ここでは、対称型高可用性 Calendar Server システムの設定手順について説明します。
対称型高可用性 Calendar Server システムを設定する手順は次のとおりです。
Calendar Server をノードにインストールする前に完了しなければならない準備作業が 2 つあります。
準備作業は次のとおりです。
例の中では、さまざまな箇所で各ノードのインストールディレクトリ (cal-svr-base) を指定する必要があります。対称型 HA システムの cal-svr-base は非対称型 HA システムとは異なります。対称型 HA システムの場合、cal-svr-base の形式は、/opt/node/SUNWics5/cal になります。ここで、 /opt/node は Calendar Server をインストールしたルートディレクトリ (install-root) の名前です。
例として使用するため、および 2 つの Calendar Server インスタンスのインストールディレクトリを区別するために、cal-svr-baseCS1 および cal-svr-baseCS1 と名付けられています。
この例では、2 つの Calendar Server インスタンスのインストールルートが区別できるように、install-rootCS1 および install-rootCS2 と名付けられています。
クラスタファイルシステム (グローバルファイルシステム) またはフェイルオーバーファイルシステム (ローカルファイルシステム) のどちらかを使用して、ファイルシステムを 6 つ作成します。
次の例は、グローバルファイルシステムの場合です。/etc/vfstab ファイルの内容は次のようになります (フィールドはすべてタブで区切られている)。
# Cluster File System/Global File System ## /dev/md/penguin/dsk/d500 /dev/md/penguin/rdsk/d500 /cal-svr-baseCS1 ufs 2 yes logging,global /dev/md/penguin/dsk/d400 /dev/md/penguin/rdsk/d400 /share-disk-dirCS1 ufs 2 yes logging,global /dev/md/polarbear/dsk/d200 /dev/md/polarbear/rdsk/d200 /cal-svr-baseCS2 ufs 2 yes logging,global /dev/md/polarbear/dsk/d300 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /share-disk-dirCS2 ufs 2 yes logging,global /dev/md/polarbear/dsk/d600 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /var-cal-dirCS1 ufs 2 yes logging,global /dev/md/polarbear/dsk/d700 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /var-cal-dirCS2 ufs 2 yes logging,global
次の例は、フェイルオーバーファイルシステムの場合です。/etc/vfstab ファイルの内容は次のようになります (フィールドはすべてタブで区切られている)。
# Failover File System/Local File System ## /dev/md/penguin/dsk/d500 /dev/md/penguin/rdsk/d500 /cal-svr-baseCS1 ufs 2 yes logging /dev/md/penguin/dsk/d400 /dev/md/penguin/rdsk/d400 /share-disk-dirCS1 ufs 2 yes logging /dev/md/polarbear/dsk/d200 /dev/md/polarbear/rdsk/d200 /cal-svr-baseCS2 ufs 2 yes logging /dev/md/polarbear/dsk/d300 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /share-disk-dirCS2 ufs 2 yes logging /dev/md/polarbear/dsk/d600 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /var-cal-dirCS1 ufs 2 yes logging /dev/md/polarbear/dsk/d700 /dev/md/polarbear/rdsk/d300 /var-cal-dirCS2 ufs 2 yes logging
クラスタのすべてのノードに、次の必須ディレクトリを作成します。
# mkdir -p /install-rootCS1 share-disk-dirCS1 install-rootCS2 share-disk-dirCS2 var-cal-dirCS1 var-cal-dirCS2
Calendar Server HA パッケージ (SUNWscics) をクラスタのすべてのノードにインストールします。
インストールは、Java Enterprise System インストーラから行う必要があります。
Java Enterprise System インストーラについては、『Sun Java Enterprise System 5 Installation and Configuration Guide』を参照してください。
この節の手順に従って、Calendar Server の 1 番目のインスタンスを インストールし設定します。ここでは、次の内容について説明します。
ファイルがマウントされていることを確認します。
プライマリノード (Node1) で次のコマンドを入力します。
df -k
次に、出力の例を示します。
/dev/md/penguin/dsk/d500 35020572 34738 34635629 1% /install-rootCS1 /dev/md/penguin/dsk/d400 35020572 34738 34635629 1% /share-disk-dirCS1 /dev/md/polarbear/dsk/d300 35020572 34738 34635629 1% /share-disk-dirCS2 /dev/md/polarbear/dsk/d200 35020572 34738 34635629 1% /install-rootCS2 /dev/md/polarbear/dsk/d600 35020572 34738 34635629 1% /var-cal-dirCS1 /dev/md/polarbear/dsk/d700 35020572 34738 34635629 1% /var-cal-dirCS2
Sun Java Systems Communications Suite インストーラを使用して、プライマリノードに Calendar Server をインストールします。
