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Sun Java™ System Directory Server 5 2004Q2 管理ガイド |
第 14 章
SNMP を使用した Directory Server の監視SNMP (Simple Network Management Protocol) は、リアルタイムでデバイスやアプリケーションを監視および管理するための標準の管理プロトコルです。Directory Server には、SNMP マネージャアプリケーションを使用して監視するためのサブエージェントインタフェースが用意されています。これを利用することで、ネットワークアプリケーションがディレクトリサーバーの状態を判別し、アクティビティに関する情報を取得できます。
Directory Server の SNMP サブエージェントに含まれる値は読み取り専用です。このため、SNMP 管理アプリケーションはサーバーに対して処理を実行できません。
一般に、第 13 章「ログファイルを使用した Directory Server の監視」で説明したアクセスログとエラーログにはサーバーに関するより詳細な情報が含まれており、サーバーの設定に安全にアクセスし、それを変更するには、プロトコルとして LDAP を選択するべきです。それでも Directory Server インスタンスは、SNMP サブエージェントを使用して既存のネットワーク管理システムに参加できます。
この章では、次の項目について説明します。
Sun Java System Server の SNMPSNMP を利用する管理アプリケーションは、エージェントまたはサブエージェントアプリケーションを実行するアプリケーションおよびデバイスに照会を行います。SNMP エージェントまたはサブエージェントは、SNMP マネージャからの照会への応答として、アプリケーションまたはデバイスからの情報を収集します。この情報は変数のテーブルとして構築され、このテーブルはエージェントの MIB (管理情報ベース) によって定義されます。
通常、ネットワーク管理者はサブエージェント内の SNMP 変数を照会し、サブエージェントは要求された値を返します。また SNMP は、すべてのネットワーク管理者にトラップメッセージを送信してエージェントがイベントをレポートするためのメカニズムを定義します。Directory Server デーモンが起動する前にサブエージェントとマスターエージェントが実行されている場合、Directory Server サブエージェントは Directory Server の起動時または停止時に SMUX トラップをマスターエージェントに送信します。マスターエージェントはこれを SNMP トラップに変換します。
ホストマシンには、複数のサブエージェントをインストールできます。たとえば、Directory Server、Application Server、および Messaging Server をすべて同じホスト上にインストールした場合、これらの各サーバーのサブエージェントは、同一のマスターエージェントと通信します。マスターエージェントは管理サーバーと一緒にインストールされます。
詳細については、『Administration Server Administration Guide』の第 10 章「Using SNMP to Monitor Servers」を参照してください。
SNMP 経由で監視できるようにサーバーを設定する一般的な手順は、次のとおりです。
- Directory Server MIB をコンパイルし、SNMP 管理システムに統合します。使用しているシステムのマニュアルを参照してください。
- マシン上に SNMP を設定し、Sun Java System Server Consoleを使用して SNMP マスターエージェントを設定して起動します。
- Directory Server コンソールから SNMP サブエージェントを設定します。
- Directory Server コンソールから SNMP サブエージェントを起動します。
- MIB によって定義され、エージェントにより公開される SNMP 管理対象オブジェクトにアクセスします。この手順は、全体的に SNMP 管理システムに依存します。
Directory Server の設定に固有の手順については後述します。
Directory Server の MIB の概要Directory Server の MIB には、次のようなオブジェクト識別子があります。
これは、次のファイルに定義されています。
MIB は、SNMP 経由で監視できる変数と、各変数に含まれる値のタイプを定義します。Directory Server の MIB は、次の 4 つの管理対象オブジェクトテーブルに分類されます。
- Operations テーブル : ディレクトリ内のバインド、処理、リフェラル、エラーに関する統計情報を含みます。これらの変数の値は、ディレクトリの cn=snmp,cn=monitor エントリの属性にも指定されます。『Directory Server Administration Reference』の第 2 章にある「Monitoring Attributes」を参照してください。
- Entries テーブル : ディレクトリ内のエントリ数とエントリキャッシュのヒット数を含みます。これらの変数の値は、ディレクトリの cn=snmp,cn=monitor エントリの属性の操作変数とも一緒に使用されます。『Directory Server Administration Reference』の第 2 章にある「Monitoring Attributes」を参照してください。
- Interactions テーブル : このディレクトリサーバーが最後に通信した 5 つのディレクトリサーバーに関する統計情報を含みます。『Directory Server Administration Reference』の第 2 章にある「Interactions Table of Supported SNMP Managed Objects」を参照してください。
- Entity テーブル : サーバー ID やバージョンなど、Directory Server のこのインスタンスを説明する変数を含みます。『Directory Server Administration Reference』の第 2 章にある「IEntity Table of SNMP Supported Managed Objects」を参照してください。
Directory Server MIB を使うときは、事前に次のディレクトリにある MIB とともにコンパイルする必要があります。
MIB のコンパイル方法については、SNMP 製品のマニュアルを参照してください。
SNMP の設定システム上で、SMUX 通信をサポートするネイティブ SNMP エージェントがすでに実行されている場合は、マスターエージェントをインストールする必要はありません。ただし、ネイティブエージェントの設定を変更する必要があります。システム上で、ネイティブ SNMP エージェントが実行されていない場合は、Server Console を使用してマスターエージェントを設定、起動する必要があります。
デフォルトのポート設定 (SNMP は 161) では、管理サーバーと Directory Server を root ユーザーとして実行する必要があります。マスターエージェントを設定し直して 1,000 より大きい番号のポートを使用している場合は、root として実行する必要はありません。
デフォルトでは、マスターエージェントはポート 161 を使用します。これは、ほとんどのプラットフォームのネイティブ SNMP エージェントのデフォルトポートと競合します。マスターエージェントを起動する前にネイティブ SNMP エージェントを無効化するか、マスターエージェントが別のポートを使用するように設定します。ネイティブ SNMP エージェントを無効化する方法については、使用プラットフォームのマニュアルを参照してください。マスターエージェントを設定、起動する方法については、『Administration Server Administration Guide』の第 10 章にある「Configuring the Master Agent」を参照してください。
Directory Server での SNMP の設定プラットフォーム側の SNMP エージェントまたはサービスの設定が完了したら、Directory Server インスタンス側の SNMP パラメータを設定する必要があります。Directory Server コンソールから SNMP 設定を設定するには、次の手順を実行します。
- Directory Server コンソールの最上位の「設定」タブで、設定ツリーのルートノードを選択し、右側のパネルで「SNMP」タブを選択します。
- 「統計収集を有効に」チェックボックスを選択します。リソースの利用率を改善するために、デフォルトでは SNMP 変数の統計情報は収集されません。SNMP を使用せず、LDAP 経由で cn=snmp,cn=monitor エントリの属性を監視しないときは、このチェックボックスの選択は解除した状態で残します。
- マスターエージェントのホスト名とポート番号を対応するテキストフィールドに入力します。
デフォルトの設定は、それぞれ localhost とポート 199 です。
- 「説明のプロパティ」ボックスのテキストフィールドに情報を入力します。ここに指定した値は、このサーバーが開示する SNMP Entity テーブルに反映されます。
- 「保存」をクリックして、変更内容を保存します。
- 次の項で説明する方法で、SNMP サブエージェントを起動または再起動します。
SNMP サブエージェントの起動と停止次に、Directory Server コンソールで SNMP サブエージェントを起動、再起動、停止する方法について説明します。コマンド行からのサブエージェントの起動と停止については、『Directory Server Administration Reference』の「directoryserver sagt」コマンドを参照してください。
SNMP サブエージェントを起動、停止、および再起動するには