Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

6.6.3 Calendar Server 6.3 ソフトウェアの高可用性のインストールと設定

ここでは、Calendar Server の高可用性のインストールと設定に関する作業手順について説明します。

次の各作業を順番に実行して、設定をすべて行います。

Procedureクラスタの各ノードを準備するには

  1. Communications Suite 5 インストーラを使用して、クラスタのプライマリノードとセカンダリノードに Calendar Server をインストールします。


    注 –

    必ず、すべてのノードで同じインストールルートを指定してください。


    1. 「インストールディレクトリの指定」パネルで、両方のノードのインストールルートを入力します。

      これにより、次のディレクトリに Calendar Server バイナリがインストールされます。/install-root/SUNWics5/cal。このディレクトリは Calendar Server ベース (cal-svr-base) と呼ばれます。

    2. 「あとで設定」オプションを選択します。

    3. インストールの終了後、ファイルがインストールされたことを確認します。

      # pwd
      /cal-svr-base
      
      # ls -rlt
      
      total 16
      drwxr-xr-x   4 root     bin          512 Dec 14 12:52 share
      drwxr-xr-x   3 root     bin          512 Dec 14 12:52 tools
      drwxr-xr-x   4 root     bin         2048 Dec 14 12:52 lib
      drwxr-xr-x   2 root     bin         1024 Dec 14 12:52 sbin
      drwxr-xr-x   8 root     bin          512 Dec 14 12:52 csapi
      drwxr-xr-x  11 root     bin         2048 Dec 14 12:52 html
  2. 既存のディレクトリサーバー LDAP に対して、ディレクトリ準備スクリプト (comm_dssetup.pl) を実行します。

    これにより、新しい LDAP スキーマ、インデックス、および設定データが設定され、ディレクトリサーバーの準備が整います。

    comm_dssetup.pl の実行手順と詳細については、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』の第 8 章「Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl) 」を参照してください。

Procedureプライマリノードを設定するには

前述のように Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、1 番目のノードで HA を設定します。


注 –

例でのディレクトリ名と Sun Cluster リソース名の重要な点については、「6.5 Calendar Server バージョン 6.3 で高可用性を設定するためのすべての配備例で使用する命名規則」を参照してください。


  1. Calendar Server と HAStoragePlus リソースを登録します。

    ./scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    ./scrgadm -a -t SUNW.scics
  2. フェイルオーバー Calendar Server リソースグループを作成します。

    たとえば、次の例では、プライマリノードを Node1、セカンダリノード (フェイルオーバーノード) を Node2 として、カレンダリソースグループ CAL-RG を作成します。

    ./scrgadm -a -g CAL-RG -h node1,node2
  3. Calendar Server リソースグループ内に論理ホスト名リソースを作成し、そのリソースグループをオンラインにします。

    たとえば、次の例では、論理ホスト名リソース LOG-HOST-RS を作成してから、リソースグループ CAL-RG をオンラインにします。

    ./scrgadm -a -L -g CAL-RG -l LOG-HOST-RS
    ./scrgadm -c -j LOG-HOST-RS -y    \
          R_description="LogicalHostname resource for LOG-HOST-RS"
    ./scswitch -Z -g CAL-RG
  4. HAStoragePlus リソースを作成し有効にします。

    たとえば、次の例では、HAStoragePlus リソース CAL-HASP-RS を作成し有効にします。

    scrgadm -a -j CAL-HASP-RS -g CAL-RG -t 
         SUNW.HAStoragePlus:4 -x FilesystemMountPoints=/cal
    scrgadm -c -j CAL-HASP-RS -y 
         R_description="Failover data service resource for SUNW.HAStoragePlus:4"
    scswitch -e -j CAL-HASP-RS

Procedureプライマリノードで設定ユーティリティー (csconfigurator.sh) を実行するには

  1. 設定プログラムを実行します。

    たとえば、 /cal-svr-base/sbin ディレクトリから次のように実行します。

    # pwd
         /cal-svr-base/sbin
    
    # ./csconfigurator.sh

    設定スクリプトの実行方法については、このガイドの第 2 章「Calendar Server 6.3 ソフトウェアの初期実行時設定プログラム (csconfigurator.sh)」を参照してください。