ディレクトリサーバーのあるマシン上でディレクトリ準備ツールスクリプトを実行します。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用し、次の手順に従って 1 番目のノードで Sun Cluster を設定します。
次のリソースタイプを登録します。
./scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus ./scrgadm -a -t SUNW.scics
フェイルオーバーリソースグループを作成します。
次の例では、リソースグループは CAL-CS1-RG であり、2 つのノードのうちプライマリノードには Node1 という名前が、フェイルオーバーノードには Node2 という名前が付けられています。
./scrgadm -a -g CAL-CS1-RG -h Node1,Node2
このノードの論理ホスト名リソースを作成します。
カレンダクライアントはこの論理ホスト名で待機します。次の例では LOG-HOST-CS1-RS を使用していますが、この箇所は実際のホスト名に変更します。
./scrgadm -a -L -g CAL-RG -l LOG-HOST-CS1-RS ./scrgadm -c -j LOG-HOST-CS1-RS -y R_description= "LogicalHostname resource for LOG-HOST-CS1-RS"
リソースグループをオンラインにします。
scswitch -Z -g CAL-CS1-RG
HAStoragePlus リソースを作成し、フェイルオーバーリソースグループに追加します。
次の例では、リソースは CAL-HASP-CS1-RS という名前になっています。ここは各自のリソース名に置き換えます。このマニュアルの例では、見やすくするために、行が 2 行に分かれて表示されています。
./scrgadm -a -j CAL-HASP-CS1-RS -g CAL-CS1-RG -t SUNW.HAStoragePlus:4 -x FilesystemMountPoints=/install-rootCS1, /share-disk-dirCS1,/cal-svr-baseCS1 ./scrgadm -c -j CAL-HASP-CS1-RS -y R_description="Failover data service resource for SUNW.HAStoragePlus:4"
HAStoragePlus リソースを有効にします。
./scswitch -e -j CAL-HASP-CS1-RS
プライマリノードで設定プログラムを実行します。
# cd /cal-svr-baseCS1/sbin/ # ./csconfigurator.sh
設定スクリプトの実行手順については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
「ランタイム設定」パネルで、両方の Calendar Server 起動オプションを選択解除します。
「設定およびデータファイルの格納先ディレクトリ」パネルで、次のリストに示すように共有ディスクのディレクトリを指定します。
/share-disk-dirCS1/config
/share-disk-dirCS1/csdb
/share-disk-dirCS1/store
/share-disk-dirCS1/logs
/share-disk-dirCS1/tmp
ディレクトリを指定し終えたら、「ディレクトリの作成」を選択します。
「アーカイブおよびホットバックアップの設定」パネルで、次のリストに示すように共有ディスクのディレクトリ名を指定します。
/share-disk-dirCS1/csdb/archive
/share-disk-dirCS1/csdb/hotbackup
これらのディレクトリを指定したあとで、「ディレクトリの作成」を選択します。
設定が成功したことを確認します。
設定プログラムにより一連のメッセージが表示されます。すべてのメッセージが PASSED で始まっている場合、成功したことを意味します。表示される出力例については、「6.11 カレンダ設定プログラムの出力例 (簡略)」の例を参照してください。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、2 番目のノードへのフェイルオーバーを実行します。
次に例を示します。
# /usr/cluster/bin/scswitch -z -g CAL-CS1-RG -h Node2
設定ファイル ics.conf を編集して、次の例に示すパラメータを追加します。
この手順を開始する前に、ics.conf ファイルをバックアップしておいてください。
! The following changes were made to configure Calendar Server ! Highly Available ! local.server.ha.enabled="yes" local.server.ha.agent="SUNWscics" service.http.listenaddr="IPAddressCS1" local.hostname="LOG-HOST-CS1-RS" local.servername="LOG-HOST-CS1-RS" service.ens.host="LOG-HOST-CS1-RS" service.http.calendarhostname="LOG-HOST-CS1-RS-Domain.com" local.autorestart="yes" service.listenaddr = "IPAddressCS1"
service.http.calendarhostname に指定する値は完全修飾ホスト名です。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、Calendar Server リソースグループを作成します。
カレンダリソースグループを作成し、有効にします。
次に例を示します。
./scrgadm -a -j CAL-SVR-CS1-RS -g CAL-CS1-RG -t SUNW.scics -x ICS_serverroot=/cal-svr-baseCS1 -y Resource_dependencies=CAL-HASP-CS1-RS,LOG-HOST-CS1-RS ./scrgadm -e -j CAL-SVR-CS1-RS
Sun Cluster コマンド行インターフェイスを使用して、Calendar Server リソースグループの作成が成功したかどうかをテストし、1 番目のノードへのフェイルオーバーを実行します。このノードがプライマリノードになります。
次に例を示します。
./scswitch -z -g CAL-CS1-RG -h Node1
2 番目の Calendar Server インスタンスのプライマリノードは 2 番目のノード (Node2) です。
ファイルがマウントされていることを確認します。
プライマリノード (Node2) で次のコマンドを入力します。
df -k
次のような出力が表示されます。
