この節では、次の作業について説明します。
デフォルトの制限容量は、該当する LDAP エントリに個別の制限容量が設定されていないユーザーに適用されます。この処理は、1) デフォルトのユーザー制限容量の指定、2) デフォルトの制限容量にバインドされるユーザーの指定、の 2 つの手順で構成されます。次の例は、デフォルトのユーザー制限容量の設定方法を示したものです。パラメータの詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6.3 Administration Reference』の第 3 章「Messaging Server Configuration」を参照してください。
メッセージのサイズ (バイト単位) に関するデフォルトのユーザーディスク制限容量を指定する場合は、次のようになります。
configutil -ostore.defaultmailboxquota -v [ -1 | number ]
ここで -1 は制限容量がない (メッセージの使用量に制限がない) ことを示し、number はバイト数を示します。
メッセージの合計数についてのデフォルトのユーザー制限容量を指定する場合は、次のようになります。
configutil -o store.defaultmessagequota -v [ -1 | number ]
ここで -1 は制限容量がない (メッセージ数に制限がない) ことを示し、number はメッセージ数を示します。
特定のユーザーについて、デフォルトの制限容量を指定する場合は、次のようになります。
デフォルトのメッセージストアの制限容量を使用する場合は、ユーザーエントリで、mailQuota 属性を -2 に設定します。mailQuota が指定されていない場合は、システムのデフォルトの制限容量が使用されます。
各ユーザーには、制限容量を個別に設定できます。ユーザー固有の制限容量を設定するには、ユーザーの LDAP エントリ内の『Sun Java Communications Suite 5 Schema Reference』の「mailQuota」属性または 『Sun Java Communications Suite 5 Schema Reference』の「mailMsgQuota」属性を設定します (詳細は『Sun Java System Messaging Server 6.3 Administration Reference』の「configutil Parameters」を参照)。次の例は、ユーザー制限容量の設定方法を示したものです。
システムのデフォルトの制限容量を指定するには、LDAP エントリに mailQuota を追加しないようにするか、または mailQuota を –2 に設定します。
制限容量を 1,000 メッセージに設定するには、mailMsgQuota を 1000 に設定します。
制限容量を 2M バイトに設定するには、mailQuota を 2M または 2000000 に設定します。
制限容量を 2G バイトに設定するには、mailQuota を 2G、2000000000、または 2000M に設定します。
制限容量を 2G バイト、ボイスメールの制限容量を 20M バイト、アーカイブフォルダの制限容量を 100M バイトにぞれぞれ指定する場合は、次のようになります。
mailQuota: 2G;#voice%20M;Archive%100M
2G バイトの制限容量は、ユーザーのメールボックス内の、制限容量が明示的に割り当てられていないすべてのフォルダに対応します。この例では、Archive フォルダ内のメッセージと voice タイプのメッセージは除外されます。100M バイトの制限容量には、Archive フォルダ内のすべてのフォルダが含まれます。
ドメインには、ディスク容量またはメッセージの制限容量を設定できます。これらの制限容量は、特定のドメイン内のすべてのユーザーの、累積されたバイトまたはメッセージすべてに対するものです。ドメイン制限容量を設定するには、該当する LDAP ドメインエントリで『Sun Java Communications Suite 5 Schema Reference』の「mailDomainDiskQuota」属性または 『Sun Java Communications Suite 5 Schema Reference』の「mailDomainMsgQuota」属性を設定します。
制限容量を 1,000 メッセージに設定するには、mailDomainMsgQuota を 1000 に設定します。
制限容量を 2M バイトに設定するには、mailDomainDiskQuota を 2M または 2000000 に設定します。
制限容量を 2G バイトに設定するには、mailDomainDiskQuota を 2G、2000000000、または 2000M に設定します。
制限容量の通知とは、制限容量に近づいたときにユーザーに警告メッセージを送信する処理のことです。この機能を使用するには、3 つの手順が必要です。
制限容量の通知を有効にします。
コマンド行で次のコマンドを実行します。
configutil -o store.quotanotification -v [ yes | no ]
メッセージに何も設定されなかった場合、ユーザーには制限容量の警告メッセージは送信されません。
制限容量の警告メッセージを定義します。
この警告メッセージは、ディスク制限容量に近づいたユーザーに送信されるメッセージです。コマンド行で制限容量の警告メッセージを定義する場合は、次のようになります。
configutil -o store.quotaexceededmsg -v ’message’
メッセージは RFC 822 形式でなければなりません。メッセージには少なくとも件名行を含むヘッダーがあり、$$、メッセージ本文がそのあとに続いている必要があります。$ は、新しい行を表します。使用しているシェルによっては、$ の前に \ を追加して、$ が持つ特殊な意味をエスケープする必要があることもあります (ほとんどの場合、$ はシェルのエスケープ文字。)例:
configutil -o store.quotaexceededmsg -v ”Subject: WARNING: User quota exceeded$$User quota threshold exceeded - reduce space used.’
