Sun Java System Messaging Server 6.3 管理ガイド

18.3.4 PORT_ACCESS マッピングテーブル

ディスパッチャーは、IP アドレスおよびポート番号に基づいて、着信接続を許可するかどうかを選択できます。ディスパッチャーは、起動時に PORT_ACCESS という名前のマッピングテーブルを探します。このファイルが見つかると、ディスパッチャーは接続情報を次のようにフォーマットします。

TCP|server-address|server-port|client-address|client-port

ディスパッチャーは、すべての PORT_ACCESS マッピングエントリを照合します。マッピングの結果に「$N」または「$F」が含まれている場合には、接続を即座に終了します。それ以外の場合は、接続を許可します。「$N」または「$F」の後ろに拒否通知メッセージが続くことがあります。メッセージがある場合には、接続を断つ前にそのメッセージが送り返されます。メッセージが送り返される前に、その文字列には CRLF ターミネータが追加されることに注意してください。


注 –

MMP は PORT_ACCESS マッピングテーブルを使用しません。MMP を使用している場合、特定の IP アドレスからの SMTP 接続を拒否するには、TCPAccess オプションを使用する必要があります。「7.5.1 MMP を使ったメールアクセスを設定する」を参照してください。マッピングテーブルを使って SMTP 接続を制御する場合は、INTERNAL_IP マッピングテーブルを使用します (「18.6.1 外部サイトの SMTP リレーを許可する」を参照)。


$< フラグにオプションの文字列が続いており、マッピングプローブが一致しなかった場合は、Messaging Server が文字列を syslog (UNIX) またはイベントログ (NT) に送ります。$> フラグにオプションの文字列が続いており、アクセスが拒否された場合は、Messaging Server が文字列を syslog (UNIX) またはイベントログ (NT) に送ります。LOG_CONNECTION MTA オプションのビット 1 が設定されており、かつ「$N」フラグが設定されて接続が拒否されている場合は、「$T」フラグを指定することにより “T” エントリが接続ログに書き込まれるようになります。LOG_CONNECTION MTA オプションのビット 4 が設定されている場合は、サイト提供のテキストを PORT_ACCESS エントリに提供し、「C」接続ログエントリに含めることが可能です。そのようなテキストを指定するには、エントリの右側に縦棒「|」を 2 つと適切なテキストを挿入します。表 18–3 に、使用可能なフラグを表示します。

以前のバージョンの Messaging Server (6.2 以前) では、MTA オプション LOG_CONNECTION のビット 4 (値 16) が設定されている場合、または SMTP auth が有効な場合、あるいはその両方の場合に、(ディスパッチャーとは対照的に) SMTP サーバーのみが PORT_ACCESS マッピングを再評価していました。また、評価は AUTHEHLO、または HELO コマンドが発行された場合のみ発生しました。これが変更され、PORT_ACCESS は、バナーの送信前に、SMTP サーバースレッドが開始するとすぐに無条件で評価されるようになりました。PORT_ACCESS は、diff によって再評価される場合があります。

表 18–3 PORT_ACCESS マッピングフラグ

フラグ 

説明 

$Y 

アクセスを許可します。 

$U 

チャネルレベルのデバッグを有効にします。 

フラグと引数 (引数の読み取り順序 +) 

$< 文字列 

プローブが一致する場合、文字列を syslog (UNIX) またはイベントログ (NT) に送ります。 

$> 文字列 

アクセスが拒否された場合、文字列を syslog (UNIX) またはイベントログ (NT) に送ります。 

$N 文字列 

アクセスを拒否し、オプションのエラーテキスト文字列を送ります。 

$F 文字列 

「$N 文字列」と同じです。アクセスを拒否し、オプションのエラーテキスト文字列を送ります。 

$T テキスト 

LOG_CONNECTION MTA オプションのビット 1 (値 2) が設定されており、かつ「$N」フラグが設定されて接続が拒否されている場合は、「$T」により「T」エントリが接続ログに書き込まれます。「T」ログエントリにはマッピング結果文字列全体 ($N とその文字列) が含まれることになります。

+ 引数を伴うフラグを複数個使用する場合は、引数を縦棒文字「|」で区切り、この表に示されている順序で配置します。 

たとえば、次のマッピングは、単一のネットワークからポート 25 (標準の SMTP ポート) への SMTP 接続だけを許可します。説明テキストは送らずに特定のホストを拒否します。


PORT_ACCESS

  TCP|*|25|192.123.10.70|*  $N500
  TCP|*|25|192.123.10.*|*   $Y
  TCP|*|25|*|*              $N500$ Bzzzt$ thank$ you$ for$ playing.

         

PORT_ACCESS マッピングテーブルを変更した場合、その変更内容を適用するためにディスパッチャーを再起動する必要があります。コンパイルした MTA 設定ファイルを使用している場合は、変更内容を適用するために、先に設定ファイルをコンパイルしなおしてください。

PORT_ACCESS マッピングテーブルは、特に IP ベースの拒否通知を処理するためのものです。電子メールアドレスレベルでの一般的な制御には、SEND_ACCESS または MAIL_ACCESS マッピングテーブルが適しています。