想サーバーのログの設定

仮想サーバーのアクセスログおよびエラーログの場所をデフォルトの場所から変更するには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブをクリックします。
  2. 「Logging Settings」をクリックします。
  3. クラスのすべての仮想サーバーのリストおよびエラーログとアクセスログの場所を示すページが表示されます。

  4. エラーログとアクセスログの絶対パスを入力します。既存のパスを入力する必要があります。
  5. デフォルトでは、すべての仮想サーバーに関するアクセスメッセージおよびエラーメッセージが、サーバーインスタンスのアクセスログおよびエラーログに記録されます。仮想サーバーごとの個別のログファイルを使用する場合は、ここでその設定を行います。

  6. デフォルトのパスに戻す場合は、「Default」をクリックします。
  7. 「OK」をクリックします。

特定の仮想サーバーのログを表示するには、次の手順に従います。

  1. 仮想サーバーマネージャから、「Logs」タブを選択します。
  2. 「View Access Log」または「View Error Log」をクリックします。
  3. 表示するエントリ数および表示の条件を選択します。
  4. たとえば、すべての仮想サーバーに関するエントリが記録されているログでは、特定の仮想サーバーのエントリだけを表示できます。

  5. 「OK」をクリックします。

仮想サーバーのログの有効化

仮想サーバーレベルのログを有効にするには、次の手順に従います。

  1. サーバーマネージャでサーバーインスタンスの「Logs」タブを開き、「Log Preferences」を選択します。
  2. 「Log File」フィールドにパスとファイル名を入力して、新しいアクセスログを作成します。
  3. magnus.conf ファイルを次のように変更して、新しいアクセスログを手動で作成することもできます。

    Init fn=init access="$accesslog"Init fn=init access="newaccesslog" に変更します。

  4. 「Format」の下の「Only Log」を選択し、「Virtual Server Id」にチェックマークを付けます。
  5. カスタムフォーマットでは、「Custom Format」を選択し、行の最後に %vsid% を追加します。

    %vsid% は、複数の仮想サーバーを使用する場合に便利です。このエントリは、アクセスログに vsid を記録します。

    magnus.conf ファイルの Init fn の最後に %vsid% を手動で追加することもできます。

  6. 「OK」をクリックします。
  7. 「Apply」をクリックします。
  8. 「Apply Changes」をクリックして変更を適用します。

仮想サーバーの Java Web アプリケーションの設定

Web アプリケーションは、Java サーブレット、JSP、HTML ページ、クラス、その他のリソースの集合です。すべてのリソースは 1 つのディレクトリに格納され、そのディレクトリに対する要求はすべて、アプリケーションを実行させるものとなります。特定の仮想サーバーの Web アプリケーションを配備および編集するときは、仮想サーバーマネージャの「Web Applications」タブにあるページを使用します。

Web アプリケーションと Web アプリケーションの配備記述子ファイル sun-web.xml については、『Sun ONE Web Server 6.1 Administrator's Configuration File Reference』を参照してください。


仮想サーバーマネージャを使用した変更

仮想サーバーマネージャには「Preferences」、「Logs」、「Web Applications」、「WebDAV」の 4 つのタブがあります。

「Preferences」タブには、次のページがあります。

「Status」ページには、いくつかの設定項目と、仮想サーバーのアクセスログとエラーログへのリンクが表示されます。

「Settings」ページには、仮想サーバーに関する次の設定項目が表示されます。

1 つの仮想サーバーの設定を変更する場合は、仮想サーバーマネージャを使用して 1 つのページですべての設定を変更する方法が便利です。

「Logs」タブには、選択した仮想サーバーのレポートを生成するためのページが 1 ページだけ含まれています。

Web アプリケーションファイルの配備と編集については、第 15 章「プログラムによるサーバーの拡張」を参照してください。

「WebDAV」タブでは、仮想サーバーの WebDAV コレクションの作成と編集を行うことができます。WebDAV は、WebDAV 操作が有効なリソースまたはリソースの集合です。WebDAV を使用することで、Web 上のさまざまな場所から共同でドキュメントを作成できます。WebDAV を使用して、WebDAV が有効なリソースに対してさまざまなレベルのロックを設定できます。このため、Web 上でのコンテンツを共同で作成する場合に、上書きの衝突を防止することができます。