さらに、次の変数がサポートされます。
[ID] - ユーザー ID
[DISKUSAGE] - ディスク使用量
[NUMMSG] - メッセージの数
[PERCENT] - store.quotawarn パーセンテージ
[QUOTA] - mailquota 属性
[MSGQUOTA] - mailmsgquota 属性
次にこれらの変数の使用例を示します。
configutil -o store.quotaexceededmsg -v ”Subject: Overquota Warning$$[ID],$$Your mailbox size has exceeded [PERCENT] of its alloted quota.$Disk Usage: [DISKUSAGE]$Number of Messages: [NUMMSG]$Mailquota: [QUOTA]$Message Quota: [MSGQUOTA]$$-Postmaster’
警告メッセージの送信頻度を指定する場合は、次のようになります。
configutil -o store.quotaexceededmsginterval -v number
この number は日数を示しています。たとえば、3 が入っていれば 3 日ごとにメッセージが送信されます。
制限容量のしきい値を指定します。
制限容量のしきい値は、クライアントに警告が送信されるときの、制限容量を超えたパーセンテージです。ユーザーのディスク使用量が指定したしきい値を超えたら、サーバーからユーザーに警告メッセージが送信されます。
local.store.quotaoverdraft=on の場合、store.quotawarn で設定されたしきい値に関係なく、ユーザーのディスク使用量が制限容量の 100% を超えるまで電子メール通知はトリガーされません。
クライアントが IMAP ALERT 機能をサポートしている IMAP ユーザーの場合は、ユーザーがメールボックスを選択するたびに画面にメッセージが表示され、メッセージは IMAP ログにも書き込まれます。
コマンド行で制限容量のしきい値を指定する場合は、次のようになります。
configutil -o store.quotawarn -v number
この number は許可された制限容量のパーセンテージを示しています。
デフォルトでは、制限容量を超えてもユーザーまたはドメインには何の影響もなく、制限容量超過通知が設定されている場合に通知を受信するだけです。制限容量を適用すると、ディスク容量が制限容量レベルを下回るまで、それ以上メッセージを受信しないようメールボックスをロックします。
制限容量の適用を有効または無効にするには、次のようにします。
configutil -o store.quotaenforcement -v [ on | off] |
制限容量を超過すると、メッセージは MTA キューに保存され、メッセージが配信されなかったが、あとで再配信が試行されることを示す通知が差出人へ送信されます。配信の再試行は、猶予期間の期限が切れて、すべてのメッセージが差出人に戻されるまで、またはディスク使用量が制限容量を下回り、メッセージを MTA キューから取り出してメッセージストアに配信できるようになるまで続行されます。制限容量を超えた場合に、メッセージをキューに入れる前にメッセージを返す場合は、次のコマンド行を使用します。
configutil -o store.overquotastatus -v on |
制限容量の適用をドメインレベルで有効にする
特定のドメインの制限容量を適用するには、次のコマンドを使用します。
すべてのドメインについて有効にするには、-d オプションを除外します。ドメインがその制限容量を超過すると、maildomainstatus 属性が overquota に設定され、このドメインへの全配信が停止します。ドメインが overquota でない場合、値は active に設定されます。
制限容量の適用を無効にする
ユーザーの制限容量が適用されているようである場合は、制限容量を無効にした場合でも、次のパラメータを確認してください。
次の configutil パラメータは、オフにするか設定しないようにする必要があります。
store.overquotastatus が on の場合、常に store.quotaoverdraft が on であるとみなし、そうでない場合はユーザーは制限容量を超過して拒否を引き起こすことはありません。また、store.quotaoverdraft が on の場合、ユーザーは制限容量よりも小さいメッセージを 1 つだけ許可されます。すなわち、ユーザーの制限容量よりも大きいメッセージは受け入れません。
これらのパラメータを変更したあとは、必ずメッセージングサービスを再起動してください。
次のメッセージストア属性はアクティブにする必要があります。
メッセージがメールボックスの制限容量よりも大きい場合は、制限容量の適用設定とは無関係にバウンスされます。
猶予期間は、メッセージを差出人にバウンスするまでメールボックスが制限容量 (ディスク容量やメッセージの数) を超えた状態でいられる期間を指定するものです。猶予期間とは、メッセージがメッセージキュー内に保持される期間ではなく、メッセージキュー内に含まれているすべての着信メッセージがバウンスされるまでに、メールボックスが制限容量を超えた状態でいられる期間です。(詳細は 「20.1 概要」を参照。) 猶予期間は、ユーザーが制限容量のしきい値に達し、警告を受けたときに開始します。「制限容量の通知を設定する」を参照してください。
コマンド行で制限容量の猶予期間を指定する場合は、次のようになります。
configutil -o store.quotagraceperiod -v number
この number は時間数を示しています。
Netscape Messaging Server のディスク使用量が制限容量を超過すると、サーバーはメッセージの配信を延期またはバウンスし、制限容量超過通知を送信して、猶予期間を開始します。Messaging Server には、この動作を保持するパラメータ local.store.quotaoverdraft があります。
ON に設定すると、メッセージはディスクの使用量が制限容量を超過するまで配信されます。超過時には、メッセージが延期され (メッセージは MTA メッセージキューに保持されるが、メッセージストアに配信されない)、制限容量超過警告メッセージがユーザーに送信されて、猶予期間が開始されます。猶予期間は、制限容量超過メッセージがバウンスされるまで、メールボックスが制限容量超過である期間を決定します。デフォルトでは、メッセージストアがしきい値に達したときに、制限容量の警告メッセージが送信されます。このパラメータのデフォルトは、Off です。