  2. 「ランタイム設定」パネルで、両方の Calendar Server 起動オプションを選択解除します。

  3. 「設定およびデータファイルの格納ディレクトリ」パネルで、共有ディスク上のすべてのディレクトリを設定します。次の場所を使用します。

    設定ディレクトリ

    /share-disk-dir/config

    データベースディレクトリ

    /share-disk-dir/csdb

    添付ファイルの保存用ディレクトリ

    /share-disk-dir/store

    ログディレクトリ

    /share-disk-dir/logs

    一時ファイルディレクトリ

    /share-disk-dir/tmp

    ディレクトリを指定し終えたら、「ディレクトリの作成」を選択します。

  4. 「アーカイブおよびホットバックアップの設定」パネルで、次のように指定します。

    アーカイブディレクトリ

    /share-disk-dir/csdb/archive

    ホットバックアップディレクトリ

    /share-disk-dir/csdb/hotbackup

    ディレクトリを指定し終えたら、「ディレクトリの作成」オプションを選択します。

  5. 設定が正しいことを確認します。

    設定出力の最後を調べ、「All Tasks Passed」というメッセージが記されていることを確認します。設定出力の最後の部分は、次のようになります。

    ...
    All Tasks Passed. Please check install log 
    /var/sadm/install/logs/Sun_Java_System_Calendar_Server_install.B12141351
     for further details.

    詳細な出力例については、「6.11 カレンダ設定プログラムの出力例 (簡略)」を参照してください。

  6. 「次へ」をクリックして設定を終了します。

Procedureセカンダリノードを設定するには

  1. セカンダリノードに切り替えます。

    Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、セカンダリノードに切り替えます。たとえば、次のコマンドは、セカンダリ (フェイルオーバー) ノード Node2 にリソースグループを切り替えます。

    scswitch -z -g CAL-RG -h Node2
  2. Calendar Server の config ディレクトリから、共有ファイルシステムの config ディレクトリへのシンボリックリンクを作成します。

    たとえば、次のコマンドを実行します。

    # pwd
    /cal-svr-base
    
    # ln -s /share-disk-dir/config .  

    注 –

    必ず、ln コマンドの最後にピリオド (.) を付けてください。


  3. プライマリノード設定の状態ファイルを使用して、セカンダリノード上で Calendar Server を設定します。

    設定プログラムを実行したときに作成した状態ファイルを実行して、プライマリノードの設定を共有します。

    たとえば、次のコマンドを実行します。

    # /cal-svr-base/sbin/csconfigurator.sh -nodisplay -noconsole -novalidate

    設定プログラムを初めて実行したときと同様に、すべての作業が成功していることを確認します。

  4. 設定ファイル (ics.conf) を編集します。

    ics.conf ファイルを編集して、ファイルの最後に次のパラメータを追加します。カレンダリソースの論理ホスト名は LOG-HOST-RS です。


    注 –

    この手順を行う前に、ics.conf ファイルをバックアップしておいてください。


    ! The following are the changes for making Calendar Server
    ! Highly Available
    !
    local.server.ha.enabled="yes"
    local.server.ha.agent="SUNWscics"
    service.http.listenaddr="IPAddress"
    local.hostname="LOG-HOST-RS"
    local.servername="LOG-HOST-RS"
    service.ens.host="LOG-HOST-RS"
    service.http.calendarhostname="LOG-HOST-RS-Domain.com"
    local.autorestart="yes"
    service.listenaddr="IPAddress"
  5. Calendar Server リソースグループを作成し、有効にします。

    この例の場合、リソースグループ名は CAL-SVR-RS です。また、論理ホストリソース名と HAStoragePlus リソース名を指定するように要求されます。

    ./scrgadm -a -j CAL-SVR-RS -g CAL-RG 
         -t SUNW.scics -x ICS_serverroot=/cal-svr-base 
         -y Resource_dependencies=CAL-HASP-RS,LOG-HOST-RS
    
    ./scrgadm -e -j CAL-SVR-RS
  6. フェイルオーバーを実行して、カレンダリソースグループの作成が成功したかどうかをテストします。

    ./ scswitch -z -g CAL-RG -h Node1

    この手順を終えると、Calendar Server の非対称型高可用性システムの作成と設定は終了です。次の節では、Sun Cluster にログオンしてデバッグを行うための設定方法について説明します。

    これで、非対称型の Calendar Server HA システムのインストールと設定は終了しました。