「WebDAV」タブには、次のページがあります。

「Add Collection」ページでは、WebDAV コレクションを作成できます。

「Edit DAV Collection」ページでは、WebDAV が有効なコレクションを設定できます。

「Lock Management」ページでは、サーバー上の WebDAV が有効なリソースについて、設定されているロックと、ロックに関連するその他の情報を参照できます。

詳細は、第 19 章「WebDAV による Web パブリッシング」を参照してください。

仮想サーバーのレポートの生成

仮想サーバーマネージャを使用して、1 つの仮想サーバーに関するレポートを生成できるようになりました。レポートを生成するには、以下に示すように仮想サーバーが使用する新規アクセスログを作成し、この新規アクセスログを仮想サーバーの設定に追加します。

仮想サーバーのレポートを生成するには、次の手順に従います。

  1. サーバーマネージャでサーバーインスタンスの「Logs」タブを開き、「Log Preferences」を選択します。
  2. 「Log File」フィールドにパスとファイル名を入力して、新しいアクセスログを作成します。
  3. magnus.conf ファイルを次のように変更して、新しいアクセスログを手動で作成することもできます。

    Init fn=init access="$accesslog"Init fn=init access="newaccesslog" に変更します。

  4. 「Format」の下の「Only Log」を選択し、「Virtual Server Id」にチェックマークを付けます。
  5. カスタムフォーマットでは、「Custom Format」を選択し、行の最後に %vsid% を追加します。

    %vsid% は、複数の仮想サーバーを使用する場合に便利です。このエントリは、アクセスログに vsid を記録します。

    magnus.conf ファイルの Init fn の最後に %vsid% を手動で追加することもできます。

  6. 「OK」をクリックします。
  7. 「Apply」をクリックします。
  8. 「Apply Changes」をクリックして変更を適用します。
  9. レポートを生成する仮想サーバーを選択して「Virtual Server Manager」>「Manage Classes」に移動し、ツリービューから「Virtual server」を選択します。
  10. 「Preferences」タブを表示し、「Settings」を選択します。
  11. 「Access Log」フィールドで、アクセスログを新しいアクセスログに変更します。

  12. 「OK」をクリックします。
  13. 「Apply」をクリックします。
  14. 「Apply Changes」をクリックして変更を適用します。
  15. 「Logs」タブを選択します。
  16. 「Generate Reports」ページが表示されます。

    このページは、仮想サーバーが作成され、LogVSid が「On」に設定されていない場合は表示されません。仮想サーバー ID の有効化については、「仮想サーバーのログの有効化」を参照してください。

  17. (オプション) 必要に応じて設定を変更します。
  18. 「OK」をクリックしてレポートを生成します。

仮想サーバーのディレクトリサービスの選択

特定の仮想サーバーに特定のディレクトリサービスを割り当てることができます。この場合、選択したディレクトリサービスは、server.xml ファイル内の対応する VS (仮想サーバー) 要素の USERDB 要素に記録されます。このディレクトリサービスに関連する権限とアクセス権は、アクセス制御規則を評価および適用するときに、サーバーによって使用されます。

仮想サーバーにディレクトリサービスを割り当てるには、次の手順に従います。

  1. 仮想サーバーマネージャの「Settings」タブを選択します。
  2. 仮想サーバーの設定がリスト表示されます。

  3. 「Directory Service」の隣にある「Edit」リンクをクリックします。
  4. 「Pick Directory Services for Virtual Server」ページが新しいウィンドウに表示されます。

  5. ディレクトリサービスを選択し、「OK」をクリックします。
  6. 変更を保存して適用します。

  7. 特定の仮想サーバー用に選択したディレクトリサービスは、他の仮想サーバーとは共有されません。一方、アクセス制御ファイルは仮想サーバー間で共有されます。



仮想サーバーの削除

仮想サーバーを削除するには、次の手順に従います。

  1. クラスマネージャから、「Virtual Servers」タブをクリックします。
  2. 「Edit Virtual Servers」をクリックします。
  3. 目的の仮想サーバーの横にあるドロップダウンリストから、「Delete」を選択します。
  4. サーバーのインストール時に作成されたデフォルトの仮想サーバーは削除できません。

  5. 「OK」をクリックします。
  6. 仮想サーバーが削除されます。



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