/dev/md/penguin/dsk/d500 35020572 34738 34635629 1% /install-rootCS1 /dev/md/penguin/dsk/d400 35020572 34738 34635629 1% /share-disk-dirCS1 /dev/md/polarbear/dsk/d300 35020572 34738 34635629 1% /share-disk-dirCS2 /dev/md/polarbear/dsk/d200 35020572 34738 34635629 1% /install-rootCS2 /dev/md/polarbear/dsk/d600 35020572 34738 34635629 1% /var-cal-dirCS1 /dev/md/polarbear/dsk/d700 35020572 34738 34635629 1% /var-cal-dirCS2
Sun Java Systems Communications Suite インストーラを使用して、新しいプライマリノード (2 番目のノード) に Calendar Server をインストールします。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、次の手順に示すように、Calendar Server の 2 番目のインスタンスを設定します。
フェイルオーバーリソースグループを作成します。
次の例では、リソースグループは CAL-CS2-RG であり、2 つのノードのうちプライマリノードには Node2 という名前が、フェイルオーバーノードには Node1 という名前が付けられています。
./scrgadm -a -g CAL-CS2-RG -h Node2,Node1
論理ホスト名リソースを作成します。
カレンダクライアントはこの論理ホスト名で待機します。次の例では LOG-HOST-CS2-RS を使用していますが、実際のホスト名ではこの箇所を変更します。
./scrgadm -a -L -g CAL-CS2-RG -l LOG-HOST-CS2-RS ./scrgadm -c -j LOG-HOST-CS2-RS -y R_description="LogicalHostname resource for LOG-HOST-CS2-RS"
リソースグループをオンラインにします。
scswitch -Z -g CAL-CS2-RG
HAStoragePlus リソースを作成し、フェイルオーバーリソースグループに追加します。
次の例では、リソースは CAL-SVR-CS2-RS という名前が付けられています。ここは各自のリソース名に置き換えます。
./scrgadm -a -j CAL-SVR-CS2-RS -g CAL-CS2-RG -t SUNW.HAStoragePlus:4 -x FilesystemMountPoints=/install-rootCS2, /share-disk-dirCS2,/var-cal-dirCS2 ./scrgadm -c -j CAL-HASP-CS2-RS -y R_description="Failover data service resource for SUNW.HAStoragePlus:4"
HAStoragePlus リソースを有効にします。
./scswitch -e -j CAL-HASP-CS2-RS
セカンダリノードで設定プログラムを再度実行します。
# cd /cal-svr-baseCS2/sbin/ # ./csconfigurator.sh
設定スクリプトの実行手順については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
「ランタイム設定」パネルで、両方の Calendar Server 起動オプションを選択解除します。
「設定およびデータファイルの格納先ディレクトリ」パネルで、次のリストに示すように適切なディレクトリを指定します。
share-disk-dirCS2/config
/share-disk-dirCS2/csdb
/share-disk-dirCS2/store
/share-disk-dirCS2/logs
/share-disk-dirCS2/tmp
ディレクトリを指定し終えたら、「ディレクトリの作成」を選択します。
「アーカイブおよびホットバックアップの設定」パネルで、次のリストに示すように適切なディレクトリ名を指定します。
/share-disk-dirCS2/csdb/archive
/share-disk-dirCS2/csdb/hotbackup
これらのディレクトリを指定したあとで、「ディレクトリの作成」を選択します。
設定が成功したことを確認します。
設定プログラムにより一連のメッセージが表示されます。すべてのメッセージが PASSED で始まっている場合、成功したことを意味します。表示される出力例については、「6.11 カレンダ設定プログラムの出力例 (簡略)」の例を参照してください。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、1 番目のノードへのフェイルオーバーを実行します。
次に例を示します。
# /usr/cluster/bin/scswitch -z -g CAL-CS2-RG -h Node1
設定ファイル ics.conf を編集して、次の例に示すパラメータを追加します。
示された値は例でのみ使用します。例の値は、各自の情報に置き換える必要があります。
この手順を開始する前に、ics.conf ファイルをバックアップしておいてください。
! The following changes were made to configure Calendar Server ! Highly Available ! local.server.ha.enabled="yes" local.server.ha.agent="SUNWscics" service.http.listenaddr="IPAddressCS2" local.hostname="LOG-HOST-CS2-RS" local.servername="LOG-HOST-CS2-RS" service.ens.host="LOG-HOST-CS2-RS" service.http.calendarhostname="LOG-HOST-CS2-RS-Domain.com" local.autorestart="yes" service.listenaddr = "IPAddressCS2"
service.http.calendarhostname の値は完全修飾ホスト名にする必要があります。
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、Calendar Server リソースグループを作成します。
Calendar Server リソースグループを作成し、有効にします。
次に例を示します。
./scrgadm -a -j CAL-SVR-CS2-RS -g CAL-CS2-RG -t SUNW.scics -x ICS_serverroot=/cal-svr-baseCS2 -y Resource_dependencies=CAL-HASP-CS2-RS,LOG-HOST-CS2-RS ./scrgadm -e -j CAL-SVR-CS2-RS
Sun Cluster コマンド行インタフェースを使用して、カレンダリソースグループの作成が成功したかどうかをテストし、2 番目のノードへのフェイルオーバーを実行します。このノードがこの Calendar Server インスタンスのプライマリノードになります。
次に例を示します。
./scswitch -z -g CAL-CS2-RG -h Node2
これで、対称型 HA Calendar Server のインストールと設定が終了